おじさんが旅する話   作:タラバ554

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ありがとうございます

今日も生きてます!

おじさんは年齢はおじいさんだけど原体験の「おじさん」がデフォになってる
というか壊れてる


準備期間ですって

「いやー、まいったまいった! 死にかけた!」

 

豪快に笑う男の背に広がるのはボロボロにめくれ上がった地面と気絶したヴィラン達。

雄英の教師が駆けつけた時には全てが終わった後だった。

一先ず気絶させたのを捕縛して、残りのチンピラは教師が対応して警察へ引き渡し。お手手マンから奪った手も序に渡す事に。

そしてその日の業後に緊急会議となった訳だがそこでネズミーからおじさんへ質問を投げかけられた。

 

「中真君、君の能力を開示して欲しいのさ」

「おじさん無個性だが?」

 

そう言って診断書を取り出して見せる。

 

「そうだね、君は『無個性』……だけど異能持ちじゃないかい?」

「おー、無個性ってだけで思考停止しない辺りは流石『ハイスペック』って奴?」

 

言外に肯定するとどうやら違ったらしい。

 

「君と接触していたオールマイトの身体の回復。警察から共有された一部情報をすり合わせて導き出した結果さ。ボクは君が身体増強及び、接触タイプの医療系に属する肉体操作の異能力を持っていると想像してるのさ」

「そこまで解ってるなら聞かなくても良くね?」

「詳細をちゃんと知っておきたいのさ」

「警察と共有する為に?」

「そこはこの場に居る人間に留めておくのさ」

「ネズミーは人間ちゃうやん」

「おっと、じゃあこの場に居る全員って事で」

「この性悪鼠め」

 

軽い口撃のやり取りを挟んでからざっくり出来る事を開示する。

 

「ハゲ治療、デブ治療に体質改善、再生治療、救急治療、性転換その他諸々が出来る」

 

ざっくばらんに言い放つ内容に対して理解した一部の教師は絶句し、理解の追い付かない教師はぽかんとしている。

そして一早く口を開いたのはリカバリーガール。

 

「あんたの異能のコストは何だい?」

「脂肪、患者の脂肪かおじさんの脂肪のどちらかを消費するタイプ」

「……なんとも都合が良い能力だね」

「この性質上、末期患者とかを治すのはクッソ苦労するけどな」

「効果が発揮されるのは?」

「即時反映、因みに治療中の痛みとかも低減……つーかほぼ感じない様に調整はしてるぞ」

「あんた医者になるつもりは?」

「無い。あんたは医療従事者としての生活に誇りとかあるだろうけど俺にはそんな気が一切ないから。後、治療方法が説明出来ないと周りの医者のやっかみとか方法開示を請求してくる奴が出て来て面倒」

「……試した事があるのかい?」

「昔数回やったのと、そのツテでどうしてもってのが何回か。確か警察関係者だったのは覚えてる」

 

その回答に溜息を吐くリカバリーガールと成程と頷く校長。

理解が追い付いてきた教師陣から質問が飛び交う。

 

「俺のドライアイが治ったのも?」

「最後に張り手しただろ、あれで治しといた」

 

「私の胃とか内臓のは……」

「胃はあれだ。旅先で一緒に飯食った時。内臓は……何だっけ? 適当に治したから覚えてねぇ。けが人がやせ我慢してるのが気持ち悪かったからさ」

 

「性転換ってドゥーなんの!?」

「こうなんの」

 

そう言って目の前で男から女に性転換して見せる。30代短髪男性から見た目20代のロングヘアー女性へ。

ついでに見た目を幼女、老婆に変えてから元に戻る。

 

「見た目も自由自在かYo‼‼」

「医療行為で出来る事は一通り出来る様に勉強したからな……と言っても個性関係の勉強はして無いから異形系を普通にするとか変更する位しかできねーけど」

「「「「ちょっと待て!!」」」」

 

全員のつっこみ後にリカバリーガールが代表して口を開く。

 

「異形系を普通にとか変更ってどういう事だい!?」

「どうって……見た目を普通にしたり、常時異形じゃなくて任意発動タイプに書き換えたり」

 

何てこと無い様に言う男に頭が痛くなる教師陣。

こんな奴が何故今まで見つからずに生活出来ていたのか不思議でしょうがない。

 

内容が内容な為に小休憩を取る事になり全員でお茶やお茶菓子を口にしながらおじさんの事に対してあれこれと言い始めると女性に対する爆弾発言がポロリと転がり出る。

 

「個性ではない異能なんて有るんですね」

「おじさんからしたらどうでも良かったけど『無個性』って言えば大体黙ってくれるから便利だけどね」

「ハハハ……初めて会った時は増強系のヒーローだと思ったんですけどね」

「ガイコツマンと初めて……あー、イズク君だっけ? 後カツキ君」

「そうです、あの二人を助けた時のスピードにパワー。あれもその異能で得た力ですか?」

「いや? 自前だけど」

「……え、違うんです?」

「出来なくは無いけど見た目がガラっと変わるな。そもそもこの異能の真骨頂って肉体改造だぞ」

「というと?」

「解りやすく言うと見た目を若くしたり、見た目は老人で中身を10代とか、性機能の回復とか」

「はぁ……」

 

今一ピンと来てないガイコツマンはポカンとしている。

 

「やっぱ人間って見た目を気にする生き物じゃろ? そこを弄れるだけでやれる事は一気に増える訳さ」

「そんなもんですかね?」

「後20年位してしシワが増えて来たら分かるかもな!」

 

とか言って笑っていたら急にガイコツマンが汗をダラダラ流し出した。視線がおじさんの後ろに固定されてるのでそちらに顔を向ければ女性教師がずらり。

 

「どしたん?」

「シワの除去を!」「腰痛改善!」「見た目って何処まで弄れますか!?」

「……多分想像してる奴は全部出来るけどやらんぞ」

「「「何で?!」」」

「さっき言ったじゃねーか! めんどくせー! キリがない! そーいうのをヤルなら俺は嫁とかにしかやらん!」

 

ぐっと押し黙る女性陣、だが引かない人も一人。

 

「じゃあ私と結婚を!」

 

ある意味時代を動かした女、ミッドナイト。バイタリティが並じゃない。

 

「40近くも年下の小娘と結婚する訳ねーだろ」

「年は問題じゃないわ!」

「俺余生過ごしてるだけだし」

「じゃあ私と余生過ごしましょ!」

「……おい、ガイコツマン。どうにかしてくれ」

「えぇ!? ソコで私に振るんですか?!」

 

対応をガイコツマンに丸投げしたが平行線なので折衷案を提示する。

 

「よーし、じゃあおじさんの実験に付き合ってくれたら対応しちゃる」

「実験?」

「個性に対しておじさんの異能が何処まで適応出来るかの実験。あぁ、勿論ちゃんと元に戻すし、戻した上でそっちの望みは叶えるから、但し! こっちの実験が終わったらお終い。期間限定の治験」

 

世の中どうあっても断れないものってあるよね。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

そんなビックリイベントを乗り越えた数日後、ブラキ君とB組のヒーロー学で個性訓練を見守っている。

 

「何かテクニカルな子が多いな」

「ウチのクラスは技巧タイプで固められてます。個性も相まって本人もそういう質の子が多いです」

「だからあえて出力上げる系の訓練か」

「アクセルベタ踏みが出来るのと出来ないのではいざという時の馬力が違いますからね」

「確かに本にも似た様な事が書いてあるね」

 

ペラリと本のページを捲る。

 

「何の本です?」

「個性学、ネズミーに頼んで個性関係の専門書を取り寄せて貰ったんよ」

「私も読んだ方が良いですかね?」

「いや、学術的に書いてあるだけだから別に読む必要はないと思うよ。おじさんは個性が解ってないから読んでるけど」

 

そうやって話していると物間が近づいて来てブラキンの個性をコピーしていく。

 

「ネイト君」

「はい?」

「めっちゃ適当に聞くけどさ、君のコピーって触ってコピーするんだよね?」

「そうです」

「それって人じゃないと駄目なの?」

「……え? 駄目だと思いますけど」

「そっか、あんがと」

「はぁ……」

 

怪訝な顔して自分の場所に戻る物間。疑問に思ったブラドキングが聞いてくる。

 

「何故あんな質問を?」

「可能性の話だけど、あの子って個性の本質見失ってないかなーって」

「個性の本質? コピーは他者に触れて5分間だけその個性を複製、使用可能。同時使用は不可という制約があるものの凡庸性の高い個性ですが」

「あー、そんな風に見てるんだ」

「と言うと?」

「視点の問題かねぇ、あの子の能力っておじさんのに近いと思うんだよね」

「まったく別物に見えますが……」

「あの子の本質ってさ、自分の個性因子を変化させる事じゃないかな。時間制限とかあるけど複数ストック可能ってのはソコにカギがありそう」

 

一時的な変化だから時間制限があるし、同時使用が出来ないのは変化可能なのが1つだけだからと考えると納得も出来る。

 

「なるほど……」

「根本から鍛えれば乗算的に能力上昇は見込めるけど学校っていう複数人を見なきゃいけない業務だから今ある形から変えずにやるのがやっぱり正解か」

「いや、しかし出来るのであれば根本から鍛えた方が生徒の為になるのでは?!」

「それはそうだけど身に付くかも分からんし、下手すると人の形じゃなくなるから今の教育が合ってるんじゃねーかなとも思う」

「人の形を?」

 

おじさんの発言にギョっとするブラキ君。

 

「ネイト君を例に出すけど、あの子が根底から鍛えた場合はコピー元の個性をより自分好みにカスタマイズ出来る様な個性になると思う。その上で水とか炎の個性をコピーした時に個性が暴発したとする」

「個性の暴発ですか?」

「本にも書いてあったけど幼少期って使い方を間違って暴走させるんだってね。まぁそこら辺も含めて鍛えれば良い話だけど絶対って無い訳で……カスタマイズをミスって自分の身体をエネルギーに……火とか水に置換したとするけど、間違えたら全身水になって制御無くして帰らぬ人。何てことになりそうかなって」

 

想像出来たのかブラキ君の顔から血の気が引く。

 

「そういう事故が起こらない様に今の子達って作為的な教育されてる気がするんだよね。無意識にセーブする様に。教育委員会とかが小学生とかで刷り込ませてるのかな? 安全に個性を使うなら今の形がとても良い反面、出力面と安定性は反比例するよね」

 

ぶつぶつと考え込むブラキ君、愛が重いからなーこの子、と思いながらちょっと思った事を言ってみる。

 

「ブラキ君ってエロ方面でもその個性って使えるの?」

「何の話ですか!?」

 

おじさん的には前、死活問題になったからそーいうの取得したいけど。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

個性実験でミッドナイトの身体を弄繰り回しながらも通常業務は熟す必要がありまして……体育祭関連のとりまとめを何故かおじさんがする事に。

 

「なんでやねん! 他に適任居るじゃろがい! おじさんヒーロー全く知らんっつーの!」

「別にヒーローを知ってる必要はありませんし、何より書類を捌く速度が誰よりも早い貴方がやる方が合理的だ」

「合理的の一言でやる仕事量じゃないけどな」

「そう言いながらもう終わりそうじゃないですか」

「あ? こりゃ引継ぎ用の資料だよ。連絡とかは今日の朝で終わらせた」

「……冗談でしょ?」

 

各ヒーローとの契約書に連絡用道具とチーム毎のスケジュール調整、日程に休憩タイミングの調整、その他諸々。

本当になんでおじさんがやってんだ。

 

「冗談はコッチのセリフっつーの!」

 

そう言ってたった今出来た引継ぎ資料をデータ圧縮、サーバーにアップしてノートPCを畳む。

 

「うっし、相沢が紹介した店行くぞ」

「俺の仕事まだ終わってないんですけど……」

 

相沢のPCをのぞき込むと成績表と成長の数値化。ソレ等を個人データと紐づける作業だが……何でそんなに時間かかるんじゃ。

 

「ん-、お前何でこんな数字をチマチマと弄ってるかな……大まかな枠を事前に用意しといて残りを細々と弄るだけで……ああ良いや、後でその手の書類の捌き方は教えてやるから飯! お前の奢りな」

「はぁ、分かりましたよ」

 

逆らうだけ無駄と訓練で身に染みた相沢が席を立つとプレゼントマイクも同時に席を立った。

 

「イレイザー! あの店ならオレも参加だ! オレにも奢ってくれ!」

「お前も来るのかよ……山田は自分で払え」

「シヴィー!」

 

一連のやり取り、相沢連れて飯に行こうとすると大体マイクも付いてくるからおじさんもう慣れちゃった。

 

「(ナチュラルに用意してるミッナイ先輩はスルーか?)」

「(触らぬ神に祟りなしだ)」

 

尚、ミッドナイトはデフォで付いてくるが気にしない。気にしないったら気にしない。




リカバリーガール:背筋が伸びた

根津:わぁ……。(警察関係からの圧の理由を理解)

イレイザー:脳筋タイプじゃないのか

マイク:おもれー!

ミッドナイト:逃がさん
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