無職転生オリキャラ妄想 ~異世界少女は頑張ります!~ 作:af
***ラズリィ***
数秒前まで森であった更地には、現在2つの人影が立っているのが見える。
一人は闘神バーディガーディ。
先ほどの帝級魔術2つが合わさった大爆発と比べれば、今放った風帝級魔術は魔力を込める時間も短くそこまで大した威力にはならなかったこともあり、あまりダメージにはなっていない。
もう一人は魔道具を背負ったギース・ヌーカディア。
こちらは帝級結界魔術を使用してしのぎ切ったらしい。地面には燃え尽きたスクロールの残骸が落ちている。どうやら既に次のスクロールはセット済みらしい。
ぶつぶつと詠唱を口ずさみながら考える。
ギースの持つ魔石のストックは、あと帝級魔術16回分程度。ギースにはまだまだ余裕がある。
しかし、それはあくまで帝級魔術換算での話だ。
直感が正しければ、おそらくギースにはもうそこまでの余力はないだろうと考えていると、当の本人が声をかけてきた。
「ごほっ、ったく、すげぇなラズリィの嬢ちゃん。無詠唱で帝級を使いこなすとは聞いてたが、聞くのとみるのじゃ大違いだ」
「フハハハハハハハ!まったくもって見事な腕前である!これほどの魔術師はかつての大戦でも数えるほどしかいなかったであろう!」
隣で兄が「えぇ…第二次人魔大戦こわ…」と慄いている。
「センパイも大概化け物じみた魔術師だとは思ってたが、まさかそれ以上のバケモンとは思ってもみなかったぜ」
「フハハハハハハ!その幼さにして魔術の腕だけならば魔神ラプラスにすら届きうる熟練度!まさしく化け物といえよう!フハハハハハハハ!」
「うちの妹は化け物ではなく天使です!!」
ルー兄、それはちょっと恥ずかしいからやめて欲しい。
ぶつぶつと呟くような詠唱から無詠唱魔術へと魔力制御を切り替えて、集中力を切らさないよう細心の注意を払いながらゆっくりと口を開く。
「でも、ギースさんはまだ余裕ですよね。魔石もまだ、帝級魔術16回分は残ってるんでしょ?」
その言葉に、兄とギースの雰囲気が変わる。
兄はギースを油断なく警戒するように、ギースは私にどれほど手の内を知られているか探るように。
でも、私は頭が良くないので、兄とは違って心理戦なんてする気はない。
「神級魔術のスクロール」
「……なんだ、知ってたのか。嬢ちゃんも人が悪いなぁ」
「別に。でも描いてて直感的にわかった。神級だって」
「ったく……嬢ちゃん相手には予定が狂いっぱなしで困るぜ」
色々とバレちまってるなら隠す必要もねぇか、と自嘲気味に吐き捨てギースは背負っていたバックを地面に落とした。そして、中に詰め込まれていた魔石を均等に地面に並べていく。
「その様子じゃ、神級魔術に必要な魔力量も分かってんだろ」
「最低でも帝級の15倍」
「そう、こいつをぶっ放せば俺はもう何もできなくなる」
そこで、会話を聞いていたルーデウスが警戒しながら口をはさんだ。
「なんで今までそれを使わなかったんだよ、ギース。あの時、谷でさっさとそれを使えば勝てただろ」
「おいおいセンパイ、こんな即席の魔道具で神級なんて使ったら一発で壊れるに決まってるだろ?それに魔術師でもねえ俺が使えば、反動で俺自身無事じゃ済まねえよ」
「……自爆技ってことか」
「ま、そーいうこった」
ルーデウスは着々と神級魔術発動に向けて準備が整えられていくのを、ただ黙ってみていたわけではない。
予見眼をフル活用して魔道具を破壊しようと試みるものの、何度試しても闘神に阻止されてしまう。
ジリジリと迫る死のカウントダウンに、足が震える。
そんなルーデウスと対照的に、ラズリィは静かな目でギースを見続けていた。
「さぁ嬢ちゃん。神級魔術を帝級魔術で凌ぎ切れるか、勝負といくか」
「無理。帝級と神級じゃ格が違う」
「じゃあどうするよ、嬢ちゃん、センパイ。諦めて潔く死ぬか?」
「くっ……ヒトガミの狙いは俺だろ、ギース!ラズリィは関係ない!」
「そうは問屋が卸さないぜ、センパイ。ヒトガミからの命令は、センパイとラズリィの抹殺だ」
焦るルーデウスが何か叫ぼうとした瞬間、背後からラズリィが抱きしめた。
鎧同士がぶつかって、正直あんまり楽しくない。
「大丈夫、ルー兄。私がやる」
「おいおい嬢ちゃん、さっき自分で言ったろ。帝級じゃ神級は防げないって」
「そう。神級魔術は、神級魔術でしか防げない」
先ほどから全く焦る様子を見せないラズリィの姿に、ルーデウスは妙な胸騒ぎを感じていた。そして、一瞬遅れて理解が追い付く。
「……まさか。まて、ラズリィ!神級魔術の魔力出力は人間の身体じゃ耐えられないってオルステッドが言ってたろ!」
「ほぉ、お互い自爆技か、嬢ちゃん。いいぜ、受けて立ってやる」
ルーデウスの制止を聞かず前に出たラズリィは、鎧の胸部装甲を一部外した。
すると中から真っ白な子猫が現れて、てててとラズリィの身体を駆け降り、飛び跳ねて杖の先端にある魔石に取り付いく。
ようやく自分の出番がきたとばかりに張りきった様子に、ラズリィは微笑した。
「ルー兄、そもそもどうして催眠魔術が必要だったか、覚えてる?」
「え、何だ急に。確か、無意識に無理やり身体を成長させようとするのを止めるためだろ」
「そう。老いない身体を無理に成長させたから、おかしくなった。私は無意識に、自分の身体を作り変えることができる」
ぞくり、と。この場にいる全員の背筋に寒気が走った。
魔神ラプラスをもはるかにしのぐ魔力量と、努力と才能に裏打ちされた天性の魔力操作技術。
帝級魔術を苦も無く無詠唱で操る魔術師が、神級魔術に耐える魔術師として最適な肉体を手に入れたなら。
一体どれほどの高みに到達するのだろうか。
「……っは、なるほどなぁ。ヒトガミの野郎が意地でも殺そうとするわけだぜ」
ようやくギースと闘神バーディガーディは気が付いた。
追い詰められているのは、むしろこちらの方なのだと。
「フハハ!ならば撃たせる前に仕留めるまで!」
この時初めて、バーディガーディは冷静さを欠いた。
目の前にいる自分を殺しうる強敵に、かつての大戦の記憶が脳裏をよぎったのだ。
そして、その隙をじっと待ち続けていた狩人が、飛び出した。
赤い残像が、巨大な大剣を振り下ろす。
全剣術の中でもっとも速い、防御不可の神速の太刀筋。
「――エリスっ!?」
狙いたがわず振り下ろされた王竜剣はしかと黄金の鎧に突き刺さり、その身を数秒だけ宙に縫い付けた。
たった数秒、それだけあれば剣士でないラズリィとギースにとっても十分だった。
話の内容をほとんど理解していなかったエリスだが、野生の勘を頼りに気力を振り絞ってルーデウスとラズリィの居る場所へと駆け寄る。
ルーデウスが素早くエリスを保護し、無詠唱魔術で防御を固めた。エリスの真っ赤な髪の毛は、一部色素が抜けていた。
中心に闘神バーディガーディを挟んで対峙したラズリィとギースは、同時に神の名を冠する超常の魔術を解き放つ。
『神級魔術
「神級魔術
ビヘイリル王国の片隅に、二つの地獄が顕現した。
***
オルステッドは全員をペルギウスの転移魔方陣で避難させ終わり次第、すぐさまルーデウスとラズリィに加勢しようと向かった。
先ほどから感じていた膨大な魔力の高まりに嫌な予感を感じていたその時、遠方で二つの神級魔術が炸裂した。
先ほど目にした空中での大爆発や森を消し飛ばした一撃などとは比べ物にならない、圧倒的な破壊の化身。
己も過去のループで何度か使った事があるから分かる、あれは神級魔術の
だがそれと対になって顕現した氷の魔術、
とはいえ、あの魔術が大好きな少女の最も得意な属性が氷だったことを思えば、理解はできる。おそらく、火系の神級魔術を途中から氷にアレンジしたのだろう。呆れるほどのセンスと技術だ。
炎と氷。二つの神級魔術は拮抗し、互いに食い合い絡み合って、天まで届く光の柱を形成した。
僅かな攻防、その末に氷が炎を飲み込み、巨木のような氷像を形成して決着がついた。
炎に散らされた氷の余波で、上空には
オルステッドはラズリィが押し勝ったことに安堵しつつ、早急かつ確実に闘神を処理するべく現場へと急行した。
***
気づけば、ラズリィはボロボロになりながも柔らかい身体に抱きしめられていた。
周りは豪雪がふぶいており、視界がゆらゆらと上下に揺れる。
まるでだれかに抱きかかえられているようだ。
「目を覚ましたのね、ラズリィ」
「……ぁ」
反射的に自分自身に無詠唱で治癒をかけて顔を上げると、とてもやさしい瞳をしたエリスが自分を見つめていた。
見覚えのある瞳。あの地獄から救い出されてふわふわとしていた自分に、人肌のぬくもりを教えてくれた、大切な瞳。
「ラズリィ、目が覚めたか!大丈夫か、身体におかしなところはないか?」
意識がハッキリするにつれ、自分達が魔導鎧の左腕に抱えられていることに気が付いた。
魔導鎧を着ているため顔は見えないが、声色から容易に兄の表情が予想できる。
良かった、二人とも無事だったんだ。正直、魔術の制御に必死で二人の事まで気を回している余裕は全くなかったので、巻き込まれてはいないかと少し怖かったのだ。
「へいき。ルー兄と、エリス姉は……」
「平気よ。ルーデウスもね」
「そう……」
なんで周りが吹雪になってるのとか、ルー兄の右腕早く治療しなきゃとか、ギースと闘神はどうなったのとか、言いたいことはたくさんあるけど、言葉にはならなかった。
さっき自分で言ったとおりだ。家族と友達が無事なら、他は結構どうでもいい。
2人が無事でいてくれるだけで、自分は満足なのだ。
その時、もぞもぞと胸のあたりにはい回る感触があり、ぴょこんと子猫が頭を出した。
どうやらクロも無事だったらしい。今の今まで存在を忘れてた、ごめん。
「その子がラズリィを咥えて私たちの所まで引っ張ってきたのよ。意外と力強いのね」
そわそわとしたエリスが説明してくれるが、その目は雄弁に「撫でさせろ」と語っている。
私は無言でクロを差し出した。ごめんね。
するとクロは「え、うそでしょ…?」と驚愕し、慌ててラズリィの胸から飛び降りると、すてててっと雪の上を走り去ってしまった。
エリスは「ぁ……」と悲しそうな顔で手を下ろした。
「……ん、足跡?」
良く見ると、雪の上にはうっすらと一人分の足跡が残されている。
どうやら兄はその足跡を追って歩いているようだ。
「……多分、ギースだ。千里眼で探してみたけど、あの場所ではギースは見つからなかった。闘神は氷の中に封印されてたから、あとはギースさえ倒せば、俺たちの勝ちだ」
私が魔導鎧で何とか無事だったように、ギースも余った最後の魔石を使って帝級結界魔術であの衝撃を防いだらしい。
初めて使う神級魔術で何とか押し勝てた理由の一つは、ギースが最低限の魔石で神級魔術を発動させたからだろう。仮に帝級16回分以上の魔石を使われていたら、押し負けるのは自分だったのかもしれない。本当にギリギリの戦いだった。
だが、ギースの本領は戦闘ではない。逃げに回られたら、捕まえるのは難しいかもしれない。
こちらは全員が満身創痍だ。ルー兄は既に魔力がギリギリで、魔導鎧で歩くのが精いっぱいらしい。エリス姉も魔力枯渇症で満足に動けない。私は魔力にはまだ余裕があるが、身体の方は歩くのも難しいくらズタボロで杖を握って落とさないのが奇跡だ。
ルー兄に抱えられて移動しながら、エリス姉からルー兄の活躍をたくさん聞かされた。
エリス姉はルー兄のこと本当に大好きだよね……うんうん、ルー兄が凄いのは知ってるよ。
へー、剣神様とか北神様ってそういう感じの人なんだ。なんか夢が壊れるなぁ……。
それから、途中で王竜剣が落ちてたのを見つけて確保した。一応少しだけ魔力をこめておく。ついでに重力魔術で魔導鎧を軽くしてあげた。
ほうほう、重力魔術ってこういう感じか!なるほどね、完全に理解した。
初めて触れた重力魔術に大興奮なラズリィを、ルーデウスとエリスは優しく見守っていた。
***
ギースはあっさりと見つかった。
途中から足跡に赤い斑点が混じりはじめ、ルーデウスが千里眼で探すとあっさりとそれらしい人影を発見。
また罠かと細心の注意を払って近づくものの、特に何もなく。
谷のすぐ傍、何もない雪の上にばったりとギースは倒れこんでいた。
「……へっ、見つかっちまったか」
ギースはぐったりとしていて、今にも死にそうな顔色をしている。
とてもではないが、これ以上何かをしようと企んでるようには見えない。
「……ギース」
「おいおい、センパイ。ちょっと無警戒すぎねぇか?これも罠かもしれないぜ?」
「……まだ、何かあるってのか」
「あぁ、あった。こっちに近づいた瞬間、残った数少ない魔石をつかってどかーん、ってな。自爆するような罠をはっといた」
一瞬ルーデウスが背後に逃げようとするが、とまる。
”あった”と過去形で語ったことに気づいたのだ。
「相変わらず詰めが甘いぜ、センパイよ。ま、そこのちっちぇえクソ猫に最後の策も潰されちまった俺がいえることじゃねぇか」
そういってギースが指さした先には、見慣れない形の魔道具と戯れているクロの姿があった。
どうやら、あれでちゃんと守護魔獣として働いていたらしい。さっきは裏切ってごめんよ。
「随分無様な最期だが……ま、俺にゃお似合いの末路か。なぁ、センパイ。どうして俺が今死にかけてるか、わかるか?」
「……クロにやられた、とかか?」
「まぁ、間違いじゃねえが……凍傷だよ。センパイ達にみてえな闘気やら膨大な魔力やら無詠唱魔術やらをもってる連中にゃわかんねえかもしれねえがな、俺みたいな落ちこぼれは、ちょっと吹雪の中に放り出されただけで死にかけちまうんだ」
「それくらい、あんたなら対策してるだろ。S級冒険者なんだろ」
「あぁそうだ、その為の魔道具も装備してた。さっきの衝撃で全部ぶっ壊れちまったがな。治癒のスクロールだって、もう使い切った。ドーピングだってもう効果は切れてる。あとはこのまま凍えて死ぬのを待つだけだ」
「……」
「なぁセンパイ。俺は結構頑張ったんだぜ。ヒトガミの使徒としてだけじゃねぇ、ギース・ヌーカディアとしての全力をだした。名だたる神級たちに、冥王に、闘神に、神級魔術まで集めた。魔眼・魔導鎧・土魔術に水魔術まで出来る限りの対策もした。嬢ちゃんにかけた催眠魔術だって、センパイにゃ悪いが生涯最高レベルの出来だ」
最期の一つにはルーデウスの左腕がピクリと反応したが、何も言わなかった。
「結局、全部だめだった。神級たちはどいつもこいつも話を聞かねえし、あと一歩のところで毎回何かに邪魔される。奥の手の神級魔術すら正面から叩き潰されちまった」
ちょいちょいと兄に合図をして、腕の中から降ろしてもらう。
足に力が入らなくて、雪の上に尻もちをついてしまった。ちべたい。
「……そもそも、なんでヒトガミの味方をしてたんだよ。どう考えてもクズだろ」
「はっ、ちがいねぇ。てめぇのために頑張ったやつらを騙して嘲笑するどうしようもないクズだ。だがな、センパイ。おれぁ、救われちまったんだ。騙されたし、故郷は焼かれたし、大切だった姉も死んだ。でもな、トータルで見れば、救われたんだ」
「だから手を貸すってのかよ。なら、なんでラズリィを生かした」
「へっ、ジンクスだよ。……いや、ちげぇな。ただの感傷だ。ラズリィの嬢ちゃんが、何となく……姉貴に似てたんだ。だから、生かしちまった」
「姉……?」
そこで初めて口をはさんだ私へ、ギースはぼんやりと焦点の合わない視線を送った。
どうやら、もう眼もあまりみえていないらしい。
「あぁ、自慢の姉貴だった。小せぇのに村一番の催眠魔術使いで、村の誰もが姉貴の事を好いてた。俺ぁ……あの頃は正直、あんまり好きじゃなかった。優秀な姉と比べられ続けるのは、しんどかったしな」
「そう……ちょっと、わかるよ」
「わかるかよ。わかってたまるかよ。……でも結局、俺を一番愛してくれたのは、姉貴だった。それが分かった時は、もう手遅れだったが……まぁ、良い。そういうもんだ、人生ってのは」
ずりずりと足を引きずってギースに近づく。ルー兄が止めようかと迷ってエリス姉をみて、エリス姉が黙って首を横に振っているのが見えた。
「ギースは……がんばったんだね」
「あぁ……がんばったぜ。無様に這いつくばって……ヒトガミの野郎に諂って……必死になって、世界中を回ってな。黒狼の牙にいた時ぁ、それなりに楽しかったが……トータルで見りゃ、しんどい事のが、多かったな」
ギースの傍に座って、優しく体を抱きしめてあげる。
氷のように冷たくて、なんだかそれが、ギースの内面を表しているように感じられた。
「よくがんばったね、ギース」
「……いいのかよ、嬢ちゃん。あの後、すげぇしんどかっただろ……。魔石づくりの、ときだって、ずいぶんこわい思い……しただろ」
「いいよ。ゆるす」
「……嬢ちゃんは、覚えてねぇだろうが……紛争地帯で、嬢ちゃんを、あのクソ野郎に売りつけたのも……実は、おれなんだぜ……」
「……しってるよ」
「……おいおい……やっぱり人が悪いぜ……嬢ちゃんは……」
「あの時、奴隷商の人が私を痛めつけて……殺そうとしてたのを、助けてくれたことも知ってる。すごく、すごく嬉しかった……その後は、すごく悲しかったけど」
「……なんだよ……知ってたなら……言ってくれよ…………嬢ちゃん……」
「嬢ちゃん、じゃないでしょ?」
「…………あぁ、ごめん……ごめんなぁ…………姉ちゃん…………」
「いいよ。ゆるしてあげる」
「…………ねえちゃん…………れも…………ぃす…き……………」
「…………ばいばい、ギース」
腕の中で動かなくなったギースを、ゆっくりと氷が昇っていく。
そして煌めくような氷に覆われた次の瞬間、ぱきんという音と共に粉々に砕け、欠片が宙へと舞って行った。
ギースの冷たさが移ったのか、私の身体はとっても冷たくなっていた。
***
最期に色々と爆弾発言を残して、ギースは死んだ。
正直、心はすっきりとしていない。
ラズリィを売った件については散々問い詰めて100発くらいぶん殴ってやりたいところだが……当の本人が許すと言っているのだ、仕方ない。
いや、あれはあくまで想像の中の姉としての言葉なのだろうか。
正直、ラズリィが何を考えてどう思っているのか、俺にはよく分からない。
今は、ラズリィが作った即席のお墓の中に、エリスと一緒にギースが身に着けていた魔道具を埋めている。
俺はまだお前を許したわけじゃないんだぞと、そう念じながら土を埋めた。
エリスはあまり引きずっていないらしい。ラズリィが許したんなら、それでいいと考えているのだろう。アスラ王国でも、彼女はすぐに決断していた。エリスのそういう所を俺は尊敬している。
「ありがと、ルー兄。エリス姉」
かまくらをつくってちょこんと座りながら俺たちの作業を見ていたラズリィは、作業が終わるなりエリスに抱っこをせがんでいた。相変わらず人肌が好きらしい。魔導鎧は脱いだんだし、お兄様のところにきても良いのではなかろうか。
そんな目でラズリィを見ていたら「……柔らかい方がきもちいい」と、暗に「男はお断りよ」と拒否されてしまった。エリスがすごいドヤ顔してくる……く、くやしくなんてないんだからね!
「そういえばラズリィ。もう兄様って呼んでくれないのか?」
「……恥ずかしいから、やだ」
残念。俺がブエナ村にいたころはずっと兄様と呼んでくれていたのだが、アイシャとノルン曰くそれがだんだんとルーデウス兄様になり、略してルー兄となったそうだ。そっちの方が子供っぽいと思うんだが……妹の感性はよく分からん。様づけがダメなのか?
そんな会話をしながら、さてどうやって家まで帰ったものかと3人で立ち往生していたら、エリスがバッと谷にむかって振り返った。
「……エリス?」
気になって俺も谷を見るが、特に何もない。
見落としているのかと思い千里眼に魔力を籠めると、唐突に、谷の下から生身の手が伸びた。
「……え?」
「ルーデウス、敵よ」
嘘だろ…?だってもう、ギースも冥王も闘神も倒した。ヒトガミの使徒はもういないはずだ。
まさか、オルステッドも予想していなかった4人目の使徒……?
ありうる。100を超えるループでギースの存在に気づかなかったのだ。4人目の使徒が居たとしても不思議ではない。
でも、もうみんな満身創痍だ。エリスだってまだ満足に動けないだろうし、ラズリィも魔導鎧を失った現在の状態では、本当に簡単に死んでしまう。俺だって魔導鎧で戦うのは数十秒が限度だ。
そもそも、相手は誰だ?谷の下から這い出てくる存在……。
そこまで考えて、理解した。
理解したが、信じたくはなかった。
だって、あの時確かに、上半身をミンチにしたのだ。
あんなの、王級どころか帝級治癒魔術でもどうにもならないだろう。
しかし、相手はあのアトーフェの孫。バーディガーディといいアトーフェといい、不死魔族の生命力は本当に恐ろしい。
あれから4日もたてば、上半身ミンチの状態から再生できたとしてもおかしくない。
なんであの時、燃やして念入りに殺しておかなかったのか……後悔ばかりが積み重なる。
「英雄は、どれだけ追い詰められても、復活し、逆転する……」
そう言いながら這い上がってきた北神カールマン三世は……はっきりいって、ズタボロだった。
そういえば前に谷から這い上がった時は、王竜剣の重力操作を使っていたのだ。それが今は、剣の一本すら持っていない状態……意外と、勝ち目があるのかもしれない。
先ほどまでの押しつぶされそうな絶望が遠のき、僅かに余裕が戻ってくる。
とはいえ、相手は仮にも元7大列強。剣がない程度のハンデでは、まだまだこちらが圧倒的不利だ。
取り合えず、急いで魔導鎧を着なければーー
「ルーデウス・グレイラット……未熟者と言った事は、謝ります。
あなたは、立派な戦士だ。 見た目と違い、僕にふさわしい敵でした。
お陰で、僕はまた一段階、強くなれました。礼を言います」
気づけば北神はすぐ傍に立っていた。エリスが何とか応戦しようとしたものの、ただでさえ体に力が入らないのに大剣である王竜剣は扱いきれるはずがない。
あっさりと王竜剣を奪取され、それを北神が一振りした瞬間、魔導鎧が吹き飛ばされて谷底へと落ちていった。
返す刀でエリスが峰打ちされて気絶する。
誰だよ、「意外と勝ち目があるのかもしれない」なんて言った奴は!
全く持って歯が立たたず、あっという間に制圧されてしまった。
相手を侮ったつもりはなかったが、やはりもうこちらに戦うだけの力は残されていなかったのだ。
「僕はまだまだ、強くなれる。あなたを倒して七大列強の地位を取り戻し、弱っている闘神を倒し、龍神を倒して父さんを超える英雄になる!」
くそっ……英雄病は健在か。しかもたったいま地竜谷から這い上がってきたばかりの北神が七大列強や闘神のことを知っているのはおかしい。
ということは、新たなヒトガミの使徒か。冥王が死んだ時点で、おそらく北神に目をつけたんだろう。
くそっ、また俺の不始末のせいで、今度はラズリィだけでなくエリスまで……。
「さぁ、いざ尋常に決闘です。ルーデウス=グレイラット!あなたが既に傷だらけのは見てとれますが、それは僕とて同じこと!戦いは時を選んではくれません!」
目の前で魔導鎧を吹き飛ばしておいて、なにがいざ尋常にだ、くそったれ。
何か、ほかに手は……ラズリィは無事だが、相手は不死魔族の血を引いた北神だ。下手に手を出して仕留めきれず、ラズリィまで標的にされたらいよいよもって詰みだ。
この間合いでは、間違いなく魔術で何かするより先にラズリィが殺されてしまう。
どうする、どうすれば――
「まってください」
一触即発。次の瞬間には頭と体が泣き別れしていてもおかしくない緊張状態に待ったをかけたのは、倒れたエリスの側で杖を支えに立ち上がったラズリィだった。
「君は?」
「ラズリィ=グレイラットです、北神様」
止める間もなく名乗ってしまった。ラズリィもヒトガミの抹殺対象。
黙っていればバレないかと思ったが、もう手遅れだ。
「……そうか、残念だが君にも僕の名声のための礎となってもらおう。だが安心して欲しい、君と兄君のことは我が北神英雄譚の一節に刻み、未来永劫語り継いでいくことを約束しよう!」
おいふざけんなよ、んなくだらねえことのためにうちの妹を殺そうってのか?
ヒトガミの使徒とか関係なく殺意が湧いてきた。
まぁ、だからといって何ができるわけではないが。
「北神様、先に私と決闘してください」
「……君と?」
北神が剣を下げ、怪訝な表情でラズリィと俺を交互に見る。
俺もラズリィが何を考えているのか分からない。最悪、俺と北神が決闘するところをラズリィが諸共魔術で吹き飛ばしてくれれば何とかなるかと思っていたのだが……。
「はい。ただし、条件があります。私は魔術師で、普通にやっても北神様には勝てません」
「君の兄君も魔術師だが、それでもこの僕に一度は勝利して見せたぞ」
「はい、聞きました。でも私には逆立ちしたって無理です」
そういわれて、北神も微妙な目でラズリィを見る。
流石の彼も、こんな幼気な少女を相手に本気で決闘しようなどとは思わないらしい。
ラズリィについてもヒトガミから聞いているはずだが、北神は思い込みの激しい性格だ。実際にラズリィを見て、こんなのに負けるはずがないとか考えていそうだ。
その油断をつけば、確かに可能性はある。
あとラズリィは逆立ちができない!
「北神様は、重力破断という最強の技を持っているんですよね?」
「如何にも。我が北神流最大の奥義が、重力破断だ。これで倒せぬ敵などいない!」
「私も、運動はダメダメですが、魔術は自信あります。だから、私の魔術と北神様の奥義、どっちが強いか勝負しませんか?」
「……なるほど!いいだろう、その勝負受けて立つ!」
どうやら、どっちが最強か勝負しようぜ!という小学生並みの単純な論理が北神に刺さったらしい。最強とか無敵とかいう単語が好きそうだもんな。
「(ルー兄、今のうちにオルステッド様に救難信号を出しておいてください。決闘は私が出来るだけ時間を稼ぎます)」
こそこそとラズリィにささやかれ、妹の狙いを知る。
どうやら、魔術の発動に時間が掛かるからとか何とかいって時間を稼ぎ、その間に近くにいるはずのオルステッドを呼び出して倒してもらおうと考えていたようだ。
確かに、ここまでくればオルステッドの力を借りても問題ないだろう。本当は最後まで自分たちの力で何とかしたかったが、ここが潮時だ。
それに案外、水神と戦った時と同様、あっさりと魔力を消費することなく北神も倒してしまうかもしれない。
そうと決めたら早速、あらかじめ決めておいた救難信号の魔術を上空に打ち上げる。
北神が身構えたものの、決闘開始の合図の練習だとか何とか言ってごまかした。誤魔化しのルーデウスにかかれば朝飯前だ。俺が誤魔化せないのは奥さんだけだぜ。
そうして北神とラズリィが向かい合い、ラズリィは地面に座り込んで静かに魔力を操作している。
剣士とはいえ、日ごろから王竜剣を使っている北神にも魔力の高まりは分かるのだろう。
真剣なまなざしで王竜剣を構え、いつでも重力破断を繰り出せるよう待機している。
もちろん、その間も俺に対する警戒は忘れていない。流石にアトーフェほど間抜けではないのだ。
1分とも1刻ともつかない集中の末、ラズリィがゆっくりと目を開けた。
それに合わせ、北神も構えに入る。
「右手に剣を。左手に剣を。両の腕で齎さん、有りと有る命を失わせ、一意の死を齎さん。
我が名は北神流アレクサンダー・ライバック」
「神級魔術」
「奥義『重力破断』!!!」
「
決着は一瞬だった。
両者とも、重力を操る究極の一撃。
北神の放った重力を乗せた渾身の斬撃は、ラズリィと北神の間に発生した真っ黒な球体に吸い込まれた。
光を捻じ曲げ、周囲の景色を歪めるほどの超重力は、放たれた斬撃だけに飽き足らず、王竜剣そのものを半分ほど飲み込み、そしてすぐに消失した。
ぱたりとラズリィが地面に倒れ伏し、北神は手元の愛剣を見つめて硬直した。
決着だ。疑う余地のない勝利。
負けた北神は、手元の剣を見ながら不気味なほど沈黙を貫いている。
ラズリィは動かない。立て続けに使った神級魔術に、流石のラズリィも魔力が限界に来たのだろう。
決闘には勝った。だというのに、悪い胸騒ぎが止まらない。
ぴくりとでも動いた瞬間、この静寂は決壊する。
そしてそれは、間違いなく良い結果にはならないだろう。
静寂を破ったのは、北神だった。
「……なぜ」
誰に向けたものでもない、強いて言えば自問自答するような声色。
「……なぜ、なぜっ、何故だっ!何故ッ…!!」
それは、何に対する疑問なのか。
決闘に負けたことか、王竜剣が半ば消失したことか、それともっと別のことか。
彼自身、きっとわかってはいないのだろう。
「嘘だ、王竜剣が負けるなんて、ありえない!ありえていいはずがない!」
現実を受け入れられない人間のすることは、決まっている。
「ラズリィ……グレイラット……貴様、貴様がぁあああああ!!!!!!!」
癇癪をおこし、元凶を叩く。
子供であれば可愛いものだが、北神ともなれば話は違う。
ルーデウスが駆け寄ろうにも、魔導鎧なしでは間に合うはずもない。
「返せ、僕の王竜剣を、返せぇえええええええええええええ!!!!!!!!」
振りかぶった剣がラズリィへと振り下ろされる直前、その剣は男につかみ取られた。
その瞬間、恐ろしい悪寒にさらされた北神は身体が硬直し、背後に立った男によってあっさりと放り投げられてしまった。
「無事か、ルーデウス。ラズリィ」
そこにいたのは我らが社長、オルステッド様だ。
よかった、もう大丈夫だという安心感に、膝から崩れ落ちる。
勝ったのだ。ようやく、この戦いが終わった。今度こそ、本当に。
「それで、何故ここに北神がいる?」
「あ、はい。どうやら冥王ビタが死んだ後にヒトガミの使徒になったようです」
「そうか。では、殺すか」
「……」
あっさりとそう言い放ったオルステッドに、うまく返事が出来なかった。
北神の言動があまりに子供っぽかったからだろうか。
数日前に、シャンドルさんとの親子の会話を聞いたからだろうか。
あるいは、さきほどギースを看取ったことで感傷的になっているからだろうか。
オルステッドは少しだけ眉根を寄せたものの、気にせず北神を投げた方向に歩いて行こうとして、足が踏み出せなかった。
いつの間にかラズリィが、オルステッドのズボンのすそを握っていた。
「どうした、ラズリィ」
「オルステッド様。北神様を殺さないで上げてください」
それを聞いて、オルステッドは眉を顰める。
「しかし奴は、ヒトガミの使徒だ。放置するわけにはいかない」
「わかってます。でも、悪い人じゃないです。改心できます」
「……」
難しそうな顔でオルステッドが考え込む。
どうやら、ラズリィの言葉に理がないわけではないらしい。
「オルステッド様。もう、ギースさんみたいに、殺しちゃうのは、いやです……」
そこで初めて顔を上げたラズリィは……ぽろぽろと、涙を流して泣いていた。
オルステッドがわずかに目を見開く。おそらく俺も似たような顔をしているだろう。
ラズリィはぐずぐずと泣きながら、力なくズボンのすそを引っ張って、またぱたりと倒れてしまった。
「おねがいです、オルステッドさま……」
「……わかった。だからもう泣くな、ラズリィ=グレイラット」
「はい……」
しゃがみこんで優しくラズリィを抱き起したオルステッド様が、そのままお姫様抱っこで彼女を運び、俺に受け渡して言った。
「ルーデウス。剣を作れ」
「え……? は、はい」
よく分からんないが、とりあえず言われたとおりに土魔術で剣を作る。
といっても、普段素振りで使っている石剣のちょっと固いバージョンだ。
魔力もろくに無いため、本当にただの石剣。
「ふむ。まぁ、これぐらいでちょうどいいだろう」
久しぶりに剣を握ったというように軽く何度か石剣を振ると、オルステッドは振り返り言った。
「少し、待て。すぐ終わらせる」
そう言い残し、悠然と北神が放り投げらえた方向へと歩み去った。
***
しばらく兄の腕の中で目元を拭っていると、オルステッド様が北神様を連れて戻ってきた。
何があったかは聞くまい。北神様の顔を見れば、大体見当はつく。紛争地帯ではよく見た表情だ。
そしてオルステッド様の先導の元、飛び起きたエリス姉と共に近くの転移魔方陣まで移動し、北神様を残して私たちは空中城塞に戻った。オルステッド様に「すぐ戻る、そこで待て」と言われた北神様は可愛そうなくらいビクビクしてた。
道中、ルー兄が闘神はどうなったか聞いていたが「問題ない。対処済みだ」としか教えてくれなかった。オルステッド様はいつも言葉が足りないと思いますと言ったらルー兄とエリス姉から胡乱な目で見られた。ごめんなさい……。
空中要塞では、出迎えたナナホシにめちゃくちゃにされた。えっちな意味ではない。
でも、出発前にやったおまじないは、忘れられそうにない。またいつかしたいな。
そんな話をしていたら、ルー兄とナナホシが何やら大人の話があるといって別の部屋に行ってしまった。仕方ないので、シルヴァリルさんに抱き着いて時間をつぶした。
ペルギウス様にはきちんと感謝の言葉と共に杖を返却した。今更ながらに、こんな豪奢な杖借りちゃってよかったのかと聞いたら、呆れた顔で「流石の我とて、神級魔術に耐え得る杖はこれしか所有していなかった。それだけだ」と言っていた。シルヴァリルさんは凄くにこにこしてた。
それから「礼の件、ゆめゆめ忘れるなよ」と悪いお顔で脅された。何させられるんだろう……痛いのは嫌だな……。もし変なお願いされたらナナホシに守ってもらおう。
先に帰ったエルス姉を追ってルー兄と一緒に家に帰ると、家族全員に泣きながらもみくちゃにされた。苦しいけど幸せです……。ちゃんと一人一人に、あの時はごめんねと謝ったのだが、ますます泣かれてしまった。シルフィ姉、胸がゴリゴリして痛……あ、ごめんなさい!冗談です!
取り合えず皆に、あの時は無理やりトラウマを刺激されたからああなっただけで、もうそこまで傷ついてるわけじゃないし大丈夫だよと弁明しておいた。
結果、一ミリも理解してないだろう目で「うんうん、わかったよ」とみんなに頭をなでられた。どうすれば信じてもらえるのだろうか……。エリス姉だけは「そう、ならよかったわ!」と理解を示してくれた。エリス姉大好き。
家には家族だけではなくて、クリフさんやザノバさん、ジュリたちも居た。特にジュリには随分と心配をかけたようで、ひしっと涙の抱擁を交わしてしばらくお団子になってしまった。事情をあまり理解していないルーシーも突撃してきて団子三姉妹になった。
リニアとプルセナからはお祝いにお肉を貰った。お菓子の方が嬉しいのだが……まぁ良い。この二人なりの気遣いなのだろう。ありがたく頂戴した。
クリフさんはこのあとミリスにとんぼ返りらしいので、お土産にお肉を渡しておいた。ウェンディちゃんにもよろしくね。また今度遊びに行きます。
家族も、友達も、みんな無事。
私にはそれだけあれば、満足なのだ。
あとついでに、戸棚の隅に大量の好物のお菓子を発見した。最高かよ。
『補足情報』
・ギースの催眠魔術
彼にとってラズリィにかけた暗示は生涯最高ともいえる会心の出来ですが、それでもヌカ族の中で落ちこぼれだった彼にとっての最高です。
そのため、女性とトラウマを結びつけるのは難しく家族一人ひとりと関連付けさせる必要があったり、時間がたつにつれて段々解けていったりと、割とダメダメです。
もし彼のお姉ちゃんが掛けてたら、多分本当に1年かけてようやく解除出来るかどうかの暗示になっていた事でしょう。
ところで原作の彼は一人っ子なのでしょうか?何となく兄姉がいてコンプレックス抱えてそうなイメージがあります。
・ギースの姉
今作二人目のオリジナルキャラ。名前は考えていない。「嬢ちゃん」と「姉ちゃん」ってなんだか似てるなと思って急遽追加しました。
ラズリィ同様、言葉が足りないところがあり、そのせいでギースへの愛情が本人には届いていなかった。ちっちゃくて可愛いクールロリ。
ちょっと意地悪なところがあり、実はかなりいたずら好き。
ヒトガミの思惑で村が焼かれた際に弟を連れて命からがら逃げ伸びて、当時ショックで荒れていたギース少年を守ろうと必死で動き回るも、最後は弟を守って死んだ。
最後の最後に自分の気持ちがちゃんと伝えられて満足。
・闘神
流石に神級魔術といってもラプラスのそれには遠く及ばないレベルであるので、闘神の封印は一時的なものです。
オルステッド様は一人寂しく「俺も一度くらい、仲間を信じて戦ってみたい」と呟きながら神刀でさくさく闘神鎧を引きはがし、原作通りに封印しました。
少し感傷に浸っていたら救難信号が見えて慌てて急行、状況が分からず見守ってたら突然の神級魔術VS重力破断にびっくり。身を盾にしてでもラズリィを守ろうとしたら普通に押し勝ってて肩透かしを食らい、それを隠すように悠々と現れて北神をぱしっ、ぽいっしました。
・北神対龍神
何の変哲もない石剣で北神がボコられて無事心が折れました。オルステッド様が気持ち普段よりキツめに言葉攻めしたのも効果があったのでしょう。
多分原作でも、闘神鎧はあってもなくても関係ないと思います。
・魔導鎧
アレク君は小心者なので、ルーデウスが魔導鎧を脱いでるのを見るや否や、真っ先に地竜谷へと叩き落しました。余裕のありそうな事を言いながら内心かなりビビってます。セリフはコピペです。
魔導鎧がなければ負けるわけないもんね!と一気に調子に乗ってルンルンで「戦いは時を待ってはくれません!」とか言ってます。
ヒトガミにも散々おだてられて有頂天です。遂に俺の時代が来た!
・戦闘の流れ
結構ラズリィが格好良く活躍するように書いたつもりです。
ではラズリィは強いのかというと、実は戦闘の流れは事前にオルステッドと作戦会議したものをなぞっているだけで、ラズリィの戦闘IQはかなり低いです。
龍神攻略法に従って空に打ち上げてデカいのを一発。その際念のため地面の結界魔方陣は保護。
同じ手は二度は通じないだろうからと、次は見晴らしをよくするために風魔術で周囲を更地に。
後は転移魔方陣による不意打ちも有効だろうと言われてたので準備してたら、何とか間に合いました。事前にアドバイス貰ってなかったら死んでた。
神級魔術はいつ来るか分からないので、なるべく早く準備しようとずっと詠唱しています。火帝級魔術を使った時や雷光が撃たれそうになった時はちょくちょく中断してますが、闘神に殴られたときからずっとです。それ以外の魔術はすべて無詠唱魔術でした。
それに、闘神やギースとの会話中にこのままじゃ詠唱が間に合わないかもと焦り、感覚は掴んだので得意な氷系へと内容をアレンジながら残りを急速に構築しました。滅茶苦茶集中してるから余裕に見えてるだけで、内心かなり焦ってます。
ようやく構築が終わって一安心しネタ晴らししたら、すぐに闘神が殴りかかってきて「あわわわ、あっぶなー……」となってます。この子は基本的に魔術以外は本当にダメです。
・神級魔術
魔術関連はかなりオリジナル設定盛りだくさんで、完全に妄想です。
水王級魔術が「雷光」というシンプルなネーミングなので帝級もシンプルに「大瀑布」と、英語名の魔術もチラホラ散見されるため「プロミネンスフレア」にしました。おっきいイメージ。
原作ではムーアくらいしかまともに魔術の打ち合いをしていないのが不満だったので、かなり妄想全開にした。ド派手なバトルが好きだけど、詰将棋のような勝負も好き。
ラズリィはちょっと盛りすぎたかな……とは思うものの、ルーデウスが魔術に全振りしていたら多分このくらいになっていたのではないだろうか?ボブは訝しんだ。
言うまでもない事ですが、ラズリィもラプラス因子を持っています。過去のループでは未熟児として生まれて死亡、本ループではルーデウスの魂の欠片により生存。
北神との決闘の方は、神級魔術と言ってますが単に重力魔法を極限まで高めただけです。直前に神級魔術をうった時の感覚に従って構築しました。黒閃後の呪術師のように、ちょっとブーストがかかってます。
・クロ(白い子猫)
戦闘中は魔導鎧の中でラズリィの胸に潰されていた。改良後の魔導鎧は、胸部の空間に多少の余裕を持たせることになるであろう。別に胸は成長していないのに。
ラズリィが神級魔術を放った際は、杖の魔石に引っ付いて魔術の制御を一部肩代わりしていた。ぶっつけ本番で神級魔術を成功させた陰の立役者である。メタ的には、Wikiによると神級魔術には制御用の魔法陣が必要だそうなのでその代替。
ラズリィの魔導鎧が吹き飛ぶほどの衝撃にさらされながらも何とか生存。主が身に着けてる魔道具を勝手に使って自分の傷を治し、主を咥えて杖をしっぽで絡めとり、ルーデウスの元まで頑張って移動した。
主の裏切りで危うくボレアスの餌食になりそうなところを危うく回避し、ムカついて憂さ晴らしに通りがかりの猿顔魔族をボコした。戦利品として謎の魔道具をゲットし、それで遊ぶことで機嫌は直った。
・エリスが急に出てきた件
なるべく原作通りに闘神を倒したかった。エリスカッコいい。
オルステッド様とラズリィが合流して作戦会議をしたとき、王竜剣はオルステッド様が回収していて、ラズリィは自分じゃ扱えないから誰かに渡しておいて欲しいと魔力を籠めてからオルステッド様に託していた。
その後撤退した皆が転移で避難する際に誰がこれを使うかってところでエリスに白羽の矢が立ち、オルステッド様から念のためと魔術耐性のあるローブを受け取り、息を殺してルーデウス達の元に舞い戻った。
ラズリィの風帝級魔術を龍神ローブで耐えながら、見晴らしの良くなった森の中で倒れた木の間に挟まりじっと勝機を待っていた。
・ギースに売られた話
露悪的に言ってますが、ギースはあくまでクソペド王に売られるのを黙ってみてただけです。彼本人が売り飛ばしたわけではありません。
ヒトガミの指示は、彼女が死なないようにフォローしつつ例の短剣を回収する事でした。ルーデウスに恩を売りつつ、いざとなれば簡単に殺せるように。
クソペド王に保護(?)されれば命の危険はないだろうという事で、任務完了となりました。
ラズリィにとって、ギースは紛争地帯で唯一自分を守ってくれた人でした。幼い彼女にとってのヒーローです。ようやくこの地獄から解放されるんだと喜んだのもつかの間、むしろより悪化して絶望しました。それでも彼女にとってギースはヒーローです。
そのような経緯をルーデウス達に伝えなかったのは、単純に彼らの仲が拗れてしまわないよう気を使っただけです。ギースが友達だというのはエリスやルイジェルドとの旅の道中に聞きました。
あまり頭の回らないラズリィには、ヒトガミの関与なんて可能性すら浮かびませんでした。この子は能天気なようで結構気をつかう子です。でも感情の機微に敏いわけではありません。
・ラズリィの好物のお菓子
特に何も思いついていませんが、甘いものが好きそう。ブエナ村時代からの好物が、記憶が美化されたことで大好物になった。
ラノアではあまり入荷されないようなモノだといいですね。見つけた瞬間「これ買って!」とラズリィがはしゃいでそうです。フィットア領の名産品とかにしますか。
・ひとこと
展開に無理があったり、キャラに解釈違いなどなかったでしょうか。
二次創作の小説を書いたのは初めてなので、色々と未熟だと思いますが、出来る限り原作に沿って書いたつもりです。最も原作はWeb版しか読んでませんから、設定の抜け漏れもそこそこあると思います。
もし面白ければ、評価や感想など頂けると幸いです。感想は10倍返しです。覚悟の準備をしておいてください!
うそです、3倍程度です。