酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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昨日、更新してないのにお気に入りめっちゃ増えてたんですけどなんかあったんですか?


40話

 

 しっかりと幽々ちゃんと謝って、落ち着いたヨヨコ先輩からそれぞれ罰を言い渡され、幽々ちゃんは『私は嘘をつきました』と書かれた紙を胸の前で掲げ、俺はヨヨコ先輩の杖として腕を抱きしめられながら歩いていた。

 

「あ、今困った顔したわね」

 

 俺がクラスメイトの男子に睨まれて少し怯えた顔をすると、ヨヨコ先輩は嬉しそうに腕を強く抱きしめる。

 できるだけ表情でバレないようにするけど、ヨヨコ先輩に通用するはずもなく先ほどから敵を増やし続けてる。

 

「ヨヨコ先輩ばっかりずるいです〜」

 

「もう少し後ろで反省してなさい」

 

 幽々ちゃんは紙を持ってるので一緒に歩くと注目を集める、とヨヨコ先輩のお達しにより少し後ろを歩かされてる。本当はまだ怖いから背中側に誰かいてほしいだけなんだろうけど。

 そのまま教室を回ってストラックアウトや色んな挑戦を楽しめる秀華高ギネス、クレープ屋に行ったり。

 喜多さんから連絡が入って、結束バンドの四人のメイド服を見に行った時はリョウのせいで大変な目にあった。

 

 

「はい、水」

 

 コンッと音を立てて、メイドらしさのかけらもない接客でヨヨコ先輩と幽々ちゃんの席に水を置いたリョウは、俺の席に丁寧に水を置くと俺にメニューを開いて見せてきた。ちなみにヨヨコ先輩と幽々ちゃんのメニューはテーブルに置かれてるだけ。

 

「ご主人様、お食事はどうなさいますか?」

 

「どっから声出してんの?」

 

 そんな可愛い声だせたんだねー、その悪い表情で台無しだけどねー。

 

「人の主人に色目使わないでくださ〜い」

 

「俺たちいつ結婚したの」

 

「そうよ、湊に結婚はまだ早いわ。時が来てもあんたにはあげないけど」

 

「誰目線?」

 

 ひっつき癖のある幽々ちゃんがリョウから守るように俺を抱きしめて、俺を挟んでそれを注意するヨヨコ先輩の構図ができあがると、リョウは一際悪い顔で笑った。

 

 パシャッと鳴るシャッター音とリョウの手にあるスマホ。写真を撮られた。

 

「おま!その写真どうするつもりだ!?」

 

「どうも?今湊の焦った顔が見れて満足した」

 

 一瞬PAさんに送られたらどうしようと思ったけど、リョウは俺を応援する派だからそんな事はしないか。ただただ俺を揶揄いたい悪意があっただけだ……許せねぇな。

 

 こちらもシャッターを切り、リョウのメイド服姿を写真に収める。

 

「私のコスプレ姿の写真を撮るなんて……言えば二人の時にいくらでも撮らせてあげるのに」

 

「心にも無いこと言うなよ、需要も無ぇよ……俺にはな」

 

 スマホの画面をリョウに見せる、何度か撮影でお邪魔する中で出会い、交換してあったリョウの母親のロイン。その画面にリョウの写真を送信済みだった。

 

「それはライン越え、やっていい事と悪いことがある」

 

「お前が始めた戦いだ、これ以上を望むか?」

 

 リョウと俺は少しの間見つめ合い、そしてお互いに空気を緩める。

 

「これ以上はやめとこう、私に被害を出したくない」

 

「俺も、俺に被害が来てほしくない」

 

 自分たち以外への被害は厭わないリョウの手により他の結束バンドメンバーの写真が撮られ、物販で儲けようとして怒られたりしたが、せっかくの記念だからと結束バンド四人がしっかり映った集合写真を俺が撮ってあげた。

 STARRYのロインに送信すると、俺とリョウに店長さんから時給アップが言い渡され、二人で硬い握手を交わした。

 

 

 あとは体育館で行われる劇を見たりなんなりと楽しんで、時間になれば帰り、楽器を持ってスタジオへ。

 最近お決まりになったルーティンが体によく馴染む。

 今日も楽しかった。文化祭でいろんなことができて、いろんな話をして、また二人を好きになった。

 

 だから、この好きを演奏でぶつけよう。

 

 

 

「1.2.1.2.3.4!」

 

 湊の振るうスティックの軌跡に、ヨヨコと幽々は文字を幻視する。

『今日は楽しかった、ありがとう、愛してる……だから今日も、喰いに来い!』

 

 不敵に笑った二人は湊の望み通りに、自分の最高、それすらも超える音でこの曲の主役を奪いに行く。

 

 何が前日は調整くらいに留めるだ、ふざけるなと二人は言いたくなる。ほんの少しでも気を抜けばスティックの軌跡に残る文字が煽ってくる、常に全力以上を求められる。

 

 本当にふざけた男だが、彼女たちはその熱を愛してしまった。

 

 

 合わせを終えた後のスタジオでヨヨコと幽々がぐったりする中、湊だけが疲れを見せながらも余力を残していた。

 

「〜〜〜〜っっ!!!最高〜〜!!!」

 

 跳ね回る湊を横目にヨヨコと幽々は水を飲み休む。演奏中は暑いからとガンガンにかけた冷房で汗が冷えて一気に寒くなる。

 

「ヨヨコ先輩、あそこのあったかそうな生き物であったまりませんか?」

 

「そうね、静かにさせましょう」

 

 お前のせいで寒いんだ、責任を取れと二人に押し倒されてなお、湊は笑う。「でも、そのおかげで最高に気持ちいい演奏ができたでしょ?」と。

 大胆不敵に、無邪気に彼は笑う。

 自分をステージに立たせるように結束バンドを焚き付けたのは、廣井きくりだと彼は確信している。

 

 同世代の演奏できなかったのがヨヨコのおかげで改善し、次は自分の学校でできるようになれと、壁を乗り超えろということ。

 

 だから彼は、きくりと結束バンドへの感謝を込めて誓う。

 

 乗り越えるなんてとんでもない、踏み潰す。と




お礼でごわす!

⭐︎10をくださったかんかんさば様!

⭐︎9をくださった山本36様、con様

感想をくださった月琉様、なまこな様、田中読者様

あと前回誤字報告をくれてたおじおじ3様、田中読者様


皆様ありがとうございます!

皆様に幸あれ!具体的には朝一で美味しいもの飲んでちょっと元気出るくらいの幸あれ!
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