とある偶像の造形神   作:一般通過龍

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この話には埴安神に関する話を独自解釈して作り出したオリジナル技が出てきます。


『人間』と『造形神』

『アレイスター、本当に大丈夫か?』

 

「君はさっさとアンナ=キングスフォードと一緒にアンナ=シュプレンゲルの元へむかいたまえ。私は埴安神袿姫の元に行って戦ってくる。心配するな」

 

アレイスターのその発言に、呆れたような声を出したモノがいた。

永久遺体の状態から再起動したアンナ=キングスフォードである。

 

「素直ニあの少年、上条当麻の為ニなりたいトいえばいいト思いますよ?アレイスター」

 

「それは言うなよ、女史」

 

埴安神袿姫の目の前に立ち塞がる前に、『人間』アレイスター=クロウリーは、ゴールデンレトリバーの木原脳幹と知の大女神アンナ=キングスフォードとそんな会話をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

本来の世界とはズレた『位相』の世界にある大型商業施設ミヤシタアークの通路で二つの存在がお互いに向かいあっていた。

 

一人は現代魔術に大きな影響を与えた魔術結社『黄金の夜明け』に所属していた『人間』アレイスター=クロウリー。もう一人は今の魔術サイドの大部分を占める魔術結社『橋架結社』に所属する『造形神』埴安神袿姫。

 

「貴方と戦う気はないけど・・・」

 

 

「君にはなくても私にはあるのでね。戦う気がないならこの『位相』にしばらく引きこもってもらいたい。埴安神袿姫よ」

 

困ったような顔をしている埴安神袿姫の言葉にアレイスターはそう返答した。

 

「それはお断りするわ。理解できなくてもいいけど、私は今、上条当麻とアンナ=シュプレンゲルに用があって急がなければならないからね。邪魔するなら容赦はしないわ」

 

そう言うと同時に埴安神袿姫は『位相』に造形術で手を加えて元の世界に戻ろうとしたために、アレイスター=クロウリーがそれを妨害するために、その手を正面にかざして攻撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

獣の空気を放つ何かをアレイスター=クロウリーは纏っていく。

 

「・・・・・・その数は三三、意味は『拡散』。人の持つあらゆる結合を妨げるもの、ここに悪徳と犠牲を積み重ねる塔を構成する諸力の無慈悲なる分解にかかれ」

 

ばさり、という空気を叩く音があった。

 

アレイスターの背中から飛び出したのは、コウモリのような一対の翼。そしてそれが静かに顔を上げ、眼光が全てを貫いた。

 

「その顔を貸せ!大悪魔コロンゾン!!」

 

『人間』がそう叫ぶと大悪魔の笑い声が鳴り響いた。

 

「きひひ!いひひひひっ!!ひはははははハハハハハハはははははは!!!!もう私を自覚を持って使うか『人間』!!これはまた大した禁忌なりけるわね。またぞろ世界最大の悪人と名乗るかえ!アレイスター=クロウリーィィ!!!?!?」

 

世界が一瞬、閃光と爆発に包まれて空間に極彩色が乱舞したと思うと、造形術に造り変えられた『位相』から生まれた出入口ゲートに入ろうとした埴安神袿姫を吹っ飛ばし、出入口を分解した。

 

アレイスターは、埴安神袿姫が元の世界に帰還することを阻止したのだ。

 

 

しかし、それでも埴安神袿姫は、五体満足でピンピンしていた。

人々の偶像という化身の神は変質こそすれどその体は絶対不変で朽ちて壊れない存在と言うべきか、造形神は立ったまま吹っ飛ばされただけで、無傷であった。

 

 

埴安神袿姫の無事を確認したアレイスターは、背中にあるコウモリのような翼を大きく羽ばたかせ、死の暴風を発生させた。

 

それは触れるものを全て腐らせる隙間なき流れだった。

暴風そのものに、色彩はないが、風が通った場所は、どれもどす黒く変色させ、無残にめくり上げながら、大悪魔コロンゾンの環境汚染が埴安神袿姫に迫って行った。

 

 

それを見た埴安神袿姫は、いつの間にか手のひらに土を出現させた。その土は埴安神袿姫が造形術で造ったモノなのか、それとも元々持っていたのかは分からない。ただ分かるのは、何の変哲もない土ということだ。

 

それを撒きながら

 

波邇夜須毘売神はにやすびめのかみ

 

と埴安神袿姫が喋った瞬間に、腐りゆく世界は一変した。

 

大悪魔コロンゾンによって作られた黒が埋め尽くされていく。代わりに埴安神袿姫から生まれた茶色の物体が世界を塗りつぶしていく。

 

今、この瞬間に世界の主導権がアレイスター=クロウリーとコロンゾンから埴安神袿姫に移り変わったのだ。

気軽に、あっさりと。

 

茶色の物体の正体は土であった。

これが今いる『位相』世界でなく、表の世界だったら、最低でも日本全体が茶色の世界に埋もれて造形神によって造り直された可能性があった。

 

 

 

 

 

 

埴安神袿姫は造形神とは別の側面を持っている神だ。

洪水や火災等の災害を鎮めて、鎮火、治水等をする土を司る神でもある。

 

 

そして、もう一つ埴安神こと波邇夜須毘売神に関するエピソードがある。

 

それは『日本書紀』の神武天皇即位前紀(己未年二月)に、天皇が前年、天香久山あまのかぐやまの埴土を取って八十平瓮やそひらかを作って諸神を祭り、天津神の加護を得て天下を安定させることができたので、その土を取った処を「埴安」と名付けたと云う話だ。

 

その逸話と関わりがあり、天香久山にある神社で祀られているのは土の神の健土安比売命たけはにやすひめのみことだが、埴安神はなんとその神と同一視されているのだ。

 

その神が同一視される理由は色々あるが、中でも埴安神こと波邇夜須毘売神と同一視された所以の一つは『古事記』ではその神様は健土安比売命と呼ばれているが『日本書紀』では埴安神の異称の一つ、埴山姫と呼ばれていたことであろう。

 

故に埴安神袿姫は、大悪魔コロンゾンが発生させた災害とも呼べる現象を鎮めて天下を安定させるという意味で捉えて、いとも簡単に無効化し、塗りつぶすという芸当が出来たのだ。

 

 

 

ちなみに関係ない話だが埴安神こと波邇夜須毘売神は農業や厠の神としての側面もある。

 

 

 

 

 

 

「貴方の相手はお得意の霊的蹴たぐりが効かないこの埴輪軍団が相手するわ。それじゃあ、私はこの『位相』世界からおさらばするね」

 

「待てッ!!」

 

 

そして土に埋もれた『位相』世界で、完全に破壊して倒しても埴安神が放った魔術の土から無尽蔵に湧き出て、増援が追加されるという性質が付与された埴安神袿姫の造形術の一つ『偶像人馬造形術』という名前の再生する埴輪軍団の相手をしながら、アレイスター=クロウリーは『位相』に再び造形術で手を加えて、造ったゲートから元の世界に戻る埴安神袿姫を見ることしか出来なかったのだ。




意外とあっさり対アレイスター=クロウリー戦が書けた。
この後の展開、どう書こうかな・・・・

後、アンナ=キングスフォードのエミュめっちゃ難しい!
間違っているなんちゃってキングスフォード語になっているような気がする・・・
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