初対面なのに彼女面してくるノノミ&ミカ&カズサ&キキョウ………etc   作:ハッピーエンド大好きクラブ

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第一話「我慢なんてできない」

 

 

次元逆行装置は上手く働き、先生と生徒達を過去へ遡らせた。逆行するのは肉体ではなく記憶のみ。

未来に起きることの全てを保持したまま、先生はタイムリープした。

意識が覚醒すると、先生はシャーレの執務室に立っていた。

直ぐにシッテムの箱を起動。メインOS「アロナ」の姿は確認できたが「プラナ」は居ない。

 

こちらのアロナは記憶ではなくデータとして未来での悲劇を記録している。憶測だがプラナも同じなはず。

あの場には別の時間軸のシロコもいた。先生は息を吐きながら天井を見上げる。

 

「君の後悔が……今なら分かるよ。プレナパテス」

 

時刻は14時32分、日付はカナタが赴任する六日前。確かこの日はアビドス高等学校へ出張に行く日だったはず。

 

「どうやら時間軸に多少のズレが起きたようですね」

 

何処からともなく黒服が現れる。それもえらく上機嫌な様子で。

 

「いや、むしろ好都合だよ。やらなきゃいけないことが山程あるからね。カナタが来る前に粗方終わらせる」

 

まず黒服にはベアトリーチェの監視を頼んだ。それはマエストロ、ゴルゴンダとデカルコマニーの四人体制で行うと応えてくれた。

場合によっては殺害することも辞さない様子だ。

次に先生はタイムリープした生徒を全員シャーレへ招集する。

十分も経たずにアビドス、ゲヘナ、トリニティ、百鬼夜行、ミレニアム、ヴァルキューレ、アリウス、便利屋68の生徒が集まってくれた。

元々シャーレに向かっていた途中だったようで、彼女達の顔には沸々と煮え滾る怒りと目を背けたくなるほどの殺意が張り付いていた。

 

「皆、集まってくれてありがとう。早速だけどやってもらいたいことがあるんだ」

 

キヴォトスの各ポイントに洗脳装置を仕掛け、先生を含めた生徒を操りカナタを殺させようとした人物。

 

事の発端。

 

この世から消し去るべき純粋悪。

 

「カイザーコーポレーションをぶっ潰しに行こう」

 

今日この日をもって、カイザーは消え去る。

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

『謎のテロリストにより跡形もなく破壊されたカイザーコーポレーションですが、依然として捜査は難航しています。カイザーPMC代表取締役は消息不明、こちらも捜査を進めています。次のニュースです──』

 

「ほんと物騒だなぁ」

 

カナタは牛乳を注いだシリアルを口いっぱいに頬張りながらテレビを眺めている。

彼がキヴォトスへやってきたのは丁度三日前。その時点でカイザーコーポレーションという会社はテロリストの手により滅ぼされていたらしい。

もともとあくどいことを平気でやっていた会社だったようなので、言ってしまえば自業自得だ。

 

シリアルを食べ終えたカナタはテレビの電源を切って席を立つ。食器を洗って、連邦生徒会から支給された制服に袖を通す。

 

すると床に一枚のカードが落ちた。カナタは首を傾げて落ちたカードを拾う。

 

「クレジットカードかな…………」

 

カードを内ポケットに仕舞う。彼は今日から連邦捜査部「シャーレ」にて働く。

朝9時から夕方の17時まで書類作業を主な業務として先生のサポートをするのだ。

洗面台にある鏡を見ながら身だしなみを整える。

第一印象は大事だ、失礼のないようにしないと。

 

時刻は8時12分。カナタが住むアパートからシャーレまでは歩いても15分ちょっとの距離。

初日で遅刻なんてありえない。身だしなみを整え、必要なものをバッグに入れたカナタは玄関で新調した運動靴を履く。

 

「よし。じゃあ行こう」

 

 

 

シャーレまでの道中、特に争いに巻き込まれることはなく普通に15分足らずで到着した。

ただ気になったのは歩いている最中、不自然なくらい人はおらず、周りから刺さるほどの視線を感じたこと。

周囲を見渡しても当然誰もいない。ちょっとした不思議体験にカナタは怖い思いをした。

 

緊張した面持ちで執務室に入ると、先生だけでなく連邦生徒会首席行政官の七神リンが席に座っていた。

二人の顔がカナタに向けられる。カナタは姿勢を正し、ハッキリとした声で挨拶をする。

 

「本日付けより連邦捜査部「シャーレ」にて、先生のサポートをさせて頂く青蓮寺カナタです!宜しくお願いします!」

 

軽やかな声色で自己紹介を終えたカナタは先生へペコリと一礼する。

そしてリンにも。頭を上げようとしたら、ガタンッ!と音がした。びっくりして頭を跳ね上げてしまう。

先生が猛烈な勢いで立ち上がったのか、椅子が転がっている。

困惑しているカナタを他所に先生は何かを噛みしめるような表情を浮かべて歩き出した。

 

そしてそのまま、先生はカナタを抱き締めた。

 

「えちょ、先生!?は、え、な、どうしたんですか!?」

 

突然のことにカナタは慌てた様子で離れようとするが、先生が肩を震わせて泣いていることに気づく。

 

「ごめん……!ごめんカナタ…………あんな酷いこと……………君は、なんにも悪くないのに………ごめん……!ほんとにごめん……!ごめんなさい………!」

 

大人が嗚咽を漏らしながら謝っている。気づけばリンも傍にいて、彼女も泣いていた。

 

訳が分からない。泣かれる理由なんかこれっぽっちもないのに。

一体どうしてしまったのか。カナタの理解が追いつかない。

 

けれど自然と手は動いた。先生の背中に手を回し、優しくトントン、と叩いてあげる。

 

「──────ッ」

 

「大丈夫です先生。僕はあなたのことをなんにも知らないけど、辛いことがあったことは分かります。だから泣いてもいいです。大人だから泣いちゃいけない理由なんてないんですから。先生は…………頑張ってます!僕の想像の何倍も頑張ってます!だから大丈夫です!今日から僕が支えますから!ほんのちょっぴりですけどね………ハハ」

 

震えが収まり、キツい抱擁を解いてくれた。先生は嬉しさと悲しさが入り混じった複雑な表情で微笑んだ。

 

「急にごめん。びっくりしちゃったよね、ちょっと……色々あってね。今日から宜しく、カナタ」

 

「あの……お疲れのようでしたら休まれたほうが……」

 

「いやいや大丈夫だよ!情けない姿をみせちゃってほんとごめんね」

 

「そう……ですか。では改めまして、今日から宜しくお願いします!早速お仕事を始めましょう、先生!」

 

「その前にカナタ君。赤黒いカードをお持ちではありませんか?」

 

拳を突き上げ、先生と自分を鼓舞するカナタへリンが言葉を挟む。

カナタは「赤黒いカード?」と首を傾げるが、今朝部屋で拾ったカードが脳内に浮かび、確認のため制服の内ポケットから取り出す。

 

「これのことですか?」

 

するとリンはものすごい速さでてのひらのカードを掠め取った。

 

「え、あの…………それってどういったものなんですか?」

 

「クレジットカードです。先生に支給するものだったのですが、こちらの手違いでカナタ君の制服に紛れ込んでしまったんです」

 

「ああ、そういうことだったんですね」

 

リンは赤黒いカードを先生へ手渡した。受け取った先生は神妙な面持ちでカードの表面を眺める。

 

 

『破滅のカード。これは要するに神秘を僕の体に直接ぶち込んで肉体を作り変えるものなんですよ。端的に言えば聖園さんや剣先さんのような強さが手に入るんです。デメリット?あー、まあ血反吐吐くくらいですかね』

 

 

手のひらにある赤黒いカード。タイムリープ前のカナタはコレを破滅のカードと呼んでいた。

使用すると神秘の力が肉体に流れ、細胞レベルでキヴォトス人に変化する。

銃弾を受けても死なず、大型トラックを軽々持ち上げ、受けた傷は瞬く間に再生する強靭な能力を手にする。

 

その代償は、カナタの未来。使ったあと、カナタはよく血を吐いていた。真っ黒に染まった血を、何度も何度も。

 

「先生?」

 

「何でもないよ。それじゃあカナタ、今日はアビドスで定例会議があるから君にも付き合ってもらうよ。早速出かけようか」

 

「アビドスへ?了解です、お供いたします先生!」

 

先生は破滅のカードを握りしめる。もうあんな未来はこりごりだ。このカードが手元にある限り、カナタが苦しむことはない。

絶対に守る。子供が幸せになれない未来なんて、あってはならないのだから。

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「ノノミさんやノノミさんや、そんなにソワソワしないで落ち着きなよ〜」

 

「お、落ち着いています!ただ、その、やっぱりお迎えに行ったほうが……」

 

「シロコ先輩が行ってますから大丈夫ですよ。まあ……気持ちは分かるけど」

 

ここはアビドス高等学校。アビドス廃校対策委員会の部室として使われている会議室では、やたらと落ち着きのない様子で扉の前を行ったり来たりしている十六夜ノノミの姿があった。

もうすぐ先生とカナタがここへやって来る。護衛と道案内を兼ねてシロコが出向き、念の為奥空アヤネのドローンの監視を現在進行形で行っている。

 

後輩の黒見セリカがノノミを席に誘導し、座らせたあと冷たい麦茶を出した。

 

「先生とカナタ君が到着しました!」

 

「迎えに行ってきますね!」

 

「は〜い大人しくしましょうね〜」

 

せっかくセリカが麦茶を用意してくれたのに一口もつけることなく会議室から飛び出そうとしたノノミ。

そんな彼女を対策委員長の小鳥遊ホシノが抑える。

暫く格闘していると扉がスッと開かれた。入ってきたのは満足げなシロコと先生、そして────

 

「皆さん初めま────」

 

「カナちゃん!!!!!」

 

ノノミの絶叫が響き渡る。ホシノの拘束を振りほどき、カナタに向かって飛び込んだ。

初対面のノノミに押し倒されたカナタは「は、離してくださいきゅ、急になんですか!?」と抵抗する。

けれどピクリとも動かない。圧倒的な力で捻じ伏せられる。

 

彼女は泣いていた。先生のように大粒の涙を流して。

 

「あちゃ〜止められなかったか。まあ仕方ないよね」

 

カナタは気づいてしまう。背筋が凍り付き、鳥肌が立つ。

カナタを見下ろすノノミの瞳は真っ黒で、光を発していなかった。

流れる涙だけが、淡く輝く。

 

 

 

 

 






皆さん気になったと思う破滅のカードについてですが詳細は今後明らかになっていきますのでご心配なく。
今出せる情報は破滅の力は色彩よりもヤバいものです。強いとか
そういうことじゃなく、無名の司祭が手を出すのを拒むくらい危険を有するものです。

さて、過去に逆行したのでプラナとクロコは居なくなりました。けれどこれにより原作での最終章は起きません。
プレナパテスは生きます。


ここでアビドス生徒のカナタへの気持ちをご紹介します。

砂狼シロコ

「ん、カナタは好き。でも先生のほうがもっと好き。近い将来先生を襲って結婚するから、その時はカナタを養子に取る。拒否権はない。カナタはもう私と先生の息子」

小鳥遊ホシノ

「うへぇ〜」

黒見セリカ

「カナタのことは好き。でも沢山傷つけて、酷い言葉を吐いちゃった。許してもらおうとは思ってない。だから今度は絶対守り抜いてみせるわ!アビドスのみんなと先生がいるから!」

奥空アヤネ

「これは私達が自分の手で招いてしまった結末です。ですが次元逆行装置によって過去に戻った今、私はやり直します。カナタ君との全てを。皆さんと一緒に」

十六夜ノノミ

「内緒です☆」


次回の更新の楽しみにしててくれよな!次回はもっとカオスな展開だぜ!!


それじゃあ僕は寝ます。
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