ガールズ&パンツァー これが三代目の戦車道です(女神達のメッセージ改) 作:熊さん
練習試合後のお話です。
色々、情報を調べて書いたのですが、もし、間違いがあれば、御指摘下さい。
直ぐに、訂正させてもらいます。
それでは、続きをどうぞ。
「フラッグ車の皆さん、大丈夫ですか? 怪我していませんか?」
『M3』の副砲にある上部ハッチから身を乗り出して祐子は、咽喉マイクを使い、ひっくり返って白旗の上がっている『ルノー』を見ながら、慌てて通信を送る。
「全員怪我はありません。大丈夫です」
冷静になった亜希子のいつもの声が『M3』の車内に響くと、祐子以下、隊長車搭乗員は、安堵の溜息を洩らした。
祐子は直ぐに車内に引っ込むと、怒りの表情でワナワナと震えている翔子に、声を掛ける。
「翔子ちゃん、今は何も言わないで。お願いだから……」
「分かったよ。祐子がそう言うなら、何も言わないよ」
翔子は祐子を見て、大きな溜息をつく。
祐子は被弾した『89式』と『38t』の搭乗員達の無事も確認しているので、先ずは試合に参加したメンバー全員が、怪我なく試合を終えられた事にホッとした。
練習試合は終わった。
自走できない戦車を回収していく作業車と大洗のドラゴンワゴンが砂丘に到着して、『89式』『38t』の後ろに『ルノー』を回収している。
フラッグ車から降りた亜希子達は『M3』から降りて自分達に近づいてきた祐子に「すみません」と言って頭を下げる。
それに対して祐子は、彼女達に笑顔で「怪我していなくてなくて良かった」と答えた。
戦い、そして傷ついた戦車達は、それぞれの学校のドラゴンワゴンによって、母校の学園艦へ運ばれていく。
午後五時半になり、練習試合における全ての作業が終了した。
一方で、戦車の回収作業が進む中、試合に参加した大洗のメンバーは、順に回ってきた、乗ってきた送迎バスに乗りこむ。
しかし、来た時と違い、バスの中は静かだった。
彼女達を乗せたバスは、コアラの森学園の学園艦へと向う。
これから、学園内にある多目的ホールに、彼女達は招待され、二高の交流会が始まるのである。
会場となる多目的ホールは、30m✕50mの長方形をしており、その中には大きく『歓迎、大洗女子学園』と横断幕が飾られている。
会場の中心にロの字型に料理スペースがあり、その周りを囲むように、丸テーブルが十五卓配置されていた。
休憩用の椅子がホールの壁に置かれており、立食が基本の会場になっている。
学園に到着し、抱っこされたコアラと亜彫に案内された祐子達が会場に入ると、コアラの森のメンバー達から歓迎の意を示す、大きな拍手をもらう。
そして、亜彫の歓迎の挨拶と祐子の感謝の挨拶が続き、初めてとなる大洗女子学園とコアラの森学園の交流会が始まった。
二高のメンバー達は、それぞれが思い思いのグループを作り、テーブルを囲んだり、椅子に腰かけて、親しげに交流を図っている。
食事を楽しみつつ、ファッションや芸能の噂話など、乙女らしい話題を中心に……である。
コアラを抱っこしながら、大洗のメンバーと交流を図る亜彫は、抱いているコアラを希望者に抱っこさせたり、触らせたりと大忙しの様子だった。
一方の祐子は、翔子とともに、各テーブルを回りながら、挨拶をメインに交流を図っている。
一通り回り終えると、壁際の開いている椅子に座って一息をつく。
そこへ、亜希子と恵、かなえの三人が、話をしながら近づいてきた。
三人に気づいた二人は、それぞれ対照的な行動をとった。
翔子は、眉間にシワを寄せ、亜希子を睨みつける。
祐子は、にっこり微笑むと三人に「お疲れ様」と声を掛けた。
すると、恵とかなえが、祐子に言葉を返した。
「うん。お疲れ様ぁ。どの料理もびっくりするぐらい、美味しいねぇ。さっきねぇ、私、コアラちゃんを抱っこしたんだよぉ。もう、モッコモコでねぇ、可愛かったぁ」
「……私も、お姉ちゃんの次に抱っこさせてもらった。……以外と重かった」
楽しそうに話す二人に、祐子も笑顔で「そっかぁ」と答える。
しかし、亜希子は翔子の視線を感じていて決まりの悪そうな表情で「お疲れ様」とだけ答えて、二人の後ろに下がった。
祐子は、試合での出来事は一切話さず、自分が食べた料理の感想や挨拶していてコアラの森のメンバーと話した内容等を三人に話している。
時々、亜希子にも話を振りながらに、彼女に気を遣わせないようにと懸命に話し続けているといった雰囲気で話していた。
しかし、翔子の方は会話には参加せず、黙ったまま亜希子を睨み続けていて、その視線を感じている亜希子は、祐子の話に合わせながら会話をしているが、目はバツが悪そうに空中を泳がせていた。
そこへ、コアラを抱いた亜彫が近づいてきたのである。
「皆さん、今日はありがとうございました。とても有意義な試合でした」
「こちらこそ、ありがとうございました。食事もおいしいものばかりで、楽しませていただいています」
亜彫の挨拶に、五人を代表して、祐子が謝辞を述べた。
すると、亜彫が祐子に質問をしてきたのである。
「我々のフラッグ車を追い詰めた時に、皆さんは、三方向に別れました。あれは遠藤隊長さんの指示だったのですか?」
「いいえ、それは私が指示しました」
亜彫の問いに、五人の一番後ろにいた亜希子が、スッと前に出てきて答えた。
祐子を見ていた亜彫が、視線を亜希子の方に向けると、同じように抱いているコアラも、視線を向けた。その視線には「あなたは誰?」という問いも含まれている。
亜希子は視線の中の問いに気づき、亜彫に自己紹介をする。
「私は、大洗女子学園戦車隊の副隊長をしています『北川亜希子』と言います」
「そうですか。貴方が副隊長さんですか。確か、フラッグ車に乗っていましたよね」
「はい」
亜彫は、決着がついた直後に『ルノー』から降りて来たメンバーの中に、彼女がいた事を思い出す。
すると、亜希子が返事をした直ぐに、抱いていたコアラが小さく唸るように鳴いた。
その声を聞いた後、亜彫が亜希子へ質問をする。
「それでは、副隊長さんにお聞きしますが、最後の勝負所で、フラッグ車が単独で飛び出してきたのは何故ですか? 試合の途中、囮作戦でフラッグ車を囮に使う事はありますが、最後にフラッグ車単独で勝負するのは、リスクが高いはずですし、こちらも一両残っていたのですけど。どうしてなの?」
亜彫の問いに、亜希子が答える事ができず口を閉じる。
その様子を、コアラも注視していた。
その時、黙ってしまった亜希子の代わりに、祐子が口をはさむ。
「あの時、攻撃を指示したのは私です。あの瞬間、私が間違った命令を副隊長にしたばかりに、負けてしまったんです。副隊長の責任ではありません」
祐子の嘘の助け船に、亜希子をはじめ、他の三人も驚いた表情になった。
亜彫は、視線を亜希子から祐子に移すと、祐子の顔をジッと見る。
すると、抱いているコアラも祐子の顔に視線を向け、また小さな声で鳴いた。
その後直ぐにまた、亜彫が話す。
「そうですか。いい経験になりましたね。『試合の行方は最後の五分間にある』と言います。最後の詰めの勝負で間違えたら逆転されるという、いい経験ですよ」
「はい、いい経験になりました」
祐子が、亜彫に一礼しながら答えると、抱いているコアラが、大きな声で「グウェ」と鳴いた。
それを聞いた亜彫が、五人に聞こえないほどの小さな声で「わかりました」と言う。そして、彼女は祐子達に「少しお話をしませんか?」と言ってきたのである。
亜希子と恵、かなえの三人は「まだ、コアラの森の方々に挨拶をしていないから」と言って、誘いを辞退して、一礼してこの場を離れる。
そして、祐子と翔子の二人が残った。
残った二人を会場の角隅にある椅子へと案内した亜彫は、そこへ二人を座らせ、その体面になる位置に椅子を置いて、コアラを抱いたまま座る。
そこで、祐子の方から亜彫に話しかけた。
「亜彫隊長さんは、戦車戦の戦術に詳しいですね」
すると、彼女はキョトンとした表情になった。
その瞬間、またコアラが「グウェ、グェ」と鳴いた。その鳴き声を聞いた亜彫は、目を丸くして、コアラの方を見る。
抱かれたままのコアラは、亜彫を見つめたまま、また鳴いた。
それを聞いた亜彫が「わかりました。伝えます」と答える。
目の前のやり取りに、二人は何が起きているのかわからず、ポカンとして見ていた。
すると、亜彫が視線をコアラから二人の方に向けると、ゆっくりと話し始める。
「まず、私は隊長ではありません。我が戦車隊の敬愛する隊長殿は、別にいらっしゃいます」
「それでは、試合前の挨拶にいらっしゃらなかったのは、待機所におられたのですか?」
祐子の質問に、亜彫はクスッと笑う。
そして、抱いているコアラを見ると、亜彫は二人だけに聞こえる声で話した。
「隊長の許可が出ましたので、改めてご紹介いたします。こちらが、我が『コアラの森学園』戦車隊を率いておられます、敬愛する『コアラ隊長』殿です」
亜彫の言葉に、二人は席を思わず立ち上がりそうになるくらい驚き、抱かれているコアラを凝視した。
コアラは抱かれたまま、じっと二人の方を見ている。
「『コアラ隊長』殿って……。それ、本当なんですか?」
「はい、我が隊以外で、コアラ隊長殿の正体を知ったのは、お二人が初めてのはずです。先ほどの質問も、すべてコアラ隊長殿の質問を、私が代わりに聞いただけですから」
「マ、マジですか……」
祐子の問いに亜彫はまじめに答え、翔子は、驚きのあまりタメ口になる。
そこでまた、コアラ隊長が、今度は低く唸るように鳴いた。
それを聞いた、亜彫は「はい、尋ねてみます」と答える。そして、祐子に向かって聞いてきた。
「我が親愛なるコアラ隊長殿は、遠藤隊長に対して、こうおっしゃられています『先ほどの質問で、最後に君が指示を出したというのは嘘だね。君はそんな命令はしないはずだ。多分だが、あの娘の独断ではないのかな』との事です」
「う、嘘だろ……。そんな事が分かるのか?」
亜彫の話を聞いて、翔子がさらに驚いた表情になる。
問われた祐子は、亜彫ではなく、コアラの方を真っすぐに見て、答えた。
「いえ、試合における全ての結果は、私の責任です。メンバーの『勝ちたい』という想いを叶えられなかった自分が情けないし、悔しいです」
祐子はそこまで話すと、うなだれてしまった。
すると、そこでまた、コアラが鳴いた。
その鳴き声は、優しく語りかけるようだった。
亜彫は「はい、私もそう思います」と答えると祐子にコアラの気持ちを通訳した。
「今、隊長殿はこう言われました『君の強い、その責任感は、いずれ君の力となる。君は良い隊長になるだろう。私の目に狂いはなかった。だから正体を明かす気になったのだ』と」
神妙な顔で視線はコアラに、耳は亜彫の声を聞いている二人。
コアラは、亜彫の通訳が終わると、鳴いたり、口をもぐもぐさせる。今度はその動きが結構長い。
それを見ながら亜彫は、コアラの通訳を同時に始めた。
「コアラ隊長殿は、今、こうおっしゃっています『さっき亜彫が正体を知っているのは二人だけだと言ったが、訂正させてもらう。私の事を知っている人間は、五年前の黄金世代と呼ばれた人間が現れた時期に、その人間を束ねていた隊長達も知っている。西住まほさんを筆頭にした、あの世代の隊長達だ』と」
亜彫は、コアラの動きを真剣に見つめながら、間違えなく通訳しようと神経をすり減らしている。
祐子と翔子の二人も、コアラを見つめ、まるで、大切な講義を受ける生徒のように、真剣そのものだった。
コアラは唸り続け、亜彫は話し続ける。
「『私達の中では、隊長ウォーと呼んでいる隊長会議が、五年前にあった。私も散々迷ったが、隊の将来の為になるのならと思い、我が戦車隊全体がバカにされるのを覚悟して、会議に出席させてもらった。しかし、誰一人バカにする人間はいなかった。私の意見も、真剣に聞いてくれた。さすが、黄金世代の隊長達だと感心した事を覚えている』」
コアラは、そこまで鳴く(語る?)と、一度、フーっと大きく息を吐く。そして、再び鳴き始めた。
亜彫は、また通訳を始める。
「『彼女達が、さらに経験を積めば、全日本戦車隊の主力メンバーになるだろう。そして、君はその時の隊長達と同じ匂いがしたんだよ。だから、正体を明かす気になったのだ。彼女達はきらめくような才能を持っていた。だが、その才能に甘えずに誰もが人一倍の努力をしていた事を、私は見てきた。遠藤隊長、君は彼女達と同様に、いや、それ以上の努力をしなさい』」
亜彫がそう言った直後、祐子は間髪入れずに「はい!!」と答えた。
亜彫の通訳が、そこまで終わると、コアラは彼女の方を見て、今度は、ゆっくりともぐもぐと口を動かし、彼女の腕の中で丸くなっていく。
亜彫は「はい、伝えておきます。おやすみなさい」と言って、近くにいたチームメイトに毛布を持ってくるよう指示し、持ってきてもらった毛布を、コアラ全体を包むように掛けた。
「コアラ隊長殿からの伝言をお伝えします」
亜彫は祐子の顔を真っ直ぐに見て、静かに語った。
「大先輩の隊長として、二つ、アドバイスする。一つ目は『暴走する人間が出ないように、早くメンバー達の信頼を得るようにしなさい』との事です。二つ目は『大洗戦車隊を造ったのは、西住流の西住みほさんだが、その西住流に固執してはならない。我が隊や大洗では、西住流は成立しない』とおっしゃいました」
亜彫の話を聞いた二人は「えっ」とした表情になる。
「あ、亜彫さん、西住流は成立しないってどういう意味なんですか?」
直ぐに、祐子が聞き返したが、亜彫は、申し訳無さそうに首を振った。
「隊長殿は、交流会で疲れたのでしょう。今、お休みになられました。もう、こちらから、声を掛けることはできませんので、わかりません」
亜彫は、眠るコアラの背中を毛布越しに撫でていたが、完全に眠ったと思ったのか、スッと立ち上がると、祐子と翔子の方を見る。
「隊長殿をユーカリの樹ベッドに連れていきますので、ここで失礼させていただきます」
すると、二人は反射的に同時に立ち上がった。そして、祐子が亜彫に向かって「コアラ隊長殿にお伝え下さい」と言った。
亜彫は「はい」と短く返事をすると、それを聞いた祐子が、続けて話し出す。
「コアラ隊長殿のくださったアドバイスの意味を一日も早く理解して、大洗女子学園戦車隊の役に立つよう努力します」
亜彫は、祐子の言葉を聞くと、本当に嬉しそうに笑って言った。
「必ずお伝えします。隊長殿も、正体を明かしてまでアドバイスして良かったと喜んで下さると思いますよ」
すると、今度は翔子が、気まずそうな顔で、亜彫に尋ねてくる。
「あの、亜彫さん。しょうもない質問なんですけど、気になっている事があって……」
「なんでしょうか?」
「怒られそうなんですけど」
「隊長殿を侮辱しなければ、怒りませんよ」
亜彫の返事を聞くと、翔子は、おずおずとした態度で尋ねてきた。
「コアラ隊長殿は、オスなんですか、メスなんですか?」
翔子の質問を聞いた亜彫は、クスッと笑い、質問に答えた。
「戦車に、男性は乗れませんよ」
「……ですよねえ」
翔子が、返事をすると、三人は小さな声で笑った。
「私から、一つお願いがあります。コアラ隊長殿がチームの隊長だという事をナイショにしてください。隊長殿はコアラがチームを率いていると言われ、チーム全体をバカにされる事を一番嫌がります。ですので、対戦するチームには、隊長殿が、チームのマスコットだと勘違いさせるようにしていますので」
「「わかりました」」
返事を聞いた亜彫は、眠るコアラを愛おしそうに見て、後ろを向き、歩き出した。
二人は一礼して、立ち去るコアラ隊長と亜彫の後ろ姿を見つめている。
そして、祐子は思った。
(戦力を均等にして試合をしたんじゃない。コアラ隊長さんは、三年前の話をしてくれた。つまり、少なくても、私より五年以上前から、隊長をしているって事なんだ。私とコアラ隊長さんでは、指揮官としての経験量が違いすぎる。試合の前から、私達の弱点を見抜いて、自分達の作戦に引き込んだのね……)
コアラ隊長は、試合をするに当たり、三つの分析をした。
一つ目は、自分達の実力を完全に把握していた事。
二つ目は、大洗が一年生だけのチームで、上級生がいない事。
三つ目が、代替わりして初の試合であるという事。
この3つを土台にして、作戦を立てたのである。
戦車チームメンバーの卒業による代替わりというのは、大きな意味を持つ。新隊長の作戦遂行能力や力量、メンバー同士の連携など、前チームとは全く変わってしまう事もざらにあるのだ。
しかし、コアラの森学園は違う。コアラ隊長は卒業することがない。動物は卒業しないのだ。
メンバーが入れ替わるだけで、チーム全体の力量も最初から分かっている。
それに加えて、同級生だけのチームというところも注目した。
コアラ隊長は、絶対に命令無視する人間がいると確信していた。
自分ではなく他人に決められた上下関係を認めるには時間が掛かるという、人間の若者にある特有の心理が必ず連携に出るはずと読んでいた。
その認める時間を短縮する方法の一つに上級生の存在があるのだ。
そこで、追い詰められている状況を作り、フラッグ車に挑発目的で、一発発射したのだ。
まさか、フラッグ車の中に、その人間がいるとは思わなかったが……
もともと、このコアラは、オーストラリアから学園が借り受けている数匹のコアラの中の一匹だった。いつから借り受けているのかは、今では知る由もないが、少なくともコアラの森学園艦が誕生してから間もなくの頃、数十年前なのではないだろうか。
その一匹は、何故かはわからないが、戦車に興味を持ち、訓練の様子や練習試合を飼育小屋から見つめていたのかもしれない。
そして、そのコアラを世話している者の誰かが、コアラの表情や鳴き声で、コアラの感情や考えが分かる、いわゆる『コアラ語』を理解できる者がいたとしか考えられない。「戦車に乗りたい」というコアラの気持ちを、その頃の戦車隊の誰かに伝え、面白半分だと思うが、そのコアラを戦車に乗せてみたのだろう。おそらくこの日が、コアラが戦車隊の隊長になる、スタートだったと考えられる。
そして、そのコアラは、通訳する者がいた為、訓練や作戦などに対する自分(?)の考えをメンバーに伝えることが出来た。それにメンバーが賛同、納得し、コアラを「自分達の隊長にしよう」となったのだろう。
そして、その通訳となるコアラの森学園の副隊長は、前任者から徹底的に「コアラ語」を勉強させられる。そうでなければ、訓練どころの話ではないはずであるから……。
余談だが「コアラ隊長」は日本、いや、世界中どこを探してもいないであろう「戦車の操縦免許取得者」である。
今、祐子の大きな目から、光が消えている。
隣にいる翔子は、祐子がこんな目をしている時は、深く考え事をしている事を知っているので、黙ったまま彼女の様子を覗っていた。
しばらくして、彼女の目に情熱的な光が戻って来ると、翔子にポツリと話し始める。
「翔子ちゃん。私、亜希子さんに西住流戦車道を教えてもらえるよう、頼んでみる」
「やっぱり、そうなるよなあ。コアラ隊長さんのアドバイスを理解しようとすると、亜希子に頼むしかないもんなあ」
「うん、だって、私達って……」
「ああ、西住流や戦車道の戦術って、全然知らないもんな」
二人はそう言って、お互いの顔を見つめた。
お読み下さり、ありがとうございます。
誤字、脱字報告がありましたら、ご指摘お願いします。
次回は、仮題「亜希子さんの葛藤です」です。