「あ、シュウ。大丈夫?」
シュウが大空から着地したところで見たのは、《
「は?もう帰ってきたの?ありえねぇ〜!」
押さえつけられた転生者らしき女が高い声で言った。
「え、そんな遠くに飛ばしたの?メメ。ミオンとリヒトとセオも戻してよ?」
ユメはシュウを視界の端で確認して、やり取りを続ける。その光景にシュウは呆然としていた。ウーナの神託は伝え方はふざけていたが声色などは結構真剣な雰囲気で、本気でユメが危険にさらされているのだと思っていたのに実際にはこの通りだったからである。
「これを見せたかったんだよ。びっくりしたでしょ?」
ウーナはニヤニヤと笑む。しかしすぐに、子供が不満を示すような、わかりやすいふくれっ面に変わった。
「なんかもう少し彼女らの戦いが見れると思ってたんだけど、早く終わっちゃったね。シュウも見たいよね。」
「見たいよね」とは言うが当然彼はシュウの返答など待たない。直後、ウーナは指をパチンと鳴らす。
「メメ!魔力を回復してあげたよ!」
「ほんとだ!やった!」
トントン拍子で状況は変わり続ける。ウーナは確かにめちゃくちゃだし、メメというあの女も大概だ。なんでこの状況で、魔力の即時回復という異常事態が起こってて平気で戦いを再会できるんだ。ユメもなんでちょっと嬉しそうなんだ。ウーナは本当に楽しそうだ。というかウーナはずっと楽しそうだ。そんな中でシュウだけはちゃんとウーナの気まぐれに置いていかれている。彼もしっかりと観戦はしているのだが、それはもう置いていかれすぎてそうする他にないからで中々可哀想である。では、視点をその戦いへと移そう。
彼女らの攻防において、常に先手はメメだ。《
「トんじまえ!!」
その声ともにユメは空中へと転移した。《
「《閃花》」
魔法はその名を呟かれると同時に放たれた。目潰しにもならない程度の光を散らせるその魔法は、メメに刹那の思考の遅れをもたらす。直後、ユメは地面に叩きつけられる。やはり魔力を纏うだけでは衝撃を吸収しきれないが、まだユメは動けた。姿勢を立て直すこともなく、地に這ったまま次の攻撃を繰り出した。
ユメとメメの戦闘スタイルは、静と動、受けと攻め、一撃と連撃、どこをとっても正反対だが共通点もある。それは両者が戦闘における全ての瞬間において至って冷静であったことだ。彼女らは目立った間違いを犯していない。だからこそ、気合と直感が勝敗を分けたのだった。
「シュウ、果たして君はあの妹と戦ったら、どうなると思う?」
思わず戦いに見惚れていたシュウは、その言葉で我に返る。反射的に自分とユメとの戦いを空想した。
「転生村に彼女を連れてこようとしたんだろう?君も知ってるはずだ。村のあのルールを。」
シュウは出かけていた言葉を飲み込み、倒れ込むユメの方をじっと見る。少しして、シュウが口を開く。
「"転生村において、住人が人を招くとき、住人はその者よりも強くなければならない。"ってやつか?」
しかし、その返答にウーナは首を横に振った。
「うーん。それはリーランが決めたやつだが、シュウならユメにも簡単に勝てるだろう?不意打ち気味とはいえ、先の戦いでもチームを組んだユメに圧勝だったしね。俺が言ってるのはそれじゃない、唯一俺が定めたルールだよ。もしかして知らない?」
シュウは記憶を遡って他のルールを探すが、思い当たるものはなかった。それでもまだ悩むので、ウーナは痺れを切らして教えてやった。
「“新しい住人は戦いによって迎える”だ。このルールに別に理由もないから守らなくたっていいんだけど、一応みんな何かしらで戦ってるんだよ。モニがペロパでザックに完敗したときは面白かったなあ。」
シュウはまたユメの方を見て考える。果たして自分はいつ戦ったのだろうか。カンナとの模擬戦はかなり後だし、記憶は薄いが食事会のときはホムラの誘いを断ったはず。と、考えていたが答えにはすぐ辿り着いた。
「あ、もしかしてあの失敗した暗殺が戦いに含まれてる…?」
沈黙が辺りを包む。ユメたちとウーナがぼっと立っていた。
「暗殺…?シュウ、それ、どういうことだ?」
いつか来るその時、だが、多分今じゃないはずだろう。そんな中でただ1人、ウーナウーナだけは少しだけ何かを期待するような目でその状況を俯瞰していた。
転生村ってタイトル間違えたかな。中々村に帰れねえや。