瀬人VSキサラ~時空を超える記憶~【完結後、後日談ぼちぼち執筆】   作:生徒会副長

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NEXT・TURN(最終回)

 世界に名を轟かす大企業『海馬コーポレーション』は、今日も平常通りに業務中である。

 そこはいつもと変わらない、社内のデュエル実験室だった。ソリッドヴィジョンの改良や新カードのテスト、コンピューターAIとのデュエルを行う部屋である。部屋の前に設置された時計は、午後2時を知らせていた。

 その部屋へ、デュエルディスク片腕に入っていく一人の男に、

 

「お待ちしておりました。セト様……」

 

 そう呼びかけた先客は……。

 

「ふぅん、待たせて悪かったな。

 ――キサラ」

 

 ややゆとりを持たせた白いスーツを着た、キサラだった。

 あのデュエルを終えた後、瀬人は有象無象の疑問や問題を振り払い、キサラを海馬家と海馬コーポレーションに迎えた。まだ籍も入れていなければ挙式もしていないが、そう遠くない話だろうとはお互い考えている。

 パラドックスの呪縛からは解放されたキサラだが、やはり元が4枚目の『青眼の白龍』なだけはあった。戦闘力、古代魔術の技能、カードの魔力や精霊を感じ取る力、決闘者としてのタクティクスにおいて、海馬コーポレーションに通用するものがあった。元々家事は執事やメイドが全てやってしまうという事情もあって、キサラはボディガード兼秘書、場合に応じてカード開発部門の補佐として瀬人やモクバの周りで働くようになった。

 そして今日、キサラがデュエル実験室にいるのは――。

 

「いえいえ! 私もこのカードを回収して、今この部屋に入ったところですから」

 

 そう言ってキサラがポケットから出したのは、『ハネワタ』。海馬コーポレーションが開発した、チューナーモンスター第1号である。

 パラドックスが未来から持ち込んだカードは、『青き眼の乙女』『蒼眼の銀龍』『龍の鏡』の3枚だけを残して、パラドックスと共に消滅してしまった。しかしKCとI2、キサラと瀬人に加えて武藤遊戯や天馬夜行、ペガサスの協力も得て、先日ついにチューナーモンスター『ハネワタ』が完成したのである。

 目指すはシンクロモンスター及びシンクロ召喚の実用化。そして、モーメントの暴走による人類滅亡が起こる前に、モーメントに代わるエネルギーを開発することであった。

 

「では。闘ろうかキサラ! 遠慮は要らん、本気でかかってこい!!」

「はい! セト様も、うっかり負けたら、カードの貴公子の名が泣きますよ!」

 

 愛する人なき絶望の未来とも、暴走による滅亡の未来とも違う。

 彼らは、光差す第三の未来へと、歩み始めていった――――。

 

 

「「デュエル!!」」

 

瀬人VSキサラ~時空を超えた記憶~

 

 




ここまでの応援、感想、読了、誠にありがとうございました。
個々の感想にはひとつひとつ返信をお送りしていますし、これからもそうさせていただく所存です。

この小説が、海馬瀬人、神官セト、キサラ、青眼、デュエル、遊戯王を愛する方にとってプラスになればいいな、と思っています。

一言感想欄などから連絡いただければ、瀬人×キサラCPの小説・漫画を描く際に世界観を流用していただいて構いません。これを機に瀬人キサが発展してくれれば嬉しいです。

稚拙にして未熟ながら、今後の生徒会副長の活躍にご期待いただければ幸いです。

それでは皆様、またお会いしましょう!ノシ

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