授業中に寝て起きたら山田リョウになってたんだが   作:くるぽん

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「た、ただいまー」

 

とりあえず、インターフォンを押してみる。

すると、ちょっとテンションの高い女の人の声が。

 

「リョウちゃん? 帰ってきてくれたの~?」

 

帰ってきてくれた?

疑問に思う間もないまま、ドアが開き、お母さんらしき人が出てきた。

 

「リョウちゃん!」

「ぐぇっ」

 

思いっきり抱きしめられた。

 

「3日ぶり、今日はお赤飯ね~!」

 

そ、そんなに家に帰ってないのか、この子?

 

 

 

 

何はともあれ、家の中に。

家の中もすごく豪華だ。

広い。

俺んちと大違い。

 

「え、えっと、お邪魔します」

 

小声でつぶやいて、靴を脱ぐ。

今はリョウになってるけど、俺からしたら知らない女の子の家なわけで。

き、緊張する。

 

「今日はリョウちゃんが帰ってきたから、腕によりをかけてご飯作るわね!」

 

お母さんが腕まくりをした。

というか、普段どこで暮らしてるんだ、このリョウって子は。

心配になって、俺は問いかける。

 

「え、えと、外泊ばっかで、ごめんね?」

「そうよー、パパもママも寂しかったんだから」

「う、うん」

「帰ってくるとき、虹夏ちゃんにもちゃんとお礼言った?」

「虹夏?」

「また泊めてもらってたんでしょー?」

「あ、う、うん」

 

昨日まで虹夏の家に泊まってたのか。

どんだけ仲いいんだ。

 

「月曜日からずっと泊めてもらってたんでしょ~」

「え?」

 

思わずカレンダーを見た。

今日、木曜だよな。

連泊しすぎじゃね、山田。

 

 

 

 

そうこうしているうちに、夕食が用意された。

ずらっとテーブルに並ぶそれは……。

 

「フルコース?」

 

前菜、サラダ、パスタ、ステーキ、スープ、アクアパッツァ、あとなんか名称のわからんもの。

す、すごすぎる。

 

「ママ、ちょっとはりきりすぎちゃった☆」

 

てへっと舌を出す山田母。

どんだけ愛が強いんだ。

 

「あ、あれ、そういうとお父さんは?」

「それがね、今日は病院なの。患者さん多くて、お仕事終わらないんだってー」

「そうなんだ」

 

ということは、山田家はお医者さんなのか。

お金持ちなのもちょっと納得だな。

 

「リョウちゃん、おいしい?」

「う、うん」

 

食ったこともないような高級肉のステーキは、美味いのだが、脳の処理が追い付かない。

いや、すごく美味いんだけど!

美味すぎて、美味いということがわからない感じ。

 

夕飯を食べながら、お母さんといろんな話をした。

結果わかったのは、やっぱりこのリョウって子は、あまり学校に友達がいないということだ。

基本的に虹夏との話題しか出てこない。

今日一日、学校にいるときから感づいてはいたけど、これで確信に変わった。

友達と呼べる存在は、ほぼ虹夏だけだと考えていいだろう。

それは俺にとっては好都合かもしれない。

多人数と対応をする必要がないってことだから。

とはいえ……正直、少し気になった。

どうしてこのリョウって子、友達を作らないんだろう?

何か理由があるのか、それとも、単に一人でいるのが好きなのか……。

 

「リョウちゃん?」

「え?」

「なにか考え事?」

 

しまった。

今は目の前のお母さんがいるんだった。

 

「あ、その、お母さんの料理、おいしいなって思って」

「!!」

 

お母さんが震えだした。

え、なに、どうした!?

 

「リョウちゃん!!」

 

がばっ。

 

「ママ、嬉しい!!!」

 

またもやお母さんが抱き着いてきた!

しかも涙ぐんでる!?

お母さん、感動のハードル低いな!?

っていうか、いい匂いする……。

 

「は、離れて」

「え~?」

 

ひ、人妻に抱きつかれて思わずドキドキしてしまった……。

 

 

 

 

「いやぁ、おなか一杯になった」

 

食後に出してくれたハーブティーを飲みながら、お腹をさする。

こんな豪華な夕食、初めてだ。

というか、食後にハーブティーなんか飲むのも初めてだな。

なんだろう、この優雅さは。

ティーカップを持つ、自分の細い指先を見つめる。

このリョウって子、見た目も綺麗なわけだし、仕草さえちゃんとしてたら完璧にお嬢様のはずだよな。

ふと、頭の中にこの子が、どっかの庭園で午後のアフターヌーンティーを決めている映像が浮かぶ。

 

「今日のお紅茶はダージリンですのね」

 

……いや、なんか違うな。

この子はそういうことはしなさそうだ。

なんとなく、わかる。

っていうかそんなリョウを見たら虹夏が「うげっ」って顔しそう。

 

とかアホなことを考えていると、お母さんが声をかけてきた。

 

「お風呂沸いたから、もう入れるわよ~」

「はーい」

 

軽い調子で返事をしてから、気が付いた。

 

「お風呂!?」

 

えっとそれって……裸になるってこと、だよな?

自分の体を、見下ろす。

今の俺は、リョウって子。

つまり、女の子の身体。

…………い、いいのか?

 

「問題、大アリじゃね?」

 

冷や汗をかきながら、つぶやいた。

 

 

 

 

 

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