おじさんが旅する話   作:タラバ554

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決着

死柄木弔の登場で元々ヴィランへ傾いていたバランスは壊れた。殺し合いから虐殺へ。

ヒーロー対ヴィランという構図からヴィランと被害者という立場へ変わったのだ。

 

振るわれる拳が、個性が、足が、意思が、雄英の生徒を贄としてオールマイトの心を折る為に使われた。

 

「あ"あ"っ!」

「あ”~~~~~~っ、最っ高だなあ! ええ?! 先生‼‼‼‼

たまらねぇや! 気分がいい! 最高にハイって奴だ‼‼‼‼」

「ふふふっ、そうだろう弔。そして君以上にボクは気分が良いよ。長年目障りだった生ごみをやっと片付けられるんだ」

 

既に1-Aの生徒は全員戦闘不能に陥っている。殆どが死に、数名が生きている……が、それは生きている『だけ』でまともに動く事すらできない。

 

当然、オールマイトも同様である。

 

切断された左足、抉られた右わき腹、全身の裂傷と打撲、潰れた右腕、潰された左目、抜き取られた歯、折れた鼻、ect,ect……。

傷ついていない場所を探す方が難しい状態になっている。

 

「解るかい、オールマイト。もう一度言うぜ?

君はさっさとボクに殺されるべきだったのさ。

それとも無駄に子供の命を消費してまでボクと戦うのを望んだのかい? ……自分で言って何だがきっしょ」

「うわっ、まるでストーカーだな。初老のストーカージジイとか最悪だ」

「本当だよ弔。こんなのにボクの行動が邪魔されてたとか思うとテンションが下がっていくよ」

 

ヴィランの行動は既に戦闘から英雄を貶める行動に移っていた。

どうすれば被害が少なかった。あの時死んでいたら子供はまだ生きていた。行動の上げ足を取り、この先の国の未来を語る。

 

「これからはボクがこの国を動かす。そして他の国も同様だ。

直ぐに支配してヴィランが住みやすい国を作ろう。そこにヒーローは要らない」

「っ……、っ! DETROIT SMASH‼‼」

「おっと」

 

血反吐を吐きながら繰り出す一撃は満身創痍も相まって軽く避けられ、ついでとばかりに出される蹴りにオールマイトの肺の片方が潰される。

 

「ゲッハァ‼‼」

「あらら……先生、もう死にそうじゃね?」

「うん? そうかな?」

 

大量に吐き出した血で死柄木はオールマイトの死を予感し、AFOは足元にたまたま転がる()()()()()()()()()()()()()を片手で持ち上げる。

 

「ッハー! ハー! ハー!」

 

AFOの行動を止める為に一層の力を込めて拳を出すオールマイトだが、AFOはその拳に合わせて()()()()()()()()

声を上げぬ八百万。AFOの意図に気づき直前に拳を引こうとしたオールマイトだが、それより早く振るわれた八百万の体は拳に当たり固いモノが折れる感触をオールマイトへ伝える。

 

「っ~~~~~~‼‼?‼?‼」

「おいおい、生徒を殺す教師とは……教師失格じゃあないか?」

「っぷ、あっはっはっは! クソだっせ~~! これがヒーローの姿かよ! 子供殺しじゃね~か、ひゃっひゃっひゃ!」

 

人体の構造を無視して振るわれた彼女の体、振るった時点で既に首が折れたがそんなものは関係ない。

オールマイトが子供の体を打ち付け背骨を殴り折った。これがヴィラン側の真実。

絶望を感じるオールマイトの残った左腕を個性で焼き、支えていた右足も切断。まともに体を動かせないオールマイトの頭をAFOは足蹴にしながら宣言する。

 

「あ"あ"っ!」

「まったく酷い奴だよオールマイト。自分の戦いたいというエゴに子供を巻き込み、結果として子供一クラス全員殺すんだから」

「お"前がっ、何を"っ……」

 

戦意だけは落とさないオールマイトに笑みを浮かべハンドサインを死柄木へ送るAFO。それを見て何かを探す死柄木弔。

焼け爛れた左手で尚も攻撃を繰り出すオールマイトの腕を踏みつぶしながら投()()()()()()を見せながらAFOは語る。

 

「ほら、コレがボクが仕込んだ裏切りモノだよ。名前は忘れたけど……なんと()()()()()()さ、君も全くノーマークだったろ?」

「ア"オ"ヤ"…マ"……シ"ョウ"ネ"ン?」

「ああ、そうそう。そうだ、青山。子供が無個性でどうにかしたいって言ってきてね。

……じゃあその代わりに雄英から情報を流せってね。そこそこ働いてくれたよ。

『オールマイト先生、ごめんなさーい』ってあの世で言ってるだろうよ。まあ許してやってくれよ、ボクの為に働いてくれた生徒(いい駒)なんだから」

 

 

 

■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

戦闘再開してずーっと眺めてたけど……えぐいなぁ~。リアル心折設計って奴か、大変だなーと他人事でビールを飲む。

配信画面を確認するがヴィランのコメントしか無く、国民はもう完全にお通夜モード。

ぼちぼち〆る為に声をかける。

 

「おーい、飛行少年。ボチボチ終わりにしようぜ。

もう十分処刑行為は楽しんだろ。おじさんそろそろこっちに喧嘩売ってきたアホ()にやり返したいんだけど」

「ナイトメアか……ああ、良いよ。もう拘るものじゃないしね」

 

そう言いながらオールマイトの頭と首を持ち力を込めていくAFO。

鈍い音を立ててへし折れる首、繋がっていた部分を個性で切り落として完全にトドメをさす。

 

「お疲れさん、宿敵に勝った感想は?」

「そうだね……終わった今となっては『こんなもんか』ってのが正直な所だね」

 

首を傾げる飛行少年の肩を叩きながら笑う。

 

「そんなもん、そんなもん。それより報復にはお前も加わる? お前さんのになった国を襲った奴への報復だけど」

「成程、確かにそうだね……ボクも参加するか」

 

そんな男を眺めながら死柄木弔は無性に腹が立っていた。

今、この国で頂点に立っているのは間違いなくAFO(先生)自分(死柄木弔)の二人。

そこに()()()()があって良いはずがない。

 

自分を制限するものが()()()()()()()という事を信じて疑わない死柄木弔は当然、邪魔なモノを排除する為に動く。




Q.かんしゃく持ちが自由になったら?
A.やりたいようにやる

それがヴィランってもんだろうが‼‼‼
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