ダンジョン=俺 作:あり
『おめでとうございま〜す!!特賞です!』
そう係員が元気良く鐘を鳴らして凄そうな物が当たったのを教えてくれるのだが、俺には全く実感が湧かなかった。
「すいません。いつもの癖でつい回してしまったんですが、特賞って何ですか?」
総係員に尋ねると、一瞬困った顔をした後すぐビジネススマイルに戻って教えてくれた。
『まぁ、確かに。毎日変わりますから。分かっている人も少ないですよね〜。今回はですね〜こちらです』
渡された紙を見てみると、そこには《特賞》異世界で自由気ままなダンジョンライフと書いてあった。異世界、か。ラノベみたいだが、あまり驚きは無い。あの世があるのなら、異世界もあるのだろうと認識してるからかもしれない。
今俺は死後の世界にいる、言葉の通り俺は死んだ。それだけだ。そして、それから一ヶ月ぐらいか。
此処で毎日支給されるログインボーナスのガラガラのチケットを受け取っては消化していた。ほぼ作業とかしていたし、いつも天使の鼻紙ばかりだったから。無心で今日引いたら特賞が出たと言う事らしい。
「これはどうすれば良いんですか?」
『今、上の者をお呼びしますので少々お待ち下さい』
俺の人生は何処で間違えたんだろう。後悔した事は数え切れない。でも、新たな人生。異世界で前よりは良い生活をして、やり直そうと思って適当にチートを貰った。
上の人には変な顔をされたのが気になったが、俺は何も悪くない筈だ。
『では、新たな人生をお楽しみ下さい〜』
その言葉の後に、眩い光で目が眩んだ。次に目を覚ますと、何処か洞窟の様な場所にいた。此処は一体何処だ?取り敢えず、立ち上がって周りの景色で何か分からないかと思ったのだが体が動かない。と言うか身体の感覚が無い。
俺がいるのは洞窟と言うより、洞穴っぽい場所の様だ。少し先は行き止まりで、反対側が入り口の小さな洞穴。こんな所で俺は一体どうすれば良いのだろう。
あれから数日経った。腹が減って死にそうになり、何か無いかと探した所。食べれそうな物が無いかと探した所、岩とか苔とかしか見当たらなかった。
「岩か苔……どっちも食いたくねえな」
腹が減って死にそうになるって言う事は危機的な状態って事だ。俺がまだ人間なのかは分からないが、元人間の俺から言わせて貰えれば苔も岩も食いたい物じゃない。まして、死ぬ間近に食う物じゃ無い。
……待てよ?手も無いのにどうやって手に取り食べれば良いんだ?
詰んでるな、このセカンドライフ。
《何か栄養を摂取して下さい。しない場合、ダンジョン耐久力が下がりダンジョンが崩壊します》
な、何だ?
《岩と苔を吸収しますか?》
腹減り過ぎて、幻聴まで聞こえて来たのか。やばいな、これは覚悟を決めなきゃな。
「はい」
その瞬間、口?の中に苔の味がダイレクトアタックされた。ウエッ……。食うもんじゃねえよ。
その後、岩も口の中に入り俺の口の中が洞穴の様になってしまった。
「はぁ……なぁにが、異世界で自由気ままなダンジョンライフだよ」
この