翌日、華やかな宴会場は無機質な会議室へと変貌を遂げていた。転生村を襲撃した魔王や転生村を襲撃した転生者、魔王を使役した転生者、
それら全てが重なった現状は、明らかに異常事態と言える。さらに転生村を支える三本柱の一角であるトリアがその力の大部分を失い弱体化している。
これまでの作戦は、残存する詠唱装置の保護、敵とその位置の特定、戦力による打破の3段階だった。敵が変わったわけではないので主な方針はそのままだが、いくつかの懸念点を考慮する必要がある。まず、『眩燿の魔王』の存在。これを使って逃げるローベンを捉えられるのは最大出力のセキのみだ。そのため、《
また、《
ここで、リム、メモリア、ハルカの解析による結果が発表された。まず、魔石の破壊が魔力の破壊によって行われたこと。シュウが蒼い炎について言及したことで、それが《浄化の炎》という
「残念だけど、これだけだよ。その後はソウジロウにも確認してもらったけど、」
「特に何もなかった。もはやただの石ころだったよ。魔石としての機能すら失ってた。」
皆が落胆したその瞬間、突然リリーが声高らかに宣言した。
「わたくし、再びソーラスへ赴きたいと思いますわ!ただし、今度は王ではなく、カルジーナを訪ねます。どなたか一緒に来てくれます?」
半ば反射的に、シュウが手を挙げた。そしてふと、カルジーナというのが誰なのか知らないなと思ったが、会えばわかるとあまり気にしなかった。次にレオが手を挙げ、そんな二人を見たセキがさらに続いて手を挙げた。
「カルジーナを訪ねて、どうするつもりだ。リリー。」
ザックが問いかけると、リリーは笑顔で言った。
「彼女はウーナ様よりも頼りがいのある神ですわ。わたくし実は、彼女に一つ貸しがありますのでお願いをしてきますわ。道中は険しく危険ですが、彼らがいるなら安心でしょう。ここにいても解析や戦闘、捜査に立案、わたくしでは何の役にも立ちませんわ。」
普段の高慢な態度からは考えられないほど謙虚で堅実な思考だったが、これが彼女の本性なのだろうと何故かシュウは直感した。
「まあ、いいだろう。そうだ、ついでにカンナも連れていってくれ。『武神』に成った人間に一度会ってこい。レオも行くと言うし、いいだろ?」
それを聞いたカンナは小さく頷いていた。残りの皆も納得した様子だったため、ザックは話を次に進めた。
「では、ローベンに1対1でも勝てそうなのは誰だと思う。シュウ、ノット。」
「おれとウーナ」
「リムとホムラは勝てると思う。全快なら絶対。カンナは…怪しい。俺は、1対1ならほぼ負ける。ノットが来なければ先に限界が来るのはきっと俺だった。あ、レオもいける。なんなら一番相性いいかも。」
聞かれた2人はそう答えた。ノットがシュウに自分が挙げられなかった不満を垂れていたが、勢いよく開いた扉の音でそれは掻き消された。
「私は勝てる。」
そう言いながら入ってきたのはトリアだった。非常時でもないのにあの黒いボディスーツを着ている。スーツに内蔵された魔石の魔力を使って不老魔術を維持してるのだろう。しかし、それでも魔力が不足なのか顔色が悪い。ここまで静観していたシエラがその様子を見て声をかける。
「トリアさんなら例え今の弱った状況でも並の魔王やローベンには負けないと思います。でも…」
そこまで言ってシエラは何かに言い淀んだ。トリアが続ける。
「その先はいらない。もう詠唱魔導装置の自動生産機構は完成してる。1週間以内にそいつを片付けて、再配置する。」
ザックはこのやり取りからトリアの覚悟を汲み、決断した。
「では、ホムラとメモリア、ノットとビリー、リムとシエラ、俺とトリアのそれぞれ二人組で捜査をする。ソウジロウとハルカとモニは3人組だ。アイマとリーランは村で待機だ。場所はそれぞれ、後で俺から伝える。リリーたちも、上手くやれ。」
こうして、新たな作戦は始動した。
文章を書くことの難しさを実感している。