地鳴りのような音は、シュウたちの北方から迫っていた。
シュウたちとローベンが激しい戦闘を繰り広げているのは、武装都市ゴノトの北のはずれだ。この都市は量質ともに世界一の軍事設備を保有するが、それは一重にウルト密林へ対抗するためである。それは、
「まさか、壊したのか…!」
そのまさかが事実であるという確信を得るまで、そう長い時間は要さなかった。見えたのは、乾いた大地に砂埃を立て迫り来る、幾千の魔物の軍勢。《
状況が、リムに少ない択を押し付ける。
「カンナ!一緒に来い!!」
リムの思考を遮ったのは、シュウがカンナを呼びローベンへと立ち向かわんとする言葉だった。カンナは既に《灰燼の剣》を抜いている。続いて、レオがセキとともに『眩燿の魔王』を殴り地面に叩きつける。アイマは再び鏡面を展開し、セキの《
その間ローベンは、シュウとカンナの猛攻と反撃を邪魔するアイマに足止めされていた。
「また面倒くせぇなぁ!!」
変幻自在な翠緑の腕輪で隙あらば《影鍼》を狙うシュウと、動きは単調だが当たれば即死級の《灰燼の剣》を《飛燕の剣》によって高速化された動きで振るうカンナ、息の合わない2人に生まれる隙はアイマが柔軟にカバーする。しかしローベンは加速度を増大させる
「これはトリア用だった...!」
《
「でも、時間は稼いだ。」
リムの《雷網》は発動された。雷光が魔物の群れを迸り、伝播する。より多数の敵に対して高い効果を発揮するこの魔法はトリアが開発した《魔竜級動力式共振増幅型連鎖雷撃魔法》を基に人間にも使えるように簡略化したものだ。その性能は折り紙付きである。瞬く間に、魔物の群れは動きを止め地に伏した。
「あーあ。全滅か。」
ローベンは発言とは裏腹に満面の笑みを浮かべていた。シュウは彼の思惑を、直感的に理解した。だがシュウにもはや彼を止める術はなかった。
「《
ローベンの叫びが高らかに広い大地へ響き渡る。しかし、
「動かない…?」
魔物の群れは僅かな反応も見せなかった。リムが《雷網》の特性を利用し、全ての魔物がちょうど瀕死になるよう調整したのだ。ローベンが困惑した刹那、浮遊魔法で接近したアイマが組みかかり体勢を崩す。2人はそのまま滅茶苦茶に回転しながら落下した。
「万事休す、じゃない?」
アイマがそう言う。しかし敗北が明らかな状況でなお、ローベンはまだ、笑っていた。アイマは焦る。触れられてはいない。『眩耀の魔王』も、今は撃破され再生の途中だ。付近の観察が終わる前に、ローベンが《浄化の炎》を噴き上げる。アイマは落ち着いてそれを写し黒煙で上から飲み込むが、先程よりも圧倒的に速く拡散し漏れ出た蒼炎が離れたところにいる魔物たちの一部に燃え移った。
「もし、お前が俺を落としたのが少しでも遅れれば、《躍進》が切れてこうはならなかったなあ。ありがたいよ。」
魔力を灼く《浄化の炎》は、一瞬で燃え移った魔物を焼き切った。
「《
火に飲まれた魔物たちは蘇り、それぞれが隣に倒れる瀕死の魔物を攻撃する。その魔物が死に、蘇り、その隣へ。リムといえど、もう対応はできなかった。
ローベンそろそろ負けろ