拾われた元トリニティ生は自称超人の防衛室長を守る騎士となる   作:トクメイン

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プロローグ

「クイナさん、ここから先は誰も通さないでくださいね!」

「はい、カヤ様。お任せください」

 

 連邦生徒会長代行執務室。その部屋の前に立つ一人の少女―――いや、少年。彼は一目見て男だと思う容姿をしておらず、十人に彼の性別を聞けば十人が女性だと言うだろう。セミロングまで伸びている水色のメッシュが入った白い髪、154cmしかない身体、そして童顔であるという事実がさらにその強さを増していた。

 

「さてと。そろそろ子ウサギ駅爆発のニュースが流れる頃合いですが…」

 

 部屋の中から聞こえてくるそんな声。その後すぐに電話が鳴り、部屋の中にいる女性は電話を手に取り耳にあてた。

 

「はい、連邦生徒会長代行の不知火カヤです。子ウサギ駅の件は無事に完遂しましたか? ……はい? FOX小隊が作戦に失敗……? しかも、武装したRABBIT小隊がシャーレの先生と一緒に連邦生徒会に向かっている……?」

 

 カヤ、そう名乗った女性はとても焦った様子で、驚愕と怒りの感情が混ざり合っている。

 

「そ、それはどういうことですか。もう一度説明してください。 …先生が指揮するSRT隊員を止められなかった? い、一体何を言っているのですか……。 お金を渡しているのですよ……? どんな手を使ってでも止めるべきでは!?」

 

 埒が明かない、と電話を切るカヤ。その様子は先と変わらず焦っており、外で待機しているクイナ――少年にも理解できた。

 

(カヤ様…ピンチなのかな?)

 

 その瞬間、ドアはガチャリと開き、中で話していたカヤが出てきた。その表情は強力な部下に頼る三流ボスのソレだ。

 

「く、クイナさん。少し困ったことになりまして…。ここに今からテロリスト共が来るんです、始末していただけますか?」

「はい、カヤ様のご命令とあらばRABBIT小隊でも、シャーレの先生でも、必ず始末いたします」

 

 そうクイナが言うと、パアっと花が咲いたように笑みを見せるカヤ。もはや威厳もクソもない。

 

 とはいえ何故、クイナがここまでカヤに忠実なのか。先生といえば現在失踪中の連邦生徒会長が任命した連邦捜査部(シャーレ)の顧問であり、超法規的権限を持つ権力者でもある。そこまでの人を敵に回すのを厭わないほどに、クイナはカヤを慕っていると言うのだ。

 その訳は、数か月前の話に遡ることになる…。

 

 

♰   ♰   ♰ 

 

 

「え…? 退学、ですか?」

「そうです、あなたの退学が決定したんですって…クスクス」

 

 ここはトリニティ総合学園。学園都市キヴォトスにおいて三大学園に数えられる一大勢力。そんな場所で、クイナはたった今退学処分となった。

 だが問題行為を働いたわけではない。ではなぜか?

 

「可哀想ですね…私たちの失敗を全て押し付けられて…クスクス」

「あら? この方が勝手に失敗したんではなかったんですか…? クスクス」

 

 トリニティ総合学園の生徒は優雅かつ善良な生徒が多く、一見お嬢様学校といった印象を受けるが、派閥の内外を問わず互いの足を掬い合うような騙し合いが横行していたり、一部では生徒間で陰湿なイジメが行われていたりと、陰謀策謀渦巻くドロドロとした人間関係も垣間見える学校である。そしてクイナは言わずもがな、いじめられる側の人間であった。

 

 その理由は、単純明快。クイナが男だからだ。

 人間は、異物を好まぬ生き物である。理解が出来ないモノは、集団で囲って排除する。そして自分たちの案寧を確保する。そんな人間臭いとも言える所業に、クイナは巻き込まれた。

 

 もちろん、クイナが男だということは自分からばらしたのではなく、自然に見つかってしまったのだ。髪も伸ばし、口調も優しく、誰が見ても女の子にしか見えない程にしていたのに。

 

「分かったらさっさと出て行ったらどうかしら? クスクス」

「さようなら、白水鳥(はくみどり)さん。クスクス」

 

 学園都市キヴォトスにおいて、学園を追われるというのは死を意味すると言っても過言ではない。口座も凍結し、身分もない。

 そして、行く当てもないクイナは行き倒れる。使っていた武器を質に入れ、働き口を探すもやはり身分が証明できないのは痛かった。

 

「あら、こんなところに行き倒れた生徒が…」

 

 行き倒れた場所は、連邦生徒会近くのとある道のはずれ。そんな場所に、一人の女性(桃髪糸目)が歩いてくる。

 

「ふん、私の知ったことではありませんね」

 

 人の心とかないんか? と思うかもしれないが、これがこの女なのだ。

 

「まぁ、今の私は気分がいいので助けてあげることとしましょうか」

 

 そしてクイナは命を救われ、ご飯を食べさせてもらった。

 

「あなた、トリニティの制服を着ているけどトリニティの生徒なのですか?」

「いえ、この間退学処分にされてしまって…」

 

 カヤは拾ったことを早くも後悔し始めていた。

 

「―――という訳なんです」

「なるほど、クイナさんの言い分が本当であるなら、あなたに落ち度は微塵もありませんね」

 

 クイナは事情を話し、罪を擦り付けられていることをカヤに伝えた。

 

「それではこれから、トリニティへ復学するために奮闘されるのですか?」

「…そこなんですが、自分はもう…生きる理由が見つからなくて…」

 

 クイナはこれまでの人生のことを思い返していた。キヴォトスでヘイローのある人型の男はいない、たった一人の存在だ。そんな存在が周囲に理解されるはずもなく、貶され、裏切られ、蔑まれてきた。

 

「……くだらないですね」

「…そう、ですか。ごめんなさい、もう出ますね」

「行く当てがないなら、私の護衛をやってみると言うのはどうでしょう?」

 

 防衛室を出ようとするクイナに対し、そう呟くカヤ。一見、とても良心的で感動的なシーンに見える。だが…。

 

(まぁ、強くならなかったら肉壁にでもなってもらいましょうか)

 

 ク〇である。打算も打算である。

 

「っ! ……わた、僕は男なんですよ」

「何か問題でも?」

 

(肉壁になるという点では寧ろプラスですしね)

 

「ほんとに…いいんですか?」

「ええ、そう言っているでしょう? 何度も同じことを言わせないでください」

 

 クイナは初めて、悲しみの感情以外で涙を流した。人に期待してもらう、信じてもらえることがこれほどうれしいのか、と。

 

 

♰   ♰   ♰ 

 

 

 そこからの日々は、とても早く過ぎて行った。強くなるには、まず自分にあった武器を見つけるところから。トリニティにいた頃はMP40に近いモデルのSMGを使用していた。

 だがクイナの得意分野は、正確な射撃でも早撃ちでもなく、反動抑制能力であった。

 

 これに目を付けたカヤは、クイナに2丁の銃を持たせた。1つ目は、ShAK-12…世界でも最高の威力を誇ると言われる、A(アサルト)R(ライフル)だ。だがこの銃、使用する弾の口径がなんと、12.7x55mmもあるのだ。一般的なA(アサルト)R(ライフル)であれば、5.56x45mmや、7.62x39mmのものが主流だ。口径がデカければ、もちろんその分威力は上がる。だが問題は威力だけでなく、反動まで上がってしまうのだ。

 そしてクイナとShAK-12の嚙み合わせは、びっくりするほど良い物だった。反動のせいで扱いが難しいというマイナス要素が帳消しにされるとなると、残っているのは最高の威力。

 

 そしてもう1丁の銃は、RSh-12…ShAK-12と同じく、12.7x55mm弾を使用するリボルバーであった。こちらの武器をサブウェポンとし、メインはShAK-12で戦う。それが叶えば、どれだけの戦力になるか。

 

 最初、カヤはお試し半分だった。事故で怪我でもすればそれを理由に解雇しても構わないと思うほどに。だが、2丁の銃を難なく使いこなすクイナを見て、その考えは改めさせられた。

 

(この子…使える!?)

 

 またしても自分の事しか考えてないのである。

 

 




う~んこのク〇女。愛してるぞ!!!

クイナ君の詳細は次回にでも書きます。その時まで続いていたらね!!
あ、ちゃんとプロットはあるんで、ハイ(小声)
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