酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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19話

 

 PAさんと付き合えたと思ったらそんな事はないという現実をさっつーに教えられ、どうにも全てのやる気が出ないまま動画編集をしていた。

 何を失ったそれさえもわからないんだ、初めから持ってないのに胸が痛んだってやつだ。

 

 そこへピンポーンと呼び鈴が鳴る。少し間を置いて母さんが大声で俺を呼んだ。

 

「湊ー!イライザちゃん来たわよー!」

 

 それを聞いて立ち上がり部屋から出るのに一秒、階段を飛び降りるのに一秒、サンダルを履いて玄関を開けるのに一秒、合計三秒で扉を開けた。

 

「イライザさんどうしました!?」

 

「海行コ!」

 

「行きましょう!」

 

 今日も満点の笑顔なイライザさんから海のお誘い、乗らない手はない嘘ではない。さっきまで低かったテンションが一気に上がる、イライザさんの笑顔はいつだって俺の心の栄養剤だ。

 驚くべき効果を発揮します、新しい自分に出会えます。ただ中毒性がございます、用法用量お守りくださいってやつ。

 

 準備を済ませて家を出るとニッコニコのイライザさんと腕を組んで歩く。

 なんでもやり残した夏らしいことをやりたいらしく、最初は廣井姐さんを誘ったけど断られて俺のところへ来たらしい。

 

「夏コミの原稿も手伝ってくれたシ、売り子もしてくれたシ、湊大好き〜!でも志麻ときくりとももっと遊びたいヨ……」

 

 ぎゅっと腕を抱きしめてくれた後に、イライザさんが少ししゅんとする。志麻さんも廣井姐さんもなんだかんだインドア派なところあるしな……そうだ。

 

「みんなでウチに来て素麺食べてすいか食べて、ホラー映画観て、屋上でBBQして、あと公園で花火しましょう!あんまり動かないからきっと来てくれますよ!」

 

「〜〜!!来てくれるとイイナ!」

 

 早速連絡すると廣井姐さんも志麻さんも、あと誘ってみたらヨヨコ先輩からもOKが出た。しかもいつでもいいとのことなので、夏休みも残り少ないから明日に決定。

 

「“やった!やったやった!湊ありがとー!”」

 

「“どういたしまシて”」

 

 興奮して英語になったイライザさんに英語で返す。

 海外でも活動するためにしてた英会話もイライザさんのおかげで一気に上達した。英会話の練習をお願いして、初めてお互いに英語で話した日、日本に来てから母国語が通じないのが知らず知らずのうちにストレスになっていて、英語で話せたのが嬉しくて泣きながら喜んでくれたイライザさんと今の喜ぶ姿が少しかぶる。

 

 俺、イライザさんにはずっと笑顔でいてほしいわ。

 

 いつだって明るくて優しくて可愛いイライザさんが大好きだ。おかげで俺の感情表現も随分と上手くなったし、猛勉強して英会話もかなりよくなった。……代わりに他の教科がやばいけど音楽で稼いで食うから良し。

 

 腕を少し引き寄せる、イライザさんも俺の腕をしっかり抱きしめてるから暑くて仕方がないけど、それもまあいいかと並んで歩いた。

 

 

 

 そんなこんなで海までやって来ると、俺とイライザさんはかなり視線を集めた。

 

 言わずもがなイライザさんはスタイル抜群の金髪美女、俺も体力作りのため高校生の割には鍛えられていて、親に似て顔もスタイルもいい。

 美男美女カップルとして視線を集めた。……最初は。

 

 そこから二人で全力で海を楽しむと周りからは「あの二人ずっと笑顔、可愛いー!」「若いなぁ、いいなぁ」なんて声が聞こえてくるようになった。

 

 そう、イライザさんは美人だけど可愛いが勝つんだ、めちゃくちゃ可愛いんだ!俺は俺で、イケメンなのに行動で打ち消してる。もう少し落ち着きがあれば理想の男性って言えるのに……と評されてるんだ、いつまでも美男だと思ってられると思うな!……泣きそう、もう少し大人っぽければPAさんからもちゃんと好かれるのだろうかとネガティブになろうとしても、目の前でイライザさんが笑顔だとそんな思考がすぐに吹っ飛ぶ。好き。

 

 海の家で焼きそばを食べたり、イルカ型の浮き輪に乗るのが案外難しくて海に落ちたり、クラゲに刺されて痛い思いをしたから仕返しで掬い上げて沖に放り投げたり、アニメでお馴染みのお互い水をかけるやつは何が楽しいのかわからなかった。疲れてきたらアイスを食べて、砂浜でお城を作ろうとしてうまくできなかったり。岩場の方へ冒険に行くとフナムシがたくさんで二人して逃げ帰った。

 釣り人がいる防波堤の方まで行くと泳いでる魚もちらほら見れて満喫できた。

 

 帰りの電車でイライザさんが眠たそうにしてるから、どの道明日はウチで遊ぶんだからと泊まってもらうことにした。

 

「“湊といると楽しいが終わらないね”」

 

「“俺もイライザさんといるとずっと楽しいです”」

 

 二人で見つめあって笑って、気づいたら寝てて、起きたら乗り過ごしてたから父さんに駅まで迎えに来てもらった。

 

 両親も俺が辛い時にSICK HACKの三人が助けてくれたこと、反抗期に家を抜け出してはお世話になってたことなどもあり、SICK HACKが来るといつもの大歓迎ムード。

 

 晩御飯を終えて、かなり早い時間に寝ることになった。

 客間に寝床を用意してるのに俺の部屋で一緒に寝るイライザさんに何か言う間もなく、二人して熟睡。

 

 翌朝、俺たちが寝た後にアルちゃんの配信が始まってたのを知り、二人で悲しみながらアーカイブを見た。アルちゃんも俺たちがいない事に配信で触れてちょっと悲しんでくれてた。

 

 配信にいない時でも推しに名前を呼んでもらえるのが嬉しくて、トゥイッターの投稿に二人でリプを残しておいた。





今回もお礼でごわす。

⭐︎10をくださった紅識様

⭐︎9をくださった
三式戦闘機様、Vamdio様、豆大福太郎丸様

⭐︎8をくださった冬季麗夜様

感想をくださった田中読者様、銀赫様、R-01様

誤字報告くださった田中読者様、vamdio様

皆様ありがとうございます!

皆さんに幸あれ
具体的には仕事が予定よりボリューム控えめで、思ったよりちょっと早く終わるくらいの幸あれ
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