酔っ払い拾ったらロックに出会った。   作:西ローランドゴリラ

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前回、電波が悪いとこで更新したので最後の方がうまく更新されてませんでした。
なんか湊くんがベッドで寝てるだけのシーンで終わった方は、先に前話のラストの方をお手数ですがお読みください。


78話

 

 PAさんが涙を流しているけれど、自分の発言に間違いはなかったと自信を持って言える。

 言葉の内容や声に差はあれど、紛れもなく心は、その言葉が俺に見せてくれる景色はアルちゃんと同じだった。

 だからこれはきっと悲しみの涙じゃない。

 

「アルちゃんだったんだ」

 

「はい……」

 

 涙を流しながらも答えてくれた彼女を抱きしめる。

 

「アルちゃん、大好き。最初に炎上した時の俺ってロックのイメージがついてなかったからさ、アルちゃんが俺のことをロックだって紹介してくれたの、嬉しかったんだ」

 

 そう、俺が学校に対して戦いを挑んだ時、ピアノやサックスでロックンロールのメジャーどころではない楽器を演奏している俺は、急にロックを名乗って変なことをした迷惑なやつという見方も当然あった。

 

 ロックをしてきてなかったやつの行いでロックという文化に悪いイメージがつく可能性を危惧して、厳しい意見も当然あった。

 でも、アルちゃんはロックだと認めてくれた。

 イライザさんの好きなVtuberが俺を紹介してると教えてもらって、肯定的な内容で、心強かった。

 

「はい……」

 

「そこからアルちゃんの動画を見るようになって、音へのこだわりが凄くって……あれ、PAさんだったからなんだね、機材関係のプロだもんね」

 

「機材が好きで、息抜きのつもりがつい音にこだわってしまっちゃうんです」

 

「そんなアルちゃんが好き」

 

 PAさん……アルちゃんが抱きしめ返してくれる。

 

「FOLTだけじゃなくて世間にも味方はいるって思い続けられたのは、アルちゃんがいたからなんだ。ずっと味方でいてくれてありがとう。仲良くしてくれてありがとう」

 

 腕の中の大事な人を抱きしめる。

 アルちゃんも頬を俺の胸にすり寄せて受け入れてくれた。

 瞬間、俺の視界は天井を写し、背中にはベッドに押し倒された衝撃があった。

 

「私だって、私だってずっと大好きでした!最初はただ深夜にゲームをするのに口実が欲しかっただけで、好きな事してるだけで知名度も低くて、何だか劣等感を感じるようになって……」

 

 アルちゃんの涙が頬に落ちてくる。

 

「そんな時、世間の常識をぶち壊すようなロックンローラーに出会って、ただ凄いと思ってそれを口にしたら反応が帰ってきて……わざわざ炎上が収まった頃に湊くんが紹介してくれたから登録者も増えて、劣等感なんかどこかへ消えたんです」

 

「俺もアルちゃんを支えられてたんだ」

 

「もちろんです。これでも私、朝起きれなくて高校中退とか、遊びに行く予定が立てづらいから友達が少ないとか、コンプレックスの原因は多いんですよ?でも、そういうの全部、湊くんといたら消えるんです」

 

 気づけばアルちゃんの涙は止まっていた。

 

「そんな湊くんとお泊まりで、正体も気づいてもらったんですから、もう、いいですよね?」

 

「へ?何が?」

 

 答えは、言葉じゃなくてそのまま覆い被さってされたキスだった。

 

「ふふっ……もう我慢しないので、受け止めてくださいね?愛してます、湊くん」

 

「ちょ、待って!心の準備が!」

 

「今までもう十分に待ちましたから」

 

 食べられる、という表現される事があるけれど、こういうことなんだなと思うような初体験となった。

 

 

 

 翌日、朝食の準備をしている結束バンドの面々は、朝食の準備がされる気配のない湊とPAさん、1号と2号の棟を見て悩んでいた。

 

「起こしに行った方がいいかしら……」

 

「PAさんが朝弱いのは知ってたけど、湊くんはそろそろ起きてもいい頃だもんね」

 

「1号さんと2号さんも起きてこないですし……」

 

「あの二人も映像系だし、クリエイターって夜更かしするイメージあるからなぁ……」

 

「そう、クリエイターだから私もまだ寝ていたい」

 

「リョウは昨日誰よりも早く寝たでしょ」

 

「そうですよ、私恋バナしたかったのに!」

 

「恋バナ……ゔっオロロロロ」

 

「キャー!せっかく朝の綺麗な空気が台無しよ!」

 

 結局、他の人を起こさずとも結束バンドで騒いでるだけで時間がすぎて行くので、他の棟は放っておかれた。

 

 

 そうしてる内にチェックアウトの時間が来て、眠そうな四人が起きてきて、1号は湊を見るなり顔を輝かせて駆け寄り、耳元で囁いた。

 

「ヤったな?少年」

 

「なっ!……なっ」

 

 湊が言葉に詰まるとニンマリと笑う。

 

「図星だな〜、まあ湊くんが朝強いのも知ってるし、性格からして朝サウナを楽しんでから帰るのもわかる私たちからしたら当然だね」

 

 1号2号はドッキリはもちろん、普段の撮影で一緒に動くことが多いので、そのあたりはお見通しといった感じだ。

 

「それでそれで?どっちから行ったの?お姉さんに教えてみ?」

 

「言いませんよ」

 

「いいじゃんケチくさい事言わないでさ、福利厚生だと思って、ね?」

 

「……大事な事なんで、ちゃんと大事に取っておきたいんです」

 

「っカー!眩しっ!!」

 

 先ほどまでヒソヒソ声で話していたのに、1号は突然大きな声をあげる。そのくらい彼女にとって湊の発言は眩しかった。

 大学の男どもは自慢したりするくらいなのに、この少年はなんてピュアなのか、なんなら自分の質問がどれだけ汚れていたのかと思い知らされ、感動する。

 

「困った事があったら何でも聞いてね、お姉さん絶対に力になるから」

 

「急になんですか?まあ、それは助かりますけど」

 

「いやいいもの見させてもらったわぁ……はーっはっはっは!はーっはっはっは!」

 

 湊を解放して2号の元へ戻ると、何そのテンション怖ぁとドン引きされるが、少しすると二人して湊とPAさんの方を見て、暖かな目を向けるようになった。

 

 しかし、結束バンドはその意味に気づかない事、帰りは寧ろ結束バンドが気づかないように二人がサポートしてくれスムーズに進んだので湊は怒るに怒れず、後日撮影で集まった際に撫で回されてもされるがままになった。

 

 




お礼です。

⭐︎10をくださったtgtan様

⭐︎9をくださったtreebug様、白夜帝様、dla様

感想をくださったなまこな様、田中読者様

皆様ありがとうございます!

皆様に幸あれ!
具体的にはめちゃくちゃ美味い角煮が作れるくらいの幸あれ!
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