正義…?そこに無ければ無いですね   作:うにうにうにう。

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イベントのヒナが可愛いのなんの……
復刻で初参加だったので、急にヒナの歌が始まってビックリして横転しました。
ヒナ推しです。この小説には多分出て来ません。


『拾ってください』

スズランの大捜索に参加していた補習授業部一同。

先生から"スズラン見つけたよ。一息ついてから戻るから、みんなは先に戻っていて"とのメッセージを受け、学園に戻りコハルはひと足先に正実の教室へ。他3人はスズランと正義実現委員会の再会を邪魔しないようしばらく時間を潰した後に正実の教室がある棟へと向かっていた。

そんな折である。

 

「見て、ヒフミ。捨てスズランだ」

 

「アズサちゃん、スズランちゃんは猫じゃないんですから。それに先生と一緒に帰って来て、今は正義実現委員会と…って……えぇ!!?」

 

「あら…ダンボール箱に入ってしまって、丁寧に拾ってくださいの文字まで」

 

 

 

「箱に入ってるボク……ボック(ボク)スズラン……ふへっ…はぁ……」

 

 

 

「こちらにはまだ気付いてないみたいですね。よほどダジャレに集中してるのか、それともまだ入れない事情でも…」

 

「ど、どうしましょう…というか、なんで入り口のすぐ横であんなことを…コハルちゃんに連絡して、委員会の人に迎えに来てもらった方が…」

 

妙案を思いついたとばかりに、アズサが強く頷く。

 

「よし、私が連れて帰って面倒を見る。その代わりに勉強を教えてもらおう」

 

「スズランちゃんはペットじゃないんですよ!?」

 

「まぁ、スズランちゃんと二人っきりでお勉強会だなんて…私もお世話しますから、ぜひ私も一緒に♡」

 

「ハナコちゃんまでふざけないでくださいっ!!私だって早く会いたいのを我慢して待ってたんです!!元気を出してもらえるようにウェーブキャットさんの抱き枕も──」

 

「待ってヒフミ、スズランがものすごくこっちを見てる」

 

ウェーブキャットという単語に反応したのか、普通にヒフミが大声出したのに反応したのか、スズランとバッチリ目が合う3人。

 

「バレてしまったからには仕方ありません。私たち3人でスズランちゃんの体の隅から隅まで…あんなところやこんなところまでお世話してあげましょう♡」

 

「あうぅ……と、とりあえず話を聞きに行きましょう!どうするかはそれからです!」

 

このままでは埒が開かないとスズランの元に歩み寄るヒフミと、それに続くハナコとアズサ。

スズランはまさか3人に会うとは思っていなかったのか、固まったまま動かずにいる。目の泳ぎ具合からして大変動揺しているのは誰が見ても明白だ。

 

「あ、あっ…うぅ……」

 

とうとう3人が目の前に来たというところで、ばつが悪そうに目を伏せるスズラン。

 

「に、にゃーん……」

 

なんとか誤魔化そうとしたのか、出た言葉は猫の鳴き真似。ちなみに本物の猫とは全く似ていなかった。

 

「…ほら、スズランもこう言ってる」

 

「スズランちゃんったら、こんな公の場で大胆なんですね♡」

 

「ええと…二人のことは気にしないでください。それよりも、スズランちゃんは何でこんな状況に…?」

 

ほんの少しだけ、ちらりとヒフミの顔を見たスズランは膝に顔を埋めて、震えた声で小さくこぼす。

 

「…………ボクが…弱いから……」

 

「っ、スズランちゃん…」

 

ヒフミの知っているスズランは、こんなにも弱々しく自分を卑下するような人物ではなかった。友達がこんなに弱ってしまうまで、自分は一体何をしていたのか。なかなか会えなかったし補習で忙しかったと言い訳することはできるが、それで自分を納得させることなどできない。

 

「こんなだからあの時も……ヒフミちゃん達を、見捨てて…」

 

「そんなことありません!!私たちはそんなふうに思ったことなんて一度もありません!だから、そんなふうに自分をいじめないでください…!」

 

ヒフミが膝をついてスズランを抱きしめる。スズランが補習授業部を助けに行けなかったのを悔いているのと同じように、ヒフミも悔やんでいるのだろう。その目には涙が滲んでいた。

 

「スズランがどんなに結果を否定しても、私に勉強を教えてくれた事実が無かったことになるわけじゃない。ハグはストレス緩和に良いと教えてくれたのもスズランだ。こうして、役に立ってる」

 

横から、アズサがスズランをハグする。

 

「三次試験の日のことなら、スズランちゃんのせいではありませんから…それよりも、スズランちゃんが私たちをそんなに想っていてくれたなんて、とっても嬉しいです♡」

 

それに続いてハナコも、反対側から優しくスズランに肌を寄せる。

 

スズランは恐る恐るみんなの背中に手を回し、そっと手を置く。

抱きしめてくれる力が、少し強くなった気がした。

 

「……ボク、どうしたらいいのか、わかんなくなっちゃって……恩返しするって、約束したのにっ、ボクっ…嫌われたんじゃって、怖くなって…」

 

こうして向かい合えばすぐにわかるなら、もっと早くそうすればよかった。

ボクが約束を守れなかった後も、ヒフミちゃんはボクを信頼してくれていたのに、その信頼を裏切っていたのはボクだった。

 

「私も…っ、スズランちゃんなら大丈夫だって、どこか無意識に思ってたんだと思います……どんなに暗くて憂鬱な世界(物語)でも、笑顔で進むべき道を切り開いてくれる、光のような、特別な人だと…」

 

「私は今でもスズランちゃんは強くて、特別な人だと思ってます…でも、そうである前に、スズランちゃんは私達のお友達なんです…!特別だからって、除け者になんかさせません!ひとりだけ苦しいままだなんて、認めません!」

 

ヒフミちゃんがより強くボクを抱きしめててくれた。

 

「スズランちゃんがいないハッピーエンドなんか、私は嫌なんです!」

 

ボクは…なんて幸せ者なんだろう。こんなにもぼくを想ってくれてる人がいたのに、なんで見えなかったんだろう。

 

「ごめんねっ、ヒフミちゃん…!ごめんねっ…!」

 

両手じゃ足りなくて、翼を使ってみんなを抱きしめた。

散々泣いて、もう涙なんて出ないんじゃないかってくらい泣いたのに、また涙が溢れてくる。

お互いの肩が濡れるのも気にせず、しばらく抱き合ったまま温かさを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間ほど前……

 

「…その、先生。やっぱり、ここからは一人で行くよ」

 

"スズランは軽いから大丈夫だよ、私の足腰なら心配しないで"

 

「それも心配だけど、そうじゃなくて……ちゃんと自分で帰らないと、自分の意思で、ただいまって言わないと、ダメな気がして……」

 

本当は先生から離れたくないけど、こればっかりは自分でやらないといけないと思った。

なあなあで済ませてしまったら、きっとこれからもずっとそうやって済ませてしまう。ボクがボクのままでいられるように、ボクが向き合わなきゃいけない問題だ。

 

"…本当に大丈夫なんだね?"

 

「うん…まだ、少し怖いけど……もしもの時は、先生が責任取ってくれるもんね…?」

 

"そんなことないって信じてるけど……うん、いつでもスズランの力になるよ"

 

「……あんまり甘やかされるとダメになりそう…反省して」

 

"えぇ…?"

 

そうやって先生と別れてから少し。

この門を潜って、少し歩けば正義実現委員会の教室がある。先生の話では、みんな教室で待っていると。

 

「…大丈夫、大丈夫……」

 

自分にそう言い聞かせる。

見慣れたはずの風景が、どうにも見慣れなく感じる。

先生は大丈夫だって言ってくれたけど、そもそもどのツラ下げて帰ればいいんだろう。どんな言葉を言えばいいんだろう。

笑顔でただいま…?いや、無理。絶対ぎこちない笑顔になって空気が死ぬ。

この度はご迷惑をおかけして誠に申し訳ありませんでした……は困らせるだけだし…ここは敢えて陽気に!……空元気出しても仕方ないよね。

やっぱり普通に謝るのが一番…?いやでも……

 

そうして悩むこと数十分。

何を思ったのか、ボクは箱に入っていた。

 

ボックスズラン爆誕!

 

生まれるべきではなかった。

自分で向き合わなきゃとか言ってた癖にボクは何をしてるんだろう。

やっぱり先生について来てもらうべきだった。先生なら、なんかこういい感じに全てをまとめ上げてくれたに違いない。

思い上がって見栄張るんじゃなかった…

と落ち込んでいた時にヒフミちゃん達に見つかり、今に至る。

先生の前でギャン泣きするのと、同級生の友達の前でギャン泣きするのとではどこか感覚が違い…今になって恥ずかしさを感じ始めていたボクだよ。

 

「その……ありがとう。落ち着きました…もう大丈夫……多分」

 

「ダメです…」

 

「えっ……ヒフミちゃん…?」

 

「スズランは温かいな…」

 

「アズサさん…?」

 

「ふふっ♡ヒフミちゃん、合宿が終わってから全然会えないって心配してたんですよ?ですから、もうしばらくスズランちゃんの大事なトコロ*1で温めてあげてください」

 

「いくらでもどうぞ…」

*1





スズ→良くも悪くも人の脳を焼きがち。一方的に気まずくてヒフミを避けてた。

ヒフミ→ブルアカ宣言前後で思い切りが違う(と思う)。避けられてたのでなかなか会えなかった。
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