正義…?そこに無ければ無いですね   作:うにうにうにう。

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間話
剣と一緒に理性も壊れたちゃってたらの、もしもの話。
今まで飾りだったガールズラブタグよ火を吹け


もしもの話
友情とは別のドロドロした何か


桐藤ナギサ様。

トリニティ総合学園の生徒会(ティーパーティー)の長の1人。

気品ある口調に凛とした佇まい。一つ一つの所作が美しく、些細な反応ですら絵になる。更にはティーパーティーの長を務めるだけあってその政治的能力はとても高い。

仲良くさせてもらっていた*1けど、本来なら良家の出ではない僕とは住む世界が違う人間だ。

 

そんな彼女が、僕の腕の中で泣いている。

縋るように僕の胸元を掴み、涙を流している。

あのナギサ様が、僕なんかに弱みを曝け出している。

 

これは…多分、よくない感情だ。

…ダメだ、蓋をしろ。

 

「大丈夫だよ…ナギサ様」

 

今の僕はナギサ様を信用できていない。

また裏切られるかもしれないし、今度は使い捨てられるかもしれない。

でも…この暖かさだけは、嘘じゃない。

 

ダメだ。彼女を呪おうとするな。

 

…なんでダメなの?いいじゃん。

どうせ良いことしても返ってこないんだから。

悪いことだけ返ってくるなら…今更少し増えても、変わらないでしょ。

 

良い子だった僕は、あの日に死んだんだから。

 

「…でもね、ナギサ様は、みんなを裏切った」

 

耳元で、なるべく冷たく低い声でそう告げる。

ナギサ様の息を呑む音が聞こえた。

 

「ミカ様とちゃんと向き合わないから、セイア様が襲われた」

 

「補習授業部なんか作って……シャーレを利用して、ヒフミちゃんを裏切って、正実を裏切って、みんなを裏切った」

 

「ナギサ様がみんなを裏切るから……ミカ様に裏切られたんだよ」

 

ナギサ様の息がどんどん荒くなっていく。

ナギサ様を抱きしめていた手を離すと、それはより顕著になった。

 

「その結末が、調印式のとき起きた惨状。みんなが争って、憎み合って、心も体も傷ついて……先生も撃たれた。僕も…すごく、すごく痛かった」

 

「やめ、て…嫌っ……もうやめて、、ください…」

 

耳を塞ごうとするナギサ様の手を掴み、無理やり押さえつける。

焦点の定まらない目で、涙でぐしゃぐしゃになった顔を僕から背けるナギサ様が、たまらなく愛おしく見えた。

腹の奥から生じた震えが喉まで迫り上がり、止められず言葉になって出てくる。

もっとその顔が見たい。

 

「ダメ、やめない」

 

ナギサ様の頬に手を添えて、無理やりこちらを向かせる。

逃がさない、逃してやらない。

 

「本当に、みんな許してくれたと思う?」

 

「腐っても学園一番の権力者(ティーパーティーのホスト)の謝罪だよ?受け入れるしかないに決まってるじゃん」

 

「お願い、します……もう、やめて…私、は……」

 

他人()から全部奪うから…友達も、幼馴染も、全部失うんだよ。ひとりぼっちになって、誰も助けてくれない。この先も、ずっと独りで」

 

あぁ、なんで今まで気づかなかったんだろう。

ナギサ様がこんなに可愛いだなんて。

もう絶対裏切らないように、僕だけのものにしてしまいたい。

 

「……でもね、ナギサ様には僕がいるよ」

 

ナギサ様を優しく胸に抱いて、翼で全身を包み込んであげる。

 

「僕が一緒にいてあげる」

 

呼吸を落ち着かせるように背中をさすってあげる。

 

「僕が助けてあげる」

 

優しく頭を撫でてあげる。

 

「僕だけは、許してあげる」

 

耳元で優しく囁く。絶対に解けない(呪い)になるように。

 

 

「ナギサ様には、僕しかいないんだから」

 

 

僕はこの暖かさ(ナギサ様)を、絶対に逃しはしない。

可愛い可愛い、僕だけのナギサ様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、釈放された僕は正義実現委員会に復帰した。

正実に復帰してしばらくは心配されたし、あの日あの場所にいた後輩たちからは散々謝られた。

でも、それも先輩達の趣味を一緒に楽しんだり、後輩たちを以前の倍くらい甘やかしたりしてるうちに落ち着いて、今では前と同じような生活を送っている。

剣を腰に佩き、学区を巡回し、不良をしばき、先輩や後輩と戯れる以前通りの日々。

違うことと言えば主に2つ。

一つは剣を新しくしたこと。ナギサ様からの頂き物でクッソ高く、刀身の根本にトリニティの校章が刻まれているものだ。

神秘を流せば刀身は美しい黒色に染まり、光に晒せば青白く輝くようになった。前と同じように、神秘を馴染ませれば常に黒色の刀身になるだろう。

 

そしてもう一つ、それは夜間にナギサ様の護衛の仕事が入るようになったこと。

ナギサ様からティーパーティー所属になれとの誘いを断ったのが良くなかったのか、わざわざ正実を通して僕を指名してまで側に置きたいみたいだ。ちなみに指名料は無いし断れない、反省してんのかナギサ様よ。

 

「スズラン先輩?どうか、しましたか…?」

 

「ん、ちょっと考え事」

 

まだ昼前、僕は後輩たちと午前の訓練を終えた後、昼食に誘われていた。

断る理由もなかったので多数の後輩たちと移動していたのだが、途中で数人の護衛と共にどこかへ向かうナギサ様を見つけた。お昼前に仕事片付けたくて忙しくしてるのかな。

……あ、よーしいいこと思いついたぞ。

 

「ありがとね、心配してくれて」

 

心配してくれた子の肩を抱き、頭を優しく頭を撫でてあげる。

ナギサ様にやったのと同じように。

 

「すっ、スズラン先輩…!?」

 

「あぁ…ごめん、嫌だったね」

 

「あっ、そ、そうじゃなくて!ちょっとビックリしただけというか、むしろ嬉しいというか…」

 

顔が赤くなりどんどん声が小さくなる後輩ちゃん。ナギサ様の方が可愛いけど正実の子も無難に可愛い。

さて、あとはもう少し騒ぎを大きくしてナギサ様の目に止まるように…

 

「ふふっ、ありがとう…みんなも見てないで、よかったらおいで。フリーハグってやつかな?」

 

後輩たちに微笑みながらそう伝えると、積極的な子はすぐ側にやってきて、そうでない子はおずおずとその後ろに並びだした。

一人一人たっぷり10秒以上かけてしっかり抱きしめてあげる。

そろそろ全員終わったかな?と思ったところで前に向き直ると、そこには両手を広げたミカ様がいた。……なんで?この人はなんで毎回人の予想を上回ったことができるんだ?権力失って色々自由にしてるのか?

正実の子以外にもやるとなるとナギサ様のストレス値がどうなるかわからないから断った方がいい気もするけど…

 

「はい!フリーハグって言ってたじゃんね?」

 

この女、顔が良いのだ。ナギサ様が綺麗系だとすればミカ様は可愛い系、総合的に見ればナギサ様が好きだが、容姿だけならミカ様の方が好きだったりするのはナギサ様には内緒だ。

 

「…もう、ミカ様ったら」

 

僕の方からミカ様をハグしに行く。

……ミカ様から女の子特有の、しかしナギサ様よりしっかりとした柔らかさを感じる。正実にいるとハスミ先輩で見慣れてバグるけどミカ様も割とデカいよな。などと邪なことを考えていると、耳元でミカ様が囁き出した。

 

「ねぇ、最近ナギちゃんと仲良いけど…何かあったの?」

 

おっと、腐ってもティーパーティか。それとも純粋に気になって聞いてる?ミカ様相手だとこの辺りの判別が難しいんだよな。

 

「少し悩みがあって、相談に乗ってもらってただけですよ」

 

「ふーん?まぁスズちゃん前からナギちゃんのお気に入りだったもんね」

 

「えへへっ…僕じゃミカ様のお眼鏡にはかないませんでしたか?」

 

「あ〜っ、そんなこと言っちゃうんだ☆わかってるくせに〜」

 

ギュッと、胴に回された腕の力が強まる。

近接型でも僕はパワータイプじゃないから、純粋なパワーで壁をぶち抜くお転婆さんと力比べしたら負ける。つまり普通に命の危険を感じる。

 

「ま、まさか。気持ちはちゃんと伝えてこそですよ」

 

「うーん、まぁそれもそっか」

 

ミカ様は満足したのか、僕は命の危機から解放された。

柔らかかったしいい匂いだったし可愛かったけど全然名残惜しくない、不思議だね。

 

「ありがとっ☆じゃあ、またね!」

 

「はい、また今度…っ!?」

 

そう言うと僕の頬っぺたにキスをしてから去って行った。

……そ、それがミカ様の気持ちってこと…?つまりどういうこと…?

い、いえーいナギサ様みってるー?ってこと…?

わ、わっかんね〜…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜、護衛の仕事(ナギサ様の我儘)に呼ばれセーフハウスに赴いた瞬間に手を引かれ部屋の中に連れ込まれてしまった。

ついでにガチャッと鍵を閉める音まで。

 

「スズランさん。お昼時のアレは、一体どのような意図があったのでしょうか」

 

僕といる時はいつも嬉しそうなのに、今日は珍しく声に感情がない。

ちょっと意地悪し(可愛がり)すぎちゃったかな。可愛いね。

 

「お昼のアレ…?あぁ、ハグくらいならいつでもしますよ?」

 

「っ…わざと私に見せつけるようにしておきながら、そうやって…!」

 

「な、ナギサ様?ちょっと怖いよ…きゃっ」

 

「そうやって私を弄んで!あなたは、なんで…どうして……!」

 

ナギサ様が僕の手首を掴んで押し倒す。本来なら僕が非力なナギサ様に負けるなんてことありえない、だけどこの体勢は顔が近くでよく見える。

あぁ…可愛い、なんて可愛いんだろう。

焦りと恐怖、怒りと情欲と罪悪感がごちゃ混ぜになったそのお顔…他の誰にも決して見せない、僕だけのナギサ様。

 

みんなが思うスズランちゃんは、強くてカッコよくて優しいから、ナギサ様だけを特別扱いなんてしない。みんなに優しいんだから。

でも僕は違う。ナギサ様が好きで大好きで愛おしくてたまらない。ナギサ様を僕だけのものにするために、みんなが思うスズランさえ利用する。ナギサ様が邪な感情を僕以外にぶつけられないように、僕を一番見てくれるように、僕しか見れないようにしたい。

 

「ナギサ様…痛い、です…」

 

「っす、すみません…!そんな、つもりじゃ…」

 

少し震えた声で悲しげに言うと、すぐ正気に戻って僕の上から退いてしまう。

ナギサ様は理性が強い。だから、まずはその理性を壊したい。

僕に縋って欲しい、僕だけに弱々しい姿を見せてほしい。

 

「…いいんだよ、ナギサ様」

 

仰向けのまま、離れてしまったナギサ様に向けて両手を広げる。

僕からはしてあげない、自分の意思で僕のところに来て欲しいから。

 

「不安になっちゃったんだよね」

 

ゆっくりと、僕の胸にナギサ様の重さがかかる。子供をあやすように、優しく頭を撫でる。

 

「僕が誰かに取られるんじゃないかって、嫉妬しちゃったんだよね」

 

どこにも逃さないように、翼で包み込んであげる。

邪魔だとしか思ってなかったこの大きな翼に、こんな使い道があるなんて前まで思ってもみなかった。

翼で包めば、ナギサ様を独占しているような気がして心地いい。

 

「ちなみに…ここだよ」

 

ナギサ様の手を取り、僕の右頬に触れさせる。

 

「ここ、とは…」

 

「ミカ様が、僕にちゅーしたところ」

 

生唾を飲む様子がハッキリ見えた。

体を起こし、馬乗りになったナギサ様の髪が僕の首元をくすぐる。

でもナギサ様はまだ迷ってるのか、だんだんと息を荒くするばかりで動かないでいる。

ホント可愛いなぁ……ほんとは今すぐ上書きしてやりたいだろうに、まだ理性が邪魔するんだ。

 

「……なんだ」

 

でも僕からはしてあげないし、いいよとも言ってあげない。ナギサ様の意志で堕ちてほしい、僕のモノになってほしい。

 

「僕が、ミカ様に取られちゃってもいいんだ──んむぅっ!?」

 

今日はダメそうだなと思いナギサ様を退かそうとするが、足を絡められて

僕が期待していたそれは、頬ではなく僕の唇に落とされた。

唇同士を合わせるだけの優しいモノではない。相手の口を無理やり塞ぐ、僕のことなんて考えてない独りよがりで乱暴な口付け。

入り口だけで止まるはずもなく、舌が唇をこじ開け僕の歯を撫ぜる。

感じたことのないくすぐったさと気持ち良さに思考を奪われ、鼻で呼吸をする度にナギサ様の匂いに頭の中を侵されていく。

 

「んっ…ぷはっ、はぁ、はぁ…!スズランさんが、悪いんですからねっ…!」

 

「ま、待って、ナギサ様…僕、初めて──んんっ!」

 

そんなの関係無いと言わんばかりに、再びナギサ様に口を塞がれる。

両手で優しく頭を包まれて、絶対に逃さないとばかりに唇をむさぼられて徐々に力が入らなくなってくる。

ナギサ様の舌がもっと奥に、僕の中を蹂躙しようと入り込んでくる。

これ以上は、やばい…ダメになる……ナギサ様をダメにしたいだけで僕がダメになりたいわけじゃないのに…!

 

「んぅっ、だめっ…やぁっ…!」

 

ナギサ様を引き剥がそうと体の間に手を割り込ませようとするが、優しく手を掴まれ、恋人繋ぎのようにされて押さえ込まれてしまう。最初のように乱暴に手首を押さえられるのではなく、優しく手を繋がれて少し安心してしまう。

だが抵抗しようとしたのを叱るかのように、舌が僕の舌をゾリゾリと絡めとっていく。丁寧に、ねちっこく、ナギサ様の味を擦り込まれていく。

舌を舌で押し返しても歯で甘噛みされてそれ以上進めない、やり返せない。体が熱くて、息苦しくて、胸の奥が切ない。やめてほしいのにもっとナギサ様が欲しくて、嫌なのにもっと強く密着していたい。

 

なんで、なんでなんでぇ…僕の方が力持ちなのに、僕のが強いのに、なんで僕がダメにされちゃってるの…?こんなはずじゃなかったのに…!

 

「ん──れぇ……スズランさん…可愛い可愛い、私のスズラン…ふふっ」

 

透明な糸を引きながら、唇が離れていってしまう。

息苦しさから解放された口で必死に息を吸った。唇に触れる空気がいつもよりずっと冷たくて、あんなのもう嫌なはずなのに口が寂しい。

 

「ごめ、なさい…やめて……これやだあ…!」

 

「ダメ、やめません」

 

モゾモゾと体を動かして逃げようとしても僕の手を握る力が強まるだけで、ゆっくりとナギサ様の顔が近づいてくる。

 

「他の人に色目を使わないように、しっかり、私のモノだと、私だけのモノだと、教えてあげます」

 

「ゃだ……やだやだやだぁ!!ダメになる…ダメになっちゃうからぁ…!」

 

「悪い子にはお仕置きです」

 

そう言ったナギサ様にまた唇を塞がれ、長時間お仕置きされて…僕はナギサ様のモノにされてしまった。

僕の所属は正義実現委員会からティーパーティーになり、ナギサ様の付き人として日々過ごしている。

仕事が割とめんどくさいので嫌なのだが、ナギサ様のモノになってしまったので仕方ない。

 

「ミカ様…またお口にクリームつけてますよ」

 

「ホント?ん〜、どこについてるかわかんないな〜☆」

 

「あのですねミカ様?僕はナギサ様の付き人であって、ティーパーティーのメイドでもなければ、ミカ様のお世話係でもないんですよ」

 

ミカ様をたしなめつつ、ナプキンで口元のクリームを拭いてあげる。

お茶をしているとだんだん近づいてくるので肩がくっつくほど距離が近いが、気にしたら負けだ。

 

「…ミカさん、あなたももうそこまで子供ではないのですから、あまりスズランさんの手を煩わせないように」

 

「え〜、いいじゃん!いつもはナギちゃんが独り占めしてるんだから、お茶のときくらい私にも貸してよ。スズちゃんも、ずっとナギちゃんと一緒じゃ疲れちゃうでしょ?」

 

「…わはは……」

 

「スズランさん、あとでお仕置きです」

 

「え"っ。み、ミカ様…?」

 

「えっと、御愁傷様?」

 

「ミカ様の薄情者!」

 

そう、こうして時々…ミカ様の悪ふざけに便乗して、ナギサ様からお仕置きしてもらう日々。

ナギサ様は優しいから、あの日みたいに無理矢理ちゅーしたり押さえつけたりしない。でも僕は、あの独占欲に満ち満ちたナギサ様の目がどうしようもなく好きで堪らなくて…

わざとナギサ様を挑発してその目を向けられるのが、お仕置きされるのがくせになっていた。

 

「ふふっ…()()付き人ですから、しっかり自覚を持っていただかないと」

 

*1
どんな打算があったのか知らないけど




インガオホー、またの名をわからせ。
r18じゃないからエ駄死はさせない。
純粋な子で保健体育以上の知識はないのでこれ以上はありません。
本編の展開に悩んで書いてしまった。
でも幸せならOKです。

救いは

  • ある
  • ない
  • そこに無ければ無いですね
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