酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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※今話のSIDEROSは原作2巻37ページの時点で出てくる人たちです。


14話

 

 ヨヨコ先輩から誘われてSICK HACKのライブを見にくると、SIDEROSの二人も一緒に席についていた。

 

「お、湊も来たじゃん、こっち座りなよ」

 

「未成年呼ぶならタバコ消してからにしてあげなよ」

 

「それ言うなら私がいる時点で注意しなさいよ」

 

「「フフッ」」

 

 ヨヨコ先輩のツッコミに二人が笑う。

 なんというかこの人たちはニヒルな感じが良く似合うというか、品の良い悪って感じの大人っぽさがかっこいい。

 

「ほら、湊ってなんか純粋に憧れの目を向けてくるから子ども扱いしたくなるだろ?」

 

「実際一番甘やかしてんのリーダーだし」

 

「甘やかしてるってかイチャついてるし」

 

「まあでも、もっと頼りがいがある方がモテそうだよな」

 

「わかるわー」

 

 ヨヨコ先輩がまあ、私は湊より歳上だし……ごにょごにょと何か呟いてるけど、タバコの火を消したのを合図に二人が立ち上がる。

 

「んじゃ、リーダーには悪いけどちょっと湊借りるわ」

 

「大人の魅力の出し方ってやつをレクチャーしてくるから、ちょっと待っててよ」

 

「え、ちょ、ちょっと!」

 

 捨て犬みたいな目をする先輩を置いて一旦FOLTから出る運びになった。

 

「悪いね、急に」

 

「ちょっと頼み事があってさ」

 

 二人から語られたのはSIDEROSを抜けることになりそうだということ。自分たちももう20代半ば、友人の伝手でいい仕事を紹介されたからそっちに真剣に取り組もうと思ってるとのこと。

 

「リーダーは若くて実力もあって熱意もすごい、メンバーに困ってたから組んでみたけど、いい夢見れたよ」

 

「正直、着いていくには私たちは夢も見れないくらいスレちまってるのさ。ただ、私たちが抜けたらまた苦労するからさ、支えてあげてほしいんだ」

 

 二人は泣きそうな顔をしながら、深呼吸のようにタバコの煙を吸って、空へと吐いた。

 

「ヨヨコ先輩のことは任せてください。……二人も音楽を辞めるわけじゃないですよね?」

 

「たぶんね」

 

「捨てるには長く音楽をやりすぎたからな」

 

「なら、辞めてもまた一緒に演奏しましょう。俺とも、ヨヨコ先輩とも」

 

 少し呆気に取られた表情をされた後、ふー、と煙を顔に吹きかけられて咳き込む。

 

「ケホッ何するんですか」

 

 顔をあげようとしたところで襟首を掴まれて、何かを言う前に頬にキスをされた。一瞬遅れて反対からも。

 

「な、なななななにごとです??」

 

「思ったより男見せられたからイラッとして、そっちのガキくさい反応の方が湊らしいよ」

 

「ま、今のでお子ちゃま湊も大人になったってことで、レクチャー終了〜、愛しのヨヨコ先輩のとこへ戻りな」

 

 背中を押されてFOLTの中へと戻る、人は増えたけどヨヨコ先輩は同じところに座っていたから迷うことはなかった。

 

 

 

 湊が店内へ戻った後、二人の女性が美味しそうにタバコを吸っていた。

 

「若いってのは眩しいね〜」

 

「私たちもまだまだ若いっしょ」

 

「高校生と比べるとどうにもね……、もう少し若かったら手出してたわ」

 

「その発言がおばさんくさいわ」

 

 ふー、と二人は示し合わせたわけでもなく同じように吸い、煙を吐く。

 

「とりま、おばさんたちも残りの青春を楽しみますか」

 

「音を楽しむのはこれから先もさせられそうだけどね」

 

 SIDEROSとして自分たちが活動できる時間は残り僅か、ヨヨコを悲しませることになるだろう。それでもさっきの湊の反応を見ると安心できる。

 タバコを吸い終えて店内へ戻っても、二人の時間は邪魔しないように遠くから眺めていようとさっきまでいた席を見ると、そこには何やらヨヨコに怒られている湊の姿があった。

 

「安心できる……かなぁ?」

 

「……」

 

 二人の疑問に答える者は誰もいなかった。

 

 

 

 SIDEROSの今後について、ヨヨコ先輩には二人からタイミングを見て伝えるとのことなので、余計なことは言わないように気をつけた。

 それに頭を取られてどんなレクチャーを受けたのかに対して、頬にキスされたからちょっと大人になったと言ったら、普段からハグなりなんたりしてるのにそんなので変わらないと言うので、全然違う感じがしたと言うとすごく怒られた。

 

 でも、結局二人して廣井姐さんのライブに魅了されて、帰り道には今日のどこがよかったって話し合って仲良く家路についた。

 

 

 翌日、廣井姐さんからロインが入った。

 チケット販売に困ってる子がいたから路上ライブで助けたい、志麻さん一人で機材を運ぶのは大変だろうから手伝ってほしいとのこと。

 

 胸が熱くなる。昨日の二人にしても、廣井姐さんはもちろん急に声をかけられただろうに動いてくれる志麻さんにしても。

 みんな音楽が好きで、音楽を頑張る人が好きで、応援してる。

 その流れの一員になれるのが嬉しくて、もちろん了承してすぐに志麻さんの元へ動いた。

 

 

「悪いね湊、私たちの我が儘に巻き込んで」

 

「我が儘だなんてとんでもない、かっけぇっす」

 

「そう言ってくれると助かるよ、珍しく廣井が人助けなんてするから力になってやりたくてさ」

 

「ですね!廣井姐さんは周りを動かすカリスマ性があるってか、やっぱり廣井姐さんは普段はダメでもキメるところキメるからかっこいいんですもんね!」

 

「ああ、うん。やっぱり湊からしても普段の廣井はダメなんだな……」

 

 志麻さんが遠い目をする。

 

「当たり前ですよ、いつもお酒飲んでて体に悪いじゃないですか。でもその酒癖のおかげで俺は廣井姐さんに出会えたから否定はできないですし、ダメって言うくらいしかできないんですよ」

 

「湊……お前……ほんとに感情に任せて動く時以外はちゃんと考えてるな!」

 

 少し目を潤ませた志麻さんに褒められると思ったらディスりながら頭を撫でられた。いや本人的には褒めてるんだろうけど、すごく複雑。





今回もお礼申し上げます。

⭐︎10をつけてくださったなまこな様、すぁると様

⭐︎9をつけてくださったLassssss様、Lelouch様、takatoko様、ソラリエ2様、レムアイス様、ミチェ丸様、泡岸あきら

感想をくださったなまこな様、神社エール様

皆様ありがとうございます。

皆さんに幸あれ。
暑い日に飲み物買おうと思ったら、安い自販機やスーパーがすぐ見つかるくらいの幸あれ
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