カルジーナが古くからの友人とその仲間たちを見送ったそのとき、神託が下った。
『カルジーナ、久しぶり。引き受けたんだ。』
そうだよ、と脳内で答える。
『カルジーナは神格にしては力が弱いから、気を抜けば負けるかもしれない。気をつけてね。』
ウーナはそう言って神託を終えた。5000年ほど前に、まだ顔も知らなかったウーナに神託を受けて他種族の共存を成したときを思い出す。そして、懐かしい仲間たちの顔や声も。
「力が弱い、か。舐められたものだな…」
独りごちりながら、愛すべき祖国チルダの軍服を身に纏う。話を聞いたときは、この任務を別に何とも思っていなかった。しかし、ウーナの神託が下ったことで、その心境は一変していた。確かに、彼は以前からずっと神託を多用しているが、カルジーナが神格に至ってからは『慟哭の魔王』へ挑んだときと、ウルティマが襲撃してきたときの2度だけだ。そして、それはつまり今回の任務もそれらに並ぶということだ。野太刀《
「あれから4600年も経つけど、やっぱりこれが一番いいな。」
彼女には、自分が敵を見つけるという予感があった。それは他の誰にもない、戦争の渦中に身を置き続けた者としての勘だった。そしてこの予感は、見事に的中することとなる。
場面は変わり、世界5位の人口を持つ開発都市シャルライア。そこでは、メモリアとホムラが仲良くローベンの捜索をしていた。シャルライアはかなり最近にできた都市で、魔術を含む科学研究が盛んである。そのためここを落とせば、多くの人間の屍体に加えて、最新のエネルギー源である化石燃料式魔力炉が手に入る。仮にそれがローベンの手に落ちても、炎熱に完全な耐性を持つホムラであれば安定して対処できると踏んで彼女たちはここに配置された。
世界最大の人口を持つ首都ミダルでは、トリアとザックが捜索をしている。この都市は極めて広いため、トリアの《万象を覗く瞳》による高度な広域探知を行うことになった。魔力源の大幅な減少により膨大な情報量を処理するための魔導機器を起動できないため処理に時間がかかるため、いざとなればザックの《隠れ蓑》で退避する計画だ。
北リエル森林では、ノットとビリーが捜索をしている。ここは転生村の位置する南リエル森林と比べても魔物が多い。そのため、上手いこと魔物を避けつつ効率的に森林の探索ができる2人が担当することになった。
リムとシエラはトゥテル王国だ。トゥテルの王ストラテスはここまでの対応からローベンと協力関係にある可能性が高く、より目立たずに行動し、かつシュウとカンナのときのように襲撃を受けた際、無駄な戦闘を避け早急に離脱するためにリムとシエラが割り当てられた。
そして、転生村にて、リーランとアイマは静かに待機をしていた。アイマの
再び場面は変わり、ソーラス王国の首都ブラー。そこでは、転生村に帰還するため定点型転移魔術装置を借りようとリリーの一行が訪れていた。
「ソーラスは我々に対してかなり有効的な国でして、これの使用許可は既にいただいておりますわ。」
リリーが自慢げに言う。形状や装飾から、シュウはその構造物が何なのかを見抜いた。
「
「俺始めて使う!」
セキも次いで喜ぶ。しかし、レオとカンナは何やら浮かない顔をしていた。理由を尋ねても、まだわからないと答えてくれない。何はともあれ皆が乗り込んだことを確認すると、リリーがトリアの用意したチートコードを用いて行き先を転生村へ指定する。転移開始の合図を送るが、何も起こらない。30秒ほど経って、ようやく赤いランプが点いた。その下には、『重量超過』の文字が刻まれていた。皆はその理由に気づき、レオに目を向けた。
転移魔法は、2つの空間を入れ替えることで行う。そのためには、その2つの空間内の質量が一致する必要がある。どちらかが不足した場合、質量に似た性質を示す魔力を利用して均衡を摂るのだが、レオの魔力量をカバーすることは当然不可能だったということだ。
そして、レオを除く4人はそのまま村まで転移し、残りの1人は全力ダッシュで帰還することとなった。
筋肉の足