ジン「コナン君。僕は怪しい者じゃないよ☆」   作:バケギツネ

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CASE1 人は○ぬぞ

 

 

 俺は、普通の男子大学生!

 

 ある日、同級生で幼馴染の女の子と遊園地に遊びに行って、そこで17年間秘めた思いを告白したっ!!

 

 しかしその準備に夢中になっていた俺は、既に彼女に恋人がいた事に気付かなかった!!

 

 俺はフラれて遊園地から敗走。その後、泣きながら駆け込んだバーで“ジン”のストレートを一気飲みしてぶっ倒れ、

 

 目が覚めたら、

 

 

 

 “黒ずくめ”の格好で、ジェットコースターに乗っていた!!!!

 

 

 

 んんんんんんんん!?

 

 なんだ!?何がどうなってる!?

 

 どう言うわけか俺は、肩まで届くほどのクソ長い金髪をたなびかせ、190はありそうな身体を黒一色に包んでいた。

 

 ははーーん、分かったぞ!!これは夢だな!!!

 

 酒を飲みすぎてぶっ倒れた俺が見てる夢!!じゃなきゃこんなカオスは色々と説明がつかない!

 

 どうせ夢なら気晴らしも兼ねて、成り行き任せに楽しむとしよう!俺、ジェットコースター大好きだし!

 

『...兄貴?』

 

 隣の席に座っていた、俺と同じような格好のグラサン男が話しかけてくる。

 

 何故だか立木○彦みたいなイケボがするこの男も、俺の夢の世界の住人なのだろう。

 

 にしてもイカれた夢だよな〜。ゴツい金髪男に変身して、グラサン男と2人きりで遊園地デートとか。

 

『どーしたんですかい?珍しくボーッとして。』

 

「ああ、大丈夫!ソレよりジェットコースター楽しみだね!」

 

『あ、兄貴ぃ!?本当にどうしたんですかい!?』

 

 適当に言葉を返して笑顔を向けると、何故だかドン引きされてしまった。おまけに信じられない物を見るような目まで向けられる始末。

 

『それでは発車いたしまーす。』

 

 おお、ジェットコースターが動き出したぞ!

 夢なのに感覚がリアルだな〜。まるで現実みたいだ!

 

「あ、見て見て!落下の角度ヤバそっ!うっわっ、マジで楽しみ〜!」

 

『ベルモットの変装...?じゃねえよな...俺は悪い夢でも見てんのか...?』

 

 ジェットコースターにはしゃぎ回る俺を見て、何故かグラサン男は自分の頬をつねっていた。

 

 というか夢の中の俺の声、渋くて色気のあるハードボイルドな低音ボイスへと変わっている!

 

 なにこれオモロ!!

  

 じゃあ顔も変わったりしてんのかなぁ?渋めのイケメンフェイスだったりすると嬉しい。

 

 現実でもそういう身体で生活できたら、きっとモテモテで充実した幸せな生活を送れるんだろが、悲しいことにこれは夢。

 

『兄貴。そろそろ取引場所が見えてきやす。』

「え、何て?」

 

 お、そろそろ急降下が始まるぞ!!

 待ってましたあああ!!!

 

『あの社長、約束通り1人で来てるみたいですぜ。って兄貴?』

 

「ひゃっっほおおおおお!!!!!!!!!」

 

 凄い凄い!!

 この風圧と浮遊感いくら何でもリアルすぎるぞ!!

 

 まるで現実みたいだな〜。

 

 HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA !!!!

 

 

 

 .....ねえ、これ現実じゃね!?

 

 いくら何でも意識と感覚がハッキリしすぎている!!だがこの身体はどう考えても自分のものでは無いし...

 

 まさかとは思うが、異世界転生!?

 

 いや、流石にそれは漫画の読み過ぎ...

 

「あれ?何か顔にかかったような...ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 コースターが暗いトンネルを抜けて、突然視界が明瞭になる。俺の目に映ったのは、血を吹き出し続ける首無ししたいだった。

 

「ひ、人が死んでるうううう!おえええええええええ!!!」

 

 俺は余りのショックに、思いっきりグラサンのスーツに吐いてしまった。

 

「あ、やべっ。マジごめん!!!」

 

『兄貴!?だ、大丈夫ですかい!?』

 

 グラサンは怒りもせずに、心配そうに俺の背中をさすってくれた。見かけに反して、めっちゃいい奴。

 

 

『救急車を呼べ!!』

『ど、どうして岸田くんが!?』

『ううっ、』

『ひどい...』

 

 俺たちの乗ったコースターがようやく停留所へと到着する。グロい死体を目にして、人々はすぐさまパニックに陥った。

 

 その騒乱に押されるようにして俺たちも席を立つ。

 

「うわ、ひどい。事故か?えらいこっちゃ...」

 

 っていうか死体なんて初めてみた。

 

 思ったより心にくる。

 ううっ、また吐き気が。怖くて涙も出てきた。

 

『あ、兄貴...!』

 

 半泣きの俺に、冷や汗を流したグラサンが目で訴えかけてくる。この場から一刻も早く離れたいって感じだ。

 

 あ、そういうことね。グラサンも死体が苦手なのか!

 分かる!わかるよ、その気持ち!!

 

 さっさと、こんな血生臭い場所からは離れよう!このままじゃ俺、人前で号泣しちゃいそう!!

 

「ふん、事故とは可哀想に。ご冥福をお祈りするぜ!」

 

 俺は精一杯の強がりを吐いて涙で潤んだ目を帽子で隠すと、不謹慎な野次馬たちを押し退けて出口を目指す。

 

 それにしても、ここは一体どこなんだ...?

 

 周りを観察して気付いたのだが、人間の顔のパーツがなんかこう、漫画チックなのだ。

 

 特に目なんかかなり特徴的で、面白いくらいにキラキラしている。間違いなくここはフィクションの世界だろう!

 

 そして俺は、その世界に転生してしまったのか?

 

 いきなりすぎてイマイチ実感が湧かない。しかしだとすれば、問題は“世界観”だ。

 

 お願いします!平和な世界でありますように!!

 

 少年漫画の世界とかだと、稀にパンピーの命が異様に軽かったりするからな。

 

 “呪術廻戦”や“ジョジョの奇妙な冒険”の世界だったら、もう最悪だ。生きていける自信がない!

 

 頼む!

 少しでも、優しい世界であってくれ...

 

『待ってください!!これは事故じゃない、殺人だ!!そして犯人は、被害者と一緒にこのコースターに乗っていた、7人の中にいる!!』

 

「.........」

 

 こ、このお決まりのフレーズ...

 俺は悟った。ここは、“探偵もの”の世界だと。

 

「わあ、ああ...」

 

『あ、兄貴!?』

 

「とんだクソ世界じゃねえかああ!!」

 

『あ、兄貴ぃ...?』

 

 探偵もの!

 

 人の命が綿毛よりも軽いという、あの!

 

 ちょっとしたイザコザや勘違いですぐ人を殺すような、癇癪持ちのキ○ガイで溢れているという、あの!

 

 全然優しくない世界じゃないか!小説の中だけにしてもらいたいぜ、そんな厳しい世界はなぁ!!

 

 俺もそのうち殺されるのかなぁ?じゃなきゃ犯人として捕まるか....

 

 これが、殺るか殺られるかって奴か。

 

 俺、この世界で生きていける気がしないよぉ!!

 

 

『あれって、高校生探偵の工藤新一か!?』

『難事件を次々解決してるっていう!?』

『日本警察の救世主!!』

『ちょっと来て、工藤くんよ工藤くん!』

『お手並み拝見させてもらうぜ!』

 

 

 モブっぽい人たちが、やたらと説明的なセリフで少年の解説をしてくれる。

 

 主人公はあの少年なのかな?

 

 高校生探偵・工藤新一か。

 探偵なんてやってないで、学校行けよ未成年。

 

 っていうかこの作品、絶対見たことあると思うんだけど...

 

 クッソ思い出せねえ!

 なんだか頭に靄がかかってるみたいだ。

  

 ひとまず俺の転生先(?)は、“ジェットコースター殺人(仮)”の容疑者ってところだろう。

 

 俺やグラサンが真犯人ということは...

 

 はは、ないか。俺達は何もしてないし。そもそも手ぶらの俺たちに、人の首を刎ねるなんてのは不可能...

 

「あれ?」

 

 俺の着ているコートに違和感がある。隠しポケットに何か重いものが入ってるな。

 

 これって...拳銃!?

 

 あれ、もしかして俺が犯人!?

 

 

「あの、そこのお嬢さん!鏡をお貸し願いたい!よろしいでしょうか!?」

 

『ひ、ひぃいいい!分かりました!!』

 

 

 怯えて腰を抜かしながらも、近くにいた女性はコンパクトミラーを貸してくれた。それを使って、“今の俺”の姿をじっくりと観察する。

 

「こ、これはっ!!!」

 

 あ、悪人ヅラだ!

 すっげえ悪人ヅラだった!!

 

 もう、どう見ても人殺しの顔!!

 

 おまけにこの、凍りつくような目!平気で何人も殺してきたような目だ!!(ド偏見)

 

 うわっ、こんなの犯人確定じゃん。

 

 俺が転生したこの金髪ロン毛は時間差で発動するような何らかの奇天烈トリックを使って、白昼堂々殺人を行ったんだ!!

 

 

 

 

 

 

『貴方、何をしてるんですか?』

 

 主人公(推定)の工藤新一が、挙動も格好も不審者すぎる俺に近づいてくる。

 

「あ、いや、えっと、その、あの...」

『あ、兄貴...!』

 

 終わった。

 

 殺りたてホヤホヤの犯人に転生するとかさぁ、そんな酷い話ある!?

 

 もうこうなりゃやけっぱちだ!!追い詰められた俺に、できることは一つ!!

 

「...た、たたた探偵さんよぉ、一つ話したいことがある。」

 

 俺はポケットに手を入れたまま、工藤新一に近づいて行く。

 

 俺にできること、それは...

 

 

 

 罪を少しでも軽くするために、今すぐ自首すること!!

 

 

 

 

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