転生村   作:もつ煮トリガー

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第4話:転居したら屋根裏だった件

 早朝、昇る太陽の光に包まれショウは目を覚ます。二日酔いによる酷い頭痛で苦しみながら、何とか上体を起こす。

 

「目を覚まされましたか。シュウさん。」

 

 隣の部屋から声がした。シュウは昨日の記憶をなかなか辿れなかったが、その慈愛にあふれる声に心を落ち着かせ再び横になった。少しすると、薄く緑がかった白髪で長身の、僧侶のような恰好をした女性が部屋に入ってきた。手にはお盆を持っている。シュウはその姿を見て彼女の名前がシエラであることと、昨日ホムラに酒を飲まされ酔いつぶれたことを思い出した。

 

「シエラさん。看病してくれたんですね。ありがとうございます。」

 

 少し朦朧としつつも感謝を述べるシュウに、大丈夫よと優しく声をかけお盆からお茶碗一杯の白米とお味噌汁に一杯のお茶をシュウの横の低い机に置いた。

 

「二日酔いに効くお茶とお味噌汁です。」

 

 差し出された素朴な朝食に、シュウはすぐに手を伸ばしたがふと昨日の事が頭をよぎって手を合わせた。

 

「いただきます。」

 

 シュウはそれだけ言ってすぐに食事に取り掛かった。寝ている間に胃の中のものをほとんど吐き出してしまってかなりの空腹だったため僅かな時間で食器は空っぽになった。シエラはその間、傍らで穏やかな笑顔を浮かべて静かに見守っていた。

 

「美味かったです。本当にありがとうございます。」。

 

「どういたしまして。」

 

 シエラは空になった食器をお盆の上にまとめると、失礼しますねと言ってシュウの胸に手を当てた。シエラの魔力が体内に流れ込み、毒素(アルコール)は瞬く間に取り除かれ頭痛もとれた。

 

「本当は寝ている間に解毒してしまおうと思ったのですけど、近づこうとすると威嚇なさっていたのでやめておきました。」

 

 この威嚇行動は彼の暗殺者としての警戒心から幼い頃に癖になっているものなのだが、今日まで誰にも指摘されなかった。人との関わりを経つ生活だったので当然ではある。

 

「そうですか。すみません。ありがとうございました。」

 

 シュウはすぐに立ち上がり、これ以上手間をかけさせまいと部屋の扉に向かって歩き出した。しかし、今自分には帰るべき家がないことに気づき立ち止まる。

 

「あ、家...」

 

 そうシュウが呟いたのを小さく聞いたシエラはすかさず声をかけた。

 

「そういえば、住むところがまだ決まってませんよね。うちは空き部屋がないのですが、たしかホムラさんとメモリアさんの家に空き部屋があったと思います。玄関を出て右側に見える大きい家がそれですので、訪問してみてはいかがでしょう。」

 

 シュウは至れり尽くせりの対応に感激し深く頭を下げ、言われた通りに家に向かう。初めから見えているので迷うこともなくすぐに話されたものらしい豪邸についた。少し緊張しながらドアベルを鳴らすと、出てきたのは明るい紫色の美しい髪を持つ色白の女性、メモリアだった。昨日の件もあってホムラに少し苦手意識があったシュウはほっと胸を撫でおろした。メモリアは扉を半分開けて顔を出したそのままで話し始めた。

 

「ああ、家?うちには住ませないよ。代わりというのも何だけど、一緒に回ってあげようか?みんなの部屋状況くらいなら覚えてるし。」

 

 まだ何も話していないのにやけに話が早いが、シュウにとっては好都合だった。他に当てもないのでその言葉に甘えることにした。

 

「じゃあちょっと待ってて。着替えてくる。」

 

 それだけ言い残しパタンと優しく扉を閉めて戻っていった。ホムラのものと思われる咆哮が聞こえたが聞こえないことにした。人間が発する声とは思えない。僅か40秒ほどで、小綺麗な服装に着替えたメモリアが扉から出てきた。

 

「お待たせ。部屋に余裕があるのは、リーラン、カンナ、モニ、ハルカ、アイマ、ザックかな。ザックは君にかなり気をかけていたようだし、すぐそこだから行ってみようか。」

 

 ザックの家までの少しの時間で、シュウはメモリアにいろいろなことを聞いた。メモリアとホムラは前世からの幼馴染で、戦火で命を落とし転生したこと。こっちの世界に来てからは、死霊の異常発生を食い止めるため、彼女らと同時期に転生したナヴィータ=インフェリスという転生者と協力して死霊の王を鎮めたこと。歴史書では鎮魂ではなく討伐となっていたが、それは民間人にわかりやすく脅威が去ったことを示すためであったこと。ホムラの好物がレアの牛肉であること。ホムラは朝に弱いこと。ホムラはこの村で5番目に強いこと。これだけの情報量を一切つまらず、間も置かずに話し続けた。途中から聞いてもいないことを喋り始めてしまったので、メモリアの異界異能(アルシア)について聞きそびれてしまったのだが、それはともかくザックの家に着いた。

 

「ザックさん。後輩が住処に困っています。屋根裏部屋、空いてますよね。入れてあげてください。」

 

 さっきまでの早口のままメモリアはザックを呼び出した。家の裏から気怠そうに煙草を咥えたザックが歩いてきた。

 

「ああ、いいよ。散らかってるが窓もあるしそれなりに広い。片付けも手伝ってやるよ。」

 

 ザックは家の方を振り向いてちいさく指をさしながら言った。

 

「だってさ。よかったね。」

 

 メモリアは柔らかい声で言ってその場を去った。その後、シュウはザックに案内されて屋根裏部屋を見た。屋根裏全体が一部屋になっているためかなり広く、机や椅子などの家具が雑に置かれていた。ザックは昔家具作りにハマったことがあり、モノづくりの得意なソウジロウに教わりながら大量に作ったそうだが置き場がなくてとりあえず屋根裏に詰め込んだらしい。二人でほこりを払い、いらない家具を家の外へ運び出すのにこの日は使われた。もうすぐ日が沈もうという頃、ようやく片付けが終わり、部屋らしい空間に変わった屋根裏でシュウは早めの眠りについた。




お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、サブタイトルはとある作品のパロディです。こっちは未熟な作品ですが、お気に入りしてくれたら嬉しいです。
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