転生村   作:もつ煮トリガー

21 / 72
第20話:侵入作戦・真

 メンバーは揃い、チームは行動を開始する。するとすぐにソウジロウとリーランが一緒にどこかへ行ってしまった。

 

「え、この後どうするんですか?」

 

 シュウはどうすればいいかわからず残ったメモリアに問いかける。

 

「結界解除の間に二人には話したんだけど、二手に分かれて詠唱装置が設置されていた施設に向かうことにしたんだ。私とソウジロウ、今はいないけどリムが鑑定できるのと、リムは強いし自力で離脱できるけど、私とソウジロウはさっきの兵士だって逃げるので精一杯だし負けるかもしれない。そういうわけで、この振り分けにしたの。私たちは東側にある民間の施設に行く。」

 

「なるほど。詠唱装置のある施設って言うと、国際魔道研究会?」

 

 国際魔道研究会とは、トゥテル含む世界各国に展開する魔法の研究や教育を推進する組織である。魔法詠唱装置は一般人にとって生活に必須のものとなっていてその管理は基本的に公的機関が行う。あまりに高度な技術が使われてる上関連情報が長い歴史の闇に埋もれてしまったため再生産ができず、生半可な組織ではそもそも保有できないのだ。交易都市であるウォンロードにおいて、その魔法施設が国営でないのであれば十中八九国際魔道研究会であると予想した。

 

「いや、無名の民間企業だよ。なぜそんな組織が詠唱装置なんて保持しているのかは謎だし、できたらついでに調べてみようか。」

 

 シュウの考察は水泡に帰した。

 

 その後、メモリアの記憶を頼りに浅い森の中を早足で進んでいくと、木々に囲まれた金属製の施設が目に入る。金属製の建造物は、最近増えてきたと言っても無名の一般企業が簡単に建てられるようなものではない。やはりただの民間企業ではないようだ。シュウは普段よりも緻密に、慎重に魔力探知を発動する。こういう施設には大概地下に大きな施設があるものだが、この施設もそうらしい。地上に4人、地下には数十人もの魔力を発見した。戦闘能力の高そうなのはそのうち3名、魔力量や動きから察するに、魔力も満タンな今のシュウであれば一対一なら楽勝、二対一でも何とかなるだろう。話によれば詠唱装置は術玉(オーブ)であり破壊されても破片に魔力が残るもので、それらしき魔力も確認された。この間メモリアはシュウの魔力探知を《追憶(メモリー・バック)》によって読み取り続けていた。

 

「怪しい感じだね。もし真っ当な施設なら正面から交渉するのも良かったかもしれないけど、厳しそう。」

 

 シュウは侵入する気満々だったので、交渉という言葉に少し驚いたが話を遮らないために黙っていた。

 

「ということで、二人で分かれて突入しよう。君は正面から派手に、私は裏から地味にね。」

 

 ここで話を割って、戦闘になるかもしれないが大丈夫なのかとシュウが確認する。元々戦闘に不得手であるからシュウと行動しているはずなので当然の疑問である。質問の意図を理解したメモリアは心外だよと言って説明を始めた。

 

「私もそれなりには戦えるんだよ。非戦闘員相手なら一切問題ないし、さっきの3人も、あの少し弱そうな1人なら勝てると思う。」

 

 それなら良かった、とシュウは納得して答える。ここまでの話をまとめれば、シュウの任務はメモリアが犯行現場に到達するまで、彼女の行動を3人の戦闘員に邪魔させないことだ。

 

「じゃあ、幸運を祈る。」

 

「そちらこそ。」

 

 シュウは小さくガッツポーズをした。

 

 その後シュウは正面側に周り、ドアベルを見つけたので鳴らした。時間を稼ぐだけなら戦わなくてもいいのではないかと思ったのだ。ドアベルから声がした。

 

「はーいちょっとお待ちを〜。」

 

 魔法を組み込んだ新型のドアベルなのだろうか。シュウは少し驚いたが、村での驚きに比べれば大したものでもなかった。しばらく待っていると、扉が開き、攻撃魔法が飛んできた。

 

「おわ!」

 

 咄嗟に反って躱し、落ちていた石を投げつけて反撃する。相手は素人のようで、もろに命中し額から血を流して倒れた。その手には魔法銃が握られていた。死んでしまうとシュウのポリシーに反するので当人の服をちぎって止血した。しかし、扉を開けてすぐに攻撃をしてくるというのはどういうことか。やはりなにか後ろめたいことをしている施設で先の事件で敏感になっているのだろうか。シュウは少し考えたが、これ以上は理解できそうにもないし、他にやることもないのでとりあえず施設に入った。ここは地上階であるというのに、一切隠されず兵器の類が置かれている。殺し屋をしていたときに見たかなり新しい型の魔法銃や純火薬型爆弾など、その種類は多岐に渡っている。

 

 魔力探知で周りを確認すると、異変に気づいた数名がこちらへ向かってきているようだ。目星をつけていた戦闘能力の高そうな魔力のうち1つも含まれている。メモリアはかなり上手く魔力を抑えて地下へ進んでいて敵にバレている様子は無い。とりあえず、非戦闘員でも魔法銃を持てば警戒に値する敵となり得るため、先手を取って地上階の人員は制圧し、あとは地下通路の入り口で待ち構えるだけだ。一応、制圧した研究員らしき者たちにはさらなる救援を要請させたが魔力探知によれば増員はなさそうだ。

 

「陽動ってこれでいいのかな。」

 

 近づく魔力に注意を配りながら、シュウはそう呟いた。ちなみに彼は今、癖で魔力を隠蔽しているので敵は侵入者の存在に気づいていなく、あまり引き付けられていない。つまり、これは陽動としてあまり好ましくない行動だ。




 陽動の経験なんてないから仕方ないよね。次回土曜更新です!久しぶりにバトルする予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。