大洋を駆ける   作:ジャーマンポテトin納豆

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今回は語られない物語の一部を、という感じで書き上げました。
あちこち雑なところもありますが、まぁざっくりこんなもんと言う風に読んでいただければ。






ゆっくり風解説記 第3次アキャブ作戦

 

 

 

「こんにちは、ゆっくり霊夢だよ」

 

「こんにちは、ゆっくり魔理沙だぜ」

 

「今日は第3次アキャブ作戦について解説していこうと思うよ」

 

「あんまり聞かない作戦だな」

 

「ビルマ方面で、日英間で行われた戦闘だよ。規模としてはかなり大きかったんだけど、インパール作戦とか、マリアナ沖海戦のその後の色々にばかり注目が集まりやすくて中々焦点を当てられない作戦なんだけど、とても重要な作戦だったよ」

 

「どれぐらい重要だったんだ?」

 

「アキャブが陥落したら、下手するとビルマ全域の陥落とかも可能性としてはあり得たぐらいだね」

 

「おぉ。それは確かに重要だ。早速解説を頼むぜ」

 

 

 

「まず、アキャブという場所について少し説明するよ」

「アキャブはビルマの海岸線に位置する港湾都市で、地図を見て分かる通り、インド国境にとても近い位置にあるよ」

「アキャブはビルマの中でも3本の指に入るぐらい栄えていて、日本軍のビルマ方面補給拠点として戦略上重要地であり、更に日本軍によって拡張されて港湾都市としてより大規模かつ、更には飛行場も整備され、戦略上より重要な場所になっていたよ」

「日本軍はここを起点として洋上からインドに侵攻することも出来たよ。逆にイギリス軍からするとビルマ攻略の足掛かりに丁度良い位置にあったよ」

 

 

「実際、1942年末頃からイギリス軍もインドから近いアキャブをビルマ反攻の足掛かりとするべくアキャブ攻略を企図していたよ。これは第一次アキャブ作戦として有名だね」

「第一次アキャブ作戦では数的不利でありながら日本軍はイギリス軍第14師団を包囲殲滅したよ。これが1943年5月頃の話だよ」

 

「その後にインパール作戦の陽動として第2次アキャブ作戦が展開され、結果は甘めに見て引き分け、厳しく見たらイギリス軍の判定勝ちってところで終わったよ」

「とは言ってもインパール作戦はなんやかんやあって日本軍が勝って、日本軍にそれ以上の侵攻、特にインドへの直接侵攻は能力的に厳しいとは言ってもイギリス軍は押し込まれて危機的状況にあったよ」

「実際にビルマ方面の英軍は日本軍が7〜9個師団ほどを揃えた上で航空兵力や海軍戦力と共に全面攻勢に打って出て来れば、インドへの侵入を狙おうものなら防げるかはかなり怪しい状況にあったよ」

「これを打開する為に、なんでも良いから日本軍がインドへ侵攻しないようにする為とビルマ攻略の足掛かりを得る為に、イギリス軍は三度アキャブの攻略を企図し、結果発生したのが第3次アキャブ作戦だよ」

 

 

 

「1945年11月、雨季明けを待った英軍はアキャブ攻略の為にインド国境からマウンドーに第5師団、ブティダウンに第7、キャクトウに西アフリカ81師団を正面に出し、第26、第36師団を予備として計5個師団を投入したよ」

「この5個師団にはインパールでの敗残兵も含まれていたよ」

「第5、第7、西ア81の3個師団は第2次アキャブ作戦で消耗していたけれど、本国や英印軍から兵員、兵器、物資を補充して作戦を実施することとなったよ」

 

「対してアキャブの日本軍は陸軍第55師団がいて、ブティダウン、マウンドーを繋ぐ線で守りを固めて、キャクトウに騎兵55連隊がいたよ。この図式は第2次アキャブ作戦と同じだね」

「55師団は第2次アキャブ作戦での損耗を本土や南方方面からの補充兵で回復して、所属していた112連隊、143連隊、144連隊、55騎兵連隊は充足率、練度共に満たしていたよ。55騎兵連隊はそれでも2個大隊程度の兵力しか有していなかったよ」

「これに加えてビルマ方面軍は英軍の動きを察知してインパール作戦を終えていた各師団から以下の兵力を引き抜いて第55師団に増援として送り込んだよ」

 

歩兵2700名

15cm榴弾砲6門

野砲5門

山砲4門

歩兵砲7門

迫撃砲15門

重機関銃18挺

軽機関銃30挺(追加配備)

砲牽引車22輛

弾薬運搬車22輛

トラック27台

 

「上記の兵力を増援として送り込み、合計で4個連隊の戦力で十分に戦えるようになったよ。それでも兵力は十分とは言えず、敵の主攻のマウンドー、ブティダウンに主力を置かざるを得ず、更に後方に英軍が上陸作戦を仕掛けて来ないとも断定出来ないので112連隊を後方警備に置かざるを得ない状況にあったよ。なのでキャクトウを守る騎兵55連隊は馬は150頭と全然居ない上に事実上2個大隊と15榴1門、それに幾つかの野砲や山砲、歩兵砲があるぐらいの兵力しか有しておらず、普通に考えたら粉砕されるぐらいの兵力だったよ」

 

「対するイギリス軍はマウンドー、ブティダウン、キャクトウにそれぞれ第5、第7、西アフリカ81師団を正面攻勢に出し、更に26師団、36師団の2個師団を予備兵力として用意したよ。第2次アキャブ作戦同様、英軍はシンゼイワ盆地に補給拠点を設け、空中投下によって第7師団に補給を行ったよ」

 

「戦力的に見たらもう終わりじゃねぇか。普通に考えたらどうこうとか言う次元の話じゃねぇだろ」

「というか増援が1個連隊ってもっと寄越せなかったのか?せめて2個連隊あればキャクトウにも配置出来ただろ」

「それに英軍はなんで第2次アキャブ作戦と同じような配置にしたんだ?」

 

「インパール作戦後で、後始末もあったし何より少なくない損害もあったからね。インパールやコヒマなどの防備も考えるととりあえず動ける兵員と兵器を集めて1個連隊規模を送り込むのが精一杯だったんだ」

「配置が同じなのは、同地で戦闘を経験した兵が多かったことから、戦い慣れている場所で戦った方が良いだろう、というのが理由だったよ。それに加えてインパール作戦で戦った師団や部隊も投入しようとしていたけど普通に再編も何も終わっていなかったので見送られたよ」

「シンゼイワ盆地に補給拠点を設けたのも、第2次アキャブ作戦で日本軍を防ぎ切ったことから、同地を補給拠点とし、日本軍に包囲されそうになったらそこに師団全部隊を集めて抵抗することを考えていたよ」

 

「なるほどな。だけど戦力的に考えれば英軍の圧勝じゃないのか?

 

「そうは言ってもイギリス軍も万全じゃなかったよ」

「と言うのも本来なら当初、イギリス軍は水陸両用作戦をやろうとしていたんだけど、ノルマンディに上陸用舟艇などを引き抜かれたり、日本海軍が出張ってきたら間違いなくボコボコにされるから、とかで水陸両用作戦を中止して陸上戦力だけでやることになったよ。だから背後を余り気にしなくて良かったんだ」

「もし水陸両用作戦が展開されていたら日本軍が包囲殲滅されていた可能性が高かったよ」

 

 

 

 

「日本軍の配置は143連隊がマウンドー、144連隊がブティダウン、112連隊が後方警備、キャクトウを55騎兵連隊が守っていたよ」

「インパール方面から送られた増援はそれぞれ143連隊と144連隊に分けて配備されていたよ。55騎兵連隊には増援部隊から歩兵300名と15榴2門、歩兵砲2門、牽引車4両と弾薬運搬車3両、迫撃砲4門と牽引用トラック4両、重機関銃4挺、軽機関銃6挺、トラック18台を送ったよ。あと追加で本土から馬300頭が送られてきていたよ」

「事実上、2個大隊ちょっとの規模の部隊にしてはかなり火力的に優れていたよ。なんせ1個大隊当たり、15榴と歩兵砲が1門づつに加えて迫撃砲2門づつが砲火力としてあるわけだからね。この時期の日本陸軍で見れば明らかに火力面で優れていたよ」

 

「まぁ、兵力は少ないけど無いよりはマシだな」

 

「キャクトウの日本軍は増援を合わせて1300〜1400名ほどだったよ」

「キャクトウの砲兵は第2次アキャブ作戦と同様、福富繁少佐が直接指揮を執ったよ」

 

 

 

ーーーーーーー

 

「11月4日、英軍は砲爆撃を実施。インパール作戦のやり返しとでも言うべきもので、砲撃は丸々5時間に渡り、爆撃では130tを超える爆弾が143連隊と144連隊が守るそれぞれの陣地に降り注いだよ」

「余りの凄まじさに、各高地に配置された各連隊の砲兵は2個連隊が全滅したものだと思い、55師団司令部にそう報告したよ」

 

「入念な砲爆撃の後に、3箇所にそれぞれ2個旅団と多数のM3中戦車やチャーチルを少数と共に突撃を開始したよ」

「英軍はあれだけの砲爆撃で日本軍は全滅か、組織的抵抗力を完全に失っているものだと考えて陣地の至近距離まで接近したところに予め照準を付けていた砲兵や迫撃砲が一斉射を浴びせ、更に小銃、機関銃、擲弾、手榴弾までもが一斉に英軍を襲ったよ。英軍の攻勢は3箇所全てにおいて一瞬の内に頓挫した上、撃破しきれなかったM3中戦車5両とチャーチル9両が日本軍に鹵獲されたよ」

 

「日本軍陣地は第2次アキャブ作戦以降、ずっと陣地構築と強化を進めていたんだ。切り出した木材だけでなく、運び込んだ資材で鉄筋コンクリート製のトーチカや陣地まで要所要所に備えていたよ」

「しかも準備砲爆撃を喰らっている間、逆斜面に設けた掩蔽壕にさっさと退いて隠れて棲息していたので陣地がちょっと損傷したぐらいの損害しか無かったよ。人的損害は公式に記録されている逆斜面に撤退途中に転んで怪我した兵が1人と全く無しだね」

 

「何してんだ」

 

「慌て過ぎて足を滑らせたらしいよ。本人の日記に書いてあるし、そんな事で怪我をしとる場合か、って怒られたとも書いてあったよ。まぁ大した怪我じゃなかったから普通に戦闘に参加したけど」

 

「ともかく、英軍はこの時になって漸く、第二次アキャブ作戦以上の防御力と強度を持つ、強固な陣地が広がっている事を悟ったよ」

 

 

 

 

「11月4日の英軍攻勢開始以降、1ヶ月近く日本軍は頑強に抵抗し続けていたけれど、流石に1個師団VS5個師団の状況は段々と日本軍に不利に働くようになっていたよ」

「英軍は損耗を負ったら予備師団から兵力を補充したり、部隊を交代させたりしていたから兵員の疲労なども比べ物にならないぐらいだったよ」

 

「英軍は2個師団も予備兵力あるのに日本軍は予備なんてないからな」

 

「まぁ、一応後方警備の112連隊を回そうと思えば回せたけど、先に言ったように日本軍としては水陸両用作戦をやってこないと言う確証が無い為、後方警備から112連隊を外す訳には行かなかったよ」

「そこでビルマ方面軍は第55師団に対してインパール作戦に投入されていた海軍陸戦隊を送り込むことを決定し、海軍側もこれを了承したよ」

 

「やばいのが来るんだぜ」

 

「海軍陸戦隊はそれぞれキャクトウに1個、マウンドーとブティダウンに1個を配置されたよ。陸戦隊も既にインパール作戦での損耗を回復しており、万全の状態にあったよ」

「海軍陸戦隊は2週間掛けて配置転換を行ったよ。海軍はこの時、第15軍から陸戦隊の配置転換を聞いた時に、現地の陸戦隊からの要請でキャクトウに特大発動艇30隻を陸戦隊にシンガポールの方から引き抜いて送り込んだよ。この特大発動艇は15隻づつ分けて2個陸戦隊に配備されたよ」

 

「なんでなんだ?」

 

「キャクトウの方は特に戦車の運用に余り適していない場所だったんだよ。だから河川機動で戦車と重榴弾砲を運べばいい、と陸戦隊士官は考えたんだよ」

「特大発動艇なら戦車1輌に歩兵20人ぐらいは余裕で載せられるからね。仮に戦車と歩兵を載せて戦った場合、特大発15隻で戦車15輌、歩兵300名と打撃力としては中々秀でている戦力を河川沿いに一気に送り込めるし、戦車の代わりに重榴弾砲を載せてもいいからね」

「戦車を載せれば回転砲塔付きの特設重武装特大発動艇の完成だし、重榴弾砲なら河から離れていても射程に捉えられるから、水上での射撃精度はともかく、迅速に火力や戦力を叩き付けられるというのは大きな意味があったよ」

「実際にこれは後々になって英軍を物凄く苦しめることになるよ。なんならマウンドーとブティダウンでも同じことをやって大戦果を上げる事になるよ」

 

「陸戦隊が到着すると、日本軍は早速反転攻勢に打って出るよ」

「作戦としてはブティダウンかマウンドーのどちらかが敵部隊を突破し、後方から敵師団を包囲撃滅するというものだったよ」

 

「第2次アキャブ作戦とおんなじだな」

 

「そうだね。加えて第2次アキャブ作戦同様、バウリバザー、ゴッペバザーより奥への進出の際は55師団長の許可を必要とするものとしたよ」

 

「疑問なんだが、このまま耐えるだけじゃ駄目だったのか?もっと増援が到着するのを待ってからでも良さそうだけど」

 

「時期的に日本軍は対米決戦の準備を進めていたからね。マリアナやフィリピン、パラオ、硫黄島に陸海軍は兵力を集めていたから本土から増援が到着するのは早くても決戦が終わった後の1945年末か1946年初めになるよ。更にビルマ方面軍には余力は無かったし、持久戦になればなるほどアキャブ方面の日本軍は不利になるんだ。英軍はその気になればインドから兵力引っ張って来られるしね」

「対米決戦の決着が付くまではビルマ方面軍は現有戦力でやりくりしなければならなかったよ。インパール方面の兵力は防衛の事もあるからこれ以上引き抜けないしね」

 

「なるほど、損害が浅い内に敵に反撃を仕掛けておかないと余計に不利になるから火力、戦力で纏まった兵力の陸戦隊が到着したら、すぐに準備を整えて反撃したって訳か」

 

「その通りだよ」

 

 

 

 

「12月7日、最初に敵を突破したのはキャクトウの55騎兵連隊だったよ」

 

「一番戦力的には弱いのにか」

 

「まず、陸戦隊が特大発を用いて戦車10輛、15.5cm榴弾砲2門、機動九〇式野砲2門、迫撃砲6門、歩兵250名を夜間河川機動を用いて一気にカラダン川を直線距離で30km遡上。これを2日間掛けて2回行ったよ」

「これによって陸戦隊の戦車20両、15.5cm榴弾砲4門、機動九〇式野砲4門、迫撃砲12門、歩兵500名を西ア81師団の後方に浸透させることが出来たよ。この部隊はすぐに西ア81師団の後方から攻撃を開始し、81師団は大混乱に陥ったよ」

「後方にそれほどの纏まった日本軍がいきなり現れたわけだからね。しかも陸戦隊は続々と兵力を送り込み、最終的に戦車20両、15.5cm榴弾砲8門、12cm榴弾砲12門、機動九〇式野砲16門、牽引トラック36台、弾薬運搬トラック36台、トラック30台、歩兵1200名を送り込んで正面の部隊と一緒になって西ア81師団を包囲することになったよ」

 

「なんで2個連隊ぐらいの日本軍が1個師団の英軍を包囲してるんですかね」

 

「この時に55騎兵連隊も、馬に騎兵と歩兵を1人づつ、弾薬箱1箱と2人分の食糧3日分を載せて450頭で機動戦を開始したよ。900名の兵があちこち馬で駆け回って暴れ回るとかいう何時代なのか分からん戦いになった上、機動力が英軍と比べて圧倒的な上、福富少佐が指揮する陸軍砲兵隊と陸戦隊砲兵隊が包囲下の西ア81師団をボッコボコに砲撃しまくったので大混乱に陥ったよ」

「この時、西ア81師団の救援要請を受けて予備師団の26師団から救援として1個旅団(英軍の編制だと連隊規模になる?)を送り込んだけど普通に撃退されたよ」

 

「えぇ……」

 

「しかも主攻勢の7師団用の予備師団だった26師団が1個旅団を出しちゃったからブティダウン攻撃が余計に苦労することになるよ」

 

「2週間ほど包囲戦をやった後、西ア81師団は撤退をする為に包囲を突破するけど、結局騎兵と河川機動を駆使した日本軍に第2次アキャブ作戦同様しばき回されながら、最終的にインド国境まで追い掛け回された挙句、7割近い兵力を失う事になったよ」

 

「なんで兵力優勢の英軍がこうなるんですか?」

 

「まぁ、単純にキャクトウ周辺は地形的にも戦車が使えないんだよ。それを日本軍は舟艇起動とか言う荒業で無理矢理使えるようにした挙句、それ以上の山岳地帯は陸軍の騎兵と歩兵で駆け回ったんだ。それに陸地で戦車や重砲が使えなくても川に浮かべれば話は別だからね」

 

「最終的にキャクトウ守備隊と陸戦隊は、インド国境の要点を占領して追撃を終えたよ」

 

「彼我の損害は、日本軍が戦死戦傷合わせて最終的に900名ほどであったのに対し、英軍は少なくとも戦闘で5000名、撤退中も含めて1万2千名を失い、更に道中で伝染病などで2千名ほどを失う事となったよ。西ア81師団は最終的に1万4千名弱の兵を失って壊滅したよ」

 

「おかしいだろ。なんでそうなるんだよ」

 

「私が知るわけないでしょ。陸戦隊を入れても4倍近い敵にキルレ15倍以上の打撃を与えるとか意味分かんねぇよ」

 

 

 

 

 

 

 

「時を戻して、キャクトウの部隊に続いて次に突破に成功したのはブティダウン戦線だったよ。12月16日に144連隊第3大隊がまず突破に成功し、これに陸戦隊が急派され続いたよ」

「12月19日に第3大隊と陸戦隊第2大隊はマユ川を特大発動艇で遡上してトングバザーを奪還。21日にはコッパーバザーを奪還。28日までにインギャン、ナガンギャンまで進出しそれぞれを奪還したよ」

「コッパーバザーには2個中隊を残して敵の予備師団を防ぐ任務を与え、残る部隊は英軍包囲に動いたよ」

 

「この動きに英軍は第2次アキャブ作戦同様、再び包囲されると悟り、第7師団全部隊をシンゼイワ盆地に集め、円筒形陣地に立て籠もり日本軍の限界が来るのを待とうとしたよ」

「だけど第2次アキャブ作戦の時の日本軍と明確に違っていた点が幾つかあったよ」

 

「一つ目は兵力的に幾らか余裕があった事。増援と陸戦隊がいたからね」

「二つ目は砲火力が遥かに強化され、離れた位置からシンゼイワ盆地を海軍陸戦隊の15.5cm榴弾砲がBM道の砲兵陣地から完全に射程に捉えていた事でシンゼイワ盆地に設けられた英軍陣地を一方的に砲撃出来た事だよ」

「三つ目は日本軍航空兵力が余力を持って存在した事。海軍航空隊から戦闘機と九九式双発汎用機を12機づつアキャブ飛行場に送り込み、陸軍航空隊と合わせて常にシンゼイワ盆地上空に張り付き、同地への補給を目的とした英軍輸送機を片っ端から撃墜出来たこと」

「四つ目は陸戦隊の戦車があったこと。これによって砲爆撃で開いた英軍陣地の穴を一気にこじ開けて広げられ、突入が出来たよ」

 

「144連隊と陸戦隊2個大隊はシンゼイワ盆地に対する包囲網を完成させ、これにBM道に展開した15.5cm榴弾砲、12cm榴弾砲の猛砲撃に加え、陸戦隊の九〇式野砲や迫撃砲がシンゼイワ盆地に一斉に降り注いだよ」

 

「第2次アキャブ作戦と同じ展開になると踏んでいた英軍は、日本軍のその火力に圧倒されたよ」

「第2次アキャブ作戦の時は、突破に成功しても残敵掃討を兵力的に行えなかったので砲兵が前進して、腰を据えて砲撃を行えなかったんだけど、今回は2個大隊分の海軍陸戦隊歩兵があったので、余裕があったよ。144連隊はその時の反省を生かして1個大隊を残敵掃討として放ち、5日間ほどの掃討戦を行った後、陸軍の15榴などが前進して包囲網を形成したよ」

 

「他にも第2次アキャブ作戦の時は連隊司令部が前に出過ぎて桜井少将が直接英軍第7師団司令部と何故か直接殴り合ったりすることになっていたけど、そうならないようにして各部隊との連絡を十分に取れるようにしていたのでこの点も包囲網がしっかりと機能した理由になったよ」

 

「なんか色々と聞きたいことがあったけど、まず司令部同士の殴り合いってどういうことだ?」

 

「第2次アキャブ作戦の時、日本軍が攻勢移転した際に112連隊を基幹とした第55歩兵団がブティダウンの方からトングバザーに向かって突進する形で実施したんだ。その際にトングバザーの英第7師団兵站諸部隊を蹂躙してから、カラパンジン川を渡河して周辺にいた英軍部隊と戦闘になったよ。この時、日本軍は英第7師団の予備だった2個大隊+戦車部隊と衝突したんだ」

「問題なのはこの予備部隊主力と戦っていたの、歩兵団司令部だったらしいんだよ」

 

「??????」

 

「うん、意味分からないよね。私も分からないよ」

「とまぁ、この不意の遭遇戦で歩兵団司令部は孤立してしまい、暫く消息不明状態になってしまったんだ」

 

「なんで司令部がドンパチやってるのか、とか消息不明になってんだ、とか色々と言いたいことはあるけども」

 

「しかも112連隊は、こっちはこっちで連隊本部が敵と直接戦闘を繰り広げるとかいう状況になっていたよ」

 

「だからなんでだよ」

 

「連隊本部は軍旗を押し立てて、軍旗護衛中隊と通信隊のみで攻撃を実施したよ」

 

「あの、私の記憶が正しければ軍旗護衛小隊って実戦力としてはせいぜい分隊ぐらいでしたよね。それに通信隊を入れても実戦力は小隊ぐらいにしかならないと思うんですけど……」

 

「(^^)」

 

「いや笑ってんじゃねぇよ」

 

「で、この時突入した陣地が英印第7師団司令部だった、というわけだね。連隊本部が師団司令部を襲撃するという図式になるわけだよ」

 

「本当に何を言っているのか全く分からないんだぜ」

 

「この112連隊本部が第7師団司令部に突入した際に大量の機密文書や捕虜を獲得することになったよ。7師団長に関しては惜しくも取り逃がしてしまったんだけれどね」

 

「こうして歩兵団主力部隊はシンゼイワ近辺に到達して、ブティダウン方面からも2個大隊が攻勢に転じて包囲部隊との連絡を目指したんだよ。イギリス軍は各級司令部が殆ど同じタイミングで襲撃されて、打撃を受けたことで混乱状態に陥り、滅茶苦茶な状況になったよ」

 

「何はともあれこれは勝ちでは?」

 

「と思うでしょ?だけどここで歩兵団司令部とかが連絡が取れなくなっているということが効いてくるんだ」

「そもそも英軍は日本軍に奇襲されたりしたらシンゼイワに逃げ込むということを予め決定していたんだ。なので英印7師団の各部隊はシンゼイワに次々に逃げ込んでいくことになるよ。第3次アキャブ作戦と同様に、前以て準備していたシンゼイワ盆地の陣地に立て籠もって日本軍が耐えられなくなるまで戦おう、ということだよ」

 

「日本軍はシンゼイワの英軍を完全に包囲したんだけど、逃げ込まれる前に敵主力の撃滅は失敗していたよ」

 

「この結果が歩兵団司令部の行方不明や機能不全が大きな理由となっているよ。これが生きてちゃんと機能していたら多分こうはならなかったんじゃないかな」

 

「なるほど。だから第3次アキャブ作戦の日本軍はそこを反省して行動したというわけか」

 

「そういうことだね」

「何はともあれ、第3次アキャブ作戦で日本軍は7師団の主力をあえてシンゼイワに逃げ込ませ、それを砲撃と爆撃で打撃を与えながら、空中補給も輸送機を片っ端から撃墜して完全に妨害していたよ」

「英軍はそれを見て、第26師団を解囲の為に差し向け、攻撃を実施したけれどここでキャクトウに1個旅団を出していたのが大きく効いてくるよ。これのお陰で兵力不足になり、解囲の為の攻撃は悉く撃退され損害を重ねるばかりになっていたよ。それどころか26師団の各部隊の間隙を突いて突破した2個中隊が突破して何故かまた英26師団司令部に殴り込みをかけてこの時は師団司令部を丸ごと捕虜にするという、本当に意味が分からないことを成し遂げるよ」

 

「?????????」

 

「結果、英印第26師団は師団長含めて司令部を丸ごと捕虜にされ、しかもいきなり飛び込んできたものだから、機密情報や機材類を是部丸ごと鹵獲されてしまったよ。お陰で英26師団は一気に機能不全に陥りマトモな指揮が執れなくなって、26師団の各部隊はそれぞれの判断で散り散りに撤退していくことになるよ」

「この時、英印26師団の各部隊は包囲下にある7師団と合流を目指して突破しようと試みたり、5師団の方に合流しようとしたり、インド国境に撤退したりと滅茶苦茶だったよ」

 

「そりゃ司令部が丸ごと無くなればそうなるだろ」

 

「ともかく英26師団の各部隊は道中、144連隊や陸戦隊に追い掛け回されながらあっちこっちに散り散りになったよ。お陰で予備の英第26師団は壊滅してしまったよ」

「この時、日本軍は英軍武器や兵器を大量に鹵獲しながらだったので、後々のシンゼイワ攻防戦の際に鹵獲された火砲が大いに役立つよ。

「ここから英軍の崩壊は一気に進むことになるよ」

 

 

 

 

「144連隊の突破を皮切りに、マウンドーの143連隊も英第5師団を突破したよ」

「英第5師団は元々144連隊に司令部が脅かされそうになった時に2個大隊を前線から引き抜いて警備に当てていたんだけど、これが前線の兵力が薄くなってしまう要因になり、結果的に143連隊の突破を許す結果にも繋がったとされているよ」

「少なくともこの2個大隊が前線にいれば、突破されはしても、より時間を稼いで後方の英第36師団からの兵力を受け取って第7師団と同じような結末になることは避けられたはずだよ」

 

「143連隊の突破に陸戦隊がそれに続いて、それに加えて陸戦隊は特大発動艇による、河川遡上によってナガンギャンの英第5師団司令部を襲撃したよ。もともと144連隊にナガンギャンの英第5師団司令部は脅かされかけていたところに、陸戦隊の戦車20両と15.5cm榴弾砲6門、12cm榴弾砲6門、兵員530名による攻撃を食らって大混乱状態に陥るよ」

「この時は第7師団と違って師団司令部が丸ごと捕虜になるとかいう事態は避けられたけれども、半日に渡って師団の指揮が執れなくなって、結果として第5師団各部隊は師団司令部からの命令や指揮が届かなくなり、結果として各地で日本軍の突破を許し、第7師団同様追い掛け回されることとなるよ」

 

「予備兵力の英第36師団はどうしていたんだ?」

 

「こっちはこっちで陸戦隊の要請を受けて海軍航空隊の爆撃を食らって混乱していたところだったから、英第5師団に増援を送ることが出来なかったよ。一応送ろうと1個旅団を派遣したんだけど、道中で陸戦隊の待ち伏せと爆撃を食らって撃退されてしまうよ。結果として英第5師団も包囲されることになったよ」

 

「もう何が何だか分からないな。1個連隊が1個師団をしばき回すとかやっぱり意味が分からん」

 

「最終的に英第5師団は英第36師団と共にインドまで撤退し、これを日本軍が追撃。最終的に英第5、第36師団は合わせて戦死5700名、戦傷6100名、行方不明340名を出して、更に多数の戦車や火砲を放棄して撤退したために、大多数を日本軍によって鹵獲され。特に英第5師団は戦闘能力を喪失してしまうよ」

「この英第5、第36師団の撤退によって英第7師団はシンゼイワ盆地に完全に孤立してしまうことになるよ」

 

 

 

 

「日本軍はインド国境に143、144連隊がそれぞれ1個大隊、陸戦隊から15.5cm榴弾砲、12cm榴弾砲を2門づつ、機動九〇式野砲を5門抽出して防備に付き、残る部隊はシンゼイワの英軍を撃滅する為に、シンゼイワ盆地包囲網に集結したよ」

「シンゼイワ包囲網に集結した日本軍は第55師団と陸戦隊合わせて1万8千名。日本軍も戦死2300名、戦傷3700名を出していたので数は6000名ほど減っているよ」

「対してシンゼイワに立て籠もっていた英軍は第7師団1万2千名に加えて第5師団と西ア81師団から数百名ほどが逃げ込んでいたよ。それに戦車150両ほどがこの時点でシンゼイワに密集していたよ」

 

「日本軍はあらゆる火砲と航空機による爆撃と補給妨害を駆使して、毎日砲弾と爆弾の雨を降らせ続けたよ」

「英第7師団はそれでも頑強に抵抗していたけれど、日本軍がそもそも英軍陣地の突破を無理に試みるのではなく砲撃と爆撃、補給妨害で弱らせ、一気に事を片付ける腹積もりであったのも中々陥落しなかった要因だよ」

 

「英軍側はなんとかしようとしなかったのか?」

 

「包囲されていた第7師団は何度か突破を試みたけど凄まじい砲撃で悉く撃退されてしまったよ。インドに撤退した英軍も救援に動こうとしたけれど、インパールでの大損害と今回の作戦で西ア81師団と第26師団は壊滅状態、第5師団もすぐは動けない程度の損害を食らっていたし、第36師団も少なからず部隊の再編と放棄した分の武器弾薬の補充を待たないとならなかったよ」

 

「日本軍は鹵獲した戦車や火砲も使って、シンゼイワに立て籠もる英第7師団に猛砲撃と、アキャブから飛来する航空機によって猛爆撃を連日連夜繰り返し行い続けたよ」

 

「8日目になると、インパールで大損害を負った師団から兵員を引き抜いて再編と補充を終えた英第5師団、第36師団が英第7師団の救出に動いたけれど、この時日本軍は国境の要衝で防備を固めていた、2個大隊にそれぞれ1個連隊の兵力をインパール方面とビルマ方面軍が更に各地から引き抜いて搔き集め、増援として送り込んだため、英第5、第36師団は突破することが出来なかったよ」

 

「結果、英第7師団は16日目に日本軍に降伏。捕虜は1万2千名を数えたよ」

 

 

 

 

「こうして第3次アキャブ作戦は終了し、結果として日本軍の勝利に終わり、英軍によるビルマ奪還を今後一切挫くことになったよ」

「日本軍の損害は戦死3300名、戦傷4500名、行方不明122名」

「対する英軍は西アフリカ81師団が戦死1万名、戦傷4000名、行方不明2600名、英第26師団は戦死4000名、戦傷5000名、行方不明1700名。第5師団は戦死3200名、戦傷4500名、行方不明210名。第36師団は戦死2900名、戦傷3500名、行方不明160名。第7師団は戦死戦病死1万名以上、捕虜1万2千名」

「合計して戦死約2万名、戦傷約1万7千名、行方不明約4700名、合計して4万2千名の兵力を失うこととなったよ。作戦開始時の英軍の数が10~11万名ほどだったので、壊滅と言っていい大損害だね」

 

「行方不明がかなり多いんだぜ」

 

「行方不明の大部分は西ア81師団と第26師団のもので、殆どがインド国境に撤退するまでの間に発生したものだと言われているよ。損害として特に大損害を食らった西ア81師団は2万2000名を超える兵力の内、1万7千名以上を失い、第26師団も1万名以上を失って壊滅、比較的損害の浅い第5師団でも8千名、第36師団でも6500名を失っていたからこれを立て直すのには最低でも半年以上は掛かるものだとされたよ」

「第7師団は生き残りが丸々捕虜になってしまい、こちらはそもそも再建とかそれ以前の話だったよ」

 

「日本軍の損害も約8000名と決して浅いものとは言えないけれど、1個師団vs5個師団で戦って英軍を粉砕して作戦意図を砕き、今後英軍のビルマ侵攻を一切挫かせたというのは戦略的にも大きな意味があったよ」

 

「この後、日本はアメリカとの決戦に勝って講和、イギリスとも講和となったよ」

 

 

 

 

「今日の解説はこれで終わり」

「「ご視聴、ありがとうございました」」

 

 

 

 

 

 

 

 







イギリス軍の損害がデカい?
この世界の日本軍は強いからこんぐらいで良いでしょ(適当)
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