とある偶像の造形神   作:一般通過龍

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CRCのアンチ・ヘイト活動をやっている時のヨハン君の言動がブレても、本人の目的がアンチ・ヘイトで自作のキャラを醜悪に貶めるという都合上、多少ブレても問題ないから助かります。
後、早く創約11巻発売してほしいです。9月まで待ちきれません。




魔術を極めし者

キトニタスによる黄砂の嵐から姿を現したクリスチャン=ローゼンクロイツが『橋架結社』を壊滅させたという宣言をしたのと同時に、目にも見えない速度でてのひらを水平にかざして、不可視の弾幕を展開する。

 

アンナ=シュプレンゲルを筆頭とした上条当麻達がクリスチャン=ローゼンクロイツが放った『何か』の弾幕に直撃したと思うと、ひしゃげて、ふっ飛ばされなかった。その弾幕を防いだ人物がいたから、直撃を喰らっても軽症で済んだのであった。

 

 

クリスチャン=ローゼンクロイツと同じ薔薇十字団である魔術師サンジェルマンの炭素を操る術式の応用である、あまりにも早すぎて、結果的に不可視になっている光沢がある炭素弾。

 

イノケンティウス式に膨張し続ける、ダイヤモンドの飛び道具を防いだ存在は、ギリシア神話のヘカテの源流となった名も無き『魔神』から、埴安神袿姫の手によってヘカーティア・ラピスラズリという超絶者になった女性だった。

 

彼女はギリシア神話のヘカテのと同一視される、エジプト神話のヘケトの水を司る神という側面を使って、ノーモーションで上条当麻達の目の前に水の壁を貼ることで、クリスチャン=ローゼンクロイツの炭素弾幕の威力を軽減したり、向きをずらして、周囲の被害を軽減させたのである。

 

そして、ヘカーティアは意趣返しといわんばかりにクリスチャン=ローゼンクロイツに向けて右手をかざした。

彼女が掌をかざした方向に向けて、CRCが周囲に放った、ダイヤモンドと化している大量の炭素弾が浮かび上がり、主人である赤衣の青年に襲いかかる。

 

だが、銀の青年の眼前で空間がねじれたと思うと、あらぬ場所を削ぎ落とすという結果に終わった。

 

この二人の一瞬の攻防は、同じ達人レベルの魔術師か、当人達にしか分からないし、介入しようと思っても、トップクラスの実力者である必要があるだろう。

 

 

「七つの側壁に守られし聖域に眠りし老骨の防御をその程度で崩せると思うかえ?この防御術式を破るなら世界ごと壊すのをおすすめするぞ。魔術の女神よ」

 

「誰でも使えるようなただの防御術式ということが見え見えですよ。世界を壊すまでもありません。しかし、魔術の女神と呼ばれた神様が言うのも変ですけど、そこまで基礎を極めるなんて、奇特な人間ですね」

 

「くくっ 何事も遊びは全力で取り組むために極めるものじゃよ。特に魔術という幻想まやかしで遊ぶためにはのう」

 

自身の手札をヘカーティア・ラピスラズリに二つも暴かれても、CRCは余裕そうに自身の銀のあごひげに触れていた。

 

そもそも、真の達人は魔術の実践において自らの手の札の内を解説しないし、明かさない。偽りの説明とはいえ、解説をしている時点で、クリスチャン=ローゼンクロイツに余裕があることは当たり前だろう。

 

 

この場所をドーム状のように包むように漂っている大量の砂をクリスチャン=ローゼンクロイツが操作して、敵対している青い髪の女性に蛇のようにしなる砂のレーザーを差し向ける。

 

「きひひっ!!嬢ちゃんはこの攻撃を防げても、周りの存在は逃げ場なしのキトニタスの術式を防ぐことが出来るかえ!!??」

 

アスファルトが割れて砂が湧き出てくる。360度、全方位の逃げ場なしの密度たっぷりな隙間なしの同じような砂のレーザーが倒れている上条達にも襲いかかる。

 

 

ローゼンクロイツが使う術式の一つのキトニタス、それは『発酵』を司る。

囲い込まれ、覆い被され、丸呑みされた時点で問答無用で砂になるという、実質即死攻撃ともいえる性質を持つ非常に凶悪な魔術だ。

 

勿論、『薔薇』を代表する魔術の一つであるキトニタスという術式は当たり前のように応用性が高い。鉄筋コンクリートを容易く切断できる砂のレーザー、対象の封印、自身の分身の作成等なんでもござれだ。

 

キトニタスという魔術の強さは、アンナ=シュプレンゲルが作ったR&CオカルティクスというIT企業に所属していた、アンナ=シュプレンゲル、アンナ=キングスフォード、クリスチャン=ローゼンクロイツの三人より遥かに格下で薔薇十字系の魔術師になったばっかりの人間が、その術式だけでロサンゼルスの住人を全員消滅させて、自身を討伐しに来た学園都市とイギリス清教の軍勢を簡単に返り討ちして、壊滅させたのが物語っている。

 

 

最終的に魔術の種を見破ったオティヌスのサポートを受けた上条当麻とステイルのコンビネーションによって倒されたが。

 

 

だが、そんな魔術師より遥かに格上の魔術師のローゼンクロイツと対峙している青髪の女性は砂のレーザーを身動きせずに地面に叩き伏せて容易に無力化した。

 

上条当麻達がいる場所を除く、黄砂の海に覆われている第十五学区全体が押し潰されていくように割れていく。クリスチャン=ローゼンクロイツという錬金術師もろともキトニタスという術式を無力化せんと。

 

幸いにも、第十五学区にいる人間達は風紀委員ジャッジメント警備員アンチスキルの手で避難しているか、CRCの魔手によって砂と化してキトニタスの一部になっているために奇跡的に犠牲者はゼロだった。

 

しかしこのままだとクリスチャン=ローゼンクロイツよりヘカーティア・ラピスラズリという名前を名乗っている『魔神』兼超絶者の手によって、学園都市が先に潰れそうな勢いだ。

 

そう考えた、上条がヘカーティアに声をかけようと思って、立ち上がろうとしたが、邪魔をするなという意思表示を感じさせる、彼女の手で行動を制された。

 

「命が惜しければ逃げた方がいいわよん。ここからのCRCとの戦闘は更に激しくなるから巻き込まれたら死ぬわよ?彼と私の戦闘に割って入って死ぬ覚悟があるなら、それでもいいけど」

 

先ほどまで、明るく喋っていたヘカーティア・ラピスラズリが急に途中で声のトーンを変えたと思うと、上条当麻達にこの場所から避難するように促した。『魔神』であった彼女にとってもクリスチャン=ローゼンクロイツは油断ならぬ相手ということか。

しかし、少年が抱える戦闘の余波で被害が拡散して、学園都市が潰れるのでは?という気持ちを汲んだのか、ヘカーティアは『位相』操作でローゼンクロイツとの戦闘の場所を移した。

 

 

 

 

「ふむ、重力か。その変なTシャツに目を奪われるが、三つの天体を思わせる変な球体を繋いでいる鎖が種じゃな」

 

地形や建物は元の世界と同じだが、人間どころか生物が一人もいない、『位相』世界の中でクリスチャン=ローゼンクロイツは傷一つなく、クレーターの中心で平然と立っていた。常人なら一秒も経たずに潰れたトマトのようになる重力の中で。しかも、攻撃の正体の種を見破いて。

ついでにヘカーティアへの愚弄もキッチリと忘れない。

 

「・・・・・・。この服、結構気に入っているのよね。その赤衣の服の下が、裸の姿の貴方には言われたくないわ」

 

「きひひっ 老骨なりの始祖の人間であるアダムとイヴの服装リスペクトじゃよ!!それに神様のくせに凡百な人間もびっくりな変な服装な外見をしていて、恥ずかしくないかえ?」

 

「全然恥ずかしくないわ。ただ、私が気にかけていた埴安神袿姫を殺した罪を支払わせるついでにを愚弄した罰として、全力で地獄に叩き堕とす」

 

情念に燃えているという言葉が似合いそうなほど、ギラギラとした目を大きく開きながら笑顔で対象を馬鹿にするローゼンクロイツとは、対照的にどんどんと不機嫌な表情になっていく赤い髪の女性になったヘカーティアであった。

 

そして、魔術を扱う者の頂点に立っている二人の存在の魔術戦が開始した。

 

ヘカーティアが闇夜の女神として側面を利用した対象の身体を闇に溶かして消滅させる魔術を発動させる。

 

彼女の身体から闇が漏れ出てくるとあっという間に『位相』世界を光がない黒一色の世界に塗りつぶしていく。

 

彼女が生み出した暗闇を常人が見たら、何らかの怪物の姿を連想して、本能的な恐怖を抱いた挙げ句に、金縛りにあったかのように縛られて動けなくだろう。おそらく、これはヘカテという神様が吸血鬼やケルベロス等のあらゆる怪物や魔物達を眷属として引き連れて現れるといった伝承の要素もある。

 

 

原初の闇という怪物に溶けて消えていく学園都市の街々を見ながら、クリスチャン=ローゼンクロイツがしたことは、ただ一つ。聖書の神のごとく『光あれ』と、そう呟いただけだった。

 

ローゼンクロイツの目前まで迫っていた、生きた暗闇が消えていく。

 

唯一神による世界創造の如く、闇が世界から消失して光がもたらされていく。これも神の御業を再現する錬金術師としての力だろうか?自身の魔術に虚偽の情報を詰め込みまくるCRCの行動は常人どころか、それなりの実力者でも読めない。理解するならキングスフォードレベルの実力者になることが必要だろう。

 

 

先ほどの景色とは正反対に白一色に染まっていく空間を見ながら、ヘカーティア・ラピスラズリは地獄、冥界の女神として魔術を行使して、更に空間を塗り替える。

 

世界が死の気配に満ちていく。

 

彼女の手によって地獄、冥府と呼ばれる『位相』が生まれて、ヘカーティア・ラピスラズリという存在のホームになろうとしたが。

 

そうは問屋が卸さないと、CRCがいつの間にか手に持っていたフラスコの中にあった、赤い粉末を撒いたのである。

 

「『変革』」

 

文字通りに大きな世界は一変した。

 

それは、これまでの世界の塗り替えのスピードを上回っていた。

 

死という重苦しい空気に満ち溢れていた空間が消失する。代わりに深い森のようなマイナスイオンで満たされた清浄な空間が出来上がる。

 

この二人の戦いは、まるでテニスのラリーのようだった。

気軽に、あっさりと、世界の主導権が移り変わっていくからだ。

 

 

「ほう、埴安神と同じ異世界出身の神の皮を被った三相の女神であり。名も無き『魔神』である超絶者は伊達ではないというかえ?くくっ 魔術の女神よ、ヴェヌスこと女神アプロディーテーの裸を見た、老骨が尋ねるが、魔術をどう思うのじゃ?」

 

クリスチャン=ローゼンクロイツが一旦、攻撃の手を休めたと思うと、魔術についてどう考えているのかを、目の前にいる『魔神』の身で超絶者になった女性に問いかけた。

 

「他者を大切に想う気持ちに形を与えた技術。神を誕生させることが出来る力と言えば、貴方は納得できるかしら?まあ、原義的な魔術の代行者として花丸満点な存在とは言い難い私がこの回答をしても説得力はないと思いますけどね」

 

「ふむ、誕生経緯や司る側面や信仰していた人間達を見た限り納得いく答えじゃな。だが、それ故につまらん。この老骨は魔術をまやかしと考えておるぞ。勿論、科学も世界も。それこそ、全ての存在が幻想の如き儚い存在じゃ。だから道化のように内なる情念に従って世界を盛り上げないといけないと老骨は思うぞ。それがこの糞みたいな世界で充実して生きる唯一の術じゃ」

 

「魔術だけでなく、世界そのものが幻想の如く脆くて儚い存在ということは私も同意します」

 

クリスチャン=ローゼンクロイツとヘカーティア・ラピスラズリの若干叡智を感じさせる魔術談議が終わったと思うと、両者は流れるように笑顔で戦闘を再開した。しかも今度は、お互い共に獲物を持っているとはいえ、一般的な魔術を使った戦闘とは程遠い近接戦だ。

 

薔薇の蔓が絡まった黄金の十字架とギガースを撲殺する時に使われた松明が隔離された世界で交差した。

 

 

 

 


 

『位相』操作でヘカーティアがローゼンクロイツを連れ去った直後のこと。

 

「目の前から、敵ガ消えたトハいえ、油断ハしてハいけ〼✕ませんよ。シュプレンゲル?」

 

アンナ=シュプレンゲルが天敵として、トラウマにしている人物の声が聞こえたのと同時に火炎放射器を軽く凌駕する大火が上条当麻達の元にふき荒れた。

 

その炎は、複合装甲や特殊繊維で耐えることができる、ただの炎ではない。地脈の力を貪り空間そのものから活力を奪い去る圧倒的な光と熱の塊だ。

 

まともに食らったら、秒と保たずにその者は灰となって燃え尽きるだろう。

 

その炎が上条当麻達の背後にいて、アンナ=シュプレンゲルの命を狙っていた、もう一人のクリスチャン=ローゼンクロイツに向かって、行動を妨害した。

 

歩く教会を優に上回るCRCの防御術式によって、ダメージは入らなかったが、情念に溺れている青年によって、上条達の命が無意味に奪われることをキングスフォードは無事に阻止することに成功したのだ。

 

いつの間にッ!!と思うまでもなく、上条達はクリスチャン=ローゼンクロイツとアンナ=キングスフォードが繰り広げる予定の魔術の達人と達人同士の戦闘から一瞬で引き離された。

 

ベージュ修道服のアレイスターと木原脳幹によってだ。

 

「さっさと学園都市のどこかで暴れている『本体』のクリスチャン=ローゼンクロイツを探して仕留めるぞ、少年」

 

「どうなっているんだ!?説明してくれ!!アレイスター!!」

 

「今まで少年が見たローゼンクロイツは全て奴の術式で造られた分身だ。三位一体さんみいったいの構造で分身の完成度を上げるために、今は『本体』含めて三人しかいないが、最悪の予想として、キングスフォード女史やシュプレンゲル嬢と同じ薔薇十字団所属の魔術師サンジェルマンのように、ウィルスの如く増える可能性がある!!」

 

二度あることは三度ある。サンジェルマン、アンナ=シュプレンゲルの脅威を遥かに超える『薔薇』の猛威が学園都市を襲おうとしていた。

 

 




老骨は舐めプをしていたとはいえ、勝てたのがおかしいと、あのインデックスに言われているので、自分なりに舐めプ少なめのCRCの強さを解釈してみました。
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