セキとやらは、シュウを背負って走っていった。他の戦闘員たちは裏切り者が出たと挙ってセキを追ったため、メモリアはがら空きの部屋を通って安全に屋外へ脱出できた。セキはシュウに覚えてもらえていたのが嬉しいらしく、ウキウキで追跡者たちを蹴散らした。しかし、彼はシュウがどこへ逃げればよいのかを一切知らない。そこに方向音痴も加わっているのか、せっかく逃げた施設にまた戻ってきてしまった。セキの都合など知らないシュウは、魔法の影響による混乱も相まってパニックになった。セキの背を蹴って距離をとるが、すぐに目眩により倒れ込む。
「ごめん!俺道わかんないわ。」
セキはすぐにそう言った。しかし、そんな弁明は混乱するシュウには届かない。
「俺を騙そうとしてるんだろう!友達だとか言って、俺はお前なんて知らない!」
知らないと言われ傷ついたが、それでも、何としてもシュウに安心してもらいたい彼は、腰に差していた剣を捨てて手を広げて歩み寄る。だがシュウは興奮した為かその場で気を失ってしまった。駆け寄るセキは親友への心配のあまり、背後に立つ人影に気づかなかった。
「止まりなさい。」
施設のものらしき魔法銃を構え、そう言い放ったのはメモリアだった。シュウの魔力隠蔽が途切れていることに気づいた彼女は戦闘員の記憶から魔法銃の扱いを学び、ここへ駆けつけた。
「いや、待って!俺はその、シュウの友達で…見ての通り武器も捨てて助けようと!あなた、たぶんシュウの仲間ですよね?魔法銃の気絶魔法が変に作用してなんか変な感じなんです。助けてあげてください!」
メモリアの《
「こっちもやっておくか。」
セキにも手を触れてその記憶を覗く。シュウの話から推測して、2人が会っていた可能性のある時期へ遡る。そこには確かに、シュウと楽しく会話を交わす記憶があった。少なくとも、シュウの友達であるというのは嘘ではないらしい。そして最新の記憶を見ようとしたとき、彼女は驚愕に見舞われた。セキの記憶はたった今も続いている、つまり、彼は気を失っていないのだ。メモリアは、今の隙に攻撃しなかった事実と垣間見た彼の人生から感じる誠実さからそう判断し、声をかけた。気絶したフリを続ける意味のなくなったセキは立ち上がって応える。
「信じてくれてありがとうございます。ところで、あの施設で今警報が鳴っててそのうち誰か来ちゃうんで、逃げましょう。」
そう言って再びシュウを背負った彼はメモリアと一緒に歩き始めた。しばらく2人は無言で歩いていたが、外壁のすぐ下に辿り着きメモリアが口を開いた。
「君、もしかして転生者じゃない?」
セキはかなり驚いた様子で、転びかけた拍子に危うくシュウを落っことすところだった。その衝撃でシュウは目覚めた。
「シュウ、起きた?君の友達が手伝ってくれたから、ここまで来れたよ。」
未だ体調の優れないシュウは震えた声で返した。
「いや、俺…こいつ知らない…」
そう訴えるが、メモリアには《
「ああ、大丈夫。ソウジロウとリーランともう合流するし、リムも脱獄して中央の詠唱装置の残骸を回収したって連絡があったから。ところで、君は転生者なんだね?前世はどこ出身?
すぐに話はセキのことに戻る。シュウはリムの名前を聞いて安心して再び目を閉じた。メモリアがこうも彼に質問するのには理由がある。実は、彼女は既に先程の《
「俺は前世日本人で、
嘘は無い。ここでメモリアは彼を完全に信じることと決めた。その後の追手もセキが強力な
ともかく、ミッションコンプリートだ。
リムやリーラン側の描写もしたい。