転生村   作:もつ煮トリガー

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第51話:入村手続き

 その後、シュウたちは自力で転生村へと向かった。ウーナはメメを小脇に抱えて少し離れて着いていった。結局ノットの魔力は見失ってしまっているので、太陽の位置から方角を確認して大まかに転生村の方向を探りながら進んだ。転生村に着いたのはそれから2日後のことだった。

 

「ここが、転生村…」

 

 リヒトが呟く。

 

「見た目は普通の村だな。家は少ないが。」

 

 セオが簡単に様子を分析する。

 

「なんかやばい音聞こえるけどね。」

 

 ミオンが重い物を振り回すような音を指摘する。

 

「全体的に魔力が多いね。」

 

 ユメがそう言って《魔力感知》を解く。

 

 結界の手前で立ち止まったリヒトパーティを横目に、ようこそってやつやらないのか?とシュウがウーナに小声で話しかけた。

 

『え、シュウがやってよ。連れてきたのはシュウじゃん。』

 

 至極真っ当な意見が脳内に流れ込み、シュウは小さくため息を吐いて咳払いをした。

 

「リヒト、セオ、ミオン、そしてユメ。ようこそ、転生村へ。ここに滞在する…期間は楽しんでくれ。」

 

 少しぎこちなくも4人を迎え入れたシュウは、予定滞在期間を聞いていなかったことを思い出して尋ねた。

 

「休みが終わる5日前くらいには帰りたいから…」

 

「あと28日だな。」

 

 28日、この数字はシュウの予想のおよそ28倍の数値である。当然、彼は驚いていた。

 

「え、じゃあ村で寝泊まりするってことか。」

 

 誰に部屋を借りるか考え始めたシュウに、リヒトたちは野宿するから不要だと言うが妹含む友人たちにそんなことをさせるような人間ではなかった。しかし、シュウの部屋は4人が暮らすには狭すぎる。というか、そもそも人が4人も暮らせる家はこの村に2軒しかないのだ。その旨をリヒトたちに説明し、シュウはメモリア(とホムラ)の邸宅へと向かった。

 

「メモリアはいますか?」

 

 そう言って戸を叩くと、扉を開けて出てきたのはホムラだった。

 

「メモリアはいない!今街に本を買いに行っている。私でよければ話は聞くぞ。」

 

 ピンチである。シュウはホムラへの苦手意識を既に克服しているが、もしここで貸しを作ればおそらくそれを引き合いに戦うことになるという確信があった。

 

「4人に部屋を貸してあげて欲しいです。」

 

「いいぞ!その代わり、この後一試合しよう。」

 

 シュウはホムラに勝てないとわかりつつも、高まる戦闘への興味が彼の行動を後押しした。しかし、この後というのは流石にユメたちに案内などをしないといけないので断り、4日後の約束となった。

 

「というわけで、4人はあの家の部屋を借りられるらしい。」

 

 結界内から帰ってきたシュウにそう言われたリヒトたちは慄いた。シュウが指し示すあの家と呼ばれた邸宅はかなり豪華で、もし宿ならリヒトたちの半年分の給料で3泊といったところだ。

 

「あそこはホムラとメモリアっていう2人で住んでるけど、メモリアは今街に本を買いに行ってるらしいから、とりあえずホムラに会おうか。」

 

 そう言って、シュウはまた結界内へ戻って行った。結界を通れないリヒトたちを置き去りにして。

 

「シュウ!!私たちそっち行けないよ!!」

 

 ユメが叫んだ。が、結界の遮音性質のせいでその声はシュウに届かなかった。シュウは少し離れたところで呑気に手招いている。

 

「ウーナさん、神託で伝えられないですか?」

 

 セオが提案するが、現状が面白いからという理由でウーナは断った。

 

「ちなみに、このメメの《転移(テレポート)》を使ってもダメだよ。この結界の主が最近、結界を面でなく空間に適用させたからね。入ったら弾けるよ。」

 

「弾ける…」

 

 4人はドン引きしていた。中に入ったら弾けるというのもそうだが、魔法に詳しいセオとユメは結界の空間適用にもだ。

 

「一応、僕が加護を与えたら耐えると思うけど多分君たちは加護で死ぬから無理だね。やる気もないけど。」

 

「加護で死ぬ…」

 

 また聞いたことない事象だ。受けた加護を扱えずに暴発させた例はそれなりにあるのだが、加護を受けただけで死ぬなんてことはないのだ。

 

「じ、じゃあどうすれば…」

 

「神託で伝えてあげるか。」

 

 ええ…というリヒトたちの声は気にもとめず、ウーナはすぐに神託を授けた。

 

『シュウ、トリアに言わないとこいつら結界通れないよ。』

 

 すると、離れて見えるシュウが走り去っていった。

 

「じゃあ皆結界に弾かれない程度に触っといて。」

 

 リヒトたちはウーナの指示に従う。メメは片手で持ち上げられて結界に押し付けられていた。数秒後、感じていた反発力がパッと消え去った。

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