知らんうちに弟分がおねショタハーレム主人公になってて狂いそう 作:鐘楼
「起きろ~、起きてくれアッシュスティング」
「う……私は……」
ブラックデザイアに吹き飛ばされ、ダウンしたままだったアッシュスティングを軽くゆすり、助け起こす。俺は今初めてこいつの力を必要としている。フェンニバルに見捨てられた今、デザイアと旋の引率をやってくれそうなのは彼女だけなのだ。
「は……っ!? で、デザイアは……!」
「それなら心配するな。フェンニバルが抑えた」
「智龍様が……? 凄いな……って、姿が見えないが……」
「……まぁ、それについては今から説明する」
続いて、未だ上の空のブラックデザイアの方へ。俺が「顔は美少女だ」と伝えてからずっとこの調子で楽だったが、いつまでも放置しているわけにはいかない。
「おーい、デザイアー?」
「うぇへへ……レヴィンくーん……」
「どこ見て言ってんだ」
相当重傷なようで、眼前に立っても反応がない。仕方がないのでデザイアの頬を抑えて無理矢理目線を合わせる。
「デザイア。戻ってこい」
「あ……レヴィンくん……これ誓いのキス?」
「違うぞ」
一瞬まだ夢の中なのかと思ったが、さっきまでとは違い目の焦点は合っている。とりあえず、今居るメンバーの救出は完了か。
「よし、じゃあ三人とも聞いてくれ」
「なんだ……嫌な予感がするが」
「なんですかレヴィン様!」
「なーに、レヴィンくん? ……っていうか、なんで汚らわしい教団のゴミがいるの? 私に残しておいてくれたの?」
「はいはい、後にしてくださーい」
「うん!」
これが終わったらなんとかしてデザイアと旋を引き離しておかないとな……と考えつつ、三人にこれからの展望を説明する。
「良いか? よく聞け……俺たちはこれより、真・排煙教団を結成する」
「……」
「……」
「おぉ!」
俺の発表に好意的な反応を見せたのは、旋ただ一人。他の二人はそもそも俺が何を言っているのか理解しかねている様子だった。仕方ない、もう少し詳しく説明してやるとしよう。
「もちろん教祖は俺がやる。そして適当にクルスの相手を……」
「待て待て待て待て! 何を言ってる貴様は!?」
「そうだよ! 教団なんかに加われって言うの!? いくらレヴィンくんでも……」
「あー違う違う。今から俺たちで新しく設立すんの」
「ふざけるな! そもそも智龍様はどうした!」
「あいつなら呆れてどっか行った」
「当たり前だ!」
アッシュスティング、そんなにフェンニバルに懐いてたのか……まぁでも、アッシュスティング自身があいつを引き留められなかったのはデザイアの暴走程度で気を失うからであって、つまりこいつの責任だ。
「落ち着け。アッシュスティング……悪い話じゃないぞ。お前がこの話に乗るなら俺は真面目に教団と戦う。だって今この瞬間から奴らは俺らを騙る偽物になるわけだからな」
「っ!」
「なー、お前の力が必要なんだって。別に悪事をする予定とかないから、な?」
デザイアちゃん係として。
「……それ、なら…………なぁ、名称はなんとかならんのか?」
「ならない」
「そうか……」
釈然としない顔をしつつも、アッシュスティングは乗ってくれたみたいだ。続いて、デザイアと向き合う。
「デザイアも、いいか?」
「レヴィンくん……でも……この女は! この女だけは納得できない! 必要ないし仲間だなんてごめんだよ!」
「別に仲良くする必要ないけど」
「……その、レヴィン様」
「お、なんだ旋」
デザイアの強硬姿勢にどうしようかと思っていると、今まで黙っていた旋が挙手をする。発言を促すと、旋はデザイアを指さした。
「そもそもこいつ必要ですか?」
「あ゛?」
「やる気も忠誠も実力もない奴の説得なんて時間の無駄です! 置いていきましょう!」
旋のやつ、やっぱりデザイアのこと脅威だと思ってなかったんだな……あ、デザイアが暴走する。
「……殺すぅぅぅ!」
「──バカみてぇに魔力振り回すしか能のないオマエが? オレをか? 舐めてんじゃねェ!」
何か口を挟む暇もなく、デザイアと旋が戦闘を始めてしまった。
「要らないのはお前だ! レヴィンくんに相応しくないものは全部消してやる……!」
「レヴィン様にたかる羽虫が! その程度の力なら無い方がマシなんだよ!」
本気の殺意をぶつけ合う二人をよそに、俺はアッシュスティングに話しかける。
「なぁ、あいつら何言ってんだ? 人手は少ないより多い方が良いに決まってるよな?」
「……その口でまともな言葉を吐くな。気持ち悪い」
ひでぇ。