ジン「コナン君。僕は怪しい者じゃないよ☆」   作:バケギツネ

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CASE3 残念だったな、トリックだよ。

 

 

 前回までのあらすじ!

 

 犯人は俺だ!

 前世のじっちゃん(81)の名にかけて!

 

 転生したら190の強面金髪ロン毛殺人犯だった件!

 

 転生ガチャ大爆死です!

 クソがっ!!!!

 

 現在は、変な髪型の高校生探偵・工藤新一と、事件の真相を懸けて一騎討ちの真っ最中!

 

 だが奴は、多分この俺が犯人だと気付いている...!

 

「うううう、うわああああああん!とんだクソ展開じゃねえかあああああ!!」

 

 もう終わりだああ!俺の異世界人生はここで逮捕エンドを迎えるんだああ!!

 

 

『あ、兄貴.....?人前で号泣するなんて、こんなのいつもの兄貴じゃ...ああ、なるほど!そういうことですかい!』

 

 ん?

 

 俺との双子コーデみたいな格好をした、グラサン男が何かに気付いた?

 

『おうおう、ちょっといいか?探偵さんよお!!』

 

 高校生男子にビビってオロオロしていた俺の前に、グラサンは颯爽と割りこんでくる。ま、まさか俺を庇ってくれるのか!?

 

 彼は俺の肩に優しく手を添えると、工藤新一を睨みつけながら声を荒げる。

 

『こう見えて繊細な兄貴は、酷い死体を見てショックを受けてんだ!こ、このままじゃ、いつ兄貴の、し、心臓病の発作(適当)が起きてもおかしくない!!探偵ごっこに付き合ってる暇はねえんだ!』

 

「えええええ!?俺って心臓弱いの!?」

 

 今明かされる衝撃の事実!

 この身体にそんな持病があったとは!!

 

 ソレが今回の事件の動機と関わってたりするんだろうか?いや、知らんけど。

 

 

『どーせこの件は事故だ、事故!!俺たちには関係ねえ!俺は兄貴を病院に連れていかせてもらうぜ!!』

 

 グラサンは俺の手を引いて、工藤新一を押し退ける。なんか彼にグラサンの奥からウインクされた。

 

『こうして現場を離れるために、ヘタレのフリなんかを!さすがは兄貴、すげえ演技力でしたぜ!!』

 

「...フン。(愛想笑い)」

 

 何か勘違いが起きてそうだが、とりあえず笑って誤魔化しておくとしよう。

 

 まあともかく!このまま現場から離れることができれば、証拠隠滅もし放題!!

 

 ガハハ、勝ったな!笑いが止まらねえぜ!!!

 

「クククッ、クックックックックク...」

 

『警察です。申し訳ありませんが、コースターに乗っていた方はこの場に残って頂きたい!!』

 

「あぎゃああああああああああ!!」」

 

『よろしいですね?』

 

 けい、さつ、だと...!?

 

 俺たちは、茶色のスーツを身に纏ったポッチャリ系の刑事さんに呼び止められていた。

 

『今回の件、他殺の可能性もあります。申し訳ありませんが、捜査へのご協力をお願いしたい。』

 

「いや、あーーー、でも、その...」

 

 刑事さんの巨体を前にして、俺は冷や汗をダラダラ垂らしながら、必死に頭を回していた。

 

 ここが踏ん張りどころだ!なんとか理屈を捏ねてこの場を離れなければ!!

 

 頑張れ、俺!いっけーーーーっ!!

 

『何か調べられて不都合なことでも?まさかとは思いますが、この事件......』

 

「いいえ!何もやましいことはありませんっ!潔白潔白!真っ白です!身体は真っ黒ですけど!!......えっと、喜んで捜査に協力します!HAHAHAHAHAHAHA!!」

 

『あ、兄貴ぃ!!』

 

 

 だってぇ、あの言い方はズルじゃん!!流石にあの空気で、この場から逃げ去るわけにもいくまい。

 

「け、警察の皆さん、お勤めご苦労様です〜。捜査の方、頑張ってくださいね〜!フフフフフ。」

 

 俺は少しでも印象をよくしようと、汗だくの顔を緩めて刑事さんにニッコリと微笑んだ。

 

『.............』

『.............』

『.............』

 

 そんな俺を刑事さん達は胡散臭げ見つめてくる。やべえ、早速目つけられたかもぉ!?

 

 っていうか警察の到着早すぎない!?

 近くでスタンばってました!?

 

 くっそお。ボディーチェックでもされようものなら、一発でアウトだぞ。なんせこっちは拳銃持ってますからね!!

 

 全くこの金髪ロン毛、遊園地になんてものを持ち込んでんだよ。そもそも、どうして遊園地なんかで事件を起こした?

 

『ったく、迷惑な話ですぜ。』

 

 元の身体の持ち主に殺意を抱いていた俺に、グラサンが声を潜めて話しかけてくる。

 

『だってそうでしょう。このヤマは、俺たちには何の関係も無いってのに。』

 

 んん〜?俺たちには何の関係もない?

 

 あ、グラサンは俺が真犯人だと知らないのか!ならその反応にも納得だ。

 

 現場から連れ出そうとしてくれたさっきの行動も、心臓が弱いという俺を純粋に慮ってのものだったんだろう。

 

 きっとこの身体の元の持ち主は、そんな人のいいグラサンを体よく使って、自身の犯行を隠そうとしていたんだろうな。

 

 最悪、このグラサンに罪を着せるつもりだったのかもしれない。人間のクズだな!この金髪ロン毛男め!!!

 

 ごめんグラサン!

 せめてグラサンだけには、本当のことを伝えよう!

 

「よく聞けよ。その、少し言い辛いんだが、あの男を殺したのは俺だ。」

 

『えええええええ!?あ、あれを、兄貴がやったんですかい!?ぜ、全然気付きやせんでした!!いつの間に!?どうやって!?』

 

「しっ、声が大きい!!」

 

『あっ、ああ...!すいやせん、つい!!』

 

 グラサンはめっちゃめちゃビックリしてる。きっと俺の無実を心から信じてくれてたんだろうな。

 

 すまない、お前の信頼を裏切ってしまって!いやまあ、実際に裏切ったのは俺じゃないんだけど!!

 

『一応、お聞きしても?ど、どうしてあの男を殺ったんですかい?』

 

 わっかんないよぉぉぉ!

 そんなの俺が教えて欲しいくらいだ!!

 

 そういうのは元の俺に聞け!!

 ...とも言えないし、適当に誤魔化すか。

 

「さあな。俺の知ったことじゃない...』

 

『な、なるほど...“組織”の意向ってことですかい。』

 

「え?あー、うん。」

 

 なんか知らんが、グラサンは納得してくれたらしい。それより、この先どうするかだ。

 

 

『つまり、これは明らかな殺人なんですよ!警部。』

 

 おやおや?

 

 向こうで、工藤新一と刑事さんが事件について話しているな。こっそり聞き耳を立てておこう。

 

『となると容疑者は、工藤くんと蘭くんを除外して、5人か。』

 

 おい身内贔屓すんな警察!!

 

 ワンチャン工藤新一が犯人かもだろ!!まあ、流石にそれはないだろうけどさ...

 

 あーーーー、もうこうなったら本来の俺に賭けるしかない!ミステリー系の作品である以上、何らかの“トリック”があるはずだ。

 

 頼む本来の俺!優秀な犯人であってくれ!!!

 

『警部!この女性のバッグから、こんな物が!!』

 

 おおっ!?ギャル(被害者の恋人)のバッグから、血のついたナイフが発見された!!

 

『わ、私知らないわよ、こんな物!!』

 

 ギャルは必死に身に覚えがないことをアピールしている。まさか、本来の俺が彼女に罪を着せるために!?

 

 キターーーーーー!!本来の俺、優秀!!!!!

 

 ばんざーい、ばんざーい!!!!

 

『なーんだ、あいつが犯人か。』

『俺も怪しいと思ってたんだ。』

『痴情のもつれか?女は怖いねぇ〜。』

 

 モブも警察も、彼女が犯人だと信じ込んでいるようだった。いいぞいいぞ、この調子なら逃げ切れる!

 

 その安心からなのか、自然と俺の口も軽くなった。

 

「オラオラ、犯人はそちらの女性で決まりだ!!早く俺たちを帰してくださいませんか、刑事さんよぉ!!!」

 

 勝利宣言!

 

 ついつい、すごく小物くさいことを言ってしまった。元の俺なら絶対こんなこと言わないんだろうな〜。

 

『よーし、その女性を容疑者として連れて行け!!』

 

 ぽっちゃり刑事さんの一声で、無実を訴え続けるギャルが連行されていく。

 

 おーし、勝った!!勝ったぞぉ!!!

 

 あのギャルには申し訳ないが、安心して欲しい。

 

 すぐに無実と分かって釈放されるはずだ。まあその頃には、俺は全ての証拠を消して逃亡しているだろうがなぁ!!

 

 残念だったな名探偵。この勝負、俺の勝ちだ!

 

 

『待ってください、警部!!!』

 

 工藤新一のイケボが響き渡り、その場は一気に静まりかえった。

 

 おい、この流れって、まさか、嘘だろ...!?

 

『犯人は、その人じゃありません。』

 

 あ、はい。これ、終わりましたね☆

 この先の展開までクッキリ見えました。

 

『真犯人は、』

 

 きっと今から推理ショーが始まって、トリックも、動機も、全てが白日の元に晒されるんだ。

 

 はは、俺の異世界生活も今度こそ本当に終わりだな。時間にして15分くらいか?短い異世界人生だったな...

 

 いや、まだ分かんない!!諦めるな!!

 

 工藤新一が急にトチ狂って、

“目暮警部、真犯人はあなたです!!”

 とかいうかもしれない!

 

 頼む、工藤新一。

 

 トチ狂え!トチ狂ってくれ!!

 

『真犯人は、あなたです!!』

 

 工藤新一が指差したのは、俺。

 

 ではなく、被害者たちの友人である金髪の女の子だった。

 

 

 

 

 

 工藤新一、トチ狂ったあああああ!?

 

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