配信で行われた行為は直前まで行われた戦闘とは別の方向で悲惨の一言に尽きた。
国3つを濁流が飲み込んだ。高い山脈など物理的に出来るはずの無い津波が山を駆け上がり全てを流した。
全てが濡れた所に立て続けに雷が降り注いだ。衛星で見た映像では国の形がはっきりと浮かび上がる光景だった。
虚空から出現した隕石が地形を崩していった。多少なりと残っていた建造物も壊れて何も残っていない。
最後に氷が覆った。配信を見たものは命など一つも残さないという強い意志を感じた。
「……本気で君、人間?」
「おい、喧嘩売っとるんかい」
「いや、いくらボクでも個性の出力がここまで馬鹿げて無いんだけど」
「訓練すりゃこれくらい、イケルイケル」
「……」
おじさん自身ステータスを自分で封印出来るので訓練内容は常人レベルに落とせるが、鍛錬する時間は肉体よりも魂で行うので億年単位なのはご愛敬。
この会話時点でAFOの心は折れた。正確には日本に手を伸ばそうと画策していた国の指導者達の心も折れた。
何でこんなバケモノが今まで表に出なかったという疑問と、矛先が自分の国に向かなかった幸運。既に牙が向かう事が確定しているR国には合掌を送るしかない。
どちらにしろ日本はヤベェという認識が各国首脳に刻まれた瞬間である。
そんな事をしてたらインカムから声がかけられた。
『ナイトメア、連絡が来てます』
「おん? そっちに連絡が行くってどした?」
『いえ……その首相から、AFOへの対応依頼が来てます』
「……はぁ」
対応? 何じゃそりゃ。
『国民として今回の件に納得出来ないから対応しろってのが首相の言い分みたいです』
「……それを決着がついた今言う? 後だしジャンケンしない様にわざわざ工作用の『席』も用意してやったのにソレを蹴ったのアイツラじゃん。
ヒーローが島の外側で足止め食らってたのもどっかの馬鹿がその席を売ったからだし……その責任をおじさんに押し付けてくるのはお門違いだろが」
『それを我々に言われても……』
「それは……確かに。んじゃ本人に会いに行くか」
通話を切ってAFOの方を見る。
「お前さんの統治が気に食わんって俺に依頼投げて来た馬鹿が居たけどどうする?」
「へぇ……随分舐めた真似してくれるね」
「おう、あんなもん居ても邪魔だし処分してこい。もっと良い運営する奴を据えよう」
「そうだね……Dr、見てるんだろう? ハイエンドを出してくれ」
そう配信越しにDrなる人物に指示を出すAFO。
ハイエンドってなんじゃろ? と思いながらもボチボチ自分が受けた依頼を熟そうとオールマイトの死骸へ足を向ける。
「……ナイトメア、何をしようとしてるんだい?」
「おん? オールマイトの蘇生」
「……何だって?」
思わずAFOの右手から放たれるビーム。それを右手の平で止めて平然とするナイトメア。
「いきなり攻撃するなよ」
「君がゴミを蘇生するって言うから思わずね。何でそうなるか聞いても?」
「陛下に言われてたからな。仮に負けたとしてもオールマイトには静かな最後を迎えてほしいって」
AFOは頭痛を感じながらどう対処するべきか考える。
オールマイトは狂人だ。正義馬鹿と言ってもいいだろう。
蘇生されたら例え現状を知っても向かってくる。かと言ってナイトメアを止めることは無理だし陛下を盾にした場合……最悪ナイトメアが敵に回る。
「(出来れば蘇生自体を阻止したいが……無理だな)」
AFOは蘇生行為の妨害は諦めて静観する事にした。蘇生後の行動によってこっちが対応する事まではナイトメアの性格上文句を言わないと想定して警戒しておく。
と同時にバラバラに砕いた敵がどう蘇るかも興味があるのでどちらの意味でも目が離せない。
「えーっと、足がこれと……もう一本は何処にある? あれ? 焼いたんだっけ?」
「ああ、焼き尽くしたね」
「うぇー、んじゃ作るとして胴体が……アレか。足元の頭くれ」
AFOがオールマイトの頭を蹴って寄越すので片手でキャッチ。その時に残りの片腕も見つけたので並べる。
「片手片足を焼き切ってるからソコは作り直しか……うーんメンドイ」
そう言いながら胴体に手を当ててスキル【幸運脂肪】と【加護脂肪】を発動させる。
最初に胴体が震え切断された箇所の肉が動き出す。肉が伸び、残っている部位に到達するとまるで磁石の様に吸い付くと切断された部分が治っていく。
焼き切られた部位は肉が伸び、肉塊が四肢の形を作ったと思えば手足が出来た。
それらが凄まじい速度で同時進行する。時間にして10秒程でボロボロの遺体が生前のオールマイトの体に戻っている。
AFOは個性を使いオールマイトの肉が手足の形を作り、肉が筋肉や神経、骨に作り替わるという工程を一瞬で行っているのが目に取れた。
その再生速度は自分が持つ再生の個性を大きく超えている。個性を集めてきたコレクターとしての部分が『欲しい』と言うが冷静な部分が押さえつける。
AFOがそんな葛藤をしている間にオールマイトの蘇生は進む。
身体が大体治った所で各部位に異常が無いか一通り操作して問題なく動く事を確認して魂を呼び戻す。
モノ言わぬ死体だったオールマイトがものの数十秒で生き返ったその光景は後に奇跡と呼ばれた。
……後々その奇跡のバーゲンセールをやる事になるのだが、ソレは別の話。
「おっすおっす、起きたか?」
「……おじさん?」
「AFOに殺されたから蘇生したぞ。陛下の依頼だから特別な」
「っ! AFO!!」
おじさんのAFOという言葉に反応して身構えるオールマイト。それに対しあきれ返るAFO。
「ナイトメア、これでボクが攻撃された場合自衛で殺しても文句言わないよな」
「あー、そりゃしゃーなし。オールマイトが悪いわ」
「んなっ?!」
お前はおじさんに何を期待してるんだ。
「負けた奴が悪いに決まってるやん、そういう取り決めでコレ開いてるんだから」
「うっ……むぅ、だがAFOは!」
「とりあえず悪人だからって政治力が無いって訳じゃないさ」
一瞬の間。
「え? 政治力?」
「ん?」
「何で飛行少年も首傾げてるんだよ。これから日本のトップになる人間が」
流れる沈黙。AFOとオールマイトが嫌な予感を感じながらおじさんが口を開く。
「『国の行く末を掛けた頂上決戦』って言ったじゃん。武力トップって事は政治にも口出しするだろ。軍事国家のトップみてーなもんなんだし」
「ええ?! この戦いってそんな感じだったんですか?!」
「なぜ驚く。そりゃそうだろ、じゃなけりゃこんな場を用意しねぇっつーの」
「いや……ボクは君臨はするけど統治は「『しない』なんて言ったらぶっ殺すぞ」……はい」
シュンとするAFO。配信を見てる者は親にしかられる子供を幻視した。
「ついでに政界のゴミも片付けるか? 悪い噂がいーっぱいな人物リストは持ってっから直ぐに実行できるぞ?」
「あの……その情報は何処から?」
「勿論公的な組織から、元々その組織もアレだったからおじさんが直々に対応したからクリーンな組織に生まれ変わったぞ」
頭を抱えるオールマイトに遠い目をしているAFO。
「因みにオールマイトがトップやるより飛行少年の方が良いと思ってたんだよね。それなりに計画的に動けるみたいだし伝手もそれなりにある。
清濁併せ飲む事も出来るだろうから色々とやりやすかろ。あっ、でも黒い部分は1割未満にしろよ? めんどくせぇ事しておじさんに依頼とか来たら本末転倒だし」
視線が交差するAFOとオールマイト。
長年の因縁が消えた訳ではないが今この時は互いの思考は戦闘以外で一致していた。
『こいつを何とかしろ』と。
無言のやり取りをしている因縁の二人を他所におじさんはマイペースに遺体を袋詰めにして仕分けしていた。
日曜に投稿しようと思ってたんですがBlasphemous(ブラスフェマス)ってゲームが思いのほか面白くて・・・。
つい12時間配信する位に面白くて・・・。
皆もやろう!