酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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20話

 

 イライザさんと海へ行った翌日、午後の予定が詰まってるからランニングと筋トレを早々に終え、自室で編集作業をしている。

 

「湊〜、体が痛いヨ〜」

 

 昨日めいっぱい遊んだから筋肉痛になったイライザさんがベッドから動かない。二人でさっきアルちゃんの動画を見た姿勢のまま、トゥイッターやオーチューブを行き来してやり過ごしてたけど、そろそろ飽きてきたみたいだ。

 

「ちょっと体動かすと逆に回復が早まるって言いますし、買い出しでも行きます?」

 

 食べ物の方は昨日のうちに親が準備してくれたけど、飲み物はこの後の映画見ながら飲む分のことも考えて自分たちで買うと伝えてあるから、買い出しは必須だ。

 

「ゆっくりでお願いしまス」

 

 普段よりよわよわなイライザさんと、昨日とは違って歩くのが少ししんどいからという理由で腕を組んで買い出しに行った帰り、今日呼んでいた他の三人に合流した。

 

「筋肉痛か?昨日は楽しめたようだな」

 

「よかったね〜、イライザ〜」

 

「うん!二人ではしゃぎすぎたヨ!それで今ちょっと歩くのしんどくて〜」

 

 志麻さんと廣井姐さんは昨日から今日に至るまでの流れを知ってるので、海で楽しんだイライザさんを見て微笑ましいものを見る穏やかな表情をしてる。

 一方、ヨヨコ先輩は口を開いて、背景を宇宙にした猫みたいな顔をしている。

 

「ヨヨコ先輩、どうしました?」

 

 手を顔の前でフリフリしてるけど反応がない。

 

「昨日は楽しめた、腕を組んでる、歩きづらそうなイライザさん……」

 

「ヨヨコ、二人は昨日海へ行ったんだ。イライザが夏の思い出を作りたがったんだけど、廣井が断ったらしくてな」

 

 そこへスッとやってきた志麻さんが昨日の事を説明してくれた。

 

「そ、そうですよね!あのお子ちゃま湊が私より先に大人になるはず無いですよね!」

 

 ヨヨコ先輩の言葉でようやく俺とイライザさんの状況で勘違いされていた事に気づいて恥ずかしくなる。でもそれ以上にお子ちゃま扱いはちょっとムッとする。

 

「昼間から変なこと考えるヨヨコ先輩の方がお子ちゃまじゃないですか?」

 

「言うじゃない、大きな休みの宿題は私に手伝ってもらわないと終わらないし、テスト前にもよく泣きついてくるくせに」

 

「すみません、いつも本当にありがとうございます」

 

 無理、勝てない、折れた。

 よくよく考えたらどころかよく考えなくても、普段からヨヨコ先輩にお世話になりすぎて子ども扱いが正しかった。

 動画でFOLTの人たちも映すから、コメント欄でも『ヨヨコ先輩に褒めてもらいな』とか『ヨヨコお姉ちゃんに聞いてきなさい』なんて言われてるくらいだ。

 

「ふん、わかればいいのよわかれば」

 

「全くもって、お子ちゃまって言われてムッとしたのが既にお子ちゃまでした……」

 

「そ、そうね、私も焦って言いすぎたわ、ごめん」

 

 俺とヨヨコ先輩が仲直りしたのを見て志麻さんがうんうんと頷いている。今日は怒られずに済んだからこれで合格らしい。

 

「あー、そういえばこの前咲良ちゃんが大人のキスしてたんだよ、見て見て〜」

 

 一件落着ってところに廣井姐さんが爆弾を落とす。そう言えばこの前みんなに見せるとか言ってたの、データ消して阻止するの忘れてた。

 

「ど、どどどどどういうこと!湊!」

 

 ヨヨコ先輩がスマホを廣井姐さんから奪って俺に突きつけてくる。どういうことなんだろう、俺だって知りたい、付き合えたと思ったらそうじゃないらしいし、名前も教えてもらえてないし。

 親しくない人にもPAさんがこういう事をするんだとして、俺以外にされてたら耐えられない、泣いちゃう。

 

「どういうこと……なんでしょうね……」

 

「なんで泣き出すのよ……」

 

 戸惑いが勝ってヨヨコ先輩の怒りがどこかへ逃げたみたいだ、全く嬉しくないけど泣いた甲斐があった。

 

 

 

 その後、俺が泣いたのもあって一旦触れないでおこうということになったので、みんなで一旦全部水に流して家へと帰った。

 

「ただいまー!」

 

 俺が玄関を開けて挨拶すると、小走りで母さんがやってくる。

 

「いらっしゃい!きくりちゃん志麻ちゃんヨヨコちゃん!ゆっくりしていってね!イライザちゃんもおかえりなさい!さ、上がって上がって」

 

 母さんがみんなをあがらせて、全員を抱きしめてから中へ通す。

 志麻さんは毎回手土産を持ってきてくれるんだけど、今回も「こんないい人達にお世話になって」と涙を見せてる。

 あの廣井姐さんでさえ母さんのペースに巻き込まれるの、やっぱすげぇわ。

 

「いらっしゃいみんな、早速なんだけど準備は屋上でしてあるから来てくれるかい?」

 

 父さんも出てきて、案内されるままに屋上へ行くと、流しそうめんの台ができていた。

 

「イライザちゃんが日本の夏を楽しみたいって聞いたから作ったんだ!立派なもんだろう!」

 

 いつ?どうやって?材料はどこから?そんな疑問は置いといて、マジでちゃんとしたやつが出てきた。

 

「流しそうめん!アニメで見たことありマス!」

 

 大喜びなイライザさんの姿に俺たちも、そんでもちろん台を作った父さんも笑顔になる。

 

「じゃ、早速流そう!俺ピッチャーやりたい!ジャイロボール投げる!」

 

 もちろん俺だってこんなんテンションがめちゃくちゃ上がるから、珍しい方の役割をやりたい。

 

「野球じゃないわよ、あと変な回転は素麺が飛んでくし、水がかかるからやめなさい」

 

「あはは、大槻ちゃんお姉ちゃんしてるねぇ!私は酔ってて絶対掴めないから一旦飲みながら見てるねぇ」

 

「こら廣井、こういうのは参加するのに意味があるんだよ」

 

「それもそっかー」

 

 結局途中からは普通にみんなお腹が減って流さない素麺を食べるんだけど、それはそれとして流しそうめんを大いに楽しんだ。





お礼でごわす

⭐︎10をくださったMuura様、tatsuzunn様

⭐︎9をくださったかんぴょう様

⭐︎8をくださった馬酔木鳳仙花様

感想をくださったきりたちのぼる様

いつも感想くださる田中読者様、まーじで励みになります。


皆様ありがとうございます!

前話でちょこっと歌詞を入れ込んだやつ、気づいてもらえたりめっちゃ嬉しかったです。

皆さんに幸あれ!
具体的には、周りの人がお箸忘れて割り箸あげただけでめちゃくちゃ感謝されるくらいの幸あれ
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