初対面なのに彼女面してくるノノミ&ミカ&カズサ&キキョウ………etc   作:ハッピーエンド大好きクラブ

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プロローグ「もう失わないために」

 

 

黒い雨が降っている。

 

空は漆黒に染まり何処からか雷鳴が聞こえてくる。

周りはがらんとしていて、倒壊したビルや建物、潰れた車、ガラスの破片や細かな瓦礫が散っている。

戦争でも起きたのかと思うほどの惨劇。その中心に、壁にもたれかかる一人の少年の姿があった。

 

左腕がなく、両足は千切れていて断面から血が吹き出している。

脇腹はスプーンでくり抜いたように抉られていて、腹部はぱっくり裂けて約12メートル程先に内臓が落ちている。

極めつけは胸に細長い鉄パイプが突き刺さっていること。

 

丁度心臓を貫いている。もう助からない。確実に死ぬ。

 

少年はゆっくり顔を上げて、空を見上げた。

 

「天気悪いなぁ…………」

 

だんだんと、頭の奥が何処かへ引っ張られる感覚を覚える。

もう時間は残されていない。少年は唯一残った右手を使い、ポケットを弄ってスマホを手に取った。カメラを起動し、ビデオに切り替えて録画を開始する。

 

息をできるだけ整え、頭に浮かぶ言葉の羅列を整理し伝えたいことを手短に遺す。

 

 

「自分を責めないで」

 

 

「誰も悪くない」

 

 

「これはカイザーが仕組んだことなんだから、みんなが望んだことじゃない」

 

 

「だから…………誰も悪くないんだ」

 

 

「それでも……きっと、みん、なは、自分を許せない……と、思う」

 

 

「だから…………先生……」

 

 

「みんながまた前を向けるように………毎日を楽しいと思えるように…………小さな幸せを見つけられるように…………支えて上げてください」

 

 

「それと……ノノミ……さん、あなたの………貴女の…………」

 

 

「気持ちに……応えられなくて……………ごめんなさい………」

 

 

「僕も………貴女が……好きだった」

 

 

「もっと、一緒にいたかった…………」

 

 

「もう……駄目だ…………い、いし、意識、が」

 

 

「せ、先、先生、先生………先生。どうか、ノノミさんを、アビドスのみんなを、この世界のみんなを、宜しくお願いします」

 

 

「僕は…………永遠の暇を貰います。せ、先生、あんまり、徹夜しちゃ駄目だよ…………体……壊すから」

 

 

「ぁあ…………ああぁ……………死にたく………ないなぁ………みんなと…………………い……き…………た」

 

 

────────手元からスマホが落ちる。

 

 

全身の力が抜けて、少年の頭ががくりと垂れ下がる。

もう、彼の人生はここで終わってしまった。

彼の死と同時に、黒い雨はやんで少しずつ雲が晴れていく。

太陽の光が射し込み、少年を照らす。

 

そこへ、一人の少女がおぼつかない足取りで現れた。片手に持っていたガトリングを地面に落とし、涙を流しながら少年の元へ近づいていく。

 

「いや…………いや…………いやです、そんな…………こんなの………どうして…………なんで」

 

十六夜ノノミは、想い人の痛ましい姿に泣き崩れる。少年とゲマトリアの活躍によってキヴォトス全域にかかった洗脳は解かれた。

 

だからこそノノミは自我を取り戻せたのだ。彼女だけではない、先生や連邦生徒会の面々も。ゲヘナ、トリニティ、ミレニアム、アビドス、その他学園の生徒達も洗脳から解放された。

 

──────彼の死を対価として。

 

こんな結末、黒服は受け入れることが出来なかった。他のメンバーも少年の死に慟哭する。

 

彼の物語の終焉がバッドエンドだなんてあり得ない。

辛くも苦い、けれど幸福に満ちたものでなければ。

だからこそ決断した。

全ての資金、科学力、持てる限りの技術を行使して次元逆行装置を発明した。

具体的な説明を省くと要するにタイムマシン。

発動できるのは一回のみ。少年がシャーレに赴任した時間軸まで遡る。

 

過去へ戻る。彼が辿る絶望を防ぐことが出来る。この話を黒服から持ちかけられた先生は、考える間もなく二つ返事で頷いた。

 

「では先生。宜しいのですね?」

 

「ああ。カナタに会えるのなら。生徒のみんなも、それを望んでる」

 

ここはゲマトリア本拠地。次元逆行装置の前に集まった先生と多くの生徒達。黒服は深く頷き、装置の発動ボタンに手を置いた。

 

 

時間が逆行を始める。空間にヒビが走り、ゆっくりとねじ曲がっていく。

 

 

やがて、眩い白の光に包まれた。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

カーテンを開けると晴天の空が目に入る。気持ちの良い朝だ、窓を開けばほどよい冷たさのそよ風が顔を撫でる。

陽の光を浴びながらぐっと背伸びをして全身の筋肉を解す。

 

「天気良いなぁ」

 

青蓮寺カナタの、シャーレ担当副顧問としての一日が遂に始まる。





プロローグなのでかなり端折ってしまいましたがなんとなく流れを把握してもらえたかと思います。
ええ、これは主人公以外全員タイムリープし、主人公に対して激重感情をぶつける話となっています。
筆頭としてノノミ、カズサ、キキョウ、ミカの四人はとんでもなくヤバいです。

次回の更新はいつになるか分かりませんが、ストーリーの流れは原作と比べると大幅に変わります。

これは個人的な意見なんですが奥空アヤネちゃんってかなりのむっつりスケベだと思うんですよ。
え?違う?解釈違い?ああすみません。では反対意見のある人たちは僕と拳で語り合いましょうか。

長くなりましたので今日はこの辺で。では僕はワカモとデートに行ってきます。
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