知らんうちに弟分がおねショタハーレム主人公になってて狂いそう 作:鐘楼
「もしかしてその冒険者がケイさんですか!?」
フェンニバルの話の中で、生き残りの冒険者の存在が示唆された時、真っ先にクルスが叫んだ。
「何故……って、お前はレヴィンの物語のファンじゃったか。その通り。あの日に儂らはケイと出会った」
「ケイ、って……誰なの、クルスくん?」
「レヴィンさんと智龍様と一緒に旅をした物語の主要人物ですよ!」
クルスの言うとおり、レヴィン騎士物語においてケイという人物は重要なポジションを占める人物だった。レヴィンやフェンニバルの友として魔王城への冒険を支えた友誼に厚い人物。
「強いのか?」
「強さは……そうじゃな……お前たちの誰か二人くらいでかかれば互角に戦えるじゃろうが、儂やレヴィンと比べれば見劣りする。が、それでもあやつは儂の友じゃった」
「先生の友達? 生徒じゃなくて?」
フェンニバルの言葉に、この中では付き合いの長いミストリアが声を上げた。この場にもし他にもミストリアと同じフェンニバルの生徒がいれば、同じくフェンニバルの言葉に引っかかっていただろう。必ず同じ時代に何人か存在する『生徒』とは異なり、フェンニバルが友と称する人間は長い歴史の中で数えるほどしかいないということを知っているから。
「そうじゃ。レヴィンがどう思っているのかは知らぬが、ケイは今でも儂の友じゃ……と、この話も後々するじゃろう。先に進んでも良いか?」
「……では、質問をしてモ?」
話を再開しようとするフェンニバルに、クレイプレシャスが待ったをかける。
「構わんが、手短に頼むぞ」
「魔族ハどうやって軍勢を一瞬で街へ? この先明かされないのなら教えていただきたイ」
「あぁ……あれはどうやら事前に潜り込ませたスパイに年単位で準備をさせたことでようやく発動できた大規模転移だったようじゃな。察知できなかったボメナにも問題があったと言わざるをえないじゃろう」
「帝国の者としては耳が痛いわね……ボメナは要所だから、なんとか復興していたはずだけれど」
「……もしもそんなものが準備もなく使えたらと思うと、空恐ろしいですね……」
その大規模転移が準備もなく行使できれば、今頃人類は滅亡だ。それほどに反則級の魔法。準備さえできてしまえば使えてしまうというところを含めて破格である。
「でも、今はそんな心配しなくて良いんですよね。レヴィンさんのおかげで魔族とは和解していますし」
「レヴィンのおかげ……まぁあやつがいなければ成立しなかったのは確かだが……」
隙あらばレヴィンを褒めるクルスに、フェンニバルは微妙な顔をする。
「あ、そうだわ先生!」
「今度はなんじゃミストリア」
唐突に思い立ったかのように、ミストリアが手を上げる。
「私も先生の変顔が見たいわ!」
「見せるか!」
ミストリアの要望は叶うことなく、再び長い昔話の幕が開いた。