酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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36話

 

「え〜じゃあ文化祭のセトリ決めするよ〜、待ち時間が15分らしいから大体3曲で……」

 

 廣井姐さんのライブで後藤さんが前向きになったところで、改めて文化祭ライブに向けての動きを決める結束バンドの会議に俺も参加していた。

 理由はリョウに飯を奢るため。

 

「湊がいないともう生きていけない……」

 

「今日お姉ちゃんに怒られたんだから二人とも反省してよね!」

 

「でもリョウが腹空かせてるの見てられなくて……」

 

「湊くん、彼氏にしてはいけない3つのB教えてあげようか!?ベーシスト、ベーシスト、ベーシストだよ!!」

 

「廣井さん、リョウ先輩、幽々ちゃんでちゃんと三人のベーシストが咲良くんの周りに揃ってるわね……リョウ先輩は渡さないわよ!」

 

「その前に彼氏彼女が逆転してるのなんか言ってよ」

 

「咲良くんて貢いじゃうところが想像できるのが良くないわ……」

 

 喜多さんの中での俺って今どんなイメージなんだろう。喜多さんは俺の音楽とは別のところで友達してくれてるからイメージが想像できなくて面白いな。

 

 少々脱線もしたけど、持ち時間を使って演奏する曲をリョウ主体で決めていく。

 徐々に盛り上がる曲目で、もともとギターソロの無い曲にも後藤さんのギターソロを追加。

 

「それ追加した。ぼっちの見せ場、郁代とぼっち二人の文化祭でしょ……ぼっちならできると思うんだけど」

 

「あっうっ頑張ります」

 

 リョウの言葉で後藤さんの表情が輝いて、ようやく前向きな言葉を発する。

 

「リョウ!お前ほんとかっけぇなぁ!好きなだけ食えよ!」

 

「何かあの二人ずっと妙な絆が生まれてるんですよ!」

 

「妬けるね〜……」

 

 喜多さんがリョウと後藤さんに嫉妬するけど、作詞作曲の絆があるからね、そこは仕方ないと思う。

 

「でも文化祭で全曲オリジナルなんて攻めてますね、もうすぐ締切ですけど、話聞いたら他全部コピーバンドでしたよ」

 

「まぁコピー曲のほうが盛り上がると思うけど、私たちは結束バンドの曲を皆に聴いて欲しいからね。それに文化祭なんてよっぽどじゃない限り盛り上がるもんだよ」

 

「そうですね!」

 

「まれに例外はあるけど……まあ仮に滑っても怖くない、四人いるし痛みは四等分……あと滑ったら湊もステージにあげて五等分にしよう」

 

「リョウ皆にも同じトラウマ植え付けようとしてない?」

 

「巻き込むなよ、俺を」

 

「湊ならなんとかしてくれるはず。動画では最初にわざと下手な演奏して空気凍らせてから盛り上げるとかしてるし、慣れてるはず」

 

「ごめん、納得だわ……でも勘弁してくれ」

 

 企画としていろんな学校にお邪魔させていただいて、わざと下手な演奏で空気凍らせてから実は……みたいなのやってたわ。

 でも、自分の学校でやるとなると、どうにも熱くなれない。熱を持たないのに無理に演奏すると、きっと俺は濁る。

 SICK HACKに出会って、やりたいことに向き合えて、澄み切った俺だから今が一番いい自覚がある。その濁りは受け入れ難い。

 

 

 

 リョウ先輩が軽くジャブを入れると、咲良くんがいつもと違うテンションで否定した。

 それだけ彼の心にひっかかる何かがあるんだろう、だったら出なくたっていいじゃない。

 学校生活なら私とさっつーでいくらでも楽しませてみせる。

 

「そうならないように最高のライブにしましょう!」

 

「いいこと言うね喜多ちゃん!盛り上げてこう!」

 

「まあ、軽音部とかにまけるような演奏にはならない」

 

「あ、えっと、滑りませんように!」

 

「ぼっちちゃん、こういう時は強気にいかないと!」

 

 あ、後藤さんきっとまた変なこと考えてるわね。表情がコロコロ変わって、時々パリピみたいな見た目に変身してるし。

 

「私たちが一番盛り上げましょう!」

 

 色々考えたんだろうけど、最後はいい出力されてよかったわ!後藤さん、やっぱり最初に出会った頃と変わってきてる……私も頑張らないと!

 

「そうね!頑張りましょう!」

 

「珍しくいい出力されたね」

 

 咲良くんも同じこと思うのね!先輩たちも頷いてるし、これは快挙よ!

 

「その意気だよぼっちちゃん!」

 

「今のはかなりバンドマンぽかった」

 

 皆に褒められた後藤さんの輪郭が溶ける、こういうところは変わってないのね。

 

「あ、へへっ咲良さんも個人ステージ出ましょうよ……」

 

「「「…………」」」

 

「なななな何てタイミングで言うの!ぼっちちゃん!?」

 

「え、あの……この流れならいけるかなって……」

 

「どの流れよ!一番盛り上げるって言った後に咲良くん誘うなんて!」

 

「挑発してる。プフッそれでこそぼっち……」

 

 慎重に行こうって話してたのに後藤さん、いいえ、後藤が口を滑らせてしまったので、どんな反応してるかと恐る恐る咲良くんの方を見る。

 

 灼熱があった。

 

 言葉は発さず、獰猛な笑みを浮かべ、その背に炎を背負っている。私をSTARRYに連れてった時よりもずっと強い力を発する咲良くんが、口を開く。

 

「宣戦布告、面白いね……いい熱だ。受けて立つ」

 

 その言葉で確信する。後藤……いいえ、後藤さんの選択は間違ってなかった。

 

「湊くん、それって!」

 

「出るよ、個人ステージ。一番盛り上げるのは俺……いや、俺たちかも……とにかく一番はもらう」

 

「じゃあ、負けた方は罰ゲームで」

 

「ノッた!」

 

 流れに乗ってリョウ先輩が咲良くんをさらに焚き付ける。そうそう、流れってこういうものよね!

 

「よし、ぼっちが脱げば勝てる」

 

「真面目に戦え!」

 

 

 

 その晩、廣井きくりのもとにぼっちから湊の勧誘成功の連絡があり、任せてよかったと美味い酒を飲み、大槻ヨヨコの元に一本の電話が届く。

 

「ヨヨコ先輩、手伝ってほしいことがあります」

 

「奇遇ね、私もよ」




oh!礼!

⭐︎9をくださったかんぴょう様、Pooto様、シーライト様

感想をくださった唐揚げ棒様、なまこな様

皆様ありがとうございます!

皆さんに幸あれ!
具体的には懐かしいお菓子の詰め合わせみたいなの買って、やっぱうめーなってなるくらいの幸あれ!
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