拾われた元トリニティ生は自称超人の防衛室長を守る騎士となる 作:トクメイン
「クイナさん。本日はトリニティ総合学園に行く予定があるので、ご同行をお願いできますか?」
「はい。了解しました」
先生がカヤと電話をした数日後、カヤはクイナと共にトリニティ総合学園に赴こうとしていた。どういったわけか、既に入っていた予定をキャンセルしてまでのことだ。
「カヤ様…本日は例のグループとの密会があったのでは?」
「あぁ、それならば明日に移してもらいました」
例のグループ…それはかの悪名高きカイザーグループとの密会であった。そんな会談を翌日に回すほどのことなんだとクイナは気を引き締めた。
♰ ♰ ♰
"もしもし。連邦捜査部、シャーレの先生をやっている者だよ"
『はい、こちら連邦生徒会防衛室長の不知火カヤです。シャーレの先生がこちらにどういった御用でしょう?』
"防衛室長…。なら丁度都合が良かったよ、君の部下に白水鳥クイナという生徒はいるかな?"
『……はい。クイナさんは私の護衛についてもらっていますよ』
カヤはいつになく警戒心を強めている。相手があの連邦生徒会長の任命したシャーレの先生だからと言うのもあるだろう。
"彼と会って話す時間が欲しい。トリニティで彼に何があったかを知りたいんだ"
『はぁ…。ですがその口振り、凡そのことは理解されているのでは?』
"うん。彼がトリニティで酷い扱いをされていたこと、そして今は君の元で働いていることは知っているんだ。だけど、彼が突然トリニティから姿を消したのは何故かな?"
『突然姿を消した…? 彼はトリニティで退学処分になったと申していましたが…』
"退学処分…? わかった、それなら数日後にトリニティに来て欲しい。こちらでも調べておくから、そこで何があったのかを全て話し合おう"
『わかりました。ですが先生、これは貸し一つ…ということで』
"はは、お手柔らかにね…"
そんな言葉の後、電話は切れている。
▽ ▽ ▽
「失礼します。防衛室長の不知火カヤと申します」
「白水鳥クイナです」
二人はトリニティにつき、応接室に案内された。そしてそこには幾つもの人影が。
「本日はお越しいただきありがとうございます。ティーパーティーの桐藤ナギサです」
ティーパーティーの桐藤ナギサ。救護騎士団の蒼森ミネ。シスターフッドの歌住サクラコ。正義実現委員会の羽川ハスミ。トリニティ総合学園の重要人物とも言える面々がこの場に集まっており、それぞれが自己紹介を終えた。
「まず、白水鳥クイナさん。貴方は退学処分になどなっていません。そして並びに貴方を渦巻いていた環境に対して何も知らず、何もできなかったことを深くお詫び申し上げます」
そう言ってナギサは頭を下げた。トリニティのトップとも言えるナギサが頭を下げるということは、簡単なことではない。だがトリニティで陰湿ないじめが行われていたということを黙認できるわけもなく、ナギサは頭を下げることとなった。
「謝罪は受け入れます。ですがここまで豪華な顔ぶれを用意したのはどういった意味が…?」
"それについては、私から説明するよ"
そう話し出した先生。そこからの話を要約すると、こうだ。
クイナに対し、トリニティ全体で謝意を見せるべきだとナギサが発案した。そしてこんなことがないように再発防止に努めるという誠意の証明でもあると。この件についてはミネやサクラコ、ハスミも同意見であり、満場一致であったためこれが実現した。
「今回の事件が発覚した後、すぐに事実確認を急ぎました。クイナさんと関わりのある生徒を洗い出し、虱潰しに事情を聴いていきました。すると、クイナさんをいじめていたグループがあり、そのグループが過去の退学処分になった生徒の記録をコピーし、改ざんしたことでクイナさんが退学したかのように見せていたのです」
クイナは退学になどなっていない、つまり口座や身分は未だ健在だということ。クイナが行き倒れる前に、確認しに行けばよかったものの、精神的にも参っていたためそこまで気が回っていなかったようだ。
「もちろんその生徒たちは退学処分が下されています。ですがお詫びとして、私たちの裁量の利く範疇であれば何でも願いを聞き届けます。それで手打ちにしていただけないでしょうか」
「…わかりました。別に特に恨みもないですし、願いを聞いてくれるというのであれば…。そうですね、私のことを休学中としていただけませんか?」
自身がティーパーティーの座を降りる覚悟すらしていたナギサは、ポカーンと口を開けて拍子抜けした表情をしている。周りを見ればミネも、サクラコも、ハスミも、先生まで驚いているではないか。
(トリニティに復学すると言われなくてよかった……クイナさんはやはり私の超人さに心酔しているようですね!)
カヤは一人、ドヤ顔をしていた。だがカヤは誰にも視線を向けられていない。正に"カヤ"の外だ。
「そ、そんなことでよろしいのですか?」
「言ったじゃないですか、特に恨みもないって」
(それに…行き倒れたおかげで、カヤ様に拾っていただいたんですから…ふふ)
こんな時もカヤの事を考えているクイナ。カヤはそんなクイナに目もくれず、自身の超人さに酔いしれている。なんかもうどっちもどっちかも知れない。
「……わかりました。クイナさんは数週間前から休学している、ということにしておきます。ですがこれではティーパーティーの面子が丸潰れですので、なにか困ったことがあればすぐに連絡してください」
そんなこんなで、トリニティとクイナの関係は良好なものとなった。そしてクイナはトリニティ自治区にある元自宅に荷物を取りに行くことになり、カヤと別れる前にこんなことを話していた。
「カヤ様。本日の予定をキャンセルしてまでわざわざ私のために……?」
「え、ええ。普段から頑張っている貴方に対して感謝と言っても過言ではないですね!」
(先生に貸し一つを作るためにしょうがなく連れてきただけなんですけど……そういうことにしておきましょうか)
そんなゲスい考えを持つカヤとは対照的に、クイナは目元に涙をためていた。
「…ぐすっ……カヤ様……これからも誠心誠意お仕えします……ぐすっ」
ここまで心酔していると病的とも言えるだろう。尚その感情を向けられている本人は気づいていないみたいだが。
そしてカヤと別れ、元自宅に荷物を取りに来ていた。
「と言っても、特に持っていく物もないんですけどね…」
クイナがそう言った通りに、持っていく物など無いに等しい。銃は既に質に入れており、弾も口径の問題で今は使えず、トリニティの制服も今は要らないものとなった。強いて言うならば、私服ぐらいである。お気に入りの服を数着手に取り、思い出したようにタンスを開けた。
「……あった。これは絶対持っていかないと」
そしてクイナは
家を出たクイナは、防衛室オフィスのあるD.U.へと向かった。
… … …
『ヒナ委員長! それより先はD.U.地区になるため、追跡が不可能になります!』
「っ…失敗した……!」
ゲヘナ自治区とD.U.地区の丁度境目。そこにゲヘナの風紀委員長である空崎ヒナが規則違反者を追跡していた。
「へへっ! このままD.U.に逃げればあいつらは追ってこれねぇ!」
「逃げろー!」
そんなことを言いながらD.U.地区へと逃げ込むゲヘナ生。
そこに、たまたま防衛室オフィスに帰る途中のクイナが通りかかった。
「……あれは…ゲヘナの風紀委員長…?」
クイナがヒナの方を見ていると、向こうもそれに気づく。そして、"名前を呼んだ"。
「!……白水鳥クイナ…」
ヒナとクイナの関係性はいったい…!? といったところで今回はおしまいです。色々伏線貼りすぎて脳がばにたすばにたーたむしそう。
日常回で挟んでほしい学校とのやりとり
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ゲヘナ
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トリニティ
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アビドス
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ミレニアム
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百鬼夜行
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山海経
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レッドウィンター
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ヴァルキューレ(これはそのうちやる)
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アリウス
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うわぁぁぁぁん!!全部みたいですぅ!!