納得できない方がいたら何も知らない冨岡さんが腹を切ります。
ライブに行くと決まれば、あとは時間潰しだと二人でご飯を食べて、補導されると面倒だからというやみちゃんの提案でカラオケに行って、皆がついたであろう頃にSTARRYへ向かった。
「さくらくん、やっぱりバンドやってるでしょ」
「たまに即席でやるくらいならね」
「即席でやれる腕があるんなら、なんで自分でバンド持たないの?」
ソロでしてる活動が多いから、吹奏楽部の時みたいに不和を生むからなんだけど、重い過去とか初対面の子に話すもんでもないし……
「こう見えて忙しいんだ〜」
「自由に学校サボってるくせに⭐︎」
痛いとこ突かれた。でも本当に思ったよりもだいぶ明るくて元気な子でよかった。あとのことはやっぱり音楽の力に期待するしかないけれど、ギターヒーローなら大丈夫だろう。
きっとこの子の光になってくれる。……ギターヒーローの力を発揮してくれさえすれば……
結束バンドに期待して、くだらない話をしながら歩いた。
「「こんにちは〜!」」
二人で挨拶してSTARRYへ入ると、紹介するより先にやみちゃんが走っていった。
「ばんらぼって批評サイトで記事書いてる者ですが、結束バンドさんに取材お願いしたく〜、あっあたしぽいずん❤︎やみ14歳で〜す⭐︎」
やみちゃんの話し方で、どうしても思い出してしまうことがあって、やっとリョウに会えたので行動に移す。
「皆の活躍が知られてるんだって♠︎テンション上がるね♦︎」
「そんな目で見つめるなよ♠︎興奮しちゃうじゃないか……❤︎」
ヒソカの物真似を速攻で理解してノッてくれたリョウとハイタッチして肩を組む。
やっぱり最高の親友だ、コイツは。
「いや……あの……取材……」
俺たちに空気を奪われてしまったやみちゃんが困った表情をする。ごめん。
「アポとかとっていらっしゃいますか?」
そこへPAさんがやってきた、大人な対応してる。
俺のバイトもあるから勝手に早めの時間に連れてきてしまったけど、この時間に部外者がいるのは確かによくないし、ライブ前に結束バンドの時間を奪うのもよくない。
「やみちゃん、その取材ってライブの後でもいい?」
「下北沢で活動中の若手バンドの特集記事の一部なので、ちゃちゃっと終わらせますんで〜!」
今取材したそうだけど、複数のバンドをあたるのなら確かに一バンドあたりの質問数は少ないのかもしれない。
「私たちってもうそんなに注目されてるの!?あっ……ありがとうございます」
「先輩凄いですね!」
何よりメンバーがもうノリ気だし、このままいいんじゃないだろうか?
目があったPAさんも同じ考えみたいで、後のことは任せて各々仕事に取り掛かる。
「じゃあ早速しつも〜ん!今後の結束バンドの目標は?」
「メジャーデビュー!」
「エンドース契約してタダで楽器もらう」
「皆でずっと楽しく続ける事かしら」
「あっ世界平和」
「夢がいっぱいなのは素晴らしいですよネ⭐︎」
素晴らしく結束感のないメンバーの返答にも、やみちゃんはちゃんと褒め言葉で返してる。14歳なのにえらいなぁ……
その後も結成時期、作詞作曲の担当など、バンドとしての話を引き出して頑張っていた。
「最後に、ギターの方ってダイブで話題になった方ですよね!?何であの時ダイブしたんですかぁ〜、普段のライブからダイブしてるんですかぁ?」
やみちゃんにとっては大事な質問なんだろうけど、初めて見るタイプの人種にひとりちゃんが心を閉ざしてるから答えが引き出せない。
このまま二人を話させていてもしょうがないだろう。
「やみちゃん、一旦ストップで。この子人見知りだからこのままだと答えられないと思う。まずはライブ聴いていってよ」
やみちゃんを待たせる事にはなったけど、いつも通り受付で1号さん、2号さんを見送ったりして、ライブが始まった。
ライブが始まるまでつまらなそうにしていたやみちゃんも、演奏が始まれば顔をあげて、目を見開いて結束バンドの演奏を見ていた。
まだ粗削りだけど、廣井姐さんや俺が上まで来ると確信してるバンドだ。感じるものがあってくれてよかった。
ライブ終わり、1号さん2号さんが結束バンドに差し入れを渡してる。あの人たち毎回来てくれるし本当にファンに恵まれてるな、結束バンド。
そこへ、やみちゃんも向かっていった。
「あのっ!!その……まさか、まさかとは思ったんですけど……その歌うようなギタービブラートのかけ方、所々に滲み出る演奏のクセ、絶対そう!間違いない!」
「あなた、ギターヒーローさんですよねッ!!」
音楽好きとは思っていたけど、まだ緊張で拙さの残るバンド演奏で正体に辿り着くなんて、そこまでとは……
「なんの話?」
呟く喜多ちゃんに、やみちゃんが捲し立てる。
「まさかあんた達知らないの!?このギターヒーローさんはねぇ!!超凄腕高校生ギタリストでッそれでいて男女問わず学校中の人気者でラインの友達数は1000人越え彼氏はバスケ部のエースの超リア充女子なのッ」
「人違いじゃないですか?」
喜多ちゃんが即答する。その説明なら人違いだし、ここは正体を隠すために乗っかっておこう。
「今の説明だと人違いだよね」
「そうよね、ひとりちゃん学校の友達って私たちくらいだし」
「俺たちがいるからギリ男女問わず人気だとして、バスケ部エースの田中と付き合ってるの、かなちゃんだし」
良い流れだ。
虹夏ちゃんと目を合わせる。隠し通してみせようぜ!俺たちの力で!
「そっそうですよ!その人とこのド陰キャ少女が同一人物に見えますか!?」
いいぞ虹夏ちゃん!ひとりちゃんへの大ダメージと引き換えに凄まじい説得力だ!
「……やっぱりギターヒーローさんですよね!」
「「なんで!?」」
「カリスマは一般人とは一味違うしッ!レモンとパプリカが好きでフラミンゴ飼ってますよね!?」
「誰津玄師の事ですか!?」
「あっあの……あの……」
大丈夫だひとりちゃん、秘密は俺と虹夏ちゃんで守る!
「あっ、いやぁ……えへぇ、ちっ違いますぅ……」
「絶対この子ー!」
嬉しさ隠せなさすぎだろ、自分で答え合わせしてんじゃん……
「あの〜、ギターヒーローって……」
「本当に知らないの?これを見て!!SNSでその道の人間には大注目のギタリストなんだから!」
「確かにこの見覚えのある格好と部屋……まぁひとりちゃんね」
「ぼっち」
さっすが喜多ちゃんにリョウ!普通そうにしてくれてる!大事なところで友達のスタンスを崩さないからこ二人は最高なんだ!
「ちょっと!もっといい反応してよ!あたし一人で盛り上がって何か痛い奴みたいじゃん!あたしが痛いのは格好だけ!」
「自覚あったんですね」
「俺は可愛いと思うよ!」
「ありがと!でも今そういうのいいから!」
まあ、リョウも喜多ちゃんもひとりちゃんが上手いのはわかってたみたいだし、そんなに驚きはないのかも。
「なにこれ!もっと驚いてよ!」
「いや驚いてますよ、この大量の戯言には……」
「それに、ここにもっと凄いのいるから」
リョウが指差したのは俺。
うん、まあ俺の方が動画の幅が広いからか視聴者層も広くて登録者多いもんね、世代最強のネームバリューもあるし。
「へ?さくらくん動画出してるの?さっきバンドはしてないって言ってたけど」
「うん、やってるよ」
そう言ってヘアピンを外し、前髪を一房残して髪をかき上げ、後ろでまとめる。
「
「ざぐらぎゅん!」
凄い声出してやみちゃんが涙を流し、後ろに倒れそうになるのを駆け寄って抱き止める。
「ピギィ!!」
変な声出して気絶した。この子、俺のファンの子だわ。
お礼どす
⭐︎10をくださった木原レイリー様
⭐︎6をくださったhkit様
感想をくださった木原レイリー様、なまこな様、梨梨様、ださいひと様
皆様ありがとうございます!
読みづらいとか、こんなの見たいとかも普通に歓迎だからよろしくねマイフレンズ、従うかはタイミング次第だけど
感想めっちゃ嬉しい。どれくらい嬉しいかと言うと、マイページの通知を消したくないから、わざわざ作品情報から見に行くくらい嬉しい。
俺は感想に毎日幸をいただいてる。
皆さんにも幸あれ
具体的にはアルビノっぽい鳩を見かけて興奮したから皆さんも珍しい動物見つけるくらいの幸あれ