リーランが危機を知らせに駆けつける前、レオとセキは魔物山の麓にて魔力式自重筋トレをしていた。体内での魔力圧を高めて魔力への耐性を高めつつ、擬似的に質量を上げて2面的に自らを鍛え上げるというものである。
「レオさん流石っすね!そういえば、レオさんの
楽々と片腕で腕立て伏せをするレオにセキが明るく話しかけた。
「俺は《
レオは無骨に答えて質問を返しながら、地に突く腕を変える。
「俺は《
セキが元気良く応え、強そうだな、というレオが返す。それからしばらくは、静かな筋トレが続いていた。
「これで300だ。休憩しよう。」
300セットの筋トレを終え、手を止めたレオはそう言って近くの石に腰を下ろし、隣のもっと大きい石を片手で持ち上げてショルダープレスを始めた。セキは休憩するんじゃなかったのかと混乱しながらも隣に座る。近くで見れば、魔力強化もしていないのになんと指が石にめり込んでいた。
「凄い握力っすね。魔力強化もなしにどうしてそんなに力出せるんですか?」
純粋な興味からの質問をされ、レオは頭を捻り答える。
「うーん…前世からよく鍛えてたから…か?」
わからなかったようだ。思わずセキも突っ込みを入れる。
「か?って、聞かれても俺レオさんのことわかりませんよ。てか、体は違うんだから前世は関係ないんじゃないんですか?」
2人は揃ってうーん、と首を傾げるが、答えは出なかった。そのときセキが、リーランがこちらへ向かってくることに気づいた。
「レオさんあれ…」
呼ばれたレオは持っていた石を適当に放り捨ててリーランに手を振った。レオに気づかれたことを理解したリーランはすぐに指示を出す。
「レオ!とりあえず僕を抱えてあっちの方に走れ!」
レオは指示に従い走り出した。魔力強化をすると色々壊れるのでそれはなしだ。セキは事情を呑み込めないながらも高速で移動するレオに《
「リーマンさん!どうしたんですか!?」
並走しながらレオに抱えられたリーマンにセキが問いかけた。
「あ、セキくん。恐らくとても強い敵がこちらへ向かってる。他の仲間が食い止めてるんだけど、手こずってそうだから増援を呼びに来たんだ。危ないかもしれないし、君は向こうの方にいなよ。あと僕リーラン。」
リーランは軽く状況を伝え、名前の間違いも訂正した。しかし、セキは忠告をされたのにもかかわらず並走を続け力強く言い放った。
「あ、すみませんリーランさん!でも俺腕には自信あるので、ついていきますよ。」
セキのことを全く知らないリーランは一緒に何かをしていたレオに確認をした。
「レオはどう思う?セキくんは」
『たった今、転生村南東方向上空にてフーリが未確認の敵に敗れた。既にこちらに向かって飛来している。』
話の途中で神託が割り込みんだ。彼女の強さを知るリーランは驚いたが、他の2人はあまりピンときていないようだった。
「あれ、セキくんはともかくレオはフーリが強いの知ってるもんだと思ってた。そうだな、フーリは体当たりの威力ならレオにも拮抗できるレベルだよ。それしかしないけど。」
それを聞いた途端、セキは青ざめた。魔力なしですら
「いいんじゃないか?結構強いと思うぞ。」
レオは暢気なもので、神託の内容を無視してセキの参戦を認めてしまった。
「じゃあいいか。いざとなれば僕を囮にして逃げるといいよ。僕の《
リーランもそれを聞いて許した。つい19年前まで日本人だったセキには、やっぱりやめた、なんて今更言えなかった。セキとレオは圧倒的な速度で結界南側まで到達して、リーランが空を指し示す。
「いた!あれだと思う!」
目を凝らしてみると、そこには色とりどりに輝く球体が浮遊し、結界に魔力を送り続けていた。そのとき、セキはレオの雰囲気が変わったことを肌で感じた。
「あれ、魔王だ。」
レオがその球体を魔王だと言ったのには理由がある。それはその球体の放つ魔力の量が自分に感じ取れるほどに大きかったこと、そして何より、彼が3年前に討伐した《灰燼の魔王》と極めて似た気配を持っていたからだ。しかし、リーランはそれを信じがたい様子で反論した。
「魔王ならレオがこの間倒したじゃん。こんな高頻度で発生なんて僕の長すぎると思ってた人生でも体験したことないよ…まあ、カンナかリムでもいてくれたらわかったんだろうけど今は無理だ。とにかく結界破壊を阻止して!」
「わかった。じゃあ行くぞ。セキも来い!」
そうしてレオとセキの二人は、後に《眩耀の魔王》と呼ばれるその魔王へと挑むこととなったのだ。
金曜に投稿するの久しぶりですね。
あと、シュウがまるっきり登場しないのは初かも。次回は明日土曜更新です。
明日は11時投稿ですが、来週からは16時投稿にします。