知らんうちに弟分がおねショタハーレム主人公になってて狂いそう   作:鐘楼

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奇跡的な都合の良さには大抵しょうもない因果があるのが現実だということを失念しておりました(後)

 「その教団さんはなぜそんな奇行を……?」

 「レヴィンくんの身体に残留した“厄災”の力が目当てだとあの時は言ってたけど……」

 

 一体全体どうしてそんなことになったのかと思えば、俺がアレのエネルギーを吸収したせいでそうなったらしい。前々から思っていたことではあるが、本当にあれは悪手だったらしい。

 

 「今も……今も奴らはキミの身体を利用してる……! きもちわるいきもちわるいきもちわるい……思い知らせてやらなきゃ……!」

 「まぁキモいのは同意するが……」

 「デザイアは復讐で動いているが、《拝淵教団》は妖精にとって、世界にとって許容できない団体だ。また“厄災”を呼ばれるわけにはいかないと感じ、私はデザイアに協力した……その手段が妖精たちを操っての兵器化だということも、仕方ないと思っていた。だが、貴様さえいればそれだけで済む。手を貸してくれ」

 

 アッシュスティングがしたかった話とはこれか。普通に100年生活していてそんな組織は聞いたこともないが、俺はクルスが特例くらいには大して他人と関わってないので無理もない……か。それはそれとして、ここまで聞いても尚、俺の心は大して動かなかった。

 

 「……うーん、興味が湧かないな」

 「なっ!? 世界の危機なんだぞ!」

 「“厄災”出てくるだけだろ? あんなの今やったら瞬殺できるぞ」

 

 あの時戦った巨像。不死性と防御不可能な攻撃が特徴みたいな奴だったが、今ならわざわざ厄災エネルギー(仮称)を吸わなくても倒す手段はある。重力を吸い尽くして宇宙に廃棄するなど。そもそも、厄災エネルギーも吸ってからすぐに適当な方に吐き出せば大丈夫だったんじゃないかと思っているし、今の英霊ボディなら普通に耐えられる可能性だってある。

 

 「……レヴィンくんの尊厳が踏みにじられてるんだよ?」

 「と言われても、俺は今ここにいるしな……さすがに目の前にそいつらがノコノコ出てきたら殺すけど」

 

 ブラックデザイアが憎悪に燃える理由も、アッシュスティングが懸命に俺を勧誘する理由も理解したが、俺まで一緒になって教団とやらを攻撃しようとは思えない。今のところクルスの周りの方が面白そうだ。

 

 「なぁ、良いだろ? 俺今ここにいるし、復讐する必要とかないんじゃないか?」

 「レヴィンくん……」

 「アッシュスティングも、“厄災”出てきてから俺が倒せば問題ないだろ?」

 「……“厄災”は決まった形を取らない。前回と同じ《無貌虚像》が出てくるとは限らないんだぞ」

 

 アレ、“厄災”の中の一形態だったのか。知らないことばかりだな。

 

 「姿が変わったくらいで俺に勝てるって言うならむしろ興味があるな」

 「……貴様、その悪癖は治したものと思っていたが」

 「それ魔王とかにも言われるけどさ、勘違いだぞ」

 

 俺のやんちゃ時代を知る知り合いは希有だが、死ぬ間際ギリギリで顔見知りになっていたらしい魔王も丸くなったとかそんな旨のことを言うが、俺からすればそれは誤解だ。

 

 「ガキの頃と比べて賢くなった。行動の選択肢が増えた。だからと言って反省はしたわけじゃないし、殺しは今も選択肢の中にある。あの頃の所業は客観的に見て外道で狂っているのは理解したけど、それでもあれはあれで悪くなかったと思ってる」

 「……」

 「要するに、戦ったり人体輪切りにするより楽しいことを見つけたのが今の俺ってだけで、あれ以来見ない強敵が出てくるってなら、童心に返るのも良い……これが俺の考えな」

 「……貴様は危険だ」

 「お前は昔の俺を知ってるんだったっけ? 危険だと思っても何かできるわけじゃないところとか、昔のまんまじゃないか?」

 「く……」

 「一緒……もうずっと一緒だから……復讐する時間がもったいない……」

 

 悔しそうに押し黙るアッシュスティングと、言った覚えのない言葉を反芻するブラックデザイア。これは二人とも納得したようなものだろう。

 

 「で、だ。わざわざ捜すのは御免だが、堂々と邪魔してきたら教団も“厄災”も潰す。その代わり頼みがあるんだが」

 「そんなことは当たり前だ……と言いたいが、なんだ」

 「お前らがやってる黒化現象だっけ? あれ続けてくんない?」

 「はぁ? 意味もないのに妖精を操れと言うのか!?」

 「意味ならある。クルスたちのちょうど良い刺激になる」

 「無いようなものじゃないか!」

 

 かなり渋々妖精達を操っていたらしいアッシュスティングは猛反発してくるが、問題ない。あれを実行していたのはあくまでブラックデザイアなのだから、そちらさえ説得してしまえばいい……が、そのブラックデザイアは先ほどまでのトリップ状態から一転、クルスの名を聞いた途端に神妙な顔をしていた。

 

 「……レヴィンくんはなんであの子の面倒を見ているの」

 「それはそういう契約だからだが、あー……お前あいつ嫌いなの?」

 「……嫌い。レヴィンくんがやめろって言うなら手を出すのはやめるけど……受け入れられないの……いくらあの子自身に罪がないと分かってても……私の分け身の剣を勝手に使ってることもそうだけど……悍ましいの、あの子の存在が……!」

 「悍ましい?」

 

 ブラックデザイアから出た悍ましいという言葉は、クルスとは到底結びつかないもののように感じる。

 

 「悍ましいって、クルスがか?」

 「……分からないの?」

 

 ブラックデザイアは、不快そうに眉を顰めながら、言った。

 

 「まさか、あの子が本当に偶然レヴィンくんと同じ力を使えるなんて思ってるわけじゃないでしょ?」

 「……………………うん?」

 

 え、たまたまじゃないの?




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