転生したらダンジョンがある件について   作:中里悠太朗

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(他の投稿してる奴より伸びてるの)嘘でしょ…
いつもありがとうございます
プロットも何も無い思いつきの作品で不定期なの許しての許して


第一話 再覚醒/【ダンジョン潜る】お勉強をしよう!【白露若菜】

 ある男は光も漏れることない地下深くで目醒めた、そしてゆっくりと起き上がって手のひらを見つめ続けている。

 

 彼は彼でなくなってしまっていることを、受け入れる事が難しそうだからだ。

 

(どうなっている……?)

 

 何故か明るい洞窟に隙間から垂れて水たまりになっているところに、彼はゆっくりと、そしてよたよた歩き進んで覗き込んだ。

 

 真っ暗な中でも見えるかの視界には──彼が覚えている自らの顔ではなかった。

 

 角は生えて瞳は光り顔は細く肩は張り出し、人相応の身長はすっくと立てば3m強、体全体は白く関節部分は黒。

 

(機械の、身体……)

 

 男にとってはとても見覚えがあるがないロボットであった、絶妙で特徴的な身体のバランスであった。

 

 人間の体は何処に行ってしまったのか。

 

 意識してみても叫ぼうとしていても、声も出せないし心の声を空に浮かばせるしかないし、結果として彼のしようとした結果は無駄であった。

 

(人間だったはず……なのに……)

 

 だがここでじっとしているよりも、衝撃を受けて立て直せないような軟弱でもなく、また現状の為に動けないような頑固でもない。

 

 しかしするべき事も思いつかず目標も、ようやくしっかり立ちあがるもすっかり困り果ててしまった状況であった、その時である。

 

(悲鳴……?)

 

 彼の耳に声が入ってきた瞬間である。

 

 一体どのような人間がどこから叫んだのか、一体どのような状況で何が起きたのか、それを反響を頼りに空間の全容と共に把握できてしまった。

 

 彼は戸惑った、このような情報量を処理できてしまったことに対して、そして視界にそれぞれ詳しい説明が現れたことに対して。

 

(どうしたらいい)

 

 ここにいるのはただ一人だと言う表示が無慈悲に点灯している、勿論神様も誰も返してはくれない。

 

 もちろん彼自身がここに留まるかどうかという選択があったが、彼はそれを見向きもしなかったようだ。

 

(……行くしかないか)

 

 自分が今どういう状況の世界にいるという事、そしてこの世界に自分のいる場所があるのか知りたいという欲があった。

 

 悲鳴が上がった原因は既に分かっているから、すなわち恩を売るというなんとも褒められない手段を用いるべく、この空間を外から閉じている様な岩を叩き潰し、大きな縦穴へと彼はその身を出した。

 

 上は遥か彼方まで続いている様にも思えて、きっとどれだけの電灯でも全て照らせはできないだろう。

 

 しかし彼の視界には真昼のように明るく捉えられている岩の天井に、HUDめいた表示が様々な情報を彼自身に与えてくれている。

 

 この場所は地下深くにあるのだろうかと彼は考えるも、地道に壁を登るなんてことはしない。

 

(自分の体のように、わかる。飛び方が……)

 

 少し考えるだけで彼は背中と脚から、スラスターユニットを点火させて一気に空を飛び上がっていく。

 

 暗闇の中一つの流星となった彼は、その最中で思い出そうと試みる。

 

(確か、俺は)

 

 彼はもはや生まれた場所も親の顔も、昔日の全てが分からない。

 

 いいや一つだけ、たった一つだけ覚えている────この身如何様に変容しようと元々人間であった。

 

(だけど何となく自分に起きた状況は限定されてる──俺は死ぬかなんかしてこの体になったんだ。何かの実験体になったのか、そもそもそう思い込んでいるだけなのか)

 

 最後には最もありえないけれども、可能性はゼロではない言葉を思い浮かばせて、別の事を考えようと首を振った。

 

(転生……)

 

 それに比べて今の自分の事はなんてはっきりしているのだろうと、彼はそれをつぶやくように心に浮かべる。

 

 今のとはすなわち、この機械の体が何なのか、という事である。

 

 この体には元の持ち主か魂かがいて、それはもうとっくに消え去ったのだと彼は覚り、そうなるまでの歴史はどうしたのだろうか

 

(今の名前は──何と名乗ったほうが良いのだろう、喋れないにしろ別の名前にしたほうが良い)

 

 言い直したのは彼が彼ではないからだ。

 

 いつかこの体で無くなってしまうとき、自分の名乗る名前がこの体の名前ではおかしいではないかと、それにこういう時自分の名前を失ったときに、自分そのものを失ってしまう様な気がすると。

 

 そのような考えがあっているかどうかはさておき、この体もこの魂の記憶のよう壊れているという結果に辟易し、そしてまた首を振ってしまう。

 

 彼は吸えないはずの息を吸い、吐けないはずの息を吐いて。

 

(とかく戦いは近い)

 

 そろそろ目的地付近の更に天井に着くころ、透過して見た敵の姿はおおよそ20体と覚えている。

 

 彼の手に既に握られている独特な丸みを帯びた白い拳銃一丁、一枚岩を挟んだ先に向けるには十分の武装────いやそれ以上の武器は強力過ぎると彼は判断した。

 

(一体何が起きているのか、これから俺はどうすればいいのか、確かめなくては……戦いを乗り越えなければならない)

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ハローハロー、聞こえてる? シラツユだよ!」

 

 :ハローハロー! 

 :ハローハロー

 :ハローハロー! 

 :もしかしてそこ埼玉? 

 :ハローハロー! 

 

「フフッ、書いてあるじゃん。ここが日本最古のダンジョン、国営武蔵第一迷宮だよー」

 

 :サイタマダンジョンでは? 

 :サイタマ「あの……」

 :ハローハロー! 今日は潜るの? 

 :最古(13年前)

 

「分かってる、でもタイトルに有る通り今日はお勉強回だよ。もうすぐゴールデンウイークで新人さんがどっと入ってくる時期だから、僕たち先人の知識を分かりやすく伝えてきたりしないとね。ダンジョンに潜るのはそれから、みんな分かったかい?」

 

 :りょ

 :バナナはおやつに入りますか

 :わかりました

 :おk

 

「……若干よろしくない人もいるけど、まあ宜しい! では初めて行こうか、ダンジョンについての歴史!」

 

 :スライドなんかよく作ったなぁ

 :貸し切りじゃないのか……

 :あくまでも国営だからまぁそうはね

 :8888888888

 

「さて皆さん。今日まで全世界の根幹を支える大きな柱となった晶力産業、そして人間そのものの発展やステータスシステム、悪いとこで言うとモンスターという潜在的外敵要因にイレギュラー関連の権利問題。その大元となるダンジョンの出現はおおよそいつでしょうか!」

 

 :2011年! 

 :通勤通学中に食らったんだよね

 :新幹線が山にめり込んでるの本当に怖かった

 

「流石にこれくらいはわかるね。その年の3月10日日本時間だと8時41分、世界で平均マグニチュード7.1の地震とともに、謎の地形が飛び出したり未確認の洞穴が突然現れ始めたんだ! 後にそれを『大隆起』と呼ぶ様になったんだけど、因みにその日から一週間以内に隆起したダンジョンが世界の大半を占めているんだ」

 

 :それ合わせてダンジョンが出来るのを隆起と呼ぶ様になった

 :ちな世界標準時だと17時41分なので世界の裏が一番やばかった模様

 

「コメント欄で補足があったね! そう、例えば森がドームみたいになっても道の真ん中に穴ぼこが出来ても、全部『隆起現象』として和訳されたんだ。妙訳だね」

 

 :リンカーン像ボロボロなの映画かと思った

 :ウエストミンスターの鐘全部落下したんだっけ

 :あの日だけは911よりニューヨーク酷かったからな

 

「……特に西海岸の方だとニューヨークにロンドン、ヨーロッパの主要都市は、夕食時と合わせて大きな被害を被ったんだ。地震と津波の直接な被害に加えて、突発的ダンジョン隆起そしてモンスター被害。前者はみんな説明してる通り、後者は主に内陸部が大きな被害を受けたんだ」

 

 :パリが燃えている(n年ぶりn回目)

 :何の非もないんだよなぁ(アカは)まあそう……

 

「だけど僕たちはそれでへこたれなかった。勇気ある人たちや軍隊、この国だと主に自衛隊主導のダンジョン探索によって様々な遺物や食料に技術──何より新しいクリーンエネルギー源の『晶輝石』を見つけたんだ。勿論あっという間にその活用方法は研究され始めたんだ」

 

 :モバイルバッテリー置き換えられたの冷静に考えてヤバイくらい早かった

 :リスク分散の教えはどうなってんだ教えは!? 

 :(当時のバブルはなんか)フォールアウトみたいやんした……

 :EVの悲劇は止めてくれよな〜頼むよ〜

 :下手すりゃエネルギー危機から大戦危機になったんだよなぁ

 

「はいはいそこまで。話を戻して、そうして生み出されたのが晶力産業、そしてそこから生み出されたのがステータスシステムというわけ! 理論をかいつまんで説明すると、専用のウェラブルデバイスバンドに自分の体を皮膚接触させて、空気中の濃い晶力を吸収させることによって、レベルに変換して人間の強化を図るものだね」

 

 :言うなれば晶力=経験値にしただからね

 :どうして僕たちにはないんですかね? 

 :モンスター辺りが晶輝石体内にあるから環境じゃない? (ハナホジ)

 

「そしてバンドに入ってる銀色のカードがステートカード。蓄積晶力の調整をしてくれたり、それで才能の──つまりスキルの開花や強化をしてくれる……いわゆるコンピューターの役割だね」

 

 :実際ないと困る部分、中毒あるし

 :(鉱石なので)粉塵がね……

 :よく考えるとやってる事フグ食と同じで草

 :表皮接触でここまで出来るってどういうことなんだろうな

 :マジで魔力みたいだよね! 

 :適応セットアップ含めてマジ魔術回路めいてる

 

「バンドからコードを伸ばして、スマホに繫げることでレベルアップの確認やスキル強化や獲得が出来るよ。ちょっと前まではギルドに行かなきゃ行けなかったんだけどね〜時代が流れるのは早いや……」

 

 :ぶっちゃけ遺物のおかげよ

 :どう見てもピップボーイとS.P.E.C.I.A.L

 :てかアメリカだとちゃんとそのタイプある

 :おま国案件

 :税金無視すればこっちにも持ってこれる模様

 

「アレ見たけど中々……趣があるよね、ドラマもやってるし今度やってみようかなぁ」

 

 :スキルのお陰で根幹言語問題相当解決したの嬉しい

 :0を1にはしてくれませんかね……? 

 :突然の暴力! で法が制御出来なくなるのでNG

 :TRPG表記に近しいものだから

 :1を間違いなく100に出来る技術でも革命的なんだよなぁ

 

「ではこれからマネさんやヘルプの人たちも一緒に、その『晶輝石』やその他諸々を集めるために潜っていくよ! 今回は……行ければ10階まで。これは今僕たちが安全にたどり着ける階層つまり『表層』で、これより先は一律で『深層』と呼ばれてるよ」

 

 :イレギュラーさえなければこの人攻略組まで行けるんだよなぁ

 :そもイレギュラーは基本的に誰も無理定期

 :(ぶっちゃけやってる事傍から見りゃ殺人紛いで)イヤーキツイっす

 :lv50からは物理的超人の類なので……

 :そもそも一般人は頑張ってもlv12行くかどうか

 :リーマンが一昔前のレンジャーくらい強いってこれマジ? 

 

「飽くまでも技術のおかげだし、なんならその人たちは今もっと強いよ? あとレベル1だったとして、今から全力ダンジョン専念してもそれまで大体2年くらいかかるよ?」

 

 :シンプルにcapと経験吸収効率きちぃ〜!! 

 :これはな、勇気の増税だ! (研究費)

 :多少ズル容認できるだけで根本は変わってないのよね

 :緩い副業兼業纏めて叩き出されたのはしゃーない切り替えてけ

 :これだけの事あってダンジョン完全依存社会しなかったの逆に健全じゃね

 :逆もなにもまだ発展途上も良いとこだから……

 

「一応見栄えするから配信とかマスメディア関係には数はいるよね、あと今だと高校生のアルバイト感覚だってさ。さて必要事項を記入したこの『探見届』を出したらゲートをくぐっていざ入口へ!」

 

 :その黒服はlv46元レンジャーなんだよなぁ

 :それ込みであなたその方面の才能の塊だったのわかる? 

 :バグなんだよなぁ

 :才能格差社会の闇が太い! 

 :カメラマンとマネ弱いから……(lv26元一般隊員と頑張ってlv20になったおっちゃん)

 

「それ考えるとやっぱり子供って強いよね〜! 成長期と一緒に吸収率から容量から拡張される進化の可能性があるって、やっぱり羨ましいね」

 

 :なお

 :頭でっかちや視野狭窄は実際怖い

 :モンスターそのものが怖いのん(陰の者)

 :だからシーズンはみんなピリつく訳なんですね(n敗)

 :バカ治らないのは悲しいかな……

 

「僕たちも出来る限りのことはしてるわけだね──さあついたよ、ここがサイタマダンジョン第一階だ!」

 

 :相変わらず広い

 :漏れた太陽の光がきれい

 :い号作戦で空いた穴なので裏はんまそ……

 :榴弾市街地にぶち込まれたんだよなぁ

 

「『大隆起』の混乱はある程度の無茶すら容認された、この日本でさえも。作戦でもやっぱり御殿場から大砲を撃ち込んだのはちょっとね……」

 

 :核弾頭使用仄めかされたのヤバいんだけど残当

 :寧ろよくバンカーバスターも使わせなかったな

 :何? ファンタジーに現代兵器は通用しないのではないのか!? 

 :アメリカトップが一体何振り回してるのか見てみろ

 :ぶっちゃけ賭け以外の何物でもなかったの、どんな判断がされたんだ

 

「でも流石に隆起直後でもそこまでだったらしいね、その下からちょっと話は変わるから、雑談は第二階までになっちゃうけど……」

 

 :スライム突っついててかわいい

 :容赦なくそれ出来るのは強者の証

 :油断したらうずくまる程度には痛い模様(1敗)

 :低lvはせめて課程受けろ

 

「ええ……? もうちょっと鍛えた方が良いよ君……」

 

 :犬にすら負けそう(偏見)

 :実際犬ってはっきりわかんだね

 :なおここで生まれた犬はもれなく大概な模様

 :いずれにしろ若菜さんはこんなのでびくともしませんよね? 

 :HPバリアーとバイタルでゴリ押し! これでいいんだよ……

 

「はいそこ『さん』付けで呼ばない! ま、とにかくピクニックには向かないけど初心者が来るには最適の場所だね。でも次からは────まったっく! そうじゃない」

 

 :気合入れすぎw

 :噛んだ? 

 :顔真っ赤じゃん

 :かわいい

 :かわよ

 :いいよね

 :コメ欄の語彙力があからさまに消えているのだ! 

 :かわいい

 

「!! わ、忘れてよ……」

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

「はいじゃあもう五階までやってきちゃったわけだけども」

 

 :いつものカメラタンカー

 :後 ろ に い ろ

 :黒服も黒服でなにしれっと闇討ち10連続で成功させてるんですかね……

 :迫力ある絵は撮れてるからヨシ! 

 :二倍の背丈のゴーレム真正面から圧すの完全にただの壁

 :マネージャーは索敵特化だからしゃーないねんな……

 

「頑張ってるんだから茶化しちゃダメだよ君たち、それにこっからはもうみんな本気だからね。さあ張り切っていこう!」

 

 :まぁこっからマジで事故のリスクヘッジ考えないとね

 :ここまでアイドルの見せ場、ゼロw! 

 :つうかこんなパーティーで来たらここまでほぼ準備運動にしかならないんだよなあ

 :カメラマン前張れてるのこの人のお蔭だと言う事を忘れてはいけない

 :【ジェネラリスト】ってのは怖えな

 

「さてザックコボルトが4に後ろにはスケルトンメイジ。多分僕たちのニオイに誘われてきたんだ」

 

 :こっから初見なんですがイレギュラーくらい知能感じない? 

 :これくらい普通にしてくるぞ ついでに言うとこいつら近中遠そんな隙ないぞ

 :ソロは自殺扱いもやむなしだなあ

 :臭いって何? 

 :どうも犬よりもずっと敏感にこちらを見分けてくるらしい 原理は知らん

 

「多分もうそろそろ僕が表立って行かないといけないね、皆さん地上戦はよろしくお願いしますね?」

 

 :さあ戦いだ! 

 :数同じなのに一気にぶつかっていった

 :カメラマンやっぱ向いてないよ撮影……

 :地上戦って言いました? 

 :高lv帯は大抵空飛ぶんですよ

 

「やっ、ほっ!!」

 

 :へぇ~空って蹴れるんすね~……

 :【エアスキップ】ってスキル 飛んでるっていうか跳んでるやね

 :うわ一瞬で回りこんだ

 :跳んだ軌跡の残像が光ってて綺麗だゾ~これ

 :残像に敵惑わされてるのもスキル? 

 

「────はいやぁっ!!」

 

 :一撃すか

 :ちょwww強すぎwwwwww

 :メイジ無惨! 真っ二つになって爆発しましたね……

 :メイジ真っ二つになっててやば

 :得物といい斬りかかり方と言いどっかで見た構図なんだけど? 

 

「次!」

 

 :(こっちは逆袈裟なので)何も問題は無いようじゃがの~? 

 :うわコボルドの四肢がぶっ飛んだ

 :隆起の一件があってある程度容認されるようになったけどBANが怖え! 

 :セイバーガンダム斬りすき

 :(構図も決めポーズも違うから)サンライズさん許して……

 

「セイ!!」

 

 :みんなー! ドッヂボールの時間だー!! 

 :ボール役蹴り砕かれたんですけど

 :蹴ったのでサッカーでは? 

 :どちらにしろ構図がやばい

 :背負い投げってそう使うもんじゃねえよ

 

「これで……おしまいっ!」

 

 :しかし戦ってる姿かっけえよなぁ

 :突き刺し横薙ぎ引き抜き爆発! 映えなんてこれでいいんだよ……

 :若菜自身も相まってすごく男らしいのよね

 :それはそれとして叩き潰された音したんだけど

 :カメラマン何してるんやろなぁ

 

「そっちも終わった? ありがとう!」

 

 :マジ一瞬だったな

 :相手攻撃した? 

 :一方的に押せ押せで勝ったんだけど

 :(女性が一番強いとか)泣けるぜ……

 :一時間もしないで五階まで行ける人間たちだ 面構えが違う

 

「それじゃあ次も油断せずに行こう……あれ? マネージャー」

「……あ、はい?」

「どうしたの、まだだれか残ってる?」

 

 :マネって一応スカウト何だっけ

 :ジョブ概念はないけどな 方向性はそっち

 :初心者向けに書くとステータスの割り振りによって体得するスキルとか変わってくるから、事前に自分の戦い方はこうって決めとかないとキツイぞ

 :それで『大隆起』直後はあんまり強くなる奴がいなかったんだよね

 :真っ先に見つけた奴は最終的にゴリ押しでええ言ってる

 

「いいえ向こうから……ものすごい数のビーバットが向って来てます、数は32」

「……よしみんな!」

 

 

 

「いいえ、違うんです……これ逃げてますね?」

 

 

 

 :はぁ? 

 :逃げてるって何に? 

 :イレギュラーか地上に偶然上がってきた奴? 

 :どっちにしろやばくないかそれ? 

 :後者なら強さ的にまだ何とかなる問題は前者

 

「うわっ!? ホントにどっか行っちゃった……」

「若菜さんすみません来ました」

「……さん付けは止めてって」

「数は12です。大蔵さん見覚え有りますか?」

 

 :なんだこいつ?! 

 :仕込み? 

 :出来るわけねえだろ馬鹿か

 :イレギュラーっつか新種? 

 :ワイlv34一切見おぼえない模様

 

 

 

「……いいえ、見覚えが────」

 

 

 

 :えっ

 :? 

 :おいなんか

 

「黒服さん!!」

「ダメです囲まれてます!! いつの間に……?」

 

 :まずいですよ!? 

 :協会に通報してるよな? 

 :配信で見てるかすらわからないけど来なきゃヤバイ案件起きてる

 :黒服の二人無事なの? 

 

「いや……何とか攻撃を殺せたみたいです」

「この速さに攻撃。みんな油断しないで、来るよっ!!」

 

 :やばいこれ大丈夫か

 :洞窟の暗さも相まって見ずら

 :気を付けてマジで何してくるか分かんないよ! 

 :カメラマンブレまくって更に状況解らん

 :というかカメラマンにも攻撃してるのか? 

 

「この!!」

 

 :若菜ちゃん消えたんだけど

 :ドラゴンボールやってんのか

 :一瞬見えたけど爪が剣みたいになってなかった? 

 :うわそれでも対応してきた、こんなとこ出てきて良いわけねえだろコイツ

 

「まだっ……マネ!!」

「がっ」

 

 :ヤバイ真っ先に狙われたぞHPバリア大丈夫か

 :腹きられてる

 :シャツが真っ赤じゃん!! 

 :とっとと逃げろ

 :囲まれてるのに無理

 

「カメラっ!!」

 

 :うわカメラ遠くなった

 :一瞬で十回くらい蹴られた音してる

 :うわ黒服投げられた

 :足引き摺ってるいやマジで

 :今サイタマダンジョンの近くいるんだけど救援と上位層束になって向って行ったみたいがんばれ! 

 :五階だぞどんなに強行しても30分くらいかかるぞ

 

「これ僕たちでどうにかしないとだけどキツイねっ!!」

 

 :フォロー行ったけどマジでジリ貧だよ

 :普通に数と質の暴力じゃん

 :ぶっちゃけ事故なんてもんじゃねえよこれ! 

 :大体なんだコイツら

 :すごい早いわすごい強いわすごい硬いわ……

 :こっちでもあたってるけど見つかんない

 

「しま、あぁっ!?」

 

 :ヤバイヤバイヤバイ

 :というかあのショタのとこにいるやつとか動かないの?! 

 :おい吸血鬼見てんだろなんとかしろ

 :死ぬぞマジで

 :もう見てられない切る

 

「このっ、はぁ……あっ!?」

 

 :剣が飛ばされた

 :誰か来ないのか?! 

 :揺れてね

 :うわカメラマンの手が……

 :黒服はどうなった

 

「あっつ、い!! あう……く!!」

 

 :レーザー攻撃!? 

 :いやもう寝てても体力回復して! 

 :目からビームは流石にいなかったはずなんだけど

 :これ魔法も使うよね

 :何この音

 

「まだ、まだっ……」

 

 :嘘でしょ? 

 :死んだ……

 :ほぼ半壊状態だこれ

 :負けないで

 :手出しできないの歯がゆすぎる

 

「し、なない……に決まってるでしょ。 がん、ばるから、さっ……」

 

 :いやいつの間にか腕切られてるって

 :アドレナリンが……

 :えっ魔法も使うのか? 

 :いやもう若菜だけでも逃げろ

 

 

 

 

 

「若菜さん後ろ!!」

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 少女はスローモーションを目撃する、その最中には指摘によって振り向いた先にある黒い爪。

 

 誰もが助からないであろう瞬間は迫る、画面の前にいる誰かですら息を呑み、ただ斃れた男たちは祈るほか出来ず。

 

 彼女は自らに迫る無惨な運命と悲痛な最期に覚悟して────其れでも耐えきれずに息をひそめて、眼を瞑ってしまった。

 

 

 

 しかし何かが確かに起きたのだ。

 

 

 

 ごわと破壊した地面は火に焼かれ、まるで護るように少女を背にして現れ、今まさにそのものにとどめを刺そうとした攻撃を弾き返した。

 

 この広くも狭い空間に何者かは降り立ち、それは仁王立ちの姿勢を解かずそこを動く様子は微塵もない。

 

 それは彼ではないか──あの岩の中に目覚め、遂にこの場に間に合った彼ではないか。

 

 ならば一切振り返らないのも当然喋れないからという理由に他ならない、コミュニケーションを取る前にこの群団をどうにかすればもっと簡単だと判断もしている。

 

(……なるほど)

 

 それに加えて。

 

(君は誰だか知らない。俺の意図は卑しい)

 

 辺りに転がり満身創痍の男達も、今それを治そうと抵抗していた者も、後ろの唖然とする少女も。

 

(さて彼らを打ち倒すことに────何のためらいもいらないか!)

 

 

 

 

 

 悲惨な現実に覚悟した姿を彼が目撃する度に、彼自身の中にある不快感はより強く張り詰めていった……! 

 

 

 

 

 




ただし最終話だけならもう書けている、備えよう
次回も宜しく
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