無職転生オリキャラ妄想 ~異世界少女は頑張ります!~   作:af

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アキヤスポさん(感想ありがとう)から他キャラ視点のラズリィも見たいとリクエストいただいたので、ロキシー視点です!
決して副題の言葉遊びがしたかったわけではありません。
我が推しロキシーを曇らせてかわいくしたかっただけです。


おまけ編(リクエストがあれば追加)
神の視点 序


私、ロキシー・ミグルディアとラズリィ・グレイラットの出会いは、ブエナ村にある小さなお屋敷でのことだった。

 

当時の私は魔法大学を飛び出したはいいものの就職先がまるでないことに絶望し、ルディの家庭教師としてフィットア領の片田舎で住み込みで働いていた。

幼いルディはまごうことなき天才であり、私は自分の持てる全てをルディに叩き込むべく日夜頭を悩ませていた。

あの頃は本当に幸せだった。可愛らしくとんでもなく教え甲斐のある教え子に、あたたかな家庭、穏やかな日々。

 

そんな生活が崩壊の危機に瀕したことがあった。

家主であるパウロさんの不貞である。

 

お相手は屋敷内の唯一のメイドであるリーリャさん。

ちょうどそのころ奥方であるゼニスさんの妊娠がわかり、家がお目出たい雰囲気に包まれていただけに、落差で屋敷内は一気にお通夜と化した。

あの時のゼニスさんの様子は、見ているこっちまで泣きそうになるくらい酷いものだった。

思わず家族でもない雇われの身である私でさえ、パウロさんにとても冷たい目をしたほどだ。

 

そんな家庭崩壊の危機を救ったのは、我が教え子である天才ルディだった。

この子は魔術の天才であるばかりでなく、ひび割れた家族の仲を取り持てるほど感情の機微にも敏く説得も上手で、本当に何でもできる子なんだなとしみじみ思ったものだ。

それに引き換え自分は……と、その日はだいぶ落ち込んだのを覚えている。

 

そんなイベントの後に控えていたのは当然、ゼニスさんとリーリャさんの出産だ。

子供が生まれる瞬間というものを見たのはあの時が初めてで、言いようのない生命の神秘を感じた。

同時に、こうして腹を痛めて産んでくれた両親に何も言わずに故郷を飛び出してしまった自分の親不孝を改めて実感した。とはいえ、家族に手紙をだすことはなかったのだが。

 

産まれてきた可愛らしい双子の姉妹。ノルンとラズリィをこの手に抱いたときの感動は今でも覚えている。

健やかに育って欲しいと、そんな思いが自然と胸をいっぱいにした。

毎日泣いて母親を探し求める双子の赤ちゃんを、私は少し羨ましく思いながら眺めたものだ。

 

たとえこの先結婚が出来ずとも、どこかで種を貰ってでも子供は絶対に産もう。

そう決意した。

あの時。迷宮でルディが助けに来てくれなかったら、実際にそうしていただろう。

まぁ、その前に死んでいるか。

 

ゼニスさんは子育てにとても苦労していた。

どうやらルディはほとんど泣きもしないし暴れもしない、本当に手のかからない子供だったそうだ。ルディは生まれた時から天才だったらしい。

 

そう聞いて少し安心してしまっている自分が居た。

きっとこの子供たちは、ルディのように2歳から魔術を使うような天才ではないのだろうと。

実際には、片方は3歳から魔術を使う天才だったわけだが。

 

ある時私はゼニスさんにこういった。

もしもこの子たちに困ったことがあれば、私を読んでください。必ず駆け付けます、と。

そう、私は約束をした。

後々まで私を苦しめることになる、果たせぬ約束を。

 

***

 

ルディが5歳になったころ、私は卒業試験として水聖級魔術である豪雷積層雲(キュムロニンバス)を伝授して、その足でブエナ村を旅立った。

今一度自分の慢心を正し、真摯に力を磨いて、ルディに恥ずかしく思われない立派な先生になろうと固く誓って。

 

そうして迷宮を潜り、単独踏破して、シーローン王国に召し抱えられ、パックス王子の家庭教師として再びモノを教えるようになって。

その間もルディとは文通をしており、その手紙には必ずと言っていいほどラズリィの事が記されていた。

 

ラズリィは魔術が大好きで、3歳にして初級魔術を発動させ、5歳にして上級魔術も一部モノにしていること。魔術以外はどうにもダメで、未だに読み書きすらおぼつかない事。本当は付きっ切りで魔術を教えてあげたいが、ロアで家庭教師をしているため難しい事。

 

産まれた時は普通の女の子に見えたラズリィは、それでもルディに匹敵するほどの実力をつけているらしい。教師としての才能でも弟子に遥かに後れを取っているようで、少し情けなかった。

そして、グレイラット家の末恐ろしい才能にちょっと恐怖した。なんなんだ、あの家は。もしかして伝説の魔術師の家系なのだろうか。

 

そう思いながらも、あまり要領の良くないパックス王子に魔術を教えながら、その様子にまだ見ぬ成長したラズリィの姿を想像して重ねていた時、あの事件が起こった。

 

転移事件。

原因不明の、歴史上類を見ないほどの大規模魔術災害。

フィットア領がきれいさっぱり消失したという知らせを聞き、その災害の性質を知った時、私は即座にシーローンを後にした。

引きとどめられると思い、素早く準備して即座に行動した。

 

あの時はそれが正しいと思い行動したし、あの場面では決して間違った判断ではなかったとは思う。時間をかければ、パックス王子はどのような手で私を引き留めようとするか、わかったものではなかった。

しかしその結果、リーリャさんとアイシャには要らぬ苦労をかけてしまった。私の不始末だ、申し訳ない。

 

思えば、あの時。私はもう少し考えを巡らせておくべきだったのだ。

私はフィットア領の人たちがパウロさんを中心に捜索団を組織したを受け、彼らの手が及ばない場所を探すために昔馴染みに魔大陸へと足を踏み入れたわけだが……。

 

魔大陸は、過酷だ。力のない一般人が転移すれば、何をされるか分かった物ではない。

あそこでは、力がすべてだ。実力があればどうにでもなり、実力がなければどうにもならない。

そう、力さえあれば、生きていくのはそこまで難しくはないのだ。

 

しかし、力があってもどうにもならない場所がある。

紛争地帯と呼ばれる、年がら年中戦争ばかりして、小国が勃興してはあっけなく滅ぶ魔境。

ルディもラズリィも、年に見合わぬ実力は十分に兼ね備えている。

ならばこそ私は、真っ先に紛争地帯を探すべきだったのだ。幸い私は、そのすぐそばにあるシーローン王国にいたのだから。

 

……とはいえ結局、それは後になっていえること。

迷宮であれば魔物を倒せればそれでいいが、紛争地帯の敵は人間だ。

王級とはいえ、子供のような見た目の魔術師一人が気楽に渡り歩ける場所ではない。

せめて信頼のおける上級以上の前衛が一人か二人は必須だ。

当時の私には、そんな伝手はなかった。

 

私は、何の疑問も持たずに魔大陸へと旅立ってしまった。

すぐそこに、助けを待つ幼い少女を残して。

私は約束を守れなった。

 

***

 

私がその過ちを知ったのは、魔大陸の捜索を徒労に終え、紆余曲折の末ベガリット大陸でパウロさんたちに合流したときだった。

久しぶりに再会したパウロさんは、やつれてはいたものの元気そうだった。傍らにはリーリャさんもいた。無事なことは知っていたが、改めて二人の生存を喜んだ。

 

2人からシーローン王国での事の顛末を聞き、それは申し訳ない事をしたと何度も頭を下げたが、二人は笑って許してくれた。君がルディたちを探すためにあちこち回ってくれたことは知っている。二人は無事だったのだから、それでいい、と。

2人からそう言ってもらえて安堵した私の心は、続くラズリィの話を聞いてぐちゃぐちゃになった。

 

それは、齢6つの少女を襲った、あまりにも過酷な悲劇の物語。

固く拳を握締め、絞り出すように語ったパウロさんの言葉に、私は何も返すことが出来なかった。

私は今まで何をやっていたんだろうと、目の前が真っ暗になるような気持だった。

 

最後にパウロさんがぼそりと呟いた「なんでラズリィを助けてくれなかったんだ……」という言葉は、私の胸に深く突き刺さった。

パウロさんも口に出すつもりはなかったらしく、慌てて「すまない、言い過ぎた。こんなの八つ当たりだ、見つけられなかったのは俺も同じなんだから」と謝罪されたが、私の心は先ほどの言葉を肯定していた。

 

その時の私は血の気の引いた真っ青な顔色で、酷くショックを受けた表情をしていたらしい。本当にきみのせいじゃないんだと何度も何度も言われたが、私はそれに曖昧に頷くことしかできなかった。

その夜、夢の中で成長したラズリィが「なんで私を見捨てたの…?」と血を吐きながら問いかけてきた。私は夕食を全て吐いた。

 

翌日、私もゼニスさんの救出に参加させてほしいと、パウロさんに頼み込んだ。迷宮探索の経験なら豊富だし、絶対に役に立って見せるからと。

パウロさんは二つ返事で了承してくれて、こちらこそよろしく頼むとお願いされた。

心の中でゼニスさんに、形は違えど今度こそ約束を守って見せると固く誓った。

 

***

 

私は張り切って、持てる力の限りを尽くし迷宮探索をサポートした。

挑む先は前人未到のSランク迷宮たる転移の迷宮。

普通なら攻略なんて不可能だと一笑に付す難易度だが、半数以上を元Sランク冒険者で固めた私たちにとっては、決して手の届かぬ相手ではなかった。

 

来る日も来る日も、ダンジョンアタックを行った。

寝る間も惜しんでダンジョンの構造を頭に叩き込み、どうすればより効率的に攻略できるかギースさんと何度も話し合った。

私は必死でダンジョン攻略に取り組んだ。過去の過ちから目を背けるように。

 

しかし、ダンジョン攻略においては焦りは禁物。

少しの油断が命の危機に直結するSランク迷宮においては、それは絶対のルールだった。

だから私が足を踏み外し、ランダム転移の魔方陣を踏んでしまったのも、きっと必然だったのだろう。

 

あるいは、天罰だったのかもしれない。

悲劇の少女を置き去りにした、愚かな私に下った罰。

 

かつてラズリィがそうであったように、転移によって私は一人、魔物の群れに取り残された。

 

私は必死に抗った。

死にたくないと、こんなところで一人孤独に終わりたくないと、誰もいない空間に叫んだ。

死に物狂いで魔物を倒し、倒した敵の血肉をすすった。

 

寝ても覚めても魔物の群れ。

時間の感覚はとっくに壊れ、狭い洞窟を孤独に一人、敵から逃げ回るだけの日々。

徐々に、徐々に、絶望が足元から這い上がってきた。

 

やがて絶望は諦観に代わり、そして罪悪感へと変質した。

毎日、気絶するように眠りに落ちる前に、懺悔した。

今日も一日生き残ってごめんなさいと、想像の中のラズリィに謝罪していた。

この時の私の中では、ラズリィは既に紛争地帯で命を落としたことになっていたのだ。

記憶が歪んでしまうほど、私は追い詰められていた。

 

最終的に、ただただ夢を見ていた。

ブエナ村で毎日のように、幼いルディとラズリィに魔術を教えている。

すぐ傍には人族の青年がたたずんでいて、駆け寄れば優しくキスしてくれる。

ふと気が付くと赤子の泣く声がして、私は慌ててお乳を与えるため家に走って帰るのだ。

そんな、どうしようもなく、幸せな夢。

 

何となく、今日じゃないかと思った。

背後に忍び寄る死神が、私の胸に大きな刃を突き立てる、そんな日が。

背後から迫る魔物の群れに追い立てられるように、目の前の転移魔方陣へと足を踏み入れ。

待ち受ける魔物の大軍を前に、絶望し立ちすくんだその時。

 

私の運命(ルーデウス)が、現れた。

 

***

 

夢のようだった。

愛らしく、優秀な、自慢の愛弟子だったルディが、私の理想の男性となって、助けに来てくれた。

彼の腕の中に納まって、歩くのに合わせてゆらゆらと揺れる視界には、あんなにも恐ろしかった迷宮が輝いて映った。

 

……後になって思えば、あの時の私は相当汚れていて、臭いも酷かっただろう。

なんであの時の私はのんきにお姫様抱っこされてたんだ、私のバカ!

でも、幸せだった。なぜなら私は、夢を叶えたのだから。

同時に、胸の奥がちくりと痛んだ。

 

それからの事は、我ながらやってしまったとは思うが、後悔はしていない。

だって、ルディを逃したら多分、私は一生お嫁にいけないのだ。

どうして諦められるだろうか。あんな劇物のような再会を果たした、理想の男性を。

例え帰ったその先で捨てられることになろうとも、私は後悔だけはしなかっただろう。

 

ただ、小骨のように引っかかった罪悪感は、抜けることはなかった。

道中ルディとはたくさん話をしたが、ラズリィのことだけは話題に出すことすら出来なかった。

たとえ今の彼女が幸せに暮らしているのだとしても、私は私を許せないのだから。

ルディもそのことを察したのか、ラズリィについては何も言わなかった。

 

家にたどり着いて、ルディが家の扉を開けるとき、私はとても怖かった。

それはもちろん、これから私が妻になるか捨てられるかの2択を迫られるからというのもあるけど、それと同じくらい、ラズリィと顔を合わせるのが怖かったのだ。

何となく、昔馬を怖がっていたルディを思い出した。

あの時のルディと似ているなと、そう思うと少しだけ、身体のこわばりが解けた気がした。

 

最期に会ったのはブエナ村で、当時のラズリィはまだ1歳の赤ん坊だった。

それでも、一目見て、この子がラズリィなのだと分かった。

真っ白の髪に、幼い体躯。確か今年で12歳になるというのに、その見た目は良くて10歳、下手すれば7歳くらいに見える。

そして、在りし日のルディと瓜二つのかわいらしい顔に、ちいさな笑みを浮かべている。

 

私は必死で、涙が出るのを我慢した。

胸の奥から熱いものがこみ上げて、今にもひざを折ってしまいそうだった。

それが、感動だったのか、安堵だったのか、悲しみだったのか、今でもよく分からない。

ただひたすら、目の前の命が尊かった。

 

***

 

パウロさんの話が終わり、遺品を分配し終わって、エリナリーゼさんたちは帰っていった。

去り際に彼女にがんばれと軽くたたかれたが、私は正直、自分から嫁にしてくれと売り込むつもりはなかった。私はこの優しい人達に対して、結局何もしてあげることは出来なかったのだから。

 

こんな私が、目の前の幸せそうな家庭に、どうして堂々と横入りなぞできようか。

アイシャとリーリャに迷惑をかけ、ゼニスさんの救出では力になれず、みすみすパウロさんを死なせ、目の前の少女を救えなかった私が!

 

目の前には、4人の女性がいる。お腹が膨らんでいる長耳族の女性が、シルフィエットさんだろう。

そして、ゼニスさんを思わせる金髪の少女はノルン、赤髪の少女はアイシャ。白髪の、二人より一回り小さい少女がラズリィ。

4人を見回して私はルディの隣に立ち、彼が家族に事の顛末を説明する間、黙って目を彷徨わせる。

 

「シルフィ。許してほしい」とルディが床に座って土下座すると、今まで黙って聞いていたノルンがキッとルディを睨みつけ、何か叫ぼうと口を開いた。

しかし、傍らの白い少女――ラズリィがノルンに抱き着くと、ノルンはぱくぱくと何か言おうとしては言葉を飲み込み、結局沈黙した。

 

針のむしろのような雰囲気。彷徨っていた私の視線は、シルフィエットさんの膨らんだお腹に吸い寄せられるように固定された。

怖くて視線を上げられない。ただ無性に、罪悪感が湧いた。

彼女の膨らんだお腹が、私の罪の象徴のように感じられた。

 

沈黙を破ったのは、シルフィエットさんの足音だったのだ。

コツコツと音を立てて私の前に歩み寄り、ゆっくりとしゃがんで私と視線を合わせた。

その目は、びっくりするほど優し気に細められていて、思わずびくりと肩が震えた。

その瞳は、数十年ぶりに帰郷したときの母の瞳にそっくりだった。

 

「……ボクは歓迎するよ、ロキシーちゃん」

 

そういって、ゆっくりと私の手を取り、握ってくれた。

そして、滔々と語りだすシルフィに、なんとか返事をするだけの私。

私は混乱していた。なんでそんな優し気に私を受け入れてくれるのか、理解できなかった。

 

「一緒に、ルディを支えていこう。ロキシー」

「……ありがとうございます。シルフィ」

 

なんとかそう答えをひねり出したものの、私の頭はちょっとほわほわしていた。

苦笑するシルフィに、私はつられて曖昧な笑みをこぼす。

そこで初めて、白い少女が口を開いた。

 

「……じゃあ、今日からはロキシー姉になるの?」

「そうだね。ラズリィの二人目のお姉さんだ。ね、ロキシー?」

 

そう茶目っ気たっぷりに問いかけるシルフィに曖昧な返事をしていると、ラズリィがてとてと歩み寄ってきて、きゅっと首筋に抱き着いた。

ふわりと香る甘い匂いが、夢じゃないことを告げている。

それでも、夢のような瞬間だった。

 

「これからよろしくね、ロキシー姉!」

「……はい、よろしくお願いします。」

 

呆然と答えた後、私はそっと抱きしめ返した。

やわらかく、あたたかな体温が、じんわりと身体にしみわたった。

 

***

 

その後、ルディとシルフィと3人でこれからの事について話し合った。

正直まだルディのお嫁さんになった実感はわいていない。

でも、私の膝の上ですやすやと眠る幼い少女の重みだけは、しっかりと現実感を持っていた。

 

「ラズリィちゃん、すっかりロキシーに懐いたね」

「そうなのでしょうか。そうだったら、嬉しいですね」

 

シルフィの言葉に、ちょっとむずがゆいものを感じる。

私なんか、彼女に懐かれる資格ないのに。

そうは思っても、心がぽかぽかと温かくなるのは止められなかった。

 

「ラズリィはこれで結構人見知りしますからね。初対面の相手に抱き着くのは初めて見ました」

「……そうなんですか?」

「うん、ボクも初めて見た。ボクの時は、まぁ元々知り合いだったからね。それでも抱き着いては来なかったよ」

「そうですか……」

 

じゃあ、いったいどうして私なんかを気に行ったのだろうか。

今までの経験でも、ここまで子供に好かれたことは一度もないのだが

 

「きっと、ロキシー先生の事を尊敬してるんですよ」

「尊敬?」

「ええ。ロキシー先生の素晴らしさは、余すことなくラズリィにも語って聞かせましたので!」

 

そういって鼻高々にどや顔するルーデウスとは対照的に、ロキシーは段々と顔を青くしていった。

 

「それって、いつもルディが大げさに言いふらしているアレですか?」

「大げさだなんて!ただありのまま、ロキシー先生のすばらしさを語っているだけです!」

「それが大げさだって言ってるんですよ!!」

 

ラズリィを起こさないようにと、小声で叫ぶという器用なことをしながらも、頭を抱えたくなってしまった。

もしかしてラズリィは、ルディのあの大げさな称賛を真に受けて、私の事をルディ以上の大魔術師だとでも思っているんじゃなかろうか。

だとしたら、どうしよう。現実を知って落胆して、反動で私の事を嫌いになったりしてしまうのだろうか。

それは……すごく、すごく嫌だ。

そんなことになったら、私はルディにみっともなく八つ当たりしてしまうかもしれない。

 

あわわわわと恐ろしい未来に震えていると、シルフィが優しく頭をなでてくれた。

私は成人してると言ったはずだが、あまり信じられていない気がするのは気のせいだろうか。

 

「大丈夫だよ、ラズリィはやさしい子だから。ちょっとイメージと違ったくらい、気にしないよ」

「……そうでしょうか。私がラズリィだったら、多分凄くがっかりすると思います」

「大丈夫です、先生!その時は俺が改めて先生のすばらしさを教え込みます!」

「ルディはちょっと黙っててください!」

 

先行き不安だが、馬鹿なやり取りをしていたせいか、気づけばシルフィとはあまり緊張することなく話せるようになっていた。

あらためて、膝の上に乗ってもたれかかる愛らしい少女に、心の中でお礼を言った。

少女の口元からはよだれが垂れていたが、ロキシーは気にしなかった。

 




他キャラ視点のラズリィが見たいというオーダーなのに、肝心のラズリィがほとんど登場していません。なぜなのでしょうか?とても不思議です。発注ミスでしょうか?

書いていて、原作のロキシーは自分のせいでアイシャとリーリャが何年も閉じ込められてしまっていたことについてどう思っているのだろうと疑問に思いました。ルディにも入れ違い、アイシャとリーリャとも入れ違い、中々に間の悪い女の子ですよね……。ヒトガミの仕業だとは思うけど。

正直本編書いてる時はそこまで深く考えてなかったけど、改めて書いてみるとロキシーからラズリィへの矢印の大きさを盛りに盛ってしまった。ちょっと本編との整合性をとる必要があるかもしれない……。いっそIFって事にして逃げようか。

原作と違ってルディに抱えられながら迷宮から帰還したことについては、原作よりも更に心に余裕がない状態だった故、そこまで気が回らなかったという理由があります。単純にお姫様抱っこロキシーが頭に浮かんだからというのもある。

その後の家族会議でノルンが暴れなかったのは、彼女が原作より2歳年上のお姉さんになっているからというのも理由の一つです。ラズリィの存在も大きいけど。アイシャもそれとなくノルンのブレーキに回ったおかげで、大して荒れることもなく乗り切った。ルーデウスはしばらく床にすわりっぱなしだったが、誰も何も言わなかった。哀れ。

ラズリィが初対面で懐いた理由は、懸念通りルーデウスから先生の素晴らしさを沢山聞いて憧れてたからというのが半分、いきなりのアウェイな環境の中早くロキシーが家族として馴染めるようにと気を使ったのが半分、身長差が小さく抱きしめやすそうだったからというのがちょっとあります。
ロキシーはご挨拶ということで実はちょこっと化粧と香水をつけており、ラズリィは抱きついた瞬間「なんかいい匂いする!」と思って暫く抱きつき、なんのかんのあってロキシーの膝の上で寝落ちしました。良い子は寝る時間だからね、しょうがないね。
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