とある偶像の造形神   作:一般通過龍

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コロナの症状が軽くなりました!
完全復活の時は近いです。


黄泉帰るのは幸運なのか?不幸なのか?

埴安神袿姫に心臓を貫かれて殺された上条当麻は何もない真っ白な場所で目を覚ました。

 

「なんだここ」

 

この世界を一目見た上条当麻の口から出てきた言葉は、その一言だった。

 

そこは、白く、全てが白く、故に地平線の考え方すら存在しない、完全に無音な世界のどこかだった。

 

それは悪い冗談みたいな光景とも言えただろう。

 

 

一旦、真っ白な地面に座って、自分の全身を確かめて、次に周囲を見回して、上条当麻は考える。

 

死はもっと空虚で、崩れ去ったとのは二度と戻らず、だからこそ絶対的に救いようもないものだと上条当麻はそう思っていた。

 

そして、自分の血で赤く汚れているはずの服は傷一つない新品な状態になっていることに気付いた。心臓がある場所にあるはずの埴安神袿姫の彫刻刀によって作られた、体にぽっかりと空いた穴と言いたくなる傷も無かった。次に、体を動かしてみたが逆に変に感じるほど綺麗に動いた。

 

 

だが、違和感を上条当麻は見つけた。それは心臓や肺等の体のパーツが機能してないように感じる異変だった。ちなみに重み、厚さ、ぬくもり、色合い等も感じられなかった。

 

故に上条当麻は、今、ここにいるという現実感リアリティと言ったものが受け取れなかったのだ。

 

 

 

しかし、当代の幻想殺しイマジンブレイカーの持ち主、上条当麻がその右手で壊してきた幻想みたいな存在になるとは皮肉なモノと言えるだろう。

 

 

 

上条当麻は、自分の右手に視線を投げながら更に考える。

 

 

幻想殺しアレはどうなったのだろう。

まだ、この身にあるのか。

アレイスターは、死んだり壊れたりするたびに、幻想殺しは物体から物体に渡り歩く、ということを言っていた。自分の前はとある聖者からの右手から製造された一本の矢だったとも。

だとしたら既に存在しないモノ、そう、死人という幻想が所持していても問題ないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、しばらく考えた後に、上条当麻は大声で不満を挙げた。

 

「上条さんはこんな結末、納得いきませんよ!!」

 

当然の不満であった。

 

 

『橋架結社』という魔術結社の超絶者という存在にいきなり命を狙われて、殺されるのは、一般的に考えても理不尽だと思うだろう。『橋架結社』あちらにも理由があり、上条当麻を守ってくれる救出派味方の超絶者がいたとはいえ、文句を言う権利が上条当麻にはあったのだ。

 

 

 

 

 

 

(インデックスはどうしているんだろうな、俺がいないせいで、腹を空かして倒れていないか?オティヌスはスフィンクスと仲良くしているかな・・・・・・・)

 

この場所に時間という概念があるのか分からないが、しばらく時間が経った後、上条当麻は現世に残してきたモノに思いを馳せていた。

 

 

 

 

しかし、神様はそんな状況になった少年を見捨てなかったらしい。真っ白な世界でそんな風に考えていた上条当麻に突如、救いの手が来たのだ。

いや、真っ白な世界にいる上条当麻の目の前に来たのは救いの手ならぬ救いのドラゴンだった。

 

 

「!!?!?!?!!」

 

突然、白い世界にいる上条当麻の上空に、彫刻刀が切れ目を造って出てきたと思うと、同時に出てきた竜と獣が混じったような姿をした不定形な炎に見えるドラゴンが、それの出現に、驚いている上条当麻の首筋に噛みついて咥えたのだ。

 

 

 

「上条さんは子猫じゃあないんですよ!!」

 

ドラゴンによる噛まれた痛みは感じなかったが、ドラゴンに咥えられた上条当麻の扱われ方は猫が自分の子供を運ぶ姿にそっくりだった。

そして、上条当麻をそんな風に扱うドラゴンはこの世界に造られた空間の切れ目から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い世界から脱出した上条当麻が次に見た光景は大型商業施設ミヤシタアークの天井だった。

 

そして、誰かが膝枕をして自身の頭を撫でている感覚がする・・・・・・。

 

「血と肉で出来た脆い体でよく頑張りました。後はこの問題を、私、埴安神袿姫が救済解決するから任せなさい・・・・・」

 

その優しい声で喋りながら、自分を撫でていた持ち主を確認すると、上条当麻はすぐに飛び起きて距離を取った。

 

 

生き返った上条当麻を介護していたのは、死んであの世らしき世界を上条当麻が見る羽目になった原因を作った埴安神袿姫だったのだ。

 

 

「あー、そんなに埴安神袿姫を警戒しなくてもいいと思うぞ。坊や」

 

ボロニイサキュバスがそう言うが、それでも上条当麻は警戒を解かなかった。

 

「埴安神袿姫、上条当麻の警戒を解く意味でもちゃんと説明した方がいいかと」

 

埴安神袿姫にそう言ったのは、足首まで広がる長い長い金髪に、ゆったりとしたロングのワンピースを着て、大きな帽子の唾で目元を隠している高身長の女性だった。

 

その女性はお腹の辺りに巻いている太いベルトに、スイス辺りの高級そうな十徳ナイフ、取ってを畳める携帯鍋、コンロにもなる小さなバーナー、ホットサンドメーカー等のキャンプ系のキッチングッズを吊り下げていた。

 

しかし、上条当麻は失礼ながら、家庭的な印象より口裂け女のお仲間みたいな印象だとその女性に抱いてしまった。

 

 

「ボロニイサキュバスと『旧き善きマリア』がそう言うなら、しかたがない、しかたがないねぇ・・・・・・この『造形神』埴安神袿姫が、何故、救出対象の上条当麻人間にこのような行動を取ったのかちゃんと説明してあげるわ」

 

 

 

 

 

 

 

ことの始まりは12月29日。アリス=アナザーバイブルがアンナ=シュプレンゲルに唆されて上条当麻に興味を持って、貴方と出会ったことで、『橋架結社』の超絶者達が上条当麻殺害派と救出派に分かれて殺し合う羽目に発展したのは、ボロニイサキュバスからの説明で分かるでしょ?

 

うんうん、素直でよろしい。

 

 

他の超絶者達は不自然なまでに、上条当麻に懐いたアリスによって、守るべきモノがいる世界が壊れるのが本気で怖いから、貴方の処遇を巡ってとことん本気になっているけど。そんなことは、私にとっては、怖くない出来事だわ。

アリスが今の世界を壊しても、やろうとすれば魔神さえも造形救済出来る、得意の造形術で一から世界を造り直せて見せるからね。

 

むしろ、アリスにいい影響を与えて、導いてくれそうな善性の存在が、アリスの「せんせい」になってくれて感謝したいくらいだわ。

 

 

話が脱線してしまったわね。

私が上条当麻、貴方を救いに来たのはそれだけが理由ではないわ。

 

12月29日にアリスがライブアドベンチャーズインワンダーランドを起動させて現実改変したようだけど、貴方がアリスによるハッピーエンドの提案を断った際に、アリスに言われた言葉を覚えている?

 

 

「『死にますけど・・・・・・』だよな・・・・・・」

 

 

よくアリスの言葉を覚えていました!

 

実はね、あれはただの警告ではないのよ。貴方、上条当麻が死ぬという確定した運命の予言みたいなモノよ。

 

私が救出派なのは、それも理由に入っている。

「せんせい」が死んだらアリスがかわいそうだし、貴方もまだ、人生の途中で死にたくないでしょ?

だから私の造形術で造り直した。

 

だとしてもあの行動はない?それはごめんなさいね。でもね、善意とは押し付けるものよ。色々な神話、物語で登場する神様が善意を勝手に人間に押しつけているように・・・・。

私、埴安神袿姫の行動もそう思ってもいいわよ。

 

これで話は終わりね。後は、私が解決するから安心してもいいわ。

では、良き年末を過ごしてね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「埴安神袿姫が完全に救出派こちら側なら安心するんばい。わらわもさっさと再起動して、アラディアとの戦いにケリをつけるとするとしようかのう・・・・・」

 

アラディアとの戦いで傷だらけになった体で動こうとした、ボロニイサキュバスに埴安神袿姫の静止の手が入った。

 

 

「ボロニイサキュバス、無理をしない方がいいわ。貴方、上条当麻を『復活』させる為に、自分の血液を死ぬ程、大量に輸血しているのは分かっているわよ。私の造形術で造り直されるのを許容するなら、動いてもいいけど・・・・・」

 

 

埴安神袿姫にボロニイサキュバスの今の容態の説明を聞いてしまった、上条当麻がボロニイサキュバスに駆け寄った。

 

「どういうことだ?何で黙っていたんだ!?」

 

駆け寄った上条当麻がよく見たら、ボロニイサキュバスを左の肘のアームカバーに違和感があった。その下には小さな針のあとを押さえる特殊な絆創膏が見えた。

 

「坊やに心配かけたくなくてのう、無理をしていたんじゃ」

 

もう隠せないと思ったのだろう。自身の容態のことをボロニイサキュバスが白状した。

 

『旧き善きマリア』は沈黙の空気を持って、上条当麻を心配させまいと自分の容態を隠していたボロニイサキュバスの真実を暴いた埴安神袿姫を非難していた。

 

 

 

 

 

己の奥歯がメキメキと異様な音を立てる。

憎い。

悔しい。

何が不幸だ、何が超絶者達の戦いに巻き込まれただ。本当に死の底まで引きずり込んだのは、どっちなんだ!!?自分自身の愚かさを上条当麻は呪いたい!!

 

「ボロニイサキュバス、もう無理をするな。俺が決着をつけてくる」

 

傷ついた女悪魔に背中を向けて、右手を握りしめながら、少年は、そう宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな覚悟を決めた上条当麻から少し距離を離した場所で、埴安神袿姫は、静かに自分の後ろにあるモノを見ていた。

 

(ごめんなさいね、上条当麻。私に憑いているドラゴンの力をパワーアップさせるために中にいるモノの力を少し貰ったわ)

 

そう思う埴安神袿姫の背後には、骸炎ドラゴンと呼べる竜の姿に近づいた、エネルギー体の炎のドラゴンの姿がうっすらと姿を現していて、守護霊のように纏わりついてた。




アリス戦で対象を救って、大往生した上条さんはすんなり自分の死を受け入れたけど、納得いかない死を迎えた上条さんなら未練を抱えると思います。
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