知らんうちに弟分がおねショタハーレム主人公になってて狂いそう   作:鐘楼

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100年頑張った成果がこれなんですけどね

 「強い……!」

 「少し前まで武闘派の妖精といったら彼女だったからネ……さすがの一言だヨ」

 

 数で勝っているにも拘わらず、クルス少年とサニーウインド、クレイプレシャスの三人はアッシュスティングに押されていた。目を見張るのは、少年の剣も、サニーウインドの弓も、クレイプレシャスの魔法もすべて捌き、往なし、打ち消し、迫るアッシュスティングの技量。自分の師にも引けを取らないその技量に、クルス少年は身を守るので精一杯だった。

 

 「……もう一度言うが、剣を納めてくれないか、少年」

 「……」

 「アイツはキミを嫌っているが、私はあの男よりも余程好感が持てると思っているんだ」「あいつ……? あの男って……」

 「君の……保護者のことだ」

 「レヴィンさんを知っているんですか?」

 「そうだ。レヴィン……慣れないな、彼に名前があるというのは」

 「名前が……どういう……っ!」

 「ご主人くん! 集中して!」

 

 アッシュスティングには会話を仕掛ける余裕があったが、少年の方はそうではない。必然、攻撃をやめたわけではないアッシュスティングに押されていく。

 

 「く……! き、聞きたいことが……たくさんあります……!」

 「残念だが、君たちの底は既に見えた。これ以上付き合う理由はない……な!」

 「きゃあっ!」

 「サニーウインドさんっ!」

 

 今までのは様子見だったのか、少年達の力量を見切ったアッシュスティングは突然ギアを上げ、サニーウインドを仕留めてしまう。

 

 「悪くない。妖精としての格もデザイアほどではないが私より上だろう……だが、所詮は遊びの弓だな」

 「あ、遊び……!? 私はご主人くんのために……」

 「それはせいぜいこの半年の話だろう? 年季の差だな」

 「……参考までに聞かせてもらうガ、それなら君はなにを背負っているのカナ?」

 「……私は最初から妖精のために動いている。強さは理由だ……その思いの丈が、この実力の差だ」

 「妖精のため……? あれのどこが!」

 「や、それ普通に気のせいだから」

 

 言い争う両者に、暢気な声が突然割って入る。

 

 「レヴィンさん!」

 

 役者が揃った瞬間だった。

 

 

―――――――――――――

 

 告白イベントだと思ったら襲撃イベントだった件。

 

 野次馬しに来てみれば、クルス達は見知らぬ妖精と戦っていた。なんなら普通に圧倒された上で手加減もされているように見えた。昔手加減を猛練習した経験がそう言っている。

 

 死にそうには見えなかったから静観しようかと思ったが、あまりの状況の見えなさについつい出てきてしまった。

 

 「戦う理由とやらを抱えた強者さんたちはみんな特に何も背負ってない俺に負けていきましたけどね」

 

 妖精の方が俺の感覚に反する持論を述べていたので、煽り気味に訂正してやる。言ってから、怒らせたら事情聞きにくくなるのではと少し後悔してきたが、妖精とクルスの反応は予想外のものだった。

 

 「貴様……やはり……少年、なのか……」

 「レヴィンさん! この方は知り合いなんですか?」

 「え……いや……」

 

 言われて、襲撃者の妖精を見やる。凜々しい戦士といった風体で、クレイプレシャスとは別方向に妖精っぽくはない。実力も相当で、ギリギリ1……じゃなく、記憶を探って照らし合わせてみる。

 

 「……どちら様でしょうか」

 「はぁ? 忘れたというのか? 私は貴様がこの島で英雄ごっこを──っ!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、俺は妖精に斬りかかった。

 

 「なにを……っ! 私は貴様と戦うつもりは……!」

 「クルス! ここは俺に任せて逃げろ!」

 

 ……普通に妖精に囲まれてても全く指摘されないから油断していた。俺は覚えていないが、この妖精は昔の俺を知っているらしい。

 

 「……話はこいつら追い払った後で聞いてやるから、今は演技に付き合え……!」

 「はぁ? 何の意味が……というか、人が変わりすぎだろう……!」

 「そりゃ歳取りましたからね……!」

 

 こいつは俺に用があるらしいが、その話をクルス達の前でされるのはマズい。キッズ俺の黒歴史が発覚してしまう……!

 

 「そんな! 僕たちも……!」

 「足手まといだ!」

 「っ! でも……僕はレヴィンさんの教えを……」

 「あれは遊びだ! このレベルには通用しない……!」

 「……わかり、ました……」

 

 説得の結果、うなだれたクルスは傷ついたサニーウインドと共に疑念の目で俺を見るクレイプレシャスに連れられこの場を去って行った。よし!

 

 「……良かったのか?」

 「なにがだ?」

 「あの少年だ」

 「まぁ、ちょうど良い挫折なんじゃないか?」

 「……」

 

 敵の心配をする眼前の妖精は、嫌な物を見る目で俺を見る。懐かしさを覚える視線だ。少ないながら俺と付き合いのある奴らは、頻繁にこんな目で俺を見る。じじいやクルスのような手合いの方が珍しいのだ。

 

 「……少しはまともになったと思っていたが、これでは獣そのものだったあの頃とどちらがマシか分からん」

 「は? 今のがマシに決まってんだろうが。これでも百年弱人間を勉強した努力の成果なんだよ」

 「……あれでか?」

 「で、結局どちら様なんだよ?」

 「本当に覚えていないのか……」

 

 呆れの感情を覗かせる妖精。これに関しては俺がズレているんじゃなく自信があるが、なぜか付きっきりだったブラックデザイアはともかく、ガキの頃に話したかも知れないぐらいの相手を覚えている方が少数派だと思う。

 

 「私はアッシュスティング。今は……ブラックデザイアの使いだ」

 「え、あいつ生きてたんだ」

 「……」

 

 時間経ってるし伝承になってるしてっきり死んでると思ってたわ。




ノンデリってレベルじゃねーぞ
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