原作!原作が手元にある……うへへ
あとヨヨコ先輩の誕生日忘れてたけど、忘れられてるのも先輩らしくて可愛いと思ったのですセーフ
夏休み最終日、動画の毎日投稿も一旦終わり。安心してSTARRYへと出勤できる。
そう思っていたのに、かなり安心できないことが起きてた。
「さようならさようなら」
うわ言のように別れの言葉を呟きながら後藤さんが蝉のお墓を作っていた、怖すぎる。
「後藤さんおはよー」
「あ、おはようございます、咲良さん」
素通りして怒らせても怖いので、いつものように挨拶して中へ入る。突然襲われやしないかと恐怖に晒された心臓がドクドクと脈打っていた。
「おはようございまーす」
挨拶すると結束バンドの三人と店長さんから挨拶が返ってきた。PAさんは朝が弱いと言っていた通り、出勤はまだみたいだ。
「HEY!結束バンド、後藤さんがやばいことになってるけどなんかあった?」
「すみません、よくわかりません。じゃなくて、ぼっちちゃんの様子が変?」
「やっぱり咲良くんもそう思う?」
アレクサ虹夏さんは気づいてなかったみたいだけど、喜多さんは気づいていたみたいだ、さすが気遣いのできる喜多さん。
どうやらここ数日、目はうつろで会話もままならなくて身なりは汚く、泣き始めたかと思えば急に陽気になってサンバを始めるらしい。
「いや、それでおかしいのに気づかない虹夏さんもすげーよ」
「サンバ以外はいつものぼっちちゃんじゃん!」
「そんな事ないでしょ!」
「ちょっとある」
「そんな事……まあちょっとは……」
さすがの喜多さんもいつも通りと言う虹夏さんに全力でツッコミを入れるけど、俺がちょっととつけると納得した。
「ちなみに今はSTARRYの前で蝉のお墓作っててめちゃくちゃ怖かったです」
「「限界すぎる……!!」」
ほんとに、後藤さん何か辛いことがあったのかな?
「何で変になってんの?」
虹夏さんも同じように原因を考えてる、となると結束バンド絡みじゃないのかもしれない。
「夏休みが今日で終わるからじゃないのか?新学期嫌なんだろ」
店長さんの言葉で男子たちに休み明けは覚悟しておけと言われた事を思い出す。この前の幽々ちゃんのこともあり、一部男子からはおもちゃの手錠とか、やたらトゲトゲしたマッサージ機の写真が送られてきていた、新学期は確かに嫌だ。
「お前らこの夏どこか遊び誘ってやったの?」
続けて他の原因を星歌さんが上げる。さすがに遊んでないことは無いだろうと思ったら、喜多さんは休日の予定が全部埋まってて知らない子がいたら萎縮しちゃうだろうから誘わなかったらしい。
まあ喜多さん人気者だし、勉強会もさっつーいたから誘うのやめとこうってなったもんね……。
虹夏さんはバイトで忙しく、リョウは二人が誘ってると思って気ままに過ごしていたらしい。
原因、結束バンド絡みじゃないどころか、結束バンドと絡みがないことだったのかよ……。
「お前らもうバンド名変えろよ……」
店長さんの言葉で場が静まり返った……次の瞬間。
「店長!私たちこれから遊びに行ってきます!」
「ごめんお姉ちゃん!咲良くんとなんとかして!」
喜多さんが店長さんの返事を聞く前に出ていく支度をし、虹夏さんもそれに続く。返事も聞かずにバイトバックレるとか喜多さん、やっぱロックだよなー、なんて思ってるとリョウだけが止まっていた。
「湊、お金ちょうだい、また体で返すから」
「はいはい、いらねーよそんなもん」
結束バンドの問題だし、バイトがいなくなったら困るだろうから残るつもりだって俺の考えをわかってるけど、一緒に行かないのにお金を出してもらうのはさすがにリョウも多少の遠慮があるみたいだった。
いつもの軽口を挟んだところで、何かが落ちる音が聞こえた。
「さ、咲良くんの浮気者ー!!PAさんがいながら私のリョウ先輩を取るなんて許されないわよ!」
「浮気って!俺はPAさんと付き合えてないし、リョウは喜多さんのものでもないだろ!」
「正論!もっと許せないわ!」
「理不尽!」
思いっきり勘違いした喜多さんが猛スピードで走ってくる、後ろ壁だし、倒しちゃいけない物もあるから逃げ場がない。捕まった、え、力強……。
「リョウがふざけただけだから!喜多ちゃん止まって!湊くん揺らしすぎでとんでもないヘドバンになってるから!」
喜多さんがどこから出してるのかわからない力で俺を前後に揺さぶるのを見て虹夏さんが慌てて止めてくれる、優しい。
まじで早く止めてほしい。
「めんご」
リョウ、お前は許さん。そのあと店長さんが結束バンドを追い出してくれて助かった。
結束バンドの四人が急に抜けた分、準備は大変だったけどなんとか終え、少し休めと言われたのでドリンクを入れて今日は店長さんの横に座らせてもらうことにした。
「店長さん、さっきは助かりました。殺されるかと思ったので」
「いいって、あいつらがうるさいから追い出しただけだし」
「それでも、いつも優しい店長さんに助けられてますよ」
「勝手に言ってろ……好きな食べ物あるか?今日はあいつらの分もお前が頑張ったから今度連れてってやる」
「店長、私と湊くんが食事に行くのは止めたのに……自分だけずるいです」
後ろからヌッと急にPAさんが現れて光を反射しない瞳で店長さんを見つめていた。黒いオーラを纏ってる気がする、これ本物?共感覚じゃなくてみんなに見えてるやつ?
「お前が湊にたかろうとしたからだろ、食事を止めた覚えはない」
「じゃあ一緒に行ってもいいですか?」
「いい……いや、やっぱりこの前みたいに暴走されても面倒だからなし」
この前、と言えばどう考えてもPAさんにキスされたあれだ。改めて見るとPAさんてすごく美人だし、こんな人とあんなことをしたと思うと照れくさくなる。
「あれは……ちょっと廣井さんに嫉妬しただけですから」
「あいつもあそこまでのことはしなかったろ」
「湊くんへの想いが溢れてつい……」
「やっぱ暴走してんじゃん、来るなよ」
想いが溢れてって言葉に嬉しくなる。たぶんPAさんにとって軽い行為とかでもなく、俺だからしてくれたんだと思うと、もっとその心を知りたいし一緒にいたいと思う。
「あの、PAさんも一緒がいいです。お二人の好きな食べ物を一緒に食べてみたいです」
「店長〜、湊くんもこう言ってますよ〜?私も連れてってくださーい」
カウンターに座ったまま俺を背後から撫でまわしながらPAさんが店長さんにお願いする。
「しょうがない、店は私が勝手に決めるからな」
「はーい」
たぶん最初から本気で断ってはなかっただろうけど、店長さんが折れてくれる、やっぱり優しい。
ご褒美がもらえるのもあって、人数が少なくて多少大変な仕事も頑張ってやりきれた。
お礼!!
⭐︎9をくださったマーミン様、現夢人様、かんぴょう様、くるみ饅頭様、なつなつ様、時雨沢時雨様
⭐︎3をくださったLADUREE様
感想くださった新宿邪ンヌ様、なまこな様
皆様ありがとうございます!
皆さんに幸あれ、具体的には家にからしマヨがあって、カップ焼きそばを最高の状態で食えるくらいの幸あれ