グリザイアの教室   作:光と闇の竜

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親友を得た綾小路はちょっとスペック高いだけのどこにでもいる男子高校生であって欲しい。


3話 水泳の授業

 この学校、なんと室内プールがあった。予算掛けすぎだろ。もう少し市ヶ谷に回してくれてもいいんじゃないか?どう考えてもテロ対策の方が大事だと思うんだ。とはいってもそんなことを一構成員に過ぎない俺が言ったところで予算配分が変わるわけもないので開き直って楽しもうと思う。

 

 「いやあ、この学校に入学してほんとによかった!こんなにも早く女子の水着を拝めるなんてな!」

 「な!しかもこのクラスの女子レベル高いし、あ~櫛田ちゃんの水着姿楽しみだな~」

 「櫛田もいいけどおっぱいなら長谷部じゃないか?あれはもしかしたら90の大台に乗っている可能性も……」

 「いやいや俺は櫛田ちゃん一筋だから!」

 

 というわけで教室では男女混合で行われる水泳の授業に心躍らせているクラスの男子たちがはしゃいでいた。もちろん俺も女子の水着姿は楽しみだが、それを表に出さないぐらいの分別はある。JBにも女の扱い方は散々教えられたからな、こういうところで評価を下げるような愚かな行いはしない。あいつらは女子から向けられる絶対零度の視線にも気付いていないみたいだが。そうじゃないと大声でおっぱいランキング楽しみなんて口にしないだろう。

 

 「なあ春寺と綾小路もこっち来て誰のおっぱいが一番大きいか賭けようぜ!どうせお前らも期待してんだろ!?」

 

 池というおちゃらけた生徒が教室の片隅で駄弁っていた俺たちへと声を掛けてきた。勘弁してくれ、俺たちはムッツリスケベなんだ。お前が話しかけてきたら日常会話をしているように見せかけながらハンドサインでおっぱいランキングについて話していたのがバレてしまうだろうが。なお、俺たちの厳正な審査によるとこのクラスで一番おっぱいが大きいのは佐倉というあまり目立たない女子生徒だ。俯きがちで隠れてはいるが、あの子のおっぱいは恐らくJBともタメを張る。いや、JBのおっぱいが育ったのは成人してかららしいから成長性を鑑みれば上回っているともいえる。若さでも負けているJBが佐倉に勝てる要素は1つもない。だがそれでも俺はお前のことが大好きだから落ち込むことはないぞ。

 

 「パス」

 「俺もだ」

 「なんだよ~、春寺も綾小路もノリ悪いな~」

 「そもそも、そういうことを大声で話すのはどうかと思うぞ。女子の反応見てみろ」

 

 俺と綾小路は紳士であることをアピールして女子からのポイントを稼ぐことに成功した。なお、隣の堀北からは俺たちを訝しむ視線が注がれていたことをここに記しておく。

 

 

 

 当然だが、あんなことを大声で話していた男子に水着姿を見せたいと思う女子はおらず、かなりの数が見学者に回っていた。

 

 「くそっ、長谷部のおっぱいはどこだ!ていうかそもそもおっぱいが少ねえのはどういうわけだっ!」

 

 それでもちゃんと授業に出席した女子生徒も存在し、池や山内の視線はもっぱらそっちに向けられていた。

 

 「はぁはぁ、櫛田ちゃんのおっぱい……!やべ、勃ちそう」

 

 「堀北って意外とあるんだな……」

 

 反対側から聞こえる「キモっ」という声を受けても堂々と女子のおっぱいについて語る心意気だけは認めてやってもいいかもしれない。せいぜい俺と綾小路の隠れ蓑になってくれ。いやしかし、確かに櫛田のおっぱいは見事なものだな。櫛田というのはその人当たりの良さで瞬く間にDクラスのアイドル的存在に躍り出た美少女ちゃんだ。ここからでもその大きさと形の良さがはっきりとわかる。美巨乳という言葉はまさに櫛田のおっぱいに相応しいだろう。

 

 「春寺、お前何かスポーツでもやっていたのか?凄い身体つきだな(やはり俺たちの目に狂いはなかったな、堀北はGカップにはほど遠い)」

 「いや、部活とかには所属してなかったな。身体を鍛えてたのは恩師の教えだ(ああ、だが巨乳だけがおっぱいじゃない。おっぱいに貴賤はない、ただ存在するだけで尊いんだ。堀北のおっぱいもまた然りだ)」

 

 俺と綾小路が何気ない動作に織り交ぜたハンドサインで高尚な議論を交わしていると教師による集合が掛かった。

 

 

 

 「よーし集まったな、なんだ随分と見学者が多いな。まあいい、まずは各自しっかりと準備運動だ。この後早速泳いでもらうつもりだからちゃんと筋肉を解しておけよー」

 

 男子生徒が泳げないことを申告するが、それに対する教師の言い分は必ず役に立つから泳げるようにしてやるというものだった。まあ言っていることは事実だ、泳げて損はない。じゃないと船の上での要人暗殺に成功した後脱出できないしな。

 

 「とりあえずほとんどの生徒が泳げるみたいだな。では今から競争をするぞ。男女別の50メートル自由形だ。諸君にやる気を出してもらうためにも、1位になった生徒には俺から特別ボーナスとして5000ポイント支給しようじゃないか」

 

 ほう、5000ポイント。つまり5000円ということだ。学校独自のシステムとはいえ、5000円相当のポイントを配るとは中々に気前がいい。金は多く持っていて困ることはない、ここはありがたく餌を頂いておこう。

 

 「綾小路、どっちが5000ポイントを手に入れても恨みっこなしだぞ」

 「いや、オレはほどほどに手を抜く。目立つのはごめんだからな」

 「ああ、そういえばそうだったな。だとしても隠し方が下手くそだとは思うが……」

 「そうなのか……」

 

 なんだよ入試の結果を全部50点にしたって。そっちの方がよっぽど目立ることぐらい簡単にわかるだろ。しかもそんな鍛え上げられた肉体晒しておいて運動できませんも通らないからな。俺は名前を呼ばれたため、どこかしょんぼりとした綾小路を置いてスタート地点へと向かった。

 

 

 

 

 

 「ふっ、来たねスプリングボーイ。中々に鍛えているじゃないか。最もこの私には遠く及ばんがね」

 

 声をかけてきたのはブーメランパンツの変態……ではなく、あの日綾小路と同じく俺の殺気に気付いた実力者の一人、高円寺六助だった。魅せ筋ではないのだろう、見事に鍛え上げられた筋肉を惜しむことなく披露している。

 

 「なんだそのスプリングボーイってのは……」

 「春寺なのだからスプリングボーイだろう?何か間違っているかな?」

 「安直だな、それでいくとお前はハイボーイってことになるが?」

 「ハッハッハ、私は諸君よりも遥か高みにいるのだから、それも強ち間違っているとは言えないね」

 

 なんだコイツ無敵か?おもしれー男だな。

 

 「それより本題だが……些細な余興といこうじゃないか。5000ポイントというのは些か物足りないが、私たちの無聊を慰める余興の賞品としてはちょうどいいだろう。私は君を、君は私を見定める。情熱的なお誘いをしてくれたんだ、退屈だけはさせないでくれたまえよ?」

 

 やっぱりおもしれー男だな。余裕の笑みを浮かべてはいるが、言外に退屈させたら承知しないと伝わってくる。

 

 「勿論だ」

 

 ホイッスルと同時に俺と高円寺、その他無勢がプールへと飛び込む。コイツには全力を出せないと勝てない。そう確信した俺は泳ぐことのみに集中し、高円寺との勝負に興じた。

 

 

 「ふっ、どうやら現時点では互角のようだね。刺激的な一時だったよ、君なら退屈な毎日に多少の彩りを加えてくれそうだ。今後ともよろしく、優斗」

 「言ってくれるじゃないか。次があったら俺のケツを拝ませてやるよ、六助」

 「「ハッハッハ!」」

 

 結果としては同着。機械による判定ではないので教師の主観によるものだ。そして俺に2人目の友達ができた。男の友情は簡単なのである。なお、水泳部への熱心な勧誘はお断りしておいた。




申し訳程度のグリザイア要素解説

市ヶ谷……優斗のバイト先。日米合同対テロ組織、中央調査部諜報2課分室──Central Intelligence and Research Second、通称CIRS(サーズ)の隠語。表向きにはアサヒクリーンという有限会社を隠れ蓑にしている、憲法9条に中指を突き立てている内閣直属の秘密警察みたいなもの。日本国内の敵を排除するためならなんでもやる。
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