特撮勢の恋愛相談は俺には荷が重い!   作:新帯睦己

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8話 当たらなくてもいい占いはよく当たる

勉強会から1週間が経った。あれから俺は怪人に遭うことなく平穏に毎日を過ごしていた。

命にかかわることは正直勘弁だからこのままいけばなぁとか考えていたがそうは問屋が卸さないらしい。

 

『フェ————!』

 

電波が通じないから助けも呼べない。

やっぱり路地裏なんて行かなきゃよかった・・・。

 

 

 

~~~

 

 

事の発端はホームルーム後の学校での真吾たちとのやり取り。

 

「おい、準一。コレ探しに行かないか?」

 

眼前には迷子犬の張り紙。

朝一のホームルーム後、早速そんなものを見せられた。

 

「えー、メンド」

 

「そういわずにさ。噂によると報奨金も結構高いみたいだし、何よりこのビラを配っていたお姉さんがめっちゃ美人だったんだぜ!」

 

「・・・行く。困っている人は見過ごせないからな」

 

俺は正義感が強い人間のなのだ。

周囲の女子が冷めた目でこちらを見ているが気にするな。

俺はその中の1人、癖毛の強いミディアムヘアの女子に声をかけた。

 

「というわけで吹村(ふきむら)さーん、力貸して」

 

「は?何、言ってんの?」

 

うん、手厳しい。とりつく島がないとは正にこの事。

だが、彼女―吹村晶子(しょうこ)さんは占いのエキスパート。

彼女の占いがあれば見つけたも同然。食い下がる訳にはいかない。

 

「人助けだと思って協力してくれよー」

 

「い、や。下心丸見えじゃない」

 

むぅ。あまり使いたくはないが最終手段を使うか。

俺は吹村さんの耳元でこう囁いた。

 

(「MELTY=DREAMERSの周防(すおう)優衣(ゆい)の直筆サインブロマイド欲しくない?」)

 

MELTY=DREAMERSは絶賛売り出し中のアイドルグループだ。

その中で新人ながらも頭角を出し始めているのが周防優衣である。

そして吹村さんは熱心なアイドルオタクなのだ。

 

「うっ・・・!」

 

周防優衣は幼なじみだ。中学までよく3人で遊んでいた。贔屓目に見ても無茶苦茶カワイイ。

中身は割と男子っぽいがアイドルする上で隠しているらしい。

当然の如く灯也、激LOVEである。

かつてアイドル好きの吹村さんに、優衣の事を聞いてみたらエライ食い付きだった。

凄まじい早口でまくし立ててあまりにも止まらなかったから、幼なじみだよって言ったらフリーズした。

 

「今なら『晶子ちゃんへ』って入れてもらう事もできるぜ」

 

「困っている人は見過ごせないわ。ワンちゃんの居場所を調べたらいい?」

 

彼女は俺たちにそう答えると占いを始めた。

地図にペンデュラムを近づけて反応をみるようだ。

俺はその様子に注視する。それでも周囲の会話は入ってくる。

 

『吹村さんいきなり態度が変わったけど、どうしてかしら?』

『吹村さんはアイドル好きだっけ。優衣ちゃんの手を借りたかな』

『楠くん、優衣ちゃんって?』

『幼なじみだよ。今、アイドルグループに入っているんだって。もうファンがいるなんて凄いよね』

『アイドルの幼なじみがいるの・・・』

 

またしても、淡海さんが絶望顔をしておられる・・・。ガンバ。

そうこうする内に吹村さんはペンデュラムが揺れる場所をいくつか発見した。

 

「恐らく、この辺りよ」

 

彼女は大まかな場所に円を手で示した。

大体わかるが念のため、俺はスマホで撮影して画像編集で吹村さんに円を書いてもらう。

 

「基成、ソレ頭いいな」

 

「だろ」

 

これで多分場所は絞り込めた。

後は在庄に探すコツを聞けば完璧の筈。

目が合うとヤツは呆れ顔でため息を吐いた。

 

「町前にもう聞かれた。彼に聞いてくれ」

 

「マジか。やるなぁ真悟」

 

 

「だろ?猫は慣れない場所に迷い込んだ場合、暗所にいる習性がある。建物の隙間にいる可能性が高い・・・ってさ」

 

真悟は在庄のモノマネでそう答えた。

サムズアップ+ドヤ顔付きである。

とりあえず功労者の在庄にお礼を伝える。

 

「流石は名探偵。今日もニュースで見たぜ」

 

「いつもの事だ」

 

そう、財庄優一はガチの名探偵、高校生探偵である。

大企業の社長である父親と警察は繋がりがあるらしく、推理小説好きな父親は事件のネタを聞く事があるらしいのだ。

で、在庄はたったそれだけの情報で犯人を次々と言い当て、そこから度々ニュースに出るようになっていったのだ。

守秘義務って何だろうってなるが、彼曰く深く追及しない方が良いとの事だ。

それは置いておいて、ともかく情報は絞れた。

 

「つうワケで、準一!」

「おう!放課後が勝負だぜ!」

 

がしりと互いに前腕を当て、俺達は決意を確かめあった。

 

そんな俺達を余所に吹村さんの呟きは聞こえなかった。

 

「良くない流れが2つあるわね、思い過ごしだと良いんだけど」

 

 

すぐに一時間目の授業が始まり、あっという間に昼休みになった。

 

「基成っち、中栄野(なかさかの)地区の裏通りに行くの?よくあんなトコに行くねー」

 

日課になった灯矢と淡海さん、焦野さんとの机を付き合わせてのランチ会での事。

 

「あそこ、何かあったっけ?」

 

「あの辺り煙臭いんだよ。アタシ、あーいうの苦手。好き好んで行くトコじゃないよ」

 

顔をしかめる焦野さんに、淡海さんも頷く。

 

「焦野さんの言う通りですね。あの裏通りはガラが悪い人達もたむろしているらしい、と聞いています。それにかなり入り組んで道にも迷いやすいですからね」

 

「臭くて迷路っぽいだけなら大丈夫さ。それに何回か通った事あるしな」

 

「そうだね。俺も一緒に行った事もあったね。特に何もなかったよね」

 

灯矢とも行った事もあったな。

個性的な小物や古着も売っているからな。

 

「あそこで売っている古着とかカッコよくて安いんだぜ」

 

「へぇ、あ!そうだ!灯矢クン。今度中栄野に行かない?勿論、表通りの方!」

 

「あ、えっと」

 

急に話題を振られて灯矢は呆気にとられた。その間に隣から声が上がった。

 

「私も行きます!」

 

「良いよ。それは楽しそうだね」

 

そんな様子に焦野さんは膨れ面になる。

やおら、こちらを指さした。

 

「むー、委員長も行くんだ。だったら基成っちもGO!」

 

「俺も良いのか?」

 

「委員長とイイ感じになるんだよ!」

 

なるほどな、期待されちゃあな。

見せてやるぜ。ロマンティックスってヤツをな!

 

「なりません!」

 

秒ももたずに撃沈だと!

知ってた。




次回は明日の18:00に投稿予定です
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