転生村   作:もつ煮トリガー

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第3章:冒険者になろう
第61話:冒険者たち


 冒険者とは、異世界(デフィアテイル)では広く知れ渡り、多くの人の憧れや心の支えとなっている職業だ。起源は旧暦2500年頃にまで遡り、とある転生者が未探索領域の完全探索を目標に冒険者協会”P・G(プレイヤーズ・ギルド)”の創立によって冒険者協会という概念が発生した。以降、世界各地で数多の冒険者協会が立ち上げられていった。それからそう長くない時間が経ち冒険者協会を騙る盗賊が多発するようになったため、”P・G(プレイヤーズ・ギルド)”を中心に冒険者協会全体を取り仕切る世界冒険者連盟が設立された。これによって冒険者の本分である冒険という任務は急速に進行し、人類の生息域が拡大した。冒険者たちの中には冒険の過程で人助けをしたり魔物と戦ったりする者が存在し、そういった行為が冒険者という職業の枠組みを広げた。そうして冒険者は、冒険に限らない多様な業務形態を獲得し今に至る。

 

「書類はこれで、よろしくお願いします。」

 

 シュウは今日、その冒険者という職に就く。既に面接と実技試験は済ませて、今は書類の提出をしているところだ。面接はセオに言われた通り、なるべく素直に、難しく考えずに話すことを意識した。流石に暗殺者としての経歴は言わない方がいいかとも思ったが、セオが言うには元裏稼業の冒険者もかなり多いらしくむしろ信頼を得られる可能性があるらしく実際話したら好印象のようだった。また実技では、戦闘に関しては言うまでもなく合格、サバイバルスキルは帰省中にミオンから教わったことを再現することで無事合格だった。これに加えて筆記試験がある冒険者協会も多いらしいが、ここはないようだ。

 

「シュウさんですね。ではこちら、うちの冒険者証章です。既に説明は受けていると思いますが、これを見せればこのマークのある店舗で割引が受けられるので、ぜひご利用下さい。」

 

 シュウは差し出されたボタンのようなものを受け取った。冒険者証章は各冒険者協会が発行するもので、その形式は様々だが共通して「冒険者ID」と「所属冒険者協会のマーク」が記されていて、これを用いることで冒険者協会所有の施設や提携店舗での割引が可能になる。ちなみに、”探求者の集い”のマークは方位磁針と剣と羽根が並んでいるだけの簡素なものだ。 こうして、シュウの協会への登録手続きは完了した。少し浮き足立って早くも依頼一覧を見に行こうとするシュウに、受付の女性が声をかけた。

 

「あの…名前、聞かれないんですね。」

 

 それを聞いたシュウはハッとした。これから何度も顔を合わせるようになるのだから、名前を聞くのは当然なはずだが、すっかり忘れてしまっていた。慌てるのを悟られないよう落ち着き、改めて名前を聞いた。

 

「カイナ=ハートです。今後ともよろしくお願いします。」

 

 

 

 ちょうど同じ頃、リヒトたちは新国王テリアレスからの任務をこなしていた。内容は、他国からの来客に備えた王城周辺の警戒だ。彼らはずっとテリアレス直属の冒険者パーティとしてやって来ているだけあってこの類の任務の経験は多く、実は凄まじい実績がある。その理由は主にユメとミオンの圧倒的な感知能力に由来するもので、凄腕の暗殺者の高度な隠密行動ですら彼女たちの《魔力感知》や嗅覚をすり抜けることは叶わない。そのため巷では「あの七光り王子には守護神が付いている」という噂があったりする。

 

「前回侵入者捕まえたのいつだっけ。」

 

「45年の14月だから…2年と13か月前か。」

 

「2年半か。結構経つな。」

 

 噂の影響は大きく、彼らの話す通り2年半も侵入者が現れていない。これはトゥテルの王族としては異例の事態だ。まあ、テリアレスを狙う意味があまりないと皆が判断した可能性もなくはないが。むしろ多分にあるが。しかし、改めて彼が王となりその実力が意外にも高いこと、トゥテルの悪政を少しずつ改善しようとしていることが知られ、今回の来客では侵入者があるとミオンが予想していた。皆、多少気は緩んでいるが油断はしない。

 

 ピ、ピ、ピ。

 

 リヒトとセオの携帯する《通信魔法》の術板(タブレット)が鳴った。高音3回は西側へ向かい始めながら通話を開始する合図だ。

 

『西側の警戒点5だよ。』

 

 通話が開始されるとすぐに、ユメが具体的な位置を支持する。

 

「俺が行く。」

 

「俺は定位置で待つよ。」

 

 2人が連絡すると、すぐにユメから返答があった。

 

『いや、一応リヒトも行って。まだ遠くてわかりづらいけど、魔力が安定しすぎてる。凄い手練れかも。』

 

 それを聞いたリヒトはすぐに駆け出しながらユメに一つ尋ねた。

 

「ユメ、そいつはシュウと比べてどう?」

 

 術板(タブレット)からユメのクスリと笑う声が聞こえた。

 

『シュウと比較になるわけないでしょ。私の《魔力感知》にかかるくらいだもん。』

 

 会話を聞いていたセオとミオンは遅れて笑い、それもそうかとリヒトも笑った。




 冒険者って不思議な職業ですよね。余談ですがプロローグと第1話、2話を修正しました。見返さなくても問題ないですがだいぶ大きく変わったのでちょっと見てほしいです。さらに、週3投稿復活したいと思います。
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