特撮勢の恋愛相談は俺には荷が重い!   作:新帯睦己

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3話  始業式前の学校はテンションが上がる

特災研特殊行動班研究所、その責任者兼所長の背が高い白衣の男、(はら)周斗(しゅうと)は瑠璃奈からの報告を受けていた。

 

「フム、では目撃した少年は今回の件を記憶したままになったという事か」

 

「はい、報告書に書いた通りです」

 

「普通、このようなことは起こらないんだがな。とはいえ、可能性はゼロではない」

 

彼は長い鳶色の長髪起坐ったらしく、サラリと払う。

 

「それはつまり、いずれ同じように記憶消去がうまくいかない人も出るかもしれないという事ですか」

 

 

「そうだ。報告書の少年は怪人と遭遇し、エキュアのキミと会話した。余計に現実との乖離が激しくなり、記憶消去がうまくいかなかったんだろうね。最も、彼が記憶操作と相性が悪かったのもあるだろうけどね」

 

ここで一息つき、瑠璃奈の肩にポンと置く。

 

「キミがプレヴィクターを迅速に片付ける理由が1つ増えたね」

 

瑠璃奈はキッと周斗を睨むと、彼は肩から手を放した。

 

「君はお兄さんとは違う。ソレを証明してくれたまえ」

 

 

~~~

 

次の日!

 

いつもより早めに登校してみた。1時間前にな。

淡海さんとまた喋れると思うとテンションが上がっちまうぜ。

当然、一番乗りだと思ってガラリと教室の扉を開けた。

 

 

「おはよう、基成くん」

 

淡海さんは教室の端で優美に腰かけていた。そよ風にたなびく長髪が良い味を出している。

 

「淡海さん、速ぇー!あ、おはよう」

 

淡海さんは勝ち誇ったかのようにどこか不敵に微笑んでいる。

 

「あなた、昨日言いかけた事があったでしょう?念のために早起きして来て良かったわ」

 

「聞こえていたんだ。なら、聞いていっても良かったのに」

 

「そうしたかったのは山々だったけど、できる限り早く報告しないといけなかったから」

 

怪人に対する何らかの組織があるのかな?

 

「例のヤツね」

 

あえて、具体的な名刺を出さないようにする。

どこで情報が洩れるかわからないからな。

 

「ええ、その話は守秘義務があるから答えられないからそのつもりでね」

 

「好奇心は猫をも・・・って訳ね。まぁ聞かないでおくよ。ああでもコレだけは聞きたいかな。アレの名前って”ヘルムウェイカー:エキュア“で合ってる?電子音が聞こえちゃったからさ」

 

「・・・聞こえたのなら仕方ないわね、それで合っているわ、早速本題に入りたいのだけど」

 

彼女は苦虫を噛み潰したような表情である。

要は中心人物の人は都市伝説マニアもしくは特撮マニアってことだからな。

 

伝えたくなかった事は何となく分かる。“ヘルムウェイカー”は都市伝説から取ったって事だからな。

“ヘルムウェイカー”は50年位前に政府に巣食う闇と戦ったとされる都市伝説だ。

 

「ゴメン。名称だけはハッキリさせておきたくて。じゃあ、早速話していこうか」

 

アイツの難攻不落さを。

 

「まず、前提を2つ話させてもらう」

 

彼女は真剣な面持ちでコクリと頷く。

 

「1つ目。楠灯矢は魅力溢れるヤツでとてつもなくモテる。淡海さんならよく分かるよな」

 

「そうね。楠君の魅力を話そうとしたら、少なくともホームルームまでかかる位にはね」

 

「それは今は止めておいて欲しいな。2つ目は、俺と灯矢は昔からの幼なじみで親友って事だ。で、ここからが本題。中学卒業までに惹かれたヤツ、いないと思うか」

 

「いないはず、ない・・・よね」

 

目を見開き、おずおずと聞いてくる。

鬼が出るか蛇が出るかというおっかなびっくりした感じだろう。

 

「何人くらいいたの?」

 

俺は左手の指を3本立てる。

ホッと一息を吐く淡海さん、甘いぜ。

0の形にした右手を出す。

 

「三・・・十?、30!?」

 

呆け、焦り、驚愕、その移り変わり、実にマーベラス!

その絶望顔が見たかったァ!(顔芸)

 

「厳密には32~37人位かな?端数はまぁいいか。もう1個重要なのは全員無茶苦茶美人って事だ。みんなでアイドルグループが作れるレベルだな」

 

幼なじみから、旅行先何でもござれだぜ。

しかし、幼馴染♀よ。意識されないからって敢えて離れてイメチェンするって無謀だと思うぞ。

今だって俺、淡海さんにテコ入れする気だし。

 

「そんなに・・・」

 

「それだけ競争率が高いって事さ。加えてアイツに好かれるには容姿は関係ないって事だな」

 

「それは寧ろ好都合ね。容姿を気にしないで、人柄を見てくれる人こそ相応しい。やっぱり私の見立ては正しかった」

 

したり顔で頷く。淡海さんは自信家だなぁ。

というか、デジャブが・・・。

幼馴染♀等々。

 

「まぁ、みんなそこから距離が詰めれないんだけどな。アイツの恋愛に対する壁、距離感はとてつもなく分厚く、長い。どうするつもりだ?」

 

「それは・・・」

 

口ごもる彼女。

今のままではジリ貧なのは自分自身がよくわかっている筈だ。

ただでさえ、焦野さんと牽制しあっているから余計にな。

 

「難しいよな。だからこそ俺は少なからず助けになれる。それが俺の恩返しだ!」

 

決まった。あ、考えこんで見ていないぞ。

カッコよく決めたので、もうちょっと反応してほしいんだが。

 

「なるほど、あなたと組んだ方が良さそうね。あなた不真面目な割にはやることはしっかりやっていて要領が良いものね」

 

「意外と見てくれているんだな、流石、淡海さん」

 

「はぁ。あなた、かなり目立つからね。もう少し真面目にやった方が良いわよ」

 

「それはどうも。これでも真面目にやっている方だよ、常識枠だからな」

 

「それで?まぁ良いわ。とりあえず私の連絡先を渡しておくわ。定期的に連絡する必要がありそうだからね」

 

淡海さんがLIME画面のスマホを差し差し出す。

「んほおぉ、これが・・・。(ドラゴンマニア風)これはクラスの皆が羨ましがるよな。そう言えば淡海さん、灯矢とは連絡先の交換はした?」

 

「うっ、それは・・・」

 

乙女か、乙女だったわ。

 

「そう言うところだぞ、淡海さん。連絡先の1つや2つさらっと交換せな」

 

「みんなの前だと恥ずかしいし」

 

またそういう反応をする。

廊下で足音が聞こえてきた。もうこんな時間か。

 

「と、とにかく頼んだわよ」




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