転生村   作:もつ煮トリガー

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第52話:新入生歓迎

 リヒトたちがシュウに連れられてホムラに会っている頃、転生村北部結界外に位置する『輪廻転生の社』にてメメが洗礼を受けていた。

 

「君の前世の生き様、そして死に様について聞こう。今の僕にかかれば記憶を読み取り、あるいは過去を見てそれを知ることは容易いけど、口に出すことにはやはり価値がある。」

 

 神座で宣うウーナの言葉に、メメは口篭った。転生者の選別は『輪廻の神』として神格化されたウーナが行なうため、彼女が転生者として選ばれた理由をメメの前にいるウーナは知らない。だからこそウーナにとってこの問答は価値があるのだ。

 

 しかし数分待っても、メメは話し始めなかった。

 

「僕には悠久の時がある。君が話す気ならいくらでも待つが、話さないなら限られた君の時間が無駄になる。僕はどちらでも構わないが、これだけは言っておくよ。」

 

 ウーナは腰を上げ、ゆったりと歩いてメメに歩み寄って言った。

 

「前世に過ちや悪行があるのなら、それを後ろめたく思う気持ちがあるのなら、それを忘れてはならないよ。だけど、それと同時にそれはおまえにとって過去の出来事で変えようのない事なんだ。無関係の私は口を出さないし、当然非難するつもりもない。話したくなれば話しに来なさい。」

 

 メメが顔を上げる前に、ウーナは再び神座へ戻った。

 

「まあ、僕としては是非聞きたいが、別に今じゃなくていいんだ。2度目の死を迎える直前にでも呼べば聞いてやるさ。」

 

 じゃあ帰っていいよとウーナが立ち去ろうとしたとき、メメが口を開いた。

 

「前世は…前世死んだときは20代後半で、友達も恋人もイラストレーターの夢もじんわり失っていくうちに、事故で死にました。」

 

 なるほどと言って、みたびウーナは神座に附く。その顔は笑っているのか真顔なのか判断に困る絶妙な表情だが、メメにとってはむしろそれが安心に繋がった。

 

「せめて、喧嘩別れならと思いました。傷つかないために人に近付きないようにして、そのうち関係が薄くなって、その果てにフワッと切れちゃったから。」

 

 静かに相槌を打つウーナに、メメは話し続ける。

 

「今度はちゃんとぶつかろうと思って、仲良くしてくれたユメにはよく挑んでます。ユメは律儀に答えてくれるから嬉しいです。」

 

「そうか。良かったね。」

 

 ウーナの反応は、メメの期待には答えてくれなかった。その態度はあくまで他人事、あくまで傍観者であるということを感じさせた。そこはかとない話し終えたという感覚を得たメメは立ち上がって社の出口へと向かい、扉を開けたあと思い出したように振り向いた。

 

「話してたらまたユメに会いたくなりました!!また()()()()に行ってきます!!」

 

 メメはそう言うとすぐさま《転移(テレポート)》でその場から消えた。静かにそれを見送ったウーナは1人笑った。

 

「あはは。タイミング悪いなあ。」

 

 

 

 その時転生村南西部では、ホムラメモリア邸の裏庭で入居祝いという名の暴力が振るわれていた。

 

「お前リーダーだろ!?しっかりしろ!!」

 

「うわあ!!」

 

 速すぎる拳にリヒトは為す術なく吹き飛ばされる。

 

「魔法使い!!そんな後ろにいても誰も守れないぞ!!」

 

「ぎゃ!!」

 

 巨大な火球はユメを付近の防御魔法ごと吹き飛ばし、

 

「お前は何だ!!わかんないけど頑張れ!!」

 

「ぼっ」

 

 足元を狙って行動を阻害しようとしたセオは蹴りで宙に浮いた。

 

「獣人!!なんか勿体ないぞ!!」

 

「ぴゃっ」

 

 弓でホムラを狙っていたミオンは脚を掴まれて放り投げられた。

 

「わあ!!」

 

「え」

 

 そして突如目の前に現れたメメはホムラにぶつかり気を失った。

 

 死屍累々の惨状を前に、シュウは黙っていた。そして少しだけ、ホムラと戦う約束をしたことを後悔した。

 

「まあ、お前らの強さは充分わかった。リーダー以外は皆物足りないが、筋はいいんじゃないか?」

 

 ホムラは彼らを一瞬で完膚なきまでに叩きのめしながらもリヒトたちに高評価を下した。

 

「ほらお前ら立てよ。流石にあれは大丈夫だろ。」

 

 ホムラは不意にぶつかったメメ以外にはちゃんと手加減をしているので、リヒトたちは青あざ程度の傷で済んでいる。メメはシュウが横に引っ張っていって様子を見ているが、大事にはならなそうだけど念の為と言ってシエラの元へ連れていった。

 

「ホムラさん…でしたっけ。転生者とはいえ、メメとは格が違うな。」

 

「私より弱いメメとは比べ物にならないでしょ。」

 

 運悪く気絶した上怪物と比較され、拮抗しているはずがユメより弱いと言われるメメは可哀想だが、彼らからすれば唐突に現れては無駄な戦いを強いてくる変人なのでその扱いも仕方がないのかもしれない。

 

「別に試験とかそういうんじゃないから、うちは使っていいぞ。そうだ、シュウに温泉に連れて行ってもらったらどうだ?」

 

 その提案に、温泉に馴染みがあるリヒトとセオは喜んだがユメとミオンは反応が薄かった。その様子を見て、興奮しながら温泉について2人が説明しているとシュウが帰ってきた。

 

「温泉行くのか?」

 

 その問いにリヒトが小指を立てるハンドサインで返す。これは最近若者の間で流行り始めた“了解”の意味を持つものだが、残念ながらと言うべきかシュウはそれを知らない。シュウの暗殺者としての過去とハンドサインへの反応からそのことを理解したセオが言葉で肯定した。それから彼らは南東方向にある温泉へ向かい、薄暗くなった中で湯を喫した。




めっちゃスランプ。書けない。
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