おじさんが旅する話   作:タラバ554

6 / 17
子供はインターン、大人は林間合宿準備、そして束の間の休息

生徒が職場体験中に林間合宿の準備。

更にその前に行うテスト内容は例年のロボ戦と違ってプロヒーロー(教師)との戦闘。

教師全員が試験準備を行う中、他の仕事を投げられるおじさん。

 

「め、めんどくさい! なんだこのフォーマットが絶妙に古臭いのは!

システムから書き換えてやるこんちくしょー!!」

 

教育現場のクソダサシステムと使い勝手の悪いシステムを使い易い様に書き換えつつ、息抜きにサポート課の機材を借りて趣味のモノ作り。

 

「今回は等身大ガンダム……は流石に材料足らんから1/2モビルスーツを作ろう。パワースーツの延長位で作るか」

 

そうやって仕事に忙殺されつつも片付けながら、パワードスーツ「ギャンダム」のガワが組み上がる頃に電話があった。

 

「職場体験で怪我?」

『一応大事ないらしいけど確認して来てくれないかい』

「因みに誰よ」

『飯田、轟、緑谷の三人だよ』

「1-Aか……ほないくか」

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

病室のドアを開けて入るとベットに寝てる3人が此方を向いた。

 

「やっほー」

「えっ」

「先生……」

「何で此処に」

「一応副担任みたいなもんだし? はい、コレ食べなー」

 

お見舞いの品のリンゴを磨いて渡していく。序でに自分もリンゴをパクつく。おじさんが食べ始めたので三人も釣られて黙食。

食べながら三人を観察するけど大きく動けないって事はなさぢうだ。

 

リンゴを食べ終えてから三人の顔を改めて見る。飯田顔色悪いな。

 

「ま、一応警察から事情聞いたけど、取り敢えずおつかれさん」

「それだけ、ですか?」

「何か言って欲しいんか?」

「それは……」

 

言い淀む飯田。不安そうに見守る緑谷に表情が変わらない轟。

 

「何に対してそんなに凹んでるか知らんけど、知らんから何も言えん!

何か言って欲しいならまず話せ。抱えてるもん吐き出すだけでも結構楽になるぞ。

これ、経験談な」

 

そう言ってから飯田のベットの隣に椅子を置いて座る。暫く待ってたらポツポツ話出す飯田。

 

ヒーローの兄が襲われて負傷した事。

復讐心からインターン先を選択した事。

そして今に至る。

 

「つまりヒーロー殺しってのに復讐しに行ったのね。で? ちゃんと復讐できたのか?」

 

そう聞くとポカンと口を開けてこっちを見て来た。

 

「え!? いえ、緑谷君と轟君に止められて」

「ふーん? 復讐止めたんだ? まぁ納得してるならソレでいいじゃね?」

 

あっけらかんに応えると口をパクパクさせて言葉を探している。

 

「いっ……」

「い?」

「いいのですか?!」

「逆に何がいけないんだよ」

 

飯田は言う。ヒーローに有るまじき行為だったと。

なるほど? ヒーロー殺しとやらに何か言われて揺れてるのか。

 

「ヒーローの前に人だろ」

 

こーいうのはド正論パンチを繰り出すしかねぇ!

 

「衣食足りて礼節を知る、貧すれば鈍する。心に余裕あれば礼儀正しくあれるし、無くなればダメになる。そーいう昔の諺だけどな?

世の中そんなもんだぞ。ヒーローだろうと人なんだ。だから国だってヒーローを公務員に近い立ち位置に据え置きながら副業を認めてる訳だ。

人間、飯を食わなきゃならんし、その為には金が要る」

 

身も蓋もない言い回しに子供達は言葉が出てこない。

 

「もっとシンプルに言おうか?

世の中は複雑だよな? 色んな権利とかしがらみとか。でも単純に強いとそーいうもんがご機嫌伺いして向こうから擦り寄って来る。

あっちが無視できなくなるまで強くなればこっちのもんよ。多少の我儘位は押し通せるぞ」

 

予想外の言葉過ぎて暫くフリーズした飯田が声を絞り出す

 

「それはヒーローとして如何なんですか?!」

「何言ってんだ、オールマイトなんてその極みだろ。アイツ書類仕事は他人任せだし、活動範囲も基本無視だろうが」

 

NO1ヒーローの意外な一面に飯田は黙り、轟は自分の父親を思い浮かべ、緑やは自分の師が肉体&感覚派で有る事を改めて思い出す。

 

「何なら今だってアイツの教師としての書類仕事の半分以上俺が片付けてるんだぞ?

しかもほかの教師の奴らもこれ幸いと仕事押し付けて来るし。本気で辞めてやろうかな」

 

ぶつくさ言ってたら携帯が鳴った。

 

「相澤か、何? 書類が机に? ああ、後は電話かオンラインミーティングしてすり合わせするだけだけど? あ、ソレやってくれるんだ。んじゃ任せた。

こっち? コッチは生徒の所、そうそう。病院。んー、動けるから手出しはいらんかな。あ?兄の方?

やだよ、他人だぞ。ソレにもう高校生だから自己責任だろうが。お前じゃ無くて本人が動かない限り俺は何もしてやらねぇよ。んじゃなー」

 

電話を切って二つ目のリンゴを齧った所で緑谷がおずおずと話しかけて来た。

 

「あの、中真先生」

「おん? どした?」

「先生って……ヴィジランテだったんですよね?」

「ヴィジ」「ランテ?」

 

轟と飯田が声を揃えて緑谷の言葉を繰り返す。

 

「せやな」

「でも今はヒーローしてて雄英に居て、警察も……無個性って言ってたけどそれだと説明が付かない身体能力だし長生きだというのもどう考えても無理があるし普通じゃないのも確実だと思うけど警察にもツテがあって今までの言動から考えると先生って実体験を話すタイプで無理無茶に聞こえるモノも実際に先生が過去にやって来た事を元に話してるとしたら……」

 

緑谷の方を向き直して肯定したらめっちゃノンブレス考察が口から出始めた。怖。

 

「思考が漏れるタイプなのねイズク君」

「また出たな、緑谷のブツブツ」

「先生、彼は偶にこうなります」

 

二人の冷静な突っ込みで何時もの事というのは分かった。そんな緑谷を見ながらリンゴを齧り終える頃、弾かれたように顔を上げる緑谷。

 

「先生!」

「何?」

「先生って肉体を操作、治療が出来る『個性』を持ってるんじゃないですか?」

「……」

 

口の中のリンゴを咀嚼しながらジェスチャーで続きを話す様に促す。

 

「考える様になったのはグラントリノとのやり取りの時です。先生は100を超える年齢っていうのもそうだし身体能力が個性無しっていうのも無理があります」

「100歳!?」

「先生……老人だったのか」

「見た目若いけど老人やで」

 

緑谷のおじさんに対するネタバラシで飯田は年齢に驚き、轟は純粋におじさんが老人である事に驚いてる。

 

「さっきの電話口の相手って相沢先生ですよね? その中で『兄』ってキーワードが出てて……先生たち共通の話題としては変だし、この場に居る人物で兄ってキーワードで変化があったのって飯田君だけなんで……もしかしてリカバリーガール以上の治療個性じゃないかなって……」

「(何かコナンの推理シーン見てるみたいだな)」

 

隣に居る飯田の視線が痛い。口の中のリンゴを飲み込んでから電話を取り出す。

 

「もしもし? ジャンピング少年? あ? 番号はガイコツマンに聞いた。

いや、そりゃ知らんわ。アイツ個人情報とか気にしないタイプだろ。お前の教育の落ち度だな。

それよかお前さん警察の方に連絡取れる? ん-、過去の貸しを返せって俺が言ってるって言え。あ? 理由? 生来の奴どうにかしてやったの忘れたかって言えば良いだろ。

確かアイツ今警察トップやってるって話だぞ。あん? そりゃ毎年近況添えて年賀状届いてるからな。

契約書を取り合えず3枚、問答無用の奴持ってこさせろ。あー、あん時の坊主と同じ奴って言っとけば多分伝わるわい。ほんじゃなー」

 

電話を切ってから三人を見る。

 

「お前ら三人とも今から警察が持ってくる契約書にサインしろ。そしたら怪我の治療はしてやる、ついでにお前らの家族に何かあった時も1回だけどうにかしてやる……その代わり、何かあった時に借りを返せよ。

あ、飯田は家族への奴は今回限りな? 今後何かあっても手は貸さん、自分達でどうにかしろ」

 

「えっ……あ……?」

「???」

 

意味が分からない飯田と理解の追い付かない轟。自分の推測が的を得ていた事を理解して目が光る緑谷。

 

「因みに守秘義務が発生するが……破った場合は契約対象及びその家族の生殺与奪権をおじさんが握る事、ついでに警察もお前らを追う事になるからな」

「せっ……」

「生殺与奪って」

「警察も先生側なんだな」

 

うーん、轟は冷静。意外と言葉尻の情報も飲み込めるタイプか。

 

「本当におじさんの事知ってるのって……多分10人に満たないけどな。そいつ等全員が口揃えて言うのは『絶対逃げられない』『敵に回したくない』『積みゲー』らしいぞ」

 

だから契約は守れと言外に注意しておく。

 

「そこまで言われるって事は……他にも個性があるんですか?」

「いやぁ? 別にそーいう訳じゃないけどさ。おじさんの最優先顧客を教えてやろか?」

「顧客……診てる人が居るんですか?」

「居るよ。とある一家だけ」

「誰なんです?」

「皇帝陛下とその一家。因みに一昨年位に会った家族写真がコレな」

 

そう言って写真を見せると流石に全員黙りおじさんの携帯をのぞき込んで冷や汗を流し始める。

 

「(おい飯田、これマジか)」

「(画像を見る限りは……としか言えん)」

 

ドアをノックする音が聞こえて開けると警察官。病室に居る三人に向けて声をかける。

 

「ある意味さっきのが色々と優遇されてる一番の理由やな、何かあったら本気の本気でおじさん所にホットラインが来る事になってるし。

という訳で、契約書の内容をちゃんと読んでサインしろよ。おじさんちょっとロビーで缶コーヒーでも飲んで来るから」

 

入れ替わりで入って来た警察官から手渡される一枚の紙。

そこに書かれている内容はシンプルに情報の秘匿、それを守る場合に教授出来る治療。

情報を漏らした場合は日本の憲法の保護対象から外れる旨が記載されており、保証人として連盟されている名前を見れば過去に総理大臣を就任した政治家や警察関連の歴代トップ等、少し検索すれば出てくる名前がずらずらと記載されている。

 

ヒーローを目指す上でこの手のモノと切っても切れない付き合いが出来るのは知っていたが、縁の出来方が斜め上過ぎて困惑する三人。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

あの後困惑してる三人を治して、ついでにインゲン(?)なんとかってヒーローも治してから雄英に戻った。

戻ったら既にプッシーキャッツとの連絡は終わっており残りはバス等の手配だが、その辺りはスケジュールが分からんので担任毎に手配するらしい。

 

暫くはおじさんの手が空くので旅の続きでのんびり過ごしてたらカツト君が攫われたとか連絡あった。

どゆこと?




インターンと合宿はカット
理由は次回
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。