「どのくらい成長した?」
息を切らしながら聞くシュウに、リムは落ち着いて答えた。
「全ステ平均100ずつくらい上がってるな。割合で言うなら大体1割前後。」
それだけ言われてもシュウにはどのくらいの凄さかはよく分からなかった。それについて聞くと、リムは僅かに目を逸らしながらいいんじゃね、とだけ言った。多分他人のステータスを見たことが殆どないから分からないのだろう。
「まあでも、
リムの目線の先にいるのは、水筒から茶を飲み汗を拭うカンナだ。実はステータスを聞く直前、その条件としてカンナの新しい魔剣の慣らし運転に付き合うということを言われて模擬戦を行った。カンナが慣れていなかったこともあって試合にはシュウが勝ったが、妹と同い年の少女に実力で劣っているという事実は勝利と同時に惨めさをもたらした。ただ、シュウは元々魔法の才能が極端になかったり魔力操作の才能がずば抜けていたりして、才能の差というものに関してはかなりキッパリと割り切れているので気に病むようなことも特に無かったようだ。
「でも、それにしても強くなりすぎじゃない?途中ほぼ素手なのにそこまで劣勢でもないみたいなタイミングあったよ。」
シュウの疑問にはリムがすぐに答えてくれた。
「それはあいつが勇者だからだ。転生は自然発生と輪廻の神の選別の他に、魔王の発生によっても起こる。」
話しながら《
「あった。他にも強制転移があるが、あれは転生じゃない。ともかく魔王の発生から引き起こされた転生を受けた者が勇者だ。勇者は魔王の膨大な魔力の影響を受けて魔力と
確かに、勇者と聞いて納得のいく面々だ。ウーナとリムは程度は違えど常軌を逸した力を持っているし、カンナの強さはよく知っている。ザックの戦闘能力は全く知らないが、この面々と並べられていることと転生村の中でもかなり年齢が高いことから相当なものであると予想できる。しかし、新しい疑問がシュウの中で生まれた。
「ホムラとレオは?」
勇者たちと遜色ないどころかそれ以上の力を持つこの2人が勇者でないという点が気になったようだ。リムはページをめくり再び説明を始める。
「ホムラは輪廻の神の関しない自然発生の転生者だからだな。レア度は勇者より高い。性質上勇者と重なりやすいらしい。こっちはウーナとザックとホムラだ。レオはなんであんなに強いのか俺でも分からない。」
なるほど、と言ってシュウは空を見上げる。転生の仕組みやら自然発生やらというところはてんで分からないが、ともかく彼らが強いということはわかった。
「ところで、また俺に戦いを教えてくれないか?」
強い人たちの話を聞いていると、自分もそうなれそうな気がしてきていても経ってもいられなくなったシュウはそう言った。しかし、リムはそれを即断った。
「理由はシンプル。教え方がもうわからない。全部我流でやってるから模擬戦を繰り返させてたが、それももう限界だろう。」
シュウはしょんぼりしたが、リムの話はそこで終わりではなかった。
「そこで、今のお前に丁度いい提案がある。冒険者になれ。」
何やら興味のそそられる提案に、シュウは再び目を輝かせた。
「俺も昔利用したが、今はもっといい設備になってるんじゃないか?冒険者の妹が来てるとも聞いたし、紹介してもらえ。」
今度の話は明快で、シュウにも簡単に理解できた。するべきことが分かれば、シュウの行動は早い。すぐにユメのいるホムラの家へ向かった。そこで見たのは、ホムラに蹂躙されていないリヒトたちの姿だった。
「あ、シュウ!」
兄の姿を見つけたユメの声とともに、高速の火球が飛来する。火球は直撃・炸裂しシュウを大きく吹き飛ばした。幸い火球は見た目ほどの威力はなく、シュウの魔力強化が間に合ったこともあって怪我はなかった。シュウを心配して手を止めたユメたちに、すかさずホムラが攻撃を決めた。
「お前大丈夫か?」
シュウの耳に聞こえた、優しく強いホムラの声。大丈夫、と応える前にホムラが言葉を続けた。
「3日後だぞ。私と戦うの。」
想定と違う心配に、シュウは口を噤んだ。そんなシュウを他所にホムラは顎に手を当てこう言った。
「よし。
情報開示の程度悩む